このページは、2019年3月に保存されたアーカイブです。最新の内容ではない場合がありますのでご注意ください |
新撰組異聞 〜 良夜の頃 十六夜の物語 〜
〜 改訂版 〜
ここは、京の町。
沖田総司達が京の町に着て初めて迎える秋の季節となっている。
月が綺麗に輝く季節となっている。
ここは、沖田総司と少女が何度も訪れている寺。
境内。
沖田総司と少女は、一緒に居る。
沖田総司は少女に微笑んで話し出す。
「もう直ぐお月見だね。鈴ちゃんの家もお月見を行なうよね。」
少女は沖田総司に微笑んで頷いた。
沖田総司は少女に微笑んで話し出す。
「十五夜でなくても構わないから、鈴ちゃんと一緒にお月見を行ないたな。」
少女は沖田総司に微笑んで話し出す。
「私も総司さんと一緒にお月見を行ないたいです。」
沖田総司は少女に微笑んで話し出す。
「いつか一緒にお月見が行なえると良いね。」
少女は沖田総司に微笑んで頷いた。
それから暫く後の事。
ここは、京の町。
屯所。
屯所に在る縁。
沖田総司は微笑んで歩いている。
原田左之助が沖田総司の元に来ると、嬉しそうに話し出す。
「総司! 近藤さんが月見を行なうそうだ! 酒が飲めるな!」
沖田総司は原田左之助に嬉しそうに話し出す。
「本当ですか?! とても楽しみですね!」
原田左之助は沖田総司に嬉しそうに話し出す。
「八木の家の人達が月見団子を作るそうだ! 京の町の雅な月見団子が食べられるな! 京の町は雅で美味い菓子がたくさんあるから、月見団子も雅で美味いはずだよな! 楽しみだな!」
沖田総司は原田左之助に嬉しそうに話し出す。
「京の町の雅な月見団子を食べながら月を見たら、更に楽しくなりますよね!」
原田左之助は沖田総司を嬉しそうに見た。
斉藤一は沖田総司と原田左之助の脇を普通に通り抜けようとした。
沖田総司は斉藤一を見ると、嬉しそうに話し出す。
「斉藤さん! 近藤さんがお月見を行なうそうです! 八木の家の人達が月見団子を作ってくれるそうです! 雅な月見団子が食べられて、酒がたくさん飲めますよ!」
斉藤一は立ち止まると、沖田総司を普通の表情で見た。
沖田総司は斉藤一に不思議そうに話し出す。
「もしかして、斉藤さんは甘い物が苦手だから、月見団子も余り食べないのですか?」
斉藤一は沖田総司に普通に話し出す。
「余りというより、ほとんど食べない。」
沖田総司は斉藤一を不思議そうに見た。
原田左之助も斉藤一を不思議そうに見た。
斉藤一は沖田総司と原田左之助の元から、普通に去って行った。
お月見の数日前の事。
ここは、屯所。
屯所に在る一室。
沖田総司と斉藤一は、一緒に居る。
沖田総司は斉藤一に微笑んで話し出す。
「お月見の日が近づいてきますね。楽しみですね。」
斉藤一は沖田総司に普通の表情で頷いた。
沖田総司は斉藤一に考え込みながら話し出す。
「数日程前に、鈴ちゃんに一緒にお月見を行ないたいと言いました。今年は、私は近藤さん達と、鈴ちゃんは家の人達と、それぞれお月見を行なう予定です。お月見が終わってから逢うと時間が遅すぎるので、お月見に近い日に逢いたいと考えています。鈴ちゃんは家の人に私と遅い時間に逢うと言い難いですよね。何か良い方法はないでしょうか?」
斉藤一は沖田総司に普通に話し出す。
「総司が美鈴さんの家を訪ねれば良いと思う。」
沖田総司は斉藤一に考え込みながら話し出す。
「斉藤さんも一緒に行きませんか?」
斉藤一は沖田総司に普通に話し出す。
「遅い時間に男二人で美鈴さんの家に出掛けるのか?」
沖田総司は困惑した様子で考え込み始めた。
斉藤一は沖田総司を普通の表情で見た。
それから少し後の事。
ここは、屯所に在る縁。
斉藤一は普通に歩いている。
芹沢鴨の普通の声が、斉藤一の後ろから聞こえてきた。
「斉藤。総司を知らないか?」
斉藤一は立ち止まると、芹沢鴨を普通の表情で見た。
芹沢鴨は斉藤一の前に来ると、普通に話し出す。
「斉藤。総司の居場所を隠さずに早く教えろ。」
斉藤一は芹沢鴨に普通に話し出す。
「俺は総司を監視している訳ではありません。」
芹沢鴨は斉藤一に普通に話し出す。
