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新撰組異聞 〜 はまなす咲いて 〜
〜 第三版 〜
春が終わり、夏となっている。
ここは、京の町。
本格的な夏の暑さを感じるのは、少し後になる。
ここは、たくさんの咲き始めの紫陽花が咲く場所。
沖田総司は微笑んで居る。
少女も微笑んでいる。
沖田総司は少女に微笑んで話し出す。
「今は咲き始めの紫陽花の種類がたくさん見られるね。咲く間に少しずつ色付く紫陽花。最初から色が変化しない紫陽花。紫陽花の種類によって違いが分かる。楽しいね。」
少女は沖田総司に微笑んで話し出す。
「はい。」
沖田総司は少女に微笑んで話し出す。
「鈴ちゃん。突然だけど、今の時期に咲く花で、鈴ちゃんが見たい花はある? 鈴ちゃんが見たい花を探すよ。」
少女は沖田総司に不思議な様子で話し出す。
「総司さん。何かありましたか?」
沖田総司は少女に微笑んで話し出す。
「最近は、鈴ちゃんにたくさん迷惑を掛けているだろ。詫びの意味も込めて、鈴ちゃんが見たい花を探したいんだ。」
少女は沖田総司に申し訳なく話し出す。
「迷惑を掛けているのは私です。総司さん。申し訳有りません。」
沖田総司が少女に微笑んで話し出す。
「私は鈴ちゃんが見たい花を見たいんだ。詫びと表現したのは、私の気持ちの問題なんだ。鈴ちゃん。謝らないで。遠慮せずに教えて。」
少女は沖田総司に微笑んで話し出す。
「“浜茄子”が見たいです。」
沖田総司は少女に不思議な様子で話し出す。
「“はまなす”? 珍しい茄子の花かな? “はまなす”は美味しいのかな?」
少女は沖田総司に微笑んで話し出す。
「浜茄子の実などは食べられるそうです。」
沖田総司は少女を微笑んで見た。
少女は沖田総司に微笑んで話し出す。
「総司さん。“浜梨”。ご存知ですか?」
沖田総司は少女に不思議な様子で話し出す。
「“はまなし”? 珍しい梨の花かな? “はまなし”は美味しいのかな?」
少女は沖田総司に微笑んで話し出す。
「総司さん。」
沖田総司は少女に笑顔で話し出す。
「鈴ちゃんは、珍しい茄子の花か珍しい梨の花を見たいんだね! 私も見たいな!」
少女は沖田総司に微笑んで話し出す。
「総司さん。」
沖田総司は少女に笑顔で話し出す。
「鈴ちゃん! “はまなす”と“はまなし”を探すね! 楽しみに待っていてね!」
少女は沖田総司を困惑して見た。
沖田総司は少女に笑顔で話し出す。
「鈴ちゃん! 心配しないで! 楽しみに待っていてね!」
少女は沖田総司を困惑して見ている。
沖田総司は咲き始めの紫陽花を笑顔で見た。
暫く後の事。
ここは、屯所。
一室。
斉藤一は普通に居る。
沖田総司は部屋を笑顔で訪ねた。
斉藤一は沖田総司を普通の表情で見た。
沖田総司は斉藤一に笑顔で話し出す。
「斉藤さん! 相談があります!」
斉藤一は沖田総司に普通の表情で頷いた。
沖田総司は斉藤一に微笑んで話し出す。
「斉藤さん。“はまなす”と“はまなし”を、知っていますか?」
斉藤一は沖田総司に普通の表情で頷いた。
沖田総司は斉藤一に微笑んで話し出す。
「私は鈴ちゃんに今の時期に見たい花を知りたいと話しました。鈴ちゃんは“はまなす”か“はまなし”を見たいと話しました。鈴ちゃんが見たいと希望する花です。珍しい茄子と珍しい梨だと思います。私が一人で探すより、斉藤さんと一緒に探せば、早く見付かります。斉藤さん。一緒に探してください。お願いします。」
