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新撰組異聞 〜 秋の夜長の夢語り 天使の花が奏でる音 〜


〜 改訂版 〜


今は秋。


ここは、京の町。


涼しい日が続いている。


ここは、沖田総司と少女が良く訪れる寺。


寺の中。


沖田総司と少女が居る。


沖田総司は少女に微笑んで話し出す。

「斉藤さんは少し遅れると言ったけれど、思ったより遅いね。」

少女は沖田総司に微笑んで頷いた。


斉藤一は寺の中に普通に入ってきた。


少女は斉藤一に微笑んで話し出す。

「こんにちは。」

斉藤一は少女に普通の表情で頷いた。

沖田総司は斉藤一に笑顔で話し出す。

「斉藤さん! 遅かったですね!」

斉藤一は沖田総司に普通に話し出す。

「先に寄った場所が予定より時間が掛かった。悪かったな。」

沖田総司は斉藤一に微笑みながら首を横に振った。

斉藤一は沖田総司を普通の表情で見た。

少女が沖田総司と斉藤一に微笑んで話し出す。

「夜になると、綺麗な虫の音がはっきりと聞こえます。綺麗な虫の声を聞くと、気持ちが落ち着きます。」

沖田総司は少女に微笑んで話し出す。

「屯所も夜になると虫の声がはっきりと聞こえてくるよ。私も気持ちが落ち着くよ。」

少女は沖田総司を微笑んで見た。

沖田総司は少女に微笑んで話し出す。

「鈴ちゃんと一緒に夜空の下で綺麗な虫の声を聞きたいな。」

少女は沖田総司に微笑んで頷いた。

沖田総司は少女に考え込みながら話し出す。

「どのような方法で鈴ちゃんと逢えば良いのかな?」

少女は沖田総司を見ながら考え込んだ。

沖田総司は少女に考え込みながら話し出す。

「お雪さんに相談をしてみるね。」

少女は沖田総司に心配そうに話し出す。

「お月見などでお雪さんと夜に会います。綺麗な虫の声を聞く約束もしたら、迷惑になりませんか?」

沖田総司は少女を見ながら考え込んだ。

斉藤一は沖田総司と少女に普通に話し出す。

「お雪さんは美鈴さんと逢うのを楽しみにしている。相談すれば喜んで了承するはずだ。だが、綺麗な虫の声が聞こえる所は、何ヶ所かある。お雪さんに相談するのは、調べた後にしたらどうだ?」

