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新撰組異聞 〜 五月闇の夜に雨が降り 〜


〜 改訂版 〜


ここは、京の町。

診療所。

沖田総司が詰まらなさそうに訪れた。

医者は沖田総司の診察を真剣な表情で始めた。

沖田総司は医者を詰まらなさそうに見た。

医者は沖田総司の診察を終えると、不思議そうに話し出す。

「理由は分からないが、症状が良くなっている。完治したと考えて構わない。不思議な出来事だが良かったな。」

沖田総司が医者に嬉しそうに話し出す。

「本当ですか?!」

医者は沖田総司に微笑んで頷いた。

沖田総司は医者に礼をすると、嬉しそうに去って行った。

それから少し後の事。

ここは、京の町。

少女の家。

沖田総司は少女の家を嬉しそうに訪れた。

ここは、少女の部屋。

沖田総司と少女は、一緒に居る。

沖田総司は少女に嬉しそうに話し出す。

「鈴ちゃん! 医者から病気が治ったという診立てをしたんだ!」

少女が沖田総司に嬉しそうに話し出す。

「総司さん! 良かったですね!」

沖田総司が少女に嬉しそうに話し出す。

「今までたくさん迷惑を掛けてごめんね! これからは鈴ちゃんをたくさんの笑顔にするからね!」

少女は沖田総司を嬉しそうに見た。

沖田総司も少女を嬉しそうに見た。

少女は沖田総司に嬉しそうに話し出す。

「総司さん! 花菖蒲が綺麗に咲く場所に一緒に出掛けたいです!」

沖田総司は少女に嬉しそうに頷いた。

少女は嬉しそうに部屋を出て行った。

沖田総司は少女に慌てた様子で話し出す。

「鈴ちゃん! 待って!」


沖田総司は驚いた様子で目を開けた。

床の上に体を起すと、周りを慌てた様子で見た。

ここは、京の町。

屯所。

沖田総司の部屋。

沖田総司は床の上に体を起しながら、寂しそうに軽く息をはいた。

軽く息をはき終わると、苦笑した表情で呟いた。

「夢、だったんだ。」

部屋の外から雨の降る音が聞こえてきた。

沖田総司は床から起き上がると、寂しそうに障子を開けた。

外も部屋の中と同じような暗闇に覆われている。

辺りには雨の降る音しか聞こえない。

沖田総司は外を見ながら、悲しそうに呟いた。

「夢に決まっているよね。鈴ちゃんは私の病気について何も知らないはずだよね。でも、鈴ちゃんに、病気が治ったと伝えて、今までの詫びや礼をして、笑顔をたくさん見たいな。」

