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新撰組異聞 〜 雨月の頃 〜


〜 改訂版 〜


ここは、京の町。


曇り空が広がっている。


沖田総司と斉藤一は、一緒に歩いている。


沖田総司と斉藤一から少し離れた場所を、少女が花菖蒲を抱きながら、微笑んで歩いている姿が見えた。


沖田総司は少女に向かって笑顔で声を掛けようとした。


少女は花菖蒲を抱きながら立ち止まると、沖田総司と斉藤一とは別の方向を微笑んで見た。


沖田総司は少女に声を掛けるのを止めて、不思議そうに様子を見た。


沖田総司の見知らぬ男性が、少女の元に微笑んで歩いてきた。


少女は花菖蒲を抱きながら、男性に微笑んで軽く礼をした。

男性は少女に何かを微笑んで話し始めた。

少女は花菖蒲を抱きながら、男性を微笑んで見た。


少女は花菖蒲を抱きながら、微笑んで歩き出した。

男性は少女の横を微笑んで歩きだした。


沖田総司は少女と男性の去って行く姿を不安そうな表情で見た。

斉藤一は沖田総司と少女と男性の姿を普通の表情で見た。


その翌日の事。


ここは、京の町。


青空が広がり、白い雲がゆっくりと動いている。


ここは、京の町に在る寺。


境内。


少女は山門を心配そうに見ている。


沖田総司は走りながら山門を潜って境内に来た。


少女は沖田総司を心配そうに見た。


沖田総司は少女の前に笑顔で走ってきた。


少女は沖田総司に心配そうに話し出す。

「総司さん。無理をしないでください。」

沖田総司は息を切らしながら、少女に微笑んで話し出す。

「鈴ちゃんが一人で待っているから心配になったんだ。」

少女は沖田総司に心配そうに話し出す。

「今日の総司さんは予定がありました。私の家まで迎えに来て頂くと、ご迷惑が掛かります。私は一人で待つのは平気です。だから、無理をしないでください。」

沖田総司は少女に心配そうに話し出す。

「一人で待っている最中に何が起こるか分からないから、次からは鈴ちゃんの家に迎えに行くね。」

少女は沖田総司を困惑した様子で見た。

沖田総司は少女の手を取ると、微笑んで話し出す。

「鈴ちゃん。花菖蒲を見ながら話しをしよう。」

少女は沖田総司に微笑んで頷いた。


沖田総司は少女の手を握りながら、微笑んで歩き出した。

少女は沖田総司の横を微笑んで歩き出した。


それから僅かに後の事。


ここは、沖田総司と少女が居た寺の近く。


たくさんの花菖蒲が綺麗に咲いている。


沖田総司と少女は、花菖蒲の咲く場所に到着した。


少女は花菖蒲を微笑んで見た。

沖田総司は少女に微笑んで話し出す。

「綺麗だね。」

少女は沖田総司を見ると、微笑んで頷いた。

沖田総司は少女に微笑んで話し出す。

「鈴ちゃん。次もこの場所の花菖蒲を見に来ようよ。」

少女は沖田総司に微笑んで頷いた。

沖田総司は少女に微笑んで話し出す。

「早い方が良いよね。明日は都合が付かないんだ。明後日にしようよ。」

少女は沖田総司に申し訳なさそうに話し出す。

「すいません。明後日は用事があります。総司さんと一緒にお出掛け出来ないと思います。」

沖田総司は少女を寂しそうに見た。

少女は沖田総司に申し訳なさそうに話し出す。

「すいません。」

沖田総司は花菖蒲を寂しそうに見た。

少女は沖田総司を申し訳なさそうに見た。

沖田総司は花菖蒲を見ながら、突然に何かを思い出した表情になった。