「監視するのと同じくらい知っているだろ。だから隠さずに教えろ。」
斉藤一は芹沢鴨を普通の表情で見た。
芹沢鴨は斉藤一に怪しげに話し出す。
「斉藤が総司を庇うのは、総司が想い人のあの子と逢っているからだろ。」
斉藤一は芹沢鴨に普通に話し出す。
「俺は庇っていません。」
芹沢鴨は斉藤一に微笑んで話し出す。
「俺の考え通り、総司は想い人のあの子と逢っているんだ。」
斉藤一は芹沢鴨に普通に話し出す。
「俺は総司から想い人に関する話しを一度も聞いていません。」
芹沢鴨は斉藤一に微笑んで話し出す。
「斉藤。今の言葉を本気で言っているのか?」
斉藤一は芹沢鴨に普通に話し出す。
「俺は総司の話す内容通りに言っただけです。」
芹沢鴨は斉藤一に微笑んで話し出す。
「俺は総司と飲みに行きたい。これから総司を探しに行く。」
斉藤一は芹沢鴨を普通の表情で見た。
芹沢鴨は斉藤一の前から微笑んで去って行った。
斉藤一は芹沢鴨の去って行く姿を普通の表情で見た。
山南敬助が斉藤一の前に微笑んで現れた。
斉藤一は山南敬助を見ると、普通の表情で軽く礼をした。
山南敬助は斉藤一を微笑んで見た。
それから少し後の事。
ここは、沖田総司と少女が何度も訪れている寺。
境内。
沖田総司と少女は、一緒に居る。
沖田総司は少女に微笑んで話し出す。
「十五夜に逢うのは無理だから、十六夜にお月見を行ないたいと考えたんだ。差し支えなければ、私が鈴ちゃんの家を訪ねても良いかな?」
少女は沖田総司に微笑んで話し出す。
「総司さんと十六夜の月を一緒に見られるのですね。楽しみです。家の人には私からお話しをします。」
沖田総司は少女に微笑んで話し出す。
「別な日が良ければ教えて。お月見の調整をしよう。」
少女は沖田総司に微笑んで頷いた。
山南敬助が小さな包みを持ちながら、沖田総司と少女の傍に微笑んで現れた。
沖田総司は山南敬助を微笑んで見た。
少女は山南敬助に微笑んで軽く礼をした。
山南敬助は小さな包みを持ちながら、沖田総司と少女に微笑んで話し出す。
「美味しい菓子を見つけたので買いました。三人で一緒に食べませんか?」
沖田総司は山南敬助に嬉しそうに話し出す。
「はい! 喜んで一緒に食べさせてください!」
少女は山南敬助に微笑んで話し出す。
「ありがとうございます。」
山南敬助は小さい包みを持ちながら、沖田総司と少女を微笑んで見た。
それから数日後の事。
十五夜の翌日となった。
ここは、京の町。
良い天気となっている。
ここは、屯所。
屯所に在る縁。
沖田総司と斉藤一は、一緒に居る。
沖田総司は斉藤一に困惑した様子で話し出す。
「鈴ちゃんに十六夜にお月見を行ないたいと話しました。鈴ちゃんは家の人に確認を取ると言いました。鈴ちゃんの返事の確認が取れないまま、今夜が十六夜になってしまいました。」
斉藤一は沖田総司に普通に話し出す。
「今から美鈴さんに確認をしに行けば良いだろ。」
沖田総司は斉藤一に困惑した様子で話し出す。
「私は近藤さんに頼まれて出掛ける所があります。鈴ちゃんは夕方近くまで予定があるそうです。」
斉藤一は沖田総司を普通の表情で見た。
沖田総司は斉藤一にため息をつきながら話し出す。
「近藤さんに頼まれた用事のために出掛けてきます。」
斉藤一は沖田総司に普通の表情で頷いた。
沖田総司はため息を付きながら、斉藤一の前から去って行った。
斉藤一は沖田総司の様子を普通の表情で見た。
山南敬助が斉藤一の前に微笑んで現れた。
斉藤一は山南敬助を見ると、普通の表情で軽く礼をした。
山南敬助は斉藤一に微笑んで話し出す。
「総司がため息を付きなが歩いていますね。何か遭ったのですか?」
斉藤一は山南敬助に普通に話し出す。
「総司があの子に十六夜に月見を行ないたいと話したそうです。あの子の返事を確認する時間がなくて困っています。」
山南敬助は斉藤一に微笑んで話し出す。
「あの子も総司に返事が伝えられなくて不安になっているでしょうね。」
斉藤一は山南敬助に普通の表情で軽く礼をした。
山南敬助は斉藤一を微笑んで見た。
それから少し後の事。
空が十六夜に染まろうとしている。
ここは、屯所。
屯所に在る縁。