悲しそうに軽く息をはくと、障子を閉めた。

床に横になると、悲しそうな表情のまま、ゆっくりと目を閉じた。


ここは、京の町。

雨の降りそうな気配の曇り空が広がっている。

ここは、花菖蒲と紫陽花が綺麗に咲く場所。

沖田総司と少女は、一緒に居る。

少女は紫陽花を微笑んで見た。

沖田総司は少女と紫陽花を僅かに寂しそうな表情で見た。

少女は沖田総司を見ると、心配そうに話し出す。

「総司さん。大丈夫ですか? 無理をしないでくださいね。」

沖田総司は少女から視線を外すと、寂しそうな表情で呟いた。

「無理をしない、か。」

少女は沖田総司を心配そうに見た。

沖田総司は少女を我に帰った様子で見ると、苦笑しながら話し出す。

「つい考え事をしてしまった。ごめんね。」

少女は沖田総司を見ながら、微笑んで首を横に振った。

沖田総司は少女を微笑んで見た。


ここは、診療所。

沖田総司は詰まらなさそうに訪れた。

医者は沖田総司を普通の表情で見た。

沖田総司は医者に苦笑しながら話し出す。

「夢の中で、先生が私の病気が治ったという診立てをしました。」

医者は沖田総司に不思議そうに話し出す。

「沖田君は、他の人の怪我や病気の治療の付き添いで私の元を何度か訪れているが、沖田君本人の病気の治療で私の元は訪れていないと思う。」

沖田総司は医者を不思議そうに見た。

医者は沖田総司に微笑んで話し出す。

「沖田君は、夢の中では病気なのか? 元気に過ごしている沖田君にしては、珍しい夢だな。体調を気にしている証拠かも知れないな。」

沖田総司は医者を不思議そうに見ている。

医者は沖田総司に不思議そうに話し出す。

「今日は私の元に診察に来たのかな?」

沖田総司は医者に恥ずかしそうに話し出す。

「夢を現実だと思ってしまいました。直ぐに失礼します。」

医者は沖田総司に微笑んで頷いた。

沖田総司は元気良く去って行った。

それから少し後の事。

ここは、京の町。

紫陽花が綺麗に咲く場所。

斉藤一と少女は、一緒に居る。

少女は斉藤一に微笑んで話している。

斉藤一は少女を普通の表情で見ている。

沖田総司は斉藤一と少女の元に来ると、拗ねた様子で話し出す。

「私が来る前から楽しそうにしていますね。」

少女は沖田総司に微笑んで話し出す。

「斉藤さんと総司さんが多摩や京の町で逢った時の出来事を教えて頂きました。」

沖田総司は斉藤一にむきになって話し出す。

「斉藤さん! 私に秘密にするように言いましたよね! なぜ鈴ちゃんに話したのですか?!」

斉藤一は沖田総司に普通に話し出す。

「俺は総司に秘密にするように言った。総司は俺の頼みを了承した。総司は約束を守らないといけないが、俺は誰に話をしても構わないだろ。」

少女は沖田総司に寂しそうに話し出す。

「私には秘密の出来事だったのですか?」

沖田総司は少女に慌てた様子で話し出す。

「斉藤さんとの約束だから黙っていたんだ! 寂しい思いをさせてごめんね!」

少女は沖田総司に笑顔で話し出す。

「寂しそうにしたのは嘘です! お二人だけの秘密はあると思います! 気にしないてください!」

沖田総司は少女を安心した表情で見た。

少女が沖田総司に笑顔で話し出す。

「総司さん! 紫陽花がたくさん咲く場所で、お話しをたくさんしたいです!」

沖田総司は少女に微笑んで頷いた。

少女は嬉しそうに走り出した。

沖田総司は少女に慌てた様子で話出す。

「鈴ちゃん! 待って!」


沖田総司は驚いた様子で目を開けた。

床の上に体を起すと、周りを慌てた様子で見た。

ここは、沖田総司の部屋。

沖田総司は床の上に体を起しながら、寂しそうに軽く息をはいた。

軽く息をはき終わると、苦笑した表情で呟いた。

「夢、だったんだ。」

部屋の外から雨の降る音が聞こえてきた。

沖田総司は床起き上がると、寂しそうに障子を開けた。

外も部屋の中と同じような暗闇に覆われている。

辺りには雨の降る音だけが聞こえている。

沖田総司は外を見ながら、悲しそうに呟いた。

「夢の中の鈴ちゃんは楽しそうだな。私が病気にならなければ、鈴ちゃんはいつも笑顔で過ごしていたはずだよね。鈴ちゃんには迷惑ばかり掛けているな。現実なら良かったのに。」