沖田総司は斉藤一に考え込みながら話し出す。

「分かりました。」

少女は斉藤一に微笑んで頷いた。

沖田総司は少女に微笑んで話し出す。

「鈴ちゃん。私は京の町に不慣れだから、綺麗な虫の声が聞こえる所を教えてくれるかな?」

少女は沖田総司に微笑んで頷いた。

沖田総司は少女を微笑んで見た。

斉藤一は沖田総司と少女を普通の表情で見た。


子供達の元気の良い声が、沖田総司、斉藤一、少女の元に聞こえてきた。


沖田総司は少女に微笑んで話し出す。

「鈴ちゃん。境内に子供達が居るね。少しだけ話しをしてくるね。」

少女は沖田総司に微笑んで頷いた。

沖田総司は斉藤一に微笑んで話し出す。

「斉藤さん。鈴ちゃんをお願いします。」

斉藤一は沖田総司に普通の表情で頷いた。


沖田総司は境内へと微笑んで出て行った。


少女は寂しそうな表情になった。

斉藤一は少女に普通に話し出す。

「美鈴さん。何か遭ったのか?」

少女は斉藤一を不思議そうに見た。

斉藤一は少女に普通に話し出す。

「総司に話し難い内容なんだろ。良い機会だから早く言え。」

少女は斉藤一に寂しそうに話し出す。

「先日の出来事ですが、総司さんが、静かな子とか、もっと明るくても良いとか、話していました。話の内容から、私について話しているように思えました。」

斉藤一は少女を普通の表情で見た。

少女は斉藤一に寂しそうに話し出す。

「意識して明るくしようと思いましたが、私についての話だという確証はありません。総司さんが意識して明るくした私を見て不思議に思うと困るので止めました。」

斉藤一は少女に普通に話し出す。

「無理して行動すると辛くなるぞ。仮に美鈴さんの勘が当たっていたとしても、美鈴さんは無理をせずに今まで通りにしていろ。」

少女は斉藤一を寂しそうに見た。

斉藤一は少女に普通に話し出す。

「俺から総司に確認してみようか?」

少女は斉藤一に不安そうに話し出す。

「斉藤さんに迷惑が掛かります。」

斉藤一は少女に普通に話し出す。

「俺は総司と話をするだけだ。迷惑ではない。安心しろ。」

少女は斉藤一に微笑んで話し出す。

「ずっと気なる時は、お願いするかも知れません。その時はよろしくお願いします。」

斉藤一は少女に普通の表情で頷いた。

少女は斉藤一を微笑んで見た。

斉藤一は少女を普通の表情で見た。

少女は斉藤一に寂しそうに話し出す。

「総司さんが子供達と遊ぶ時は、いつも楽しそうですよね。総司さんは明るい方と一緒に過ごす方が楽しいですよね。」

斉藤一は少女に普通に話し出す。

「美鈴さんの話を聞いていたら、総司に確認したくなってきた。俺から総司に確認しても良いか?」

少女は斉藤一に微笑んで話し出す。

「お気遣いありがとうございます。やはり遠慮します。」

斉藤一は少女を普通の表情で見た。

少女は寂しそうに下を向いた。

斉藤一は少女を普通の表情で見ている。


ちょうど同じ頃。


ここは、境内。


子供達は楽しそうに遊んでいる。


沖田総司は子供達の傍に笑顔で来た。


子供達は沖田総司に笑顔で話し出す。

「総司お兄ちゃん! こんにちは!」

沖田総司は子供達に笑顔で話し出す。

「こんにちは!」

子供達は沖田総司に不思議そうに話し出す。

「総司お兄ちゃん。今日は仕事の日ではないの?」

沖田総司は子供達に微笑んで話し出す。

「今日は任務の日だけど、今は任務の時間ではないよ。」

子供達は沖田総司に微笑んで話し出す。

「総司お兄ちゃん。お姉ちゃんと会わなくて良いの?」

沖田総司は子供達に微笑んで話し出す。

「鈴ちゃんと斉藤さんは、寺の中に居るよ。私はみんなの明るい声が聞こえたから、様子を見に来たんだ。」

子供達は沖田総司に笑顔で話し出す。

「僕達はしっかりと楽しんでいるよ! 総司お兄ちゃんは心配しなくても大丈夫だよ!」

「お姉ちゃんが寂しがると困るから、早く戻った方が良いよ!」