沖田総司と斉藤一は、一緒に居る。
沖田総司は斉藤一に困惑した様子で話し出す。
「斉藤さん。今から鈴ちゃんの家に確認も兼ねて出掛けます。近藤さんにはそれらしい話しはしてあります。周りの人が私について何か言ってきたら、適当に答えてください。」
斉藤一は沖田総司に普通の表情で頷いた。
芹沢鴨が沖田総司と斉藤一の傍に微笑んで来た。
沖田総司は芹沢鴨に困惑した様子で軽く礼をした。
斉藤一は芹沢鴨に普通の表情で軽く礼をした。
芹沢鴨は沖田総司と斉藤一に嬉しそうに話し出す。
「総司! 斉藤! 一緒に飲みに行くぞ! 山南も一緒に飲みに行くぞ! 更に嬉しくなっただろ!」
斉藤一は芹沢鴨を普通の表情で見た。
沖田総司は芹沢鴨に困惑した表情で話し出す。
「芹沢さん。私は・・・」
芹沢鴨は沖田総司の話しの途中に腕を掴むと、沖田総司と斉藤一に嬉しそうに話し出す。
「早く行くぞ!」
沖田総司は話しの続きが言えなくなり、芹沢鴨を困惑した様子で見た。
芹沢鴨は沖田総司の腕を掴みながら、嬉しそうに歩き出した。
沖田総司は困惑した様子で歩き出した。
斉藤一は芹沢鴨と沖田総司の後ろを普通に歩きだした。
それから少し後の事。
ここは、京の町。
十六夜の月が十五夜の月と同じように綺麗に浮かび始めた。
芹沢鴨は沖田総司の腕を掴みながら、微笑んで歩いている。
沖田総司は芹沢鴨を見ながら、困惑した様子で歩いている。
山南敬助は芹沢鴨と沖田総司の様子を見ながら、微笑んで歩いている。
斉藤一は山南敬助の横を普通に歩いている。
芹沢鴨は沖田総司の腕を掴みながら、微笑んで立ち止まった。
沖田総司は立ち止まると、芹沢鴨を困惑した様子で見た。
山南敬助は立ち止まると、芹沢鴨を微笑んで見た。
斉藤一は立ち止まると、芹沢鴨、山南敬助、沖田総司を、普通の表情で見た。
芹沢鴨は沖田総司の腕を普通に放した。
沖田総司は芹沢鴨を不思議そうに見た。
芹沢鴨は沖田総司と斉藤一にぶっきらぼうに話し出す。
「総司と一緒に居ても楽しくない。一緒に飲む気が失せた。斉藤。総司をどこかに連れて行け。俺と山南は、行き付けの所のどこかに居るから必ず探し出せ。総司を除いた三人で一緒に飲んで楽しむぞ。」
斉藤一は芹沢鴨に普通の表情で軽く礼をした。
沖田総司は芹沢鴨を驚いた表情で見た。
斉藤一は沖田総司の腕を掴むと、普通に歩き出した。
沖田総司は安心した表情で歩き出した。
芹沢鴨は沖田総司と斉藤一の去っていく様子を普通の表情で見た。
山南敬助は芹沢鴨を微笑んで見た。
芹沢鴨は山南敬助を見ると、ぶっきらぼうに話し出す。
「斉藤が戻ってくるまでは俺に付き合え。」
山南敬助は芹沢鴨に微笑んで軽く礼をした。
芹沢鴨は普通に歩き出した。
山南敬助は芹沢鴨の横を微笑んで歩き出した。
それから少し後の事。
ここは、京の町。
少女の家の傍。
斉藤一は沖田総司の腕を普通の表情で掴んでいる。
沖田総司は斉藤一を困惑した様子で見ている。
斉藤一は沖田総司の腕を普通に放した。
沖田総司は斉藤一を困惑した様子で見た。
斉藤一は沖田総司を普通の表情で見た。
沖田総司は斉藤一を困惑した様子で見ている。
斉藤一は沖田総司の額を指で軽く弾いた。
沖田総司は額を手で押さえると、斉藤一に怪訝そうに話し出す。
「斉藤さん。痛いです。突然に何をするのですか?」
斉藤一は沖田総司に普通に話し出す。
「何か出てきそうな気がしたから、総司の額を指で弾いてみた。」
沖田総司は額を手で押さえながら、斉藤一を怪訝そうに見た。
斉藤一は沖田総司に普通に話し出す。
「十六夜の月を美鈴さんの家で一緒に見るんだろ。早く行け。」
沖田総司は額を手で押さえながら、斉藤一を困惑した様子で見た。
斉藤一と戸を軽く叩くと、僅かに大きな声で話し出す。
「遅い時間にお騒がせしてすいません! 先日に交わした約束の通り、十六夜の月を見るために訪ねて来ました!」
沖田総司は額から手を放すと、斉藤一を驚いた表情で見た。
斉藤一は沖田総司に背を向けて、普通に歩き始めた。
少女が沖田総司の前に微笑んで現れた。
沖田総司は少女を恥ずかしそうに見た。
それから少し後の事。
ここは、京の町。
一軒の店。