斉藤一は沖田総司を普通の表情で見た。
沖田総司は斉藤一に不安な様子で話し出す。
「一緒に探してくれないのですか?」
斉藤一は沖田総司に普通に話し出す。
「総司が一人で探したら、絶対に見付からない。俺も一緒に探す。」
沖田総司が斉藤一に拗ねて話し出す。
「斉藤さん! 今の話の内容は酷いです! 斉藤さんの助けは借りません! 私が一人で探して見付けます!」
斉藤一は沖田総司に普通に話し出す。
「総司が一人で探すと決めたならば、俺は止めない。俺を頼ってくれた礼として、良い内容を教える。浜茄子は、茄子ではない。浜梨は、梨ではない。」
沖田総司が斉藤一に驚いて話し出す。
「斉藤さん! 今の話の内容を詳しく教えてください!」
斉藤一は沖田総司に普通に話し出す。
「総司は俺に頼らずに一人で探すのに、俺から詳細な説明を聞くのか?」
沖田総司は斉藤一に驚いて話し出す。
「鈴ちゃんに、“はまなす”と“はまなし”は美味しいか確認しました! 鈴ちゃんは“はまなす”も“はまなし”も食べられると話しました!」
斉藤一は沖田総司に普通に話し出す。
「浜茄子も浜梨も、実などが食べられる。当然の内容の返事だ。」
沖田総司は斉藤一に考えながら話し出す。
「鈴ちゃんに、“はまなす”が茄子で、“はまなし”が梨かと、確認しました。鈴ちゃんは返事をしませんでした。」
斉藤一は沖田総司に普通に話し出す。
「総司。美鈴さんが説明をする前に、話し始めただろ。」
沖田総司は斉藤一を考え込んで見た。
斉藤一は沖田総司に普通に話し出す。
「総司。たくさんの内容を教えた。一人で探せるな。」
沖田総司は斉藤一を寂しく見た。
斉藤一は沖田総司を普通の表情で見た。
沖田総司は斉藤一に寂しく話し出す。
「私は鈴ちゃんにたくさん迷惑を掛けています。鈴ちゃんへの詫びも兼ねて、鈴ちゃんが喜ぶ出来事を用意したいと思いました。私は気の利いた物が用意できません。鈴ちゃんは花を見る時は笑顔になります。私は鈴ちゃんに見たい花を確認しました。鈴ちゃんは“はまなす”と“はまなし”が見たいと話しました。」
斉藤一は沖田総司を普通の表情で見ている。
沖田総司は斉藤一を寂しく見た。
斉藤一は沖田総司を普通の表情で見ている。
沖田総司は斉藤一に寂しく話し出す。
「斉藤さんにたくさん確認したら、斉藤さんの助けを借りる状況になりますよね。斉藤さんの助けをたくさん借りたら、鈴ちゃんは喜びませんよね。」
斉藤一は沖田総司を普通の表情で見ている。
沖田総司は斉藤一を寂しく見た。
斉藤一は沖田総司に普通に話し出す。
「総司は、俺の見に探す行為を俺のみに任せて、総司本人は探さないと話していないだろ。俺も手伝う。」
沖田総司は斉藤一を驚いて見た。
斉藤一は沖田総司に普通に話し出す。
「浜茄子が植わる状態で見られる場所を見付けよう。」
沖田総司が斉藤一に笑顔で話し出す。
「斉藤さん! ありがとうございます! 斉藤さんは親友です! 斉藤さんが大好きです!」
斉藤一は沖田総司に普通に話し出す。
「幾度も話しているが、俺と総司は友達ではない。男の総司に好きと言われても嬉しくない。総司。好き、の言葉を、俺に対して簡単に話す理由は何だ?」
沖田総司は斉藤一に笑顔で話し出す。
「斉藤さんが親友だからです!」
斉藤一は沖田総司に普通に話し出す。
「総司は親友ならば、好き、の言葉を幾度も話せるのか。総司は美鈴さんも親友だと話す。総司。美鈴さんに、好き、の言葉を幾度も話せるな。」
沖田総司は斉藤一を赤面して見た。