「はじめお兄ちゃんも寂しがっているかも知れないよ!」

「はじめお兄ちゃんがお姉ちゃんの傍に居るから安心なのは分かるけれど、僕達の心配より優先しないと駄目だよ!」

「僕も今の意見に賛成!」

沖田総司は子供達に顔を赤くしながら話し出す。

「みんな。鈴ちゃんと斉藤さんの元に戻るね。またね。」

子供達は沖田総司に笑顔で話し出す。

「総司お兄ちゃん! またね!」

沖田総司は顔を赤くしながら、子供達を見た。

子供達は沖田総司に笑顔で手を振った。


沖田総司は顔を赤くしながら、寺の中へと入って行った。


それから僅かに後の事。


ここは、寺の中。


斉藤一と少女が居る。


少女は寂しそうにしている。

斉藤一は少女を普通の表情で見た。

少女は斉藤一を微笑んで見た。


沖田総司は顔を赤くしながら、寺の中に入ってきた。


斉藤一は沖田総司を普通の表情で見た。

少女は沖田総司に心配そうに話し出す。
「総司さん。お顔が赤いです。大丈夫ですか?」

沖田総司は少女に顔を赤くしながら話し出す。

「私は大丈夫だよ。理由は分からないけれど、突然に暑く感じたんだ。鈴ちゃんも暑く感じない?」

少女は沖田総司を心配そうに見た。

沖田総司は少女に顔を赤くしながら話し出す。

「子供達と明るく話しをして、寺の中に戻るのに走ったから、暑く感じるのかな?」

少女は沖田総司を心配そうに見ている。

沖田総司は少女に顔を赤くしながら話し出す。

「この程度で顔が赤くなるのは、修行が足りない証拠だね。」

少女は沖田総司に微笑んで首を横に振った。

沖田総司は顔を赤くしながらも、少女を安心した表情で見た。

斉藤一は沖田総司と少女を普通の表情で見た。


その日の夜の事。


ここは、京の町。


夜空には綺麗な月が浮かんでいる。


ここは、屯所。


斉藤一の部屋。


沖田総司と斉藤一が居る。


沖田総司は斉藤一に考え込みながらに話し出す。

「虫の声が綺麗に聞こえる所が遠いと、鈴ちゃんが夜道を長く歩く状況になります。たどり着けない場合は、鈴ちゃんが寂しがります。鈴ちゃんが夜に長く出掛けたら、家の人が心配しますよね。」

斉藤一は沖田総司に普通に話し出す。

「美鈴さんの家で虫の声を聞けば、家の人は安心するぞ。」

沖田総司は斉藤一を考え込みながら見た。

斉藤一は沖田総司に普通に話し出す。

「まだ日数に余裕があるだろ。焦らずに落ち着いて考えよう。」

沖田総司は斉藤一に微笑んで頷いた。

斉藤一は沖田総司を普通の表情で見た。


それから少し後の事。


ここは、沖田総司の部屋の前に在る縁。


夜空に月と星が綺麗に輝く様子が見える。

澄んだ虫の声が響き渡っている。


沖田総司は夜空を見ながら、澄んだ虫の声を微笑んで聞いている。


夜空の月と星が僅かに強く輝いた。


沖田総司は部屋の中へと微笑んで入って行った。


それから暫く後の事。


ここは、沖田総司の部屋。


綺麗な虫の声が聞こえている。

沖田総司は床の中で静かに寝ている。


部屋の中が不思議な空気に包まれた。


沖田総司は床に横になったまま、ゆっくりと目を開けた。


少女が沖田総司を笑顔で覗き込んでいる。


沖田総司には、少女と同じ姿をした夜の国の“夢”という名前の少女だと直ぐに分かった。


沖田総司は床に横になったまま、夢に微笑んで話し出す。

「こんばんは。夢ちゃん。」

夢は沖田総司から顔を離すと、微笑んで話し出す。

「こんばんは。総司さん。」

沖田総司は床の上に体を起すと、夢に不思議そうに話し出す。

「蚊帳を吊っていなくても、京の町に来られるんだね。」

夢は沖田総司に微笑んで話し出す。

「夏は蚊帳が吊っていないと、京の町に来られません。京の町に来るために必要な蚊帳を吊っている人は、総司さん以外の人でも構いません。秋は別なものがあれば、京の町に来られます。」

