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新撰組異聞 〜 夢占 半夏生 〜
〜 改訂版 〜
ここは、京の町。
暑い日が続いている。
沖田総司と少女は、少女の家へと向かって歩いている。
沖田総司は少女に申し訳なさそうに話し出す。
「鈴ちゃん。任務が忙しくなるから、一週間から十日ほど逢えなくなるんだ。」
少女は沖田総司を寂しそうに見た。
沖田総司は少女に申し訳なさそうに話し出す。
「鈴ちゃん。ごめんね。」
少女は沖田総司を寂しそうに見ている。
沖田総司は少女に微笑んで話し出す。
「鈴ちゃん。一週間から十日は直ぐに過ぎるよ。元気を出して。」
少女は沖田総司に微笑んで話し出す。
「もしお仕事に余裕が出来たら逢えますか?」
沖田総司は少女に微笑んで話し出す。
「分かった。必ず逢いに行くよ。」
少女は沖田総司に微笑んで話し出す。
「総司さん。お仕事もお体も気を付けてくださいね。無理はしないでくださいね。」
沖田総司は少女に微笑んで話し出す。
「分かった。鈴ちゃんも体に気を付けてね。」
少女は沖田総司に微笑んで頷いた。
沖田総司は少女を微笑んで見た。
それから少し後の事。
ここは、京の町。
少女の家の前。
沖田総司と少女は、家の前まで一緒に着た。
沖田総司は少女に微笑んで話し出す。
「鈴ちゃん。またね。」
少女は沖田総司に微笑んで頷いた。
沖田総司は少女を微笑んで見た。
少女は家の中へと微笑んで入って行った。
沖田総司は少女が家へ帰ったのを確認すると、屯所へと向かって微笑んで歩き出した。
それから数日後の事。
ここは、京の町。
屯所。
斉藤一の部屋。
沖田総司は斉藤一の部屋を訪れている。
斉藤一は沖田総司に普通に話し出す。
「総司。今夜は少し時間が空くんだ。一緒に飲まないか?」
沖田総司は斉藤一に微笑んで頷いた。
斉藤一は沖田総司に普通に話し出す。
「総司。数日間ほど任務が忙しくて、美鈴さんと会っていないだろ。」
沖田総司は斉藤一に寂しそうに話し出す。
「鈴ちゃんが寂しがっていました。鈴ちゃんに逢いたいのですが、思うように時間が空きません。」
斉藤一は沖田総司に普通に話し出す。
「今日は少し時間に余裕があるだろ。俺と飲む前に美鈴さんに会ったらどうだ?」
沖田総司は斉藤一に寂しそうに話し出す。
「鈴ちゃんに逢えるといっても、少しの時間だけです。」
斉藤一は沖田総司に普通に話し出す。
「総司の元気な姿を見るだけでも、美鈴さんは喜ぶと思う。」
沖田総司は斉藤一に微笑んで話し出す。
「今日は止めておきます。予定より早く任務が終わります。任務が終わってから、鈴ちゃんとゆっくりと逢います。」
斉藤一は沖田総司を普通の表情で見た。
沖田総司は斉藤一に微笑んで話し出す。
「土方さんの部屋に行ってきます。戻ってきたら、一緒に飲みましょう。」
斉藤一は沖田総司に普通の表情で頷いた。
沖田総司は部屋から微笑んで出ていった。
それから数日後の事。
ここは、少女の家。
沖田総司は少女の家から驚いた表情で出てくると、ゆっくりと歩き出した。
それから少し後の事。
ここは、沖田総司と少女が何度か訪れた事のある寺。
寺の中。
沖田総司は弥勒菩薩を不安そうに見ている。
斉藤一が寺の中に普通に入ってきた。
沖田総司は斉藤一を不安そうに見た。
斉藤一は沖田総司を普通の表情で見た。
沖田総司は斉藤一に不安そうに話し出す。
「なぜ斉藤さんが寺に来るのですか?」
斉藤一は沖田総司に普通に話し出す。
「昨日の総司は、笑顔で出掛けたのに、戻ってきた時は無理に笑っていた。今日の総司は無理に笑って出掛けた。総司の様子を確認するように言われた。いろいろと兼ねて、屯所以外で総司と話しをするめたに来た。」
沖田総司は斉藤一に悲しそうに話し出す。
「斉藤さんの言う通り、あの日に鈴ちゃんと逢えば良かった。」
斉藤一は沖田総司を普通の表情で見た。
沖田総司は斉藤一に悲しそうに話し出す。