斉藤一は沖田総司に普通に話し出す。
「美鈴さんは総司の親友なのだろ。総司は美鈴さんに、好き、の言葉を幾度も話せるだろ。俺は、総司が美鈴さんに、好き、と話す様子を見たい。」
沖田総司は斉藤一に赤面して小さい声で話し出す。
「話せません。鈴ちゃんは物凄く大切な親友だから、話せません。鈴ちゃんとたくさんの時間を過ごしたいから、話せません。」
斉藤一は沖田総司を普通の表情で見た。
沖田総司は部屋を赤面して慌てて出て行った。
斉藤一は普通の表情で呟いた。
「剣術関連には素早さを即時に発揮するのに、一部の出来事には鈍さを即時に発揮する。一部の出来事にも素早さを即時に発揮できれば、美鈴さんは喜ぶ。総司は物凄く不思議だ。」
数日後の事。
ここは、京の町。
朝から曇り空の広がる時間の多い空模様となっている。
夏の日を重ねるのと比例して、僅かに色付き始めた紫陽花が少しずつ増えていく。
ここは、僅かに色付き始めた紫陽花が咲く場所。
沖田総司は微笑んで居る。
少女も微笑んで居る。
沖田総司は少女に微笑んで話し出す。
「今日の天気のように、曇り空の時間が多い日は、紫陽花が綺麗に見えるね。」
少女は沖田総司に微笑んで話し出す。
「はい。」
沖田総司は少女を微笑んで見た。
少女は紫陽花を微笑んで見た。
沖田総司は少女に恥ずかしく話し出す。
「鈴ちゃん。先日の出来事だけど、今までに見た記憶の無い花を見たんだ。鈴ちゃんならば、分かると思うんだ。上手に説明が出来ないから、一緒に来てくれるかな?」
少女は沖田総司を見ると、沖田総司に微笑んで話し出す。
「はい。」
沖田総司は少女を微笑んで見た。
少し後の事。
ここは、一軒の屋敷。
庭。
庭は丁寧に手入れがされている。
沖田総司は微笑んで来た。
少女も微笑んで来た。
沖田総司は前を指すと、少女に微笑んで話し出す。
「鈴ちゃん。私が話した花だよ。」
少女は前を微笑んで見た。
沖田総司は前を指すのを止めると、少女を微笑んで見た。
浜茄子が咲いている。
浜茄子の見頃は、普通ならば終わり掛けている。
屋敷の庭に咲く浜茄子は、遅めに咲いたらしく見頃となっている。
少女は浜茄子を微笑んで見た。
沖田総司は少女を微笑んで見た。
少女は沖田総司を見ると、沖田総司に微笑んで話し出す。
「浜茄子が咲いています。総司さん。ありがとうございます。」
沖田総司は少女に微笑んで頷いた。
少女は浜茄子を微笑んで見た。
沖田総司は少女に恥ずかしく話し出す。
「浜茄子を知らなかったから、鈴ちゃんに変な内容を話してしまった。ごめんね。」
少女は沖田総司を見ると、沖田総司に微笑んで話し出す。
「浜茄子はたくさんの場所で見られないそうです。総司さんが浜茄子を知らない状況は、不思議ではありません。」
沖田総司は少女を恥ずかしく見た。
少女は沖田総司に微笑んで話し出す。
「浜茄子は京の町にも咲いていたのですね。知りませんでした。浜茄子の花が近くで見られました。とても嬉しいです。総司さん。ありがとうございます。」
沖田総司は少女に恥ずかしく話し出す。
「斉藤さんにも手伝ってもらって探したんだ。正確に話すと、斉藤さんが一人で探して見付けた状況に近いんだ。」
少女は沖田総司に微笑んで話し出す。
「斉藤さんに逢った時に、お礼を言います。」
沖田総司は少女に微笑んで頷いた。
少女は浜茄子を微笑んで見た。
沖田総司は少女と浜茄子を微笑んで見た。
少女は沖田総司と浜茄子を微笑んで見た。
沖田総司は少女を恥ずかしく見た。