少女は沖田総司を不思議そうに見た。

沖田総司は少女を見ると、僅かに不機嫌そうに話し出す。

「鈴ちゃんが私と逢わないのは、誰かと会う約束をしているからだね。」

少女は沖田総司を驚いた表情で見た。

沖田総司は少女に僅かに不機嫌そうに話し出す。

「私と逢う約束より、その人と会う約束が大事なんだ。」

少女は沖田総司を困惑した様子で見た。

沖田総司は少女を僅かに不機嫌そうに見た。

少女は沖田総司に微笑んで話し出す。

「明後日に総司さんと一緒に花菖蒲を見ます。明後日を楽しみに待っています。」

沖田総司は少女に我に帰った様子で話し出す。

「酷い言い方をしてごめんね! いろいろと遭って不機嫌になってしまった! 鈴ちゃんは気にせずに明後日は好きな場所に出掛けて!」

少女は沖田総司に微笑んで話し出す。

「私は総司さんと一緒にお出掛けしたいです。だから、心配しないでください。」

沖田総司は少女を僅かに困惑した様子で見た。

少女は沖田総司を微笑んで見た。

沖田総司は少女に困惑した様子で頷いた。

少女は沖田総司を笑顔で見た。


その日の夜の事。


ここは、京の町。


月も星も見える、雲の無い明るい夜空になっている。


ここは、屯所。


沖田総司の部屋の前に在る縁。


沖田総司は考え込みながら、夜空を見ている。


斉藤一は沖田総司の傍に、普通に現れた。


沖田総司は斉藤一を見ると、不思議そうに話し出す。

「何かありましたか?」

斉藤一は沖田総司に普通に話し出す。

「暇だから、総司の相手をしようと思って部屋を訪ねてきた。」

沖田総司は斉藤一を苦笑した表情で見た。

斉藤一は沖田総司を普通の表情で見た。

沖田総司は斉藤一に微笑んで話し出す。

「斉藤さんと暗い中で話したくなりました。」

斉藤一は沖田総司に普通の表情で頷いた。


斉藤一は部屋の障子を開けると、普通に入って行った。

沖田総司は部屋の中に入ると、微笑んで障子を閉めた。


ここは、沖田総司の部屋の中。


沖田総司と斉藤一は、一緒に居る。


沖田総司は微笑んで明かりを消した。


部屋の中は暗くなった。


沖田総司は斉藤一に不安そうに話し出す。

「斉藤さんと一緒に歩いている時に、私の見た夢の中で鈴ちゃんが付き合うと言った男性と鈴ちゃんが、一緒に歩いている姿を見ました。」

斉藤一は沖田総司に普通に話し出す。

「似ているだけだろ。」

沖田総司は斉藤一に不安そうに話し出す。

「私には夢の中の男性と同じ人に見えました。夢の中で、鈴ちゃんと男性が一緒に去って行く姿を覚えています。忘れたくても忘れられません。」

斉藤一は沖田総司を普通の表情で見た。

沖田総司は斉藤一に悲しそうに話し出す。

「今日は鈴ちゃんと一緒に花菖蒲を見ました。明後日も鈴ちゃんと一緒に花菖蒲を見たくて、約束をしようとしました。鈴ちゃんが、明後日は用事があって逢えないと言いました。今日の鈴ちゃんを見ていたら、鈴ちゃんは先日の一緒に居た男性と会うから、私と逢えないと言われたように感じてしまいました。私は鈴ちゃんに無理を言ってしまいました。鈴ちゃんは私と逢うと笑顔で言いました。」

斉藤一は沖田総司を普通の表情で見ている。

沖田総司は斉藤一に不安そうに話し出す。

「こんな私のために、鈴ちゃんは予定を止めるか変更するのだと思います。鈴ちゃんは私のために何度も予定も合わせてくれます。鈴ちゃんはとても優しくて良い子です。今まで見た夢が、全て本当になりそうで、とても不安になりました。」

斉藤一は沖田総司に普通に話し出す。

「美鈴さんに明後日に出掛ける予定の場所を尋ねたらどうだ?」

沖田総司が斉藤一に不安そうに話し出す。

「鈴ちゃんに尋ねるのがとても不安です。」

斉藤一は沖田総司に普通に話し出す。

「疲れていると、悪い方向に考える時がある。今日は直ぐに寝ろ。他にも話したい内容があれば、明日にしよう。」

沖田総司は斉藤一に微笑んで話し出す。

「分かりました、お休みなさい。」

斉藤一は沖田総司に普通の表情で頷いた。

沖田総司は斉藤一を微笑んで見た。


斉藤一は部屋から静かに出て行った。


その翌朝の事。


ここは、京の町。


朝から青空となっている。


ここは、屯所。


沖田総司の部屋。


斉藤一は普通に訪れた。


沖田総司は斉藤一に僅かに驚いた様子で話し出す。

「何かあったのですか?」

斉藤一は沖田総司に普通に話し出す。

「今日の俺は忙しい。これから一緒に出掛けよう。」

沖田総司は斉藤一を僅かに驚いた様子で頷いた。


斉藤一は沖田総司の腕を掴むと、普通に部屋を出て行った。

沖田総司は斉藤一に連れられるようにして、部屋を出て行った。


それから少し後の事。


ここは、京の町。


少女の家の傍。


沖田総司と斉藤一は、一緒に居る。


斉藤一は沖田総司に普通に話し出す。

「気になる内容を早く聞け。」

沖田総司は斉藤一を困惑した様子で見た。

斉藤一は、沖田総司の背中を、少女の家の方向に向かって強く押した。


沖田総司は少女の家へと向かって勢い良く前へ出た。


少女の家の人が不思議そうに現れた。

沖田総司は少女の家の人と、普通に何かを話し始めた。

少女の家の人は家の中へと普通に入って行った。

沖田総司は後ろを微笑んで見た。


斉藤一は沖田総司に背を向けて普通に歩いている。


沖田総司は微笑んで視線を少女の家へと戻した。


少女は沖田総司の前に不思議そうに現れた。


沖田総司は少女を微笑んで見た。

少女は沖田総司に不思議そうに話し出す。

「総司さん。用事は終わったのですか?」

沖田総司は少女に微笑んで話し出す。

「明日の約束は、鈴ちゃんにとって大切な約束だよね。だから、予定の日を変更しようと思うんだ。」

少女は沖田総司に微笑んで話し出す。

「私の事は気にしないでください。」

沖田総司は少女に不思議そうに話し出す。

「でも鈴ちゃん。一度は断ったよね。」

少女は沖田総司に微笑んで話し出す。

「明日の約束の日に、総司さんと一緒にお出掛けしたい場所があります。ご一緒して頂けますか?」

沖田総司は少女に微笑んで頷いた。

少女は沖田総司を微笑んで見た。


その翌日の事。


ここは、京の町。


曇り空となっている。


ここは、たくさんの花菖蒲が綺麗に咲いている場所。


沖田総司と少女は、一緒に居る。


沖田総司は少女に微笑んで話し出す。

「綺麗だね。」

少女は沖田総司に微笑んで話し出す。

「総司さんに喜んで頂けて嬉しいです。」

沖田総司は少女に微笑んで話し出す。

「鈴ちゃんに良い場所を教えてもらった。出掛けるのが楽しみな場所が一つ増えたね。」

少女は沖田総司に微笑んで話し出す。

「この場所は、亡くなった姉が好きな場所の一つです。姉と一緒にこの場所に来ようと約束しました。」

沖田総司は少女を困惑した様子で見た。

少女は沖田総司に微笑んで話し出す。

「姉と出掛けようと約束した日が今日です。」

沖田総司は少女を困惑した様子で見ている。

少女は沖田総司に微笑んで話し出す。

「花菖蒲の咲く季節に出掛ける場所、桜の咲く季節に出掛ける場所、紫陽花の咲く季節に出掛ける場所、他にもたくさんの出掛ける場所があります。姉との約束の日には、それぞれの場所に出掛けるようにしています。」

沖田総司は少女を困惑した表情で見ている。

少女は沖田総司に微笑んで話し出す。

「総司さんにもこの場所に咲く花菖蒲を見て頂きたいと思いました。総司さんからお出掛けのお話しがあった時に、どのようにお話しをしようかと悩んでしまいました。私のために総司さんにご迷惑をお掛けしてしまいました。」

沖田総司は少女に困惑した様子で話し出す。

「本当は、私と一緒に出掛ける予定の場所ではないよね。」

少女は沖田総司に微笑んで抱き付いた。

沖田総司は少女に困惑した様子で話し出す。

「気が利かなくてごめんね。」

少女は沖田総司に抱き付きながら、微笑んで話し出す。

「総司さん。これから、たくさんお出掛けしたい場所があります。ご一緒にして頂けますか?」

沖田総司は少女を抱くと、微笑んで話し出す。

「こちらこそ、楽しみにしています。」

少女は沖田総司に抱き付きながら、微笑んで何かを囁いた。

沖田総司は少女を抱きながら、不思議そうに話し出す。

「鈴ちゃん。今は何と言ったのかな?」

少女は沖田総司に抱き付きながら、微笑んで話し出す。

「何も話していません。」

沖田総司は少女を微笑んで抱いた。

少女は沖田総司に微笑みながら強く抱き付いた。




*      *      *      *      *      *




ここからは後書きになります。

この物語は既に掲載している物語の改訂版です。

改訂前の物語の展開や雰囲気を出来るだけ残しながら改訂しました。

改訂前の物語を掲載するのは止めました。

以上の点、ご了承願いします。

ここからは改訂前の後書きを加筆訂正しながら書いていきます。

「新撰組異聞 短編 雨月の闇」で沖田総司さんの夢の中に現れた男性が、現実に現れたという状況になっています。

その男性は、沖田総司さんの夢の中で、鈴ちゃんが付き合うと言った相手でした。

今回の物語に登場する男性については、物語の内容で想像してみてください。

夢が現実になるという出来事ですが、私の場合は、「物」で似たような経験があります。

子供の頃に、図書館で一冊の本を借りる夢を見ます。

今までに見た事のない本でした。

それから後に、実際に夢の中に登場した本と同じような表紙の本を見つけました。

その本は借りて帰りました。

「正夢」なのかなと思いました。

ただ、「正夢」はというのは、今迄のまで憶の中で似たような出来事が夢の中に登場して、現実にも似たような出来事が起こった、または、偶然に起きただけ、という説があります。

そのため、「正夢」は、未来を予知している訳ではないという説があります。

「雨月(うげつ)」は、幾つか意味があります。

この物語では「陰暦五月の異称」という意味で使用しています。

楽しんで頂けると嬉しいです。





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