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新撰組異聞 〜 居待ちの月 〜
〜 改訂版 〜
十五夜には早いが、月が綺麗な季節になった。
ここは、京の町。
沖田総司と少女は、歩いている。
沖田総司が少女に微笑んで話し出す。
「鈴ちゃん。月が綺麗な季節になったね。」
少女は沖田総司に微笑んで頷いた。
沖田総司は少女に微笑んで話し出す。
「十五夜の前後に、山南さんと斉藤さんと一緒に月見酒を飲むんだ。楽しみなんだ。」
少女は沖田総司を微笑んで見た。
沖田総司は少女に心配そうに話し出す。
「鈴ちゃん。私は変な話をしたのかな?」
少女は沖田総司に微笑んで話し出す。
「総司さんは変な話をしていません。みなさんで楽しんでお月見をしてください。」
沖田総司は少女に微笑んで頷いた。
少女は沖田総司を微笑んで見た。
それから少し後の事。
ここは、京の町。
沖田総司は少女を家に送り届けたので、屯所へと向かって歩いている。
沖田総司は歩きながら、軽く咳をした。
咳は直ぐに治まった。
咳が治まると同時に不安そうな表情になったが、直ぐに元の表情に戻った。
沖田総司は何事もなかったように歩き続けた。
それから数日後の事。
ここは、京の町。
沖田総司と少女が良く訪れる寺。
寺の中。
沖田総司と少女が居る。
少女の傍には小さな包みが置いてある。
少女は沖田総司に心配そうに話し出す。
「総司さん。お仕事はお忙しいですか?」
沖田総司は少女に微笑んで話し出す。
「鈴ちゃんと逢うと直ぐに元気になるから、任務が忙しくても大丈夫だよ。」
少女は沖田総司を心配そうに見た。
沖田総司は少女に苦笑しながら話し出す。
「本当に大丈夫だよ。」
少女は沖田総司に心配そうに話し出す。
「総司さん。無理はしないでくださいね。」
沖田総司は少女に微笑んで頷いた。
少女は沖田総司を微笑んで見た。
沖田総司も少女を微笑んで見た。
少女は沖田総司に申し訳なさそうに話し出す。
「総司さん。実は、明日から幾つかの予定が入っている関係で、出掛ける時間が多くなります。次に逢う日を何日か空けても良いですか?」
沖田総司は少女に寂しそうに話し出す。
「仕方がないね。次に逢う日は何日後なら良いのかな?」
少女は沖田総司に申し訳なさそうに話し出す。
「七日後なら大丈夫だと思います。」
沖田総司は少女に寂しそうに話し出す。
「分かった。七日後に逢おうね。」
少女は沖田総司に申し訳なさそうに頷いた。
沖田総司は少女を寂しそうに見た。
少女は包みを手に取ると、沖田総司に申し訳なさそうに話し出す。
「少し早いですが、お月見団子を作りました。斉藤さんと総司さんで月を見ながら食べてください。」
沖田総司は少女から包みを受け取ると、微笑んで話し出す。
「鈴ちゃんのお月見団子は美味しいから楽しみだな。斉藤さんも喜ぶよ。鈴ちゃん。ありがとう。」
少女は沖田総司を微笑んで見た。
沖田総司は包みを持ちながら、少女に笑顔で話し出す。
「待ちきれないから、先に一個だけ食べるね!」
少女は沖田総司を微笑んで見た。
沖田総司は包みを広げると、お月見団子を嬉しそうに食べた。
少女は沖田総司を微笑んで見ている。
沖田総司は苦しそうな表情になると、咳をしながら、胸を拳で叩き始めた。
少女は沖田総司の背中を心配そうにさすろうとした。
沖田総司は苦しそうに咳をしたまま、少女の手を払った。
少女は沖田総司を不安そうに見た。
沖田総司の咳は治まった。
少女は沖田総司を心配そうに見た。
沖田総司は少女に心配そうに話し出す。
「むせてしまったから、焦って鈴ちゃんの手を叩いてしまった。鈴ちゃん。手が痛いよね。ごめんね。」
少女は沖田総司に小さい声で話し出す。
「大丈夫です。」
沖田総司は少女の手を心配そうに取ろうとした。
少女は手を引くと、一瞬だけ体を硬くした。
沖田総司は少女に僅かに不機嫌そうに話し出す。
「なぜ私を怖がるんだ?」
少女は下を向くと、沖田総司に小さい声で話し出す。
「総司さんは怖くありません。」
沖田総司は少女に僅かに不機嫌そうに話し出す。
「怖くないのなら、なぜ私を見ないんだ?」
少女は下を向いたまま、沖田総司に小さい声で話し出す。
「総司さんが辛そうだったので、背中をさすろうとしました。総司さんに迷惑を掛けてしまう行動だと分かったので、申し訳なく思いました。どのようにしたら良いのか分からなくて悲しくなりました。」
沖田総司は少女に僅かに不機嫌そうに話し出す。
「私が怖くないのなら、なぜ早く理由を言わなかったんだ?」
少女は下を向いたまま、沖田総司に申し訳なさそうに話し出す。
「ごめんなさい。」
沖田総司は少女に僅かに不機嫌そうに話し出す。
「鈴ちゃん。送っていく。帰ろう。」
少女は下を向いたまま、小さく頷いた。
沖田総司は少女を僅かに不機嫌そうに見た。
それから暫く後の事。
ここは、京の町。
屯所。