「鈴ちゃんは麻疹だそうです。ここ数日は意識がないそうです。」
斉藤一は沖田総司を普通の表情で見ている。
沖田総司は斉藤一に悲しそうに話し出す。
「斉藤さんが鈴ちゃんに逢うように勧めた日は、鈴ちゃんの意識はあって話しが出来たそうです。」
斉藤一は沖田総司を普通の表情で見ている。
沖田総司は斉藤一に悲しそうに話し出す。
「うわ言で私の名前を何度も言ったそうです。医者からは覚悟をするように言われたそうです。」
斉藤一は沖田総司を普通の表情で見ている。
沖田総司は斉藤一に悲しそうに話し出す。
「鈴ちゃんがこの時期に麻疹になったのは、私の麻疹がうつったとしか考えられません。」
斉藤一は沖田総司に普通に話し出す。
「総司が麻疹になったのは、京の町に来る前だろ。今は治っているから関係ないだろ。」
沖田総司は斉藤一に悲しそうに話し出す。
「鈴ちゃんは私の任務に余裕が出来たら逢えるかと尋ねました。私は了承する返事をしました。私は時間に余裕が出来たのに、斉藤さんが鈴ちゃんに逢うように勧めたのに、鈴ちゃんに逢おうとしませんでした。私が鈴ちゃんとの約束を破ったから、鈴ちゃんが麻疹になってしまいました。」
斉藤一は沖田総司に普通に話し出す。
「総司が美鈴さんと会っても会わなくても、結果は同じはずだ。」
沖田総司は斉藤一に強い調子で話し出す。
「本当にそうなのですか?!」
斉藤一は沖田総司を普通の表情で見た。
沖田総司は斉藤一に強い調子で話し出す。
「私は鈴ちゃんに逢いに行きます!」
斉藤一は沖田総司に普通に話し出す。
「総司。落ち着け。今の総司が美鈴さんを見舞ったら、二人共に危険だ。」
沖田総司は斉藤一に強い調子で話し出す。
「私は麻疹になって治っています! 鈴ちゃんに逢っても平気です!」
斉藤一は沖田総司に普通に話し出す。
「総司の体調が美鈴さんに影響がでる可能性があるだろ。」
沖田総司は斉藤一に強い調子で話し出す。
「鈴ちゃんはうわ言で私の名前を言っています! もしもの事が遭ったら、鈴ちゃんが可哀想です! 私は時間に余裕があれば鈴ちゃんと逢うと約束をしたのに守りませんでした! 鈴ちゃんに逢う以外に元気付けられる方法があるなら教えてください!」
斉藤一は沖田総司に普通に話し出す。
「総司。落ち着け。冷静になれ。総司は美鈴さんが亡くなる前提で話しているぞ。総司が美鈴さんを見舞って助かったとしても、総司の体調の関係から美鈴さんにもしもの事が起こるかも知れない。その時は、どうするつもりなんだ?」
沖田総司は斉藤一の腕を強く掴むと、大きな声で話し出す。
「私は鈴ちゃんを助けるために何をすれば良いのですか?!! 斉藤さん!! 早く教えてください!!」
斉藤一は沖田総司を普通の表情で見た。
沖田総司は斉藤一の腕を強く掴んだまま、大きな声で話し出す。
「斉藤さん!! 黙っていないで早く教えてください!! 斉藤さんにとっても鈴ちゃんは友達ですよね!! 斉藤さんも鈴ちゃんを助けたいですよね!!」
斉藤一は沖田総司を普通の表情で見ている。
沖田総司は斉藤一の腕を掴みながら、激しく咳き込んだ。
斉藤一は沖田総司の様子を普通の表情で確認しようとした。
沖田総司は激しく咳き込みながら、斉藤一の腕を離すと、強く押した。
斉藤一は沖田総司を普通の表情で見た。
沖田総司は激しい咳が止まると、斉藤一に不機嫌そうに話し出す。
「大きな声を出したので咳き込んだだけです! 斉藤さんに心配してもらうほど酷くありません!」
斉藤一は沖田総司に普通に話し出そうとした。
沖田総司は斉藤一が話し出す前に、不機嫌そうに話し出す。
「斉藤さんは良い方法を教えてくれません! 最低です!」
斉藤一は沖田総司を普通の表情で見た。
沖田総司は斉藤一に不機嫌そうに話し出す。
「私はこれから鈴ちゃんに逢いに行きます!」
斉藤一は沖田総司の腕を掴むと、普通に話し出す。