沖田総司は床の上に体を起したまま、夢に不思議そうに話し出す。

「夏以外は蚊帳を吊っていなくても京の町に来られるのならば、急いで“蚊帳切り”退治をしなくても良かったのではないの?」

夢は沖田総司に微笑んで話し出す。

「蚊帳切り退治は、季節に関係なくどうしても必要でした。総司さんと斉藤さんに蚊帳切り退治をして頂いたのは、夜の国の全ての住人が感謝しています。」

沖田総司は床の上に体を起しながら、夢を微笑んで見た。

夢は沖田総司を微笑んで見た。

沖田総司は夢に不思議そうに話し出す。

「夢ちゃん。話しは戻るけれど、別なものとは何かな?」

夢は沖田総司に笑顔で話し出す。

「それは、ひ、み、つ、です!」

沖田総司は床の上に体を起しながら、夢を苦笑しながら見た。

夢は沖田総司に笑顔で抱きついた。

沖田総司は床の上に体を起したまま、顔を赤くしたまま動きを止めた。


夢は沖田総司を微笑んで抱きながら、不思議な空気に包まれた。

沖田総司は顔を赤くして動きを止めながら、不思議な空気に包まれた。


それから一瞬の後の事。


ここは、夜の国。


夜空には、月と満天の星が綺麗に輝いている。


草原が広がっている。


辺りは涼しい空気に包まれている。


夢は沖田総司を抱きながら、微笑んで静かに現れた。

沖田総司は顔を赤くして動きを止めたまま、静かに現れた。


夢は沖田総司から微笑んで放れた。

沖田総司は夢に顔を赤くしながら話し出す。

「涼しいね。」

夢は沖田総司に微笑んで頷いた。

沖田総司は夢に顔を赤くしながら話し出す。

「斉藤さんも鈴ちゃんも夜の国に着ているよね。」

夢は沖田総司の後ろを微笑んで指した。

沖田総司は顔を赤くしながら、後ろを見た。


斉藤一が沖田総司に向かって普通に歩いてくる。


沖田総司は斉藤一を微笑んで見た。

夢は指すのを止めると、沖田総司を微笑んで見た。


斉藤一は沖田総司と夢の前に普通に来た。


沖田総司は斉藤一に微笑んで話し掛ける。

「斉藤さん。こんばんは。」

斉藤一は沖田総司に普通の表情で頷いた。

沖田総司は辺りを見回しながら、斉藤一に不思議そうに話し出す。

「鈴ちゃんはどこに居るのですか?」

斉藤一は沖田総司に普通に話し出す。

「俺は一人で来た。」

沖田総司は夢を見ると、心配そうに話し出す。

「夢ちゃん。なぜ鈴ちゃんが居ないんだ?」

夢は沖田総司に微笑んで話し出す。

「美鈴さんは別な場所に居ます。」

沖田総司は夢を心配そうに見た。

夢は沖田総司と斉藤一に微笑んで話し出す。

「総司さん。斉藤さん。三人で別な場所に行きましょう。」

斉藤一は夢に普通の表情で頷いた。

沖田総司は斉藤一と夢を不思議そうに見た。

夢は沖田総司に微笑んで抱きついた。

沖田総司は顔を赤くして動きを止めた。

斉藤一は沖田総司と夢を普通の表情で見た。


夢は沖田総司を抱きながら、微笑んで静かに居なくなった。

沖田総司は顔を赤くして動き止めながら、静かに居なくなった。

斉藤一は普通の表情で、静かに居なくなった。


それから一瞬の後の事。


ここは、夢の家。


一室。


夢は沖田総司を抱きながら、微笑んで静かに現れた。

沖田総司は顔を赤くしながら、動きを止めて静かに現れた。

斉藤一は普通の表情で、静かに現れた。


夢は沖田総司から微笑んで放れた。

沖田総司は顔を赤くして、夢を見た。

夢は沖田総司に微笑んで話し出す。