障子を静かに閉めると、悲しそうに呟いた。

「季節の関係で雨の降る日が多いから、暗い気持ちになって悲しい夢ばかり見るのかな?」

床に横になると、悲しそうな表情で、ゆっくりと目を閉じた。


ここは、京の町。

今日は朝から曇り空が続いている。

ここは、紫陽花が咲く場所。

沖田総司と少女は、一緒に居る。

沖田総司は包みを持ちながら、少女と紫陽花を微笑んで見ている。

少女は紫陽花を微笑んで見ている。

沖田総司は包みを持ちながら、少女に微笑んで話し出す。

「鈴ちゃん。包みの中身を教えてもらっても良いかな?」

少女は沖田総司に微笑んで話し出す。

「お団子です。」

沖田総司は包みを持ちながら、少女に嬉しそうに話し出す。

「楽しみだな!」

少女は沖田総司に微笑んで話し出す。

「総司さん。期待しないでください。」

沖田総司は包みを持ちながら、少女に笑顔で話し出す。

「鈴ちゃんの用意してくれる菓子は、全て美味しいから、期待して大丈夫だよ! 今日は雨が降っていないし地面も濡れていないから、木の下で食べよう!」

少女は沖田総司に微笑んで頷いた。

沖田総司は包みを持ちながら、少女を笑顔で見た。

それから少し後の事。

ここは、木の下。

沖田総司と少女は、座っている。

沖田総司はお団子を美味しそうに食べている。

少女はお団子を微笑んで食べている。

沖田総司はお団子を食べ終わると、元気良く立ち上がった。

少女は立ち上がると、沖田総司に包みを差し出して、微笑んで話し出す。

「総司さん。お団子が残っています。」

沖田総司は少女に微笑んで話し出す。

「私はたくさん食べたから、鈴ちゃんが食べて。」

少女は沖田総司に包みを差し出しながら、微笑んで話し出す。

「私はお腹がいっぱいです。」

沖田総司は包みからお団子を取ると、笑顔で勢い良く食べ始めた。

少女は包み片付けると、沖田総司を微笑んで見た

沖田総司はお団子を食べている最中に苦しそうな表情になった。

少女は沖田総司に心配そうに話し出す。

「総司さん。大丈夫ですか?」

沖田総司は片手で少女を遠ざけると、片手で胸を軽く叩いた。

少女は沖田総司を心配そうに見た。

沖田総司は片手で胸を軽く叩いている。

少女沖田総司の背中を心配そうにさすろうとした。

沖田総司は少女を慌てた様子で制した。

少女の体に沖田総司の手が勢い良く当たった。

沖田総司は少女を驚いた表情で見た。

少女は後ろに在る木の幹に向かって倒れた。

沖田総司は少女を驚いた表情で見た。

少女は木の幹に体をぶつけると、地面へと崩れ落ちた。

沖田総司は少女の様子を確認しながら、慌てた様子で話し出す。

「鈴ちゃん! ごめんね! 大丈夫?!」

少女は沖田総司に小さい声で話し出す。

「すいません。躓いてしまいました。」

沖田総司が少女の様子を確認しながら、心配そうに話し出す。

「鈴ちゃん。痛いところはない? 力が入り過ぎてしまった。ごめんね。」

少女は両手を後ろの回すと、沖田総司に微笑んで話し出す。

「私は大丈夫です。」

沖田総司は少女の様子を確認しながら、心配そうに話し出す。

「鈴ちゃん。手を見せてくれるかな?」

少女は両手を後ろに回しながら、沖田総司に微笑んで話し出す。

「私は大丈夫です。総司さんは心配し過ぎです。」

沖田総司は少女に心配そうに話し出す。

「怪我をしていないなら、手を見せられるよね。」

少女は後ろに手を回しながら、沖田総司を僅かに困惑した様子で見た。

沖田総司は少女に思い切った様子で話し出す。

「鈴ちゃん! ごめん!」

少女は両手を後ろに回しながら、沖田総司を僅かに驚いた様子で見た。