「総司。本当に冷静か? 体調の悪い総司が美鈴さんを見舞って、その後にもしもの事が起きるのと、意識のない美鈴さんを元気付けられるのと、どちらの可能性が高いと考えているんだ? 美鈴さんは亡くならない。これからも生きる人だ。総司は美鈴さんに生きて欲しのだろ。総司の気持ちだけで美鈴さんを見舞おうとするな。その後に起きる可能性も含めて考えてから行動しろ。」
沖田総司は自分の腕を不機嫌そうな表情で大きく動かした。
斉藤一は沖田総司の腕を普通の表情で放した。
沖田総司は不機嫌そうに寺を出て行った。
それから少し後の事。
ここは、少女の家。
少女の部屋。
少女は床の中で意識のない状態で横になっている。
沖田総司は少女を不安そうに見ている。
沖田総司は不安そうな表情のまま、少女の手を優しく握った。
少女は床の中で意識のない状態で横になっている。
沖田総司は少女の手を握りながら、悲しそうに呟いた。
「鈴ちゃんが麻疹になったのは、私のせいだよね。鈴ちゃん。ごめんね。」
少女は床の中で意識のない状態で横になっている。
沖田総司は少女の手を握りながら、悲しそうに話し出す。
「鈴ちゃんは良い子だから、麻疹は治って元気になるよ。鈴ちゃん。諦めたら駄目だよ。私が一緒に・・・」
少女は床の中で意識のない状態で横になっている。
沖田総司は少女の手を握りながら、話しの途中で驚いた表情になった。
少女は床の中で意識のない状態で横になっている。
沖田総司は少女の手を握りながら、悲しそうに話し出す。
「鈴ちゃんは必ず助かるよ。これからも生き続けられる人だよ。」
少女は床の中で意識のない状態で横になっている。
沖田総司は悲しそうな表情で、少女の手をゆっくりと放した。
少女は床の中で意識のない状態で横になっている。
沖田総司は少女の部屋からゆっくりと出て行った。
それから少し後の事。
ここは、少女の家。
沖田総司は少女の家から悲しそうに出てきた。
斉藤一が沖田総司を普通の表情で見ている姿があった。
沖田総司は斉藤一の前に悲しそうに来た。
斉藤一は沖田総司に普通に話し出す。
「総司。今なら落ち着いて話しが出来るな。」
沖田総司は斉藤一を悲しそうに見た。
斉藤一は普通に歩き出した。
沖田総司は斉藤一の後を、悲しそうに歩き出した。
それから少し後の事。
ここは、少し前に沖田総司と斉藤一が居た寺。
寺の中。
弥勒菩薩が沖田総司と斉藤一を見守るように鎮座している。
沖田総司と斉藤一は、一緒に居る。
沖田総司は斉藤一に悲しそうに話し出す。
「私が鈴ちゃんに逢っても意識は戻りませんでした。体調の悪い私が鈴ちゃんに逢ったためにもしもの事が起きたら、私は鈴ちゃんにどのようにして詫びればよいのでしょうか?」
斉藤一は沖田総司を普通の表情で見た。
沖田総司は斉藤一に悲しそうに話し出す。
「斉藤さん。なぜ黙っているのですか? 斉藤さんには関係がないと思っているからですか?」
斉藤一は沖田総司に普通に話し出す。
「関係ないとは思っていない。美鈴さんが総司と同じ状況になると決まった訳ではない。もしもの時になってから悩め。総司が悩んで体調が更に悪くなったら、美鈴さんが自分のせいだと思って悩むぞ。美鈴さんを心配させて悩ませるな。」
沖田総司は斉藤一を悲しそうに見た。
斉藤一は沖田総司を普通の表情で見た。
夜の闇が怪しく感じる時間になった。
土方歳三は床に横になったまま、突然に目を開けた。
床に横になったまま、視線だけを動かした。
ここは、土方歳三の部屋。
危険は感じないが、普段と何かが違う。
土方歳三は床の上にゆっくりと体を起こした。
綺麗な女性が土方歳三の傍に微笑んで現れた。
綺麗な女性の名前は“蓮華”と言う。
土方歳三の元に突然に現れては消えていく妖しい魅力を持つ女性。
蓮華は土方歳三に微笑んで話し出す。
「こんばんは。土方様。」
土方歳三は床の上に体を起こしたまま、蓮華に普通に話し出す。
「蓮華さん。何をしたんだ?」
蓮華は土方歳三に微笑んで話し出す。
「土方様は寝顔も素敵ですね。土方様に更に惚れてしまいました。罪な人。」