店の中に在る一室。
芹沢鴨は僅かに落ち着かない様子だが、杯の酒を微笑んで飲んでいる。
山南敬助は芹沢鴨の様子を一瞥しながら、杯の酒を微笑んで飲んでいる。
斉藤一は部屋の中に普通に入ってきた。
山南敬助は杯の酒を飲みながら、斉藤一を微笑んで見た。
芹沢鴨は杯の酒を飲み終わると、斉藤一に微笑んで話し出す。
「約束通り戻ってきたな。」
斉藤一は芹沢鴨と山南敬助に普通の表情で軽く礼をした。
それから僅かに後の事。
ここは、少女の家。
少女の部屋の前に在る縁。
沖田総司と少女は、一緒に座っている。
薄と小さなお芋のような形のお団子が、沖田総司と少女の傍に置いてある。
少女は沖田総司に微笑んで話し出す。
「総司さんと一緒に十六夜にお月見を行なう約束をしたと、家の人に伝えました。総司さんと連絡が取れないので、お仕事が忙しいかと思い心配しました。総司さんと一緒にお月見が行なえて、とても嬉しいです。」
沖田総司は少女を微笑んで見た。
少女はお月見団子を差し出すと、沖田総司に微笑んで話し出す。
「お月見団子を作りました。もしよろしければ食べてください。」
沖田総司はお月見団子を手に取ると、不思議そうに食べ始めた。
少女は沖田総司に心配そうに話し出す。
「お口に合いませんか?」
沖田総司はお月見団子を食べ終わると、少女に慌てた様子で話し出す。
「鈴ちゃんの作った月見団子は美味しいよ! 京の町の月見団子の形は変わっていると思いながら見ていたんだ! 八木の家の人達は、私が良く見掛ける丸い形の月見団子と、鈴ちゃんが作ってくれた芋のような形の月見団子を用意していたんだ! 京の町の月見団子は不思議な形だなと思って見ていたんだ!」
少女は沖田総司に不思議そうに話し出す。
「京の町ではお芋の形をまねたお月見団子を作ります。江戸の町では丸いお月見団子を作るのですか?」
沖田総司は少女に微笑んで話し出す。
「江戸の町の月見団子は丸い形をしているんだよ。やはり京の町は雅だね。鈴ちゃんと話すとたくさん勉強になるよ。」
少女は沖田総司に恥ずかしそうに話し出す。
「総司さんは私よりたくさんの物事を知っています。勉強になると言われると恥ずかしいです。」
沖田総司は少女に微笑んで話し出す。
「私は京の町について詳しくないから、鈴ちゃんと話しをすると、たくさん勉強になるよ。」
少女は沖田総司に恥ずかしそうに話し出す。
「総司さんのお役に立てて嬉しいです。」
沖田総司は少女に微笑んで話し出す。
「昨日の十五夜の月も綺麗だけど、今夜の十六夜の月も綺麗だね。」
少女は沖田総司に微笑んで頷いた。
沖田総司は十六夜の夜空を笑顔で見た。
少女は十六夜の月を微笑んで見た。
良夜の十六夜の月は、沖田総司と少女を淡い光で優しく照らしている。
* * * * * *
ここからは後書きになります。
この物語は既に掲載している物語の改訂版です。
改訂前の展開や雰囲気を出来るだけ残しながら改訂しました。
改訂前の物語を掲載するのは止めました。
以上の点、ご了承願います。
ここからは改訂前の後書きを加筆訂正しながら書いていきます。
江戸時代には、お月見とお団子は密接に結びついていたそうです。
当時は、お月見団子は自分達の家で作っていたそうです。
「お月見団子」は、江戸では「丸型」、京都では「芋型」だそうです。
「良夜(りょうや)」は、「月の綺麗な夜。特に、中秋の名月の夜。」を言います。
「中秋の名月(ちゅうしゅうのめいげつ)」は「十五夜(じゅうごや)」の別な呼び方です。
「十五夜」は「陰暦の八月十五日の月。陰暦十五日の夜。満月の夜。」を言います。
「十六夜(いざよい)」は「陰暦の十六日の月。陰暦の八月十六日の月。陰暦の十六日の夜。」を言います。
ちなみに、「十六夜」には「ためらい。躊躇。」という別な意味もあります。
奥深いものを感じます。
この物語の「十六夜」は「十五夜」の翌日になるので、「仲秋の名月の翌日の夜や月」を差しています。
楽しんで頂けると嬉しいです。
←前
目次
次→
このページは、2019年3月に保存されたアーカイブです。最新の内容ではない場合がありますのでご注意ください |