沖田総司は少女の片手を掴んだ。

少女は片手だけ後ろに回しながら、一瞬だけ痛そうな表情をした。

沖田総司は少女の片手を掴んで様子を確認しながら、心配そうに話し出す。

「鈴ちゃん。やはり怪我をしていたんだね。痛いよね。本当にごめんね。」

少女は片手だけ後ろに回しながら、沖田総司に微笑んで話し出す。

「たいした怪我ではありません。私は大丈夫です。総司さん。心配しないでください。」

沖田総司は少女の手を掴みながら、少女を見ると、心配そうに話し出す。

「鈴ちゃん。後ろに回している片手も見せてくれるかな。」

少女は沖田総司に不安そうに片手を見せた。

沖田総司は少女の両手を手に取ると、心配そうに様子を見た。

少女は沖田総司を心配そうに見た。

沖田総司は少女の手を掴んで様子を確認しながら、申し訳なさそうに話し出す。

「手をすりむいている。私は鈴ちゃんに怪我をさせてしまった。本当にごめんね。」

少女は沖田総司に微笑んで話し出す。

「木がざらざらしていたので、少しすっただけです。気を付けて見ても分からないはずです。心配しないでください。」

沖田総司は少女の手を掴みながら、少女を見ると、心配そうに話し出す。

「鈴ちゃんは女の子だから、傷跡が残ったら申し訳ない。医者に診てもらおう。」

少女は沖田総司に小さく頷いた。

それから少し後の事。

ここは、診療所。

沖田総司と少女は、到着した。

医者は沖田総司と少女を普通の表情で見た。

沖田総司は医者に困惑した様子で話し出す。

「私が美鈴さんを制した時に、私の手が美鈴さんの体に思い切り当たってしまいました。それで・・・」

少女は沖田総司の話しの途中で、医者に僅かに慌てた様子で話し出す。

「先生。私が躓いて木の幹にぶつかったために、少しだけ怪我をしました。沖田様は私が目の前で怪我をしたので、責任を感じています。沖田様は悪くありません。」

医者は沖田総司と少女に普通に話し出す。

「怪我の診察を始める。沖田君。診療所内に居ると落ち着かないだろ。外で待っていなさい。」
沖田総司は医者に申し訳なさそうに話し出す。

「分かりました。」

医者は沖田総司に普通の表情で頷いた。

沖田総司は少女心配そうに見た。

少女は沖田総司を微笑んで見た。

沖田総司は医者と少女の元から困惑した様子で居なくなった。

それから少し後の事。

ここは、診療所から僅かに離れた場所。

沖田総司は診療所を不安そうに見ている。

少女は沖田総司の傍に微笑んで来た。

沖田総司は少女に心配そうに話し出す。

「鈴ちゃん。怪我は大丈夫? 傷跡は残らずに治るの?」

少女は沖田総司に微笑んで話し出す。

「大きな怪我ではないので、傷跡は残らずに治るそうです。総司さん。安心してください。」

沖田総司は少女を僅かに安心した様子で見た。

少女は沖田総司を微笑んで見た。


ここは、京の町。

曇り空となっている。

ここは、少女の家。

沖田総司は少女の怪我の確認も兼ねて逢いにきた。

ここは、少女の部屋。

沖田総司と少女は、一緒に居る。

沖田総司は少女に心配そうに話し出す。

「鈴ちゃん。昨日の怪我は辛くない?」

少女は沖田総司に不思議そうに話し出す。

「私は怪我をしていません。」

沖田総司は少女に心配そうに話し出す。

「鈴ちゃん。無理や隠し事はしていないよね。」

少女は沖田総司に微笑んで話し出す。

「私は無理も隠し事もしていません。」

沖田総司は少女に安心した様子で話し出す。

「もしかしたら、夢を見たのかも知れない。鈴ちゃんが怪我をしていなくて良かった。」

少女は沖田総司に微笑んで話し出す。