土方歳三は床の上に体を起こしたまま、蓮華に普通に話し出す。
「俺の質問に早く答えろ。」
蓮華は土方歳三に抱きつくと、妖しい微笑みで話し出す。
「土方様。何と答えて欲しいですか?」
土方歳三は床の上に体を起こしたまま、蓮華に普通に話し出す。
「夢ではなく、体験した出来事のように感じる。同時に、現実に起きる出来事だとしても、先の出来事のように感じる。」
蓮華は土方歳三に妖しい微笑みで抱きついている。
土方歳三は床の上に体起こしたまま、蓮華を睨んで話し出す。
「俺の思う通りになると言ったが、俺はこのような出来事は望んでいない。」
蓮華は土方歳三に抱きつきながら、妖しい微笑で話し出す。
「これは夢でもあり現実でもあります。」
土方歳三は床の上に体を起こしたまま、蓮華に普通に話し出す。
「“白”という名前の猫が居ないな。」
蓮華は土方歳三に抱きつきながら、妖しい微笑みで話し出す。
「白は土方様と私の傍に居ますよ。」
土方歳三は床の上に体を起こしたまま、部屋の中を普通の表情で見回した。
白色の猫が土方歳三と蓮華の傍に静かに現れた。
蓮華は土方歳三に抱きつきながら、妖しい微笑みで話し出す。
「土方様。白は何に見えますか?」
土方歳三は床の上に体を起こしたまま、蓮華に僅かに安心した様子で話し出す。
「白猫のままだ。」
蓮華は土方歳三に抱きつきながら、妖しい微笑みで話し出す。
「土方様には白猫の姿で見えるのですね。」
土方歳三は床の上に体を起こしたまま、蓮華に怪訝そうに話し出す。
「俺にとって身近な人が亡くなるか亡くなりそうな時に、白はその人の姿に見えるのだろ。白猫のままなら、俺の身近な人には当面は何も起きないと考えて良いのだろ。」
蓮華は土方歳三に抱きつきながら、妖しい微笑みで話し出す。
「はい。」
土方歳三は床の上に体を起こしたまま、蓮華に怪訝そうに話し出す。
「もったいぶらずに、話しの続きを早く言え。」
蓮華は土方歳三に抱きつきながら、妖しい微笑みで話し出す。
「さすが土方様。どのような時でも冷静ですね。話しを逸らしたと言って怒られるのは嫌なので、話しを続けますね。例えば、土方様がその人物を、身近に思っていない場合や、近しい間柄だと思っていない場合は、その人物の姿は見えません。」
土方歳三は床の上に体を起こしたまま、蓮華に僅かに不安そうに話し出す。
「俺にはあの子の身に起きる出来事が分からないのか?」
蓮華は土方歳三に抱きつきながら、妖しい微笑みで話し出す。
「土方様は美鈴という少女が気になりますか?」
土方歳三は床の上に体を起こしたまま、蓮華に僅かに不安そうに話し出す。
「あの子は総司にとって大切な子だ。あの子にもしもの事態が起きる状況は考えたくない。」
蓮華は土方歳三に妖しい微笑みで抱きついている。
土方歳三は床の上に体を起こしたまま、蓮華に普通に話し出す。
「先程の不思議な感覚は、夢でもあるが現実でもあると言ったな。」
蓮華は土方歳三に抱きつきながら、妖しい微笑みで話し出す。
「はい。」
土方歳三は床の上で体を起こしたまま、蓮華を普通の表情で見た。
白が蓮華の傍にゆっくりと来た。
白の体に半夏生の白い葉が一枚だけ載っている。
蓮華は妖しく微笑んだまま、土方歳三からゆっくりと手を放した。
白は蓮華の傍にゆっくりと座った。
蓮華は白から半夏生の白い葉を、妖しい微笑みで取った。
土方歳三は床の上に起きたまま、蓮華を普通の表情で見た。
蓮華は土方歳三に半夏生の白い葉を見せると、妖しく微笑んで話し出す。
「土方様は半夏生をご存知ですよね。」
土方歳三は床の上に体を起こしたまま、蓮華に普通の表情で頷いた。
蓮華は土方歳三に半夏生の白い葉を見せながら、妖しく微笑んで話し出す。
「半夏生は、半夏生の頃から咲くので半夏生と呼ぶと聞きました。半夏生の葉は、半夏生の時期が来ると白くなり、半夏生が過ぎると少しずつ緑色に戻りますよね。珍しいですよね。土方様が感じた思いと同じですね。」