「美鈴さんは庭に居ます。私は出掛けます。夜の国を楽しんでください。」

斉藤一は沖田総司に普通に話し出す。

「俺も出掛ける。」

沖田総司は斉藤一と夢に微笑んで話し出す。

「行ってらっしゃい。」

夢は沖田総司に微笑んで頷いた。

斉藤一は沖田総司に普通の表情で頷いた。


夢は微笑みながら、静かに居なくなった。

斉藤一は普通の表情で、静かに居なくなった。


沖田総司は微笑んで部屋を出て行った。


それから僅かに後の事。


ここは、庭。


澄んだ虫の声が響いている。


少女は微笑んで居る。

少女の傍には、たくさんの白い花が咲く少し背の高い木が在る。


沖田総司は少女の傍に微笑んで来た。


少女は沖田総司に微笑んで話し出す。

「総司さん。こんばんは。」

沖田総司は少女に微笑んで話し出す。

「鈴ちゃん。こんばんは。」

少女は沖田総司を微笑んで見た。

沖田総司に少女に微笑んで話し出す。

「虫の声が綺麗に響いているね。」

少女は沖田総司に微笑んで頷いた。

沖田総司は少女に微笑んで話し出す。

「鈴ちゃんの傍で咲く花は、白い百合が下向きに咲いているみたいだね。変わっているね。」

少女は沖田総司に微笑んで話し出す。

「“えんぜるとらんぺっと”という名前だそうです。別名には“朝鮮朝顔”があります。私は“えんぜるとらんぺっと”という名前が良いなと思いました。」

沖田総司は少女に不思議そうに話し出す。

「“えんぜるとらんぺっと”は、異国の言葉みたいだね。どのような意味なのかな?」

少女は沖田総司に微笑んで話し出す。

「“えんぜる”は、異国の神様のお使いだそうです。“とらんぺっと”は、笛のような異国の楽器だそうです。」

沖田総司は少女に微笑んで話し出す。

「鈴ちゃんは物知りだね。」

少女は沖田総司に恥ずかしそうに話し出す。

「朝鮮朝顔という名前は知っていたのですが、“えんぜるとらんぺっと”を知ったのは先程になります。」

沖田総司は少女に微笑んで話し出す。

「知ったのが先程なのに、しっかりと説明できる鈴ちゃんは凄いよ。朝鮮朝顔という名前を知っている鈴ちゃんは凄いよ。」

少女は沖田総司を恥ずかしそうに見た。


澄んだ虫の声が、沖田総司と少女を幾重にも包んだ。


ちょうど同じ頃。


ここは、一軒の落ち着いた雰囲気の家。


縁。


澄んだ虫の声が響いている。


庭には“えんぜるとらんぺっと”が咲いている。


斉藤一と男性が居る。

斉藤一と男性の傍には、酒とたこ焼きが置いてある。


男性は、斉藤一が何度も姿を見る人物と同じ姿をしている。


斉藤一は杯の酒を普通の表情で飲んでいる。

男性は杯の酒を飲みながら、斉藤一に微笑んで話し出す。

「斉藤さんと一緒にお酒が飲めて嬉しいです。」

斉藤一は杯の酒を飲みながら、男性を普通の表情で見た。

男性は杯の酒を飲みながら、斉藤一に微笑んで話し出す。

「視覚では、“えんぜるとらんぺっと”と星と月を味わって、聴覚では、澄んだ虫の声を味わって、味覚では、たこ焼きを味わっています。全てが味わえて楽しいですよね。」

斉藤一は杯の酒を飲みながら、男性に普通の表情で頷いた。

男性は杯の酒を飲みながら、斉藤一を微笑んで見た。

斉藤一は杯の酒を飲みながら、男性に普通に話し出す。

「良くたこ焼きを用意するな。何か理由があるのか?」

男性は杯の酒を飲みながら、斉藤一に微笑んで話し出す。