「総司さんに心配して頂けて嬉しいです。」

沖田総司は少女を微笑んで見た。

少女は沖田総司に笑顔で話し出す。

「総司さん! 一緒にお出掛けしたいです!」

沖田総司は少女に微笑んで頷いた。

少女は部屋から笑顔で出て行った。

沖田総司は少女に慌てた様子で話し出す。

「鈴ちゃん! 待って!」


沖田総司は驚いた様子で目を開けた。

床の上に体を起すと、周りを慌てた様子で見た。

ここは、沖田総司の部屋。

沖田総司は床の上に体を起しながら、寂しそうに軽く息をはいた。

軽く息をはき終わると、悲しそうな表情で呟いた。

「夢、だったんだ。」

部屋の外から雨の降る音が聞こえてきた。

沖田総司は床起き上がると、寂しそうに障子を開けた。

外も部屋の中と同じような暗闇に覆われている。

辺りには、雨の降る音だけが聞こえている。

沖田総司は外を見ながら、悲しそうに呟いた。

「鈴ちゃんに怪我をさせてしまった事実は変わらない。鈴ちゃんが怪我をしていなければ良いという思いが、鈴ちゃんが怪我をしていない夢を見さたんだ。私の叶わない望みや叶えられない望みが、現実になって欲しい夢を見させているんだ。」

沖田総司の元に、感じ慣れた視線が届いた。

沖田総司は視線が届いた方向を不思議そう見た。

斉藤一は沖田総司の前に普通の表情で来た。

沖田総司は斉藤一を見ながら、不思議そうに呟いた。

「叶わない望みを抱いているから、斉藤さんの姿が見えるのかな? もしかして、今も夢を見ているのかな?」

斉藤一は沖田総司に普通の表情で静かに話し出す。

「夢ではないぞ。」

沖田総司は斉藤一を寂しそうに見た。

斉藤一は沖田総司に普通の表情で静かに話し出す。

「偶然に起きたから部屋の外に出た。辺りは暗かったが、総司が暗い雰囲気で雨を見ている様子が分かった。総司の周りは更に暗いから、せっかくなので様子を見ていた。」

沖田総司は斉藤一を苦笑した表情で見た。

斉藤一は沖田総司に普通の表情で静かに話し出す。

「なぜか今夜は眠くならない。不思議だな。」

沖田総司は斉藤一に微笑んで話し出す。

「斉藤さん。私の話しを聞いてくれますか?」

斉藤一は沖田総司に普通の表情で頷いた。

沖田総司は斉藤一を微笑んで見た。

斉藤一は部屋の中に静かに入った。

沖田総司は静かに障子を閉めた。

部屋の中は明かりを付けていないので暗さに包まれている。

沖田総司と斉藤一は、一緒に居る。

沖田総司が斉藤一に悲しそうに話し出す。

「ここ何日かに掛けての出来事ですが、私の病気が治る、私は病気になっていない、という夢ばかり見ています。」

斉藤一は沖田総司を普通の表情で見た。

沖田総司は斉藤一に悲しそうに話し出す。

「夢の中の鈴ちゃんは、嬉しそうにしています。笑顔で私に話し掛けています。現実の鈴ちゃんは、楽しくてもはしゃぎません。」

斉藤一は沖田総司に普通の表情で静かに話し出す。

「総司。美鈴さんの怪我は本当に大丈夫なのか?」

沖田総司は斉藤一に悲しそうに話し出す。

「医者の診立ては、鈴ちゃんの怪我は酷くないので、傷跡は残らずに治るそうです。私が見た限りでも、鈴ちゃんの怪我は酷くありませんでした。怪我と傷が残る件に関しては心配しなくて大丈夫だと思います。」

斉藤一は沖田総司を普通の表情で見た。

沖田総司は斉藤一に悲しそうに話し出す。

「鈴ちゃんは怪我をしたのに、鈴ちゃん本人が悪いと言って私に謝りました。私は医者に自分のせいで鈴ちゃんが怪我をしたと説明しようとしました。鈴ちゃんは私の話しを遮って、自分が躓いたせいだと言って私をかばいました。私は鈴ちゃんに迷惑ばかり掛けています。」