土方歳三は床の上に体を起こしたまま、半夏生の白い葉を見て、蓮華に辛そうに話し出す。
「俺は、総司の悲しむ姿や無理に明るく過ごす姿は見たくない。」
蓮華は土方歳三に半夏生の白い葉を見せながら、妖しい微笑みで話し出す。
「それならば、今の内に別れさせたらどうですか?」
土方歳三は床の上に体を起したまま、蓮華を睨んで話し出す。
「二人を無理に別れさせても、二人はお互いを絶対に忘れない。別れさせた後にあの子が亡くなったら、総司はあの子の傍に居られなかったと悔やんで更に深く悲しむ。」
蓮華は土方歳三に半夏生の白い葉を見せながら、妖しく微笑んで話し出す。
「沖田様を良く理解されているのですね。」
土方歳三は床の上に体を起こしたまま、蓮華を普通の表情で見た。
蓮華は土方歳三に半夏生の白い葉を微笑んで見せている。
土方歳三は床の上に体を起こしたまま、軽く息をはいた。
蓮華は土方歳三に半夏生の白い葉を見せながら、妖しく微笑んで話し出す。
「悩み苦しむ土方様も素敵です。更に惚れてしまいました。」
土方歳三は床の上に体を起こしたまま、蓮華を普通の表情で見た。
蓮華は半夏生の白い葉を、妖しい微笑みのまま懐に仕舞った。
土方歳三は床の上に体を起こしたまま、蓮華を普通の表情で見た。
蓮華は白を怪しい微笑みでゆっくりと抱いた。
白は小さい声で鳴いた。
土方歳三は床の上に体を起こしたまま、蓮華と白を普通の表情で見た。
蓮華は白を抱きながら、土方歳三に妖しい微笑みで話し出す。
「惚れてしまった弱みのためだと思いますが、土方様の悲しいお姿を見続けるのが辛くなってきました。そのため、土方様に少しだけお教えします。いつかこのような出来事が起きますが、土方様の望む結果どおりになります。」
土方歳三は床の上に体を起こしたまま、蓮華を不思議そうに見た。
蓮華は白を抱きながら、土方歳三に妖しい微笑みで話し出す。
「またお逢い出来る日を楽しみにしています。」
土方歳三は床の上に体を起こしたまま、蓮華と白を普通の表情で見た。
蓮華は白を抱きながら、妖しい微笑みのまま、静かに居なくなった。
白も蓮華と同時に静かに居なくなった。
部屋の中が薄っすらと明るくなった。
土方歳三は部屋の中を見回しながら、不思議そうに呟いた。
「ずっと前から目を覚ましていた感じがするのに、部屋の明るさの変化に今頃になって気が付いた感じがする。」
軽く息をはくと、床からゆっくりと起き上がった。
土方歳三はゆっくりと障子を開けた。
空の色が夜から朝の色へと少しずつ変わり始めている。
土方歳三は普通に視線を戻した。
土方歳三の足元に半夏生の白い葉が一枚だけ落ちていた。
土方歳三は半夏生の白い葉を不思議そうに手に取った。
半夏生の白い葉の一部が僅かに緑色になっている。
土方歳三は半夏生の白い葉を不思議そうな表情で持ちながら、ゆっくりと障子を閉めた。
* * * * * *
ここからは後書きになります。
この物語は既に掲載している物語の改訂版です。
改訂前の展開や雰囲気を出来るだけ残しながら改訂しました。
改訂前の物語を掲載するのは止めました。
以上の点、ご了承願います。
ここからは改訂前の後鍵を加筆訂正しながら書いていきます。
不思議な植物の「半夏生(はんげしょう)」と不思議な出来事が起きる物語です。
「半夏生」は、「半夏生(はんげしょう)」の時期に葉が白くなり、「半夏生」が過ぎて暫くすると元に戻る不思議な植物です。
土方歳三さんも考えても分からない事があると不安になるかも知れないと考えて書いた物語です。
沖田総司さんは京の町に着く以前の文久二年(1862年)七月頃に麻疹(はしか)になったそうです。
今回の物語は、その時の出来事を基にして、沖田総司さんがいろいろと話しをしている設定になっています。
楽しんで頂けると嬉しいです。
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