「斉藤さんがたこ焼きを気に入っている様子なので、斉藤さんと逢える時は、出来るだけ用意しています。」

斉藤一は杯の酒を飲みながら、たこ焼きを普通の表情で見た。

男性は杯の酒を飲みながら、斉藤一に不安そうに話し出す。

「もしかして、たこ焼きは苦手なのですか? 別な物を肴として用意します。」

斉藤一は杯の酒を飲みながら、男性に普通に話し出す。

「たこ焼きは美味しい。これからもたこ焼きを用意してくれ。」

男性は杯の酒を飲むのを止めると、斉藤一に笑顔で話し出す。

「たこ焼きを気に入っていたのですね! 良かった!」

斉藤一は杯の酒を飲みながら、男性を普通の表情で見た。

男性は杯の酒を飲みながら、斉藤一を微笑んで見た。


ちょうど同じ頃。


ここは、夢の家。


庭。


沖田総司と少女が居る。


澄んだ虫の声が響いている。


少女は“えんぜるとらんぺっと”を微笑んで見た。

沖田総司は少女を微笑んで見た。

少女は沖田総司を心配そうに見た。

沖田総司は少女に不思議そうに話し出す。

「鈴ちゃん。何か遭ったの?」

少女は沖田総司に心配そうに話し出す。

「総司さん。私と一緒に居て楽しいですか? 斉藤さんと一緒に居た方が、いろいろなお話しが出来て楽しいですよね。」

沖田総司は少女に微笑んで話し出す。

「鈴ちゃんと一緒に居ると楽しいよ。斉藤さんと一緒に居ても楽しいよ。比べられないよ。」

少女は“えんぜるとらんぺっと”を不安そうに見た。

沖田総司は少女に心配そうに話し出す。

「鈴ちゃん。大丈夫?」

少女は沖田総司を見ると、不安そうに話し出す。

「総司さんが、静かな子とか、もっと明るくて良いとか、などとお話ししていました。総司さんは私についてお話しをしていたんですよね。」

沖田総司は考え込んだ。

少女は沖田総司に不安そうに話し出す。

「すいません。私の聞き違いでした。今の話は忘れてください。」

沖田総司は考え込んでいる。

少女は“えんぜるとらんぺっと”を寂しそうに見た。

沖田総司は少女に慌てた様子で話し出す。

「鈴ちゃん! 返事をしないから怒ったのかな?! ごめんね!」

少女は沖田総司を見ると、微笑んで首を横に振った。

沖田総司は少女に不安そうに話し出す。

「鈴ちゃんの想像通り、鈴ちゃんについて話していたと思うんだ。私が言いたかったのは、逢って間もない頃の鈴ちゃんは、笑顔でたくさん話していたけれど、最近の鈴ちゃんは、私の話を聞く時間が増えて鈴ちゃんが話をする時間が減っているだろ。鈴ちゃんはたくさん笑顔を見せてくれる明るい子のはずなのに、静かな雰囲気になったように思うんだ。私と話すのが楽しいのかなと思って心配になったんだ。」

少女は沖田総司の手を微笑んで取った。

沖田総司は少女を心配そうに見た。

少女は沖田総司の手を取りながら、微笑んで話し出す。

「総司さんとたくさんお話しが出来て、私も楽しいです。総司さんが楽しんでいる姿を見ると、私も楽しくなります。」

沖田総司は少女を微笑んで見た。

少女は沖田総司の手を取りながら、微笑んだ。

沖田総司は少女に微笑んで話し出す。

「鈴ちゃんは静かな子だけど、一緒に居ると楽しい気持ちになるよ。斉藤さんは余り話さない人だけど、一緒に居ると楽しい気持ちになるよ。鈴ちゃんと斉藤さんには、私が一人でたくさん話しをしたり、分かり難い話しをして困らせたりしてしまうから、申し訳ないと思っているんだ。」