少女は沖田総司を不思議な様子で見た。
沖田総司は少女に恥ずかしく話し出す。
「浜茄子の実は食べられるんだよね。浜茄子の実は美味しいのか気になるんだ。」
少女は沖田総司に微笑んで話し出す。
「私も浜茄子の実を食べた時がありません。私も浜茄子の実が美味しいか知りたいです。」
沖田総司は少女に微笑んで話し出す。
「浜茄子の花は綺麗で、浜茄子の実は食べられる。浜茄子は凄いね。」
少女は沖田総司に微笑んで話し出す。
「はい。」
沖田総司は少女に微笑んで話し出す。
「鈴ちゃんが喜んでくれた。本当に良かった。」
少女は沖田総司を微笑んで見た。
沖田総司は少女を微笑んで見た。
少女は浜茄子を微笑んで見た。
沖田総司は少女と浜茄子を微笑んで見た。
暫く後の事。
ここは、屯所。
斉藤一の部屋。
斉藤一は普通に居る。
沖田総司は部屋を笑顔で訪ねた。
斉藤一は沖田総司を普通の表情で見た。
沖田総司は斉藤一に笑顔で話し出す。
「斉藤さん! 鈴ちゃんがとても喜んでいました! ありがとうございました!」
斉藤一は沖田総司に普通の表情で頷いた。
沖田総司は斉藤一に笑顔で話し出す。
「斉藤さんはとても頼りになります! 斉藤さんは物凄く大切な親友です! 本当にありがとうございます!」
斉藤一は沖田総司を普通の表情で見た。
沖田総司は斉藤一に笑顔で礼をした。
斉藤一は沖田総司に普通の表情で頷いた。
沖田総司は部屋から笑顔で出て行った。
斉藤一は障子を開けると、部屋の外を普通の表情で見た。
沖田総司が楽しく歩く様子が見える。
斉藤一は障子を普通に閉めた。
沖田総司と斉藤一は、京の町では珍しい花を探した。
沖田総司と斉藤一が探した花は、“浜茄子”になる。
浜茄子の花を見られる日は暫く続く様子。
京の町に咲く紫陽花は見頃になろうとしている。
京の町で色とりどりの花が見られる日が暫く続く。
* * * * * *
ここからは後書きになります。
この物語は既に掲載している物語の再改訂版です。
改訂前の物語の雰囲気や展開を出来るだけ残して改訂しました。
改訂前の物語を掲載するのは止めました。
以上、ご了承願います。
ここからは改訂前の後書きを加筆訂正して書きます。
バラが登場する新撰組異聞の物語を書きたいと考えました。
新撰組の時代に見られる可能性の有るバラを探しました。
「浜茄子」が登場する物語を書く事にしました。
沖田総司さんが、鈴ちゃんにいつも迷惑を掛けているお侘びと鈴ちゃんに喜んでもらうために質問をします。
鈴ちゃんの答えが「浜茄子(はまなす)」、「浜梨(はまなし)」、だったために、かみ合わない会話になってしまいました。
「浜茄子(はまなす)」についてです。
バラ科バラ属です。
バラの一種類です。
英語名は「Japanese rose」です。
「浜茄子」の別名は「浜梨(はまなし)」です。
「浜梨」の別名を「浜茄子」と説明する方もいます。
説の一つですが、「浜梨」が変化して「浜茄子」になったといわれています。
実の形が梨の実に似ているところから、「浜梨」と呼ばれるようになったといわれます。
私は「浜茄子」と呼んでいるので、「浜茄子」で物語を書きました。
浜茄子の花には芳香があるので、香料になっているそうです。
浜茄子の実は、ジャムなどにして食べる事があります。
私は残念ながら食べた事はありません。
楽しんで頂けると嬉しいです。
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