斉藤一は沖田総司を普通の表情で見た。

沖田総司は斉藤一に悲しそうに話し出す。

「鈴ちゃんが怪我をしたのも、鈴ちゃんがはしゃがないのも、全て私の責任です。今の状況が夢ではなく現実だというのが辛くて悲しいです。」

斉藤一が沖田総司に普通に話し出す。

「総司が自分を責め続けると、美鈴さんは怪我をした自分が悪いと思って、美鈴さんは更に自分を責めてしまうぞ。総司が美鈴さんに悪いと思うのなら、総司は明るく過ごせ。」

沖田総司は斉藤一に小さい声で話し出す。

「はい。」

斉藤一は沖田総司に普通に話し出す。

「夢の中だけでも幸せになれるのなら良いと思え。美鈴さんは怪我をしてしまったが、美鈴さん本人が自分の行動のために怪我をしたと言ったから、二人で逢って話しが出来るんだ。総司のせいで美鈴さんが怪我をしたとみんなに知られたら、二人で逢うのも話すのも出来なくなるかも知れないぞ。現実の美鈴さんの機転が利いたからこそ、総司と美鈴さんは一緒に居られる。夢の中だけでなく、現実でも幸せになっていると思わないか?」

沖田総司は斉藤一に寂しそうに話し出す。

「私が病気でなければ、鈴ちゃんは怪我をしなかったはずです。夢の中では、私は病気ではないし、鈴ちゃんは怪我をしていません。今は夢も現実も幸せだと言い切る自信はありません。」

斉藤一は沖田総司に普通に話し出す。

「いろいろと遭ったが、良い夢が見られるのだろ。現実も良い状況だと思え。」

沖田総司は斉藤一に微笑んで話し出す。

「いつもいろいろとありがとうございます。」

斉藤一は沖田総司に普通に話し出す。

「部屋に戻る。」

沖田総司は斉藤一を微笑んで見た。

斉藤一は静かに部屋を出て行った。

沖田総司は一人になると、微笑んで呟いた。

「斉藤さん。いつも私の我がままや悩みに付き合ってくれてありがとうございます。斉藤さんも鈴ちゃんも私にとっては大切な人です。」

雨の音が僅かに弱まった。

沖田総司は床に横になると、微笑みながら眠りに就いた。


それから数日後の事。

ここは、京の町。

紫陽花が咲く場所。

沖田総司と少女は、到着した。

沖田総司は少女の手を笑顔で握った。

少女は沖田総司を微笑んで見た。

沖田総司は慌てた様子で手を離すと、心配そうに話し出す。

「鈴ちゃん。怪我が痛かったり辛くなったりしたら、無理や我慢をせずに直ぐに言ってね。」

少女は沖田総司に微笑んで話し出す。

「怪我はほとんど治っています。もし、辛さや痛さを感じたら直ぐに言います。総司さん。心配しないでください。」

沖田総司は少女を微笑んで見た。

少女も沖田総司を微笑んで見た。

沖田総司は少女の手を微笑んで握った。

少女は沖田総司を微笑んで見た。

沖田総司と少女は、手を繋ぎながら、ゆっくりと歩き出した。




*      *      *      *      *      *




ここからは後書きになります。

この物語は既に掲載している物語の改訂版です。

改訂前の展開や雰囲気を出来るだけ残しながら改訂しました。
改訂前の物語を掲載するのは止めました。

以上の点、ご了承願います。

ここからき改訂前の後書きを加筆訂正しながら書いていきます。

「新撰組異聞 短編 雨月の闇」では「夢であって欲しい出来事」を書きました。

今回の物語は「夢ではなく現実であって欲しい出来事」を書きました。

沖田総司さんにとって夢であって欲しい事は何かと考えて物語を書きました。

今回の物語には、暗闇の中で相手の表情がはっきりと分からない状況で会話する場面が登場します。

雨が降っていると、落ち込んだり、暗くなったり、楽しくなったり、嬉しくなったり、いろいろな事を考えたり、などのいろいろな気持ちや行動になると思います。

「五月闇(さつきやみ)」は、「五月雨(さみだれ)の降る頃の暗さをいう言葉。昼間についても言う言葉。」だそうです。

夏の季語だそうです。

「五月雨(さみだれ)」は、「陰暦の五月頃に降り続く雨」です。

楽しんで頂けると嬉しいです。





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