少女は沖田総司の手を取りながら、微笑んでいる。

沖田総司は少女に笑顔で話し出す。

「鈴ちゃんが怒っていない! 私と一緒に居て楽しいと言ってくれた! 嬉しいな!」

少女は沖田総司を微笑んで見た。

沖田総司は少女を笑顔で抱き寄せた。

少女は沖田総司を微笑んで見ている。

沖田総司は少女を抱きながら、微笑んで話し出す。

「鈴ちゃん。虫の声が綺麗だね。」

少女は沖田総司に微笑んで頷いた。

沖田総司は少女を抱きながら、微笑んで話し出す。

「鈴ちゃんと一緒に綺麗な虫の声が聞けて良かった。」

少女は沖田総司に微笑んで頷いた。


澄んだ虫の声が、沖田総司と少女を幾重にも包んでいく。


それから一瞬の後の事。


少女はゆっくりと目を開けた。


ここは、京の町。


少女の家。


少女の部屋。


蚊帳が吊ってある。

少女は床の中で寝ている。


部屋の中は暗さに包まれている。

部屋の外からは、澄んだ虫の声が響いてくる。


少女は床に横になったまま、枕元を微笑んで見た。


少女の枕元に“えんぜるとらんぺっと”の花が置いてある。


少女は床に横になったまま、“えんぜるとらんぺっと”を微笑んで見た。


“えんぜるとらんぺっと”は、淡い光りに包まれると、静かに消えていった。


少女は床に横になりながら、眠そうにゆっくりと目を閉じた。


それから暫く後の事。


ここは、京の町。


空の色が紺色から青色へと変わり始めた。


ここは、屯所。


沖田総司の部屋の前に在る縁。


沖田総司は空を見ながら、笑顔で話し出す。

「今日も良い天気だな! 今日も張り切って任務を務めるぞ!」


斉藤一は沖田総司の傍に普通に来た。


沖田総司は斉藤一に笑顔で話し出す。

「斉藤さん! おはようございます!」

斉藤一は沖田総司に普通の表情で頷いた。

沖田総司は斉藤一に微笑んで話し出す。

「斉藤さん。鈴ちゃんが夜に長い時間出掛けないで済むように、鈴ちゃんの家で虫の声を聞こうと思います。虫の声が綺麗に聞こえる所は他に在るけれど、鈴ちゃんは喜んでくれますよね。」

斉藤一は沖田総司に普通の表情で頷いた。

沖田総司は斉藤一に微笑んで話し出す。

「斉藤さんも同じなのですね。嬉しいです。」

斉藤一は沖田総司を普通の表情で見た。


沖田総司は笑顔で歩き出した。

斉藤一は普通に歩き出した。




*      *       *       *      *      *




ここからは後書きになります。

この物語は既に掲載している物語の改訂版です。

改訂前の展開や雰囲気を出来るだけ残しながら改訂しました。

改訂前の物語を掲載するのは止めました。

以上の点、ご了承ください。

ここからは改訂前の後書きを加筆訂正しながら書いていきます。

沖田総司さんと斉藤一さんの“妖怪 蚊帳斬り”退治は、「新撰組異聞 短編 真夏の夜の夢」に登場します。

「エンゼルトランペット」についてです。

花の形がラッパのような形をしている事から、「天使が吹き鳴らすラッパ」をイメージして名付けられたそうです。

和名では「木立朝鮮朝顔」・「朝鮮朝顔」、洋名では「ダチュラ」、という別名があります。

私は「エンゼルトランペット」の名前で呼んでいます。

花は6月〜9月頃に掛けて咲きます。

私が最初にエンゼルトランペットの花に気付いたのは、11月の鎌倉です。

白色で一部が淡いピンク色の花でした。

時期的な関係から花は余り咲いていませんでした。

綺麗に見られる時期は10月頃までかと思います。

「エンゼルトランペット」は、白色以外にも何色かありますが、名前のイメージからすると、白色が一番合うように思いました。

「エンゼルトランペット」は、明治時代初期には日本にあったようですが、一般的に知られていたかについては分かりませんでした。

江戸時代に日本に渡来したという説もあります。

新撰組の人達が見ている可能性があると考えて物語の中に登場しています。

「夜長(よなが)」は、「夜の長い事。特に九月・十月の頃に、夜が非常に長く感じられる事。」をいいます。

楽しんで頂けると嬉しいです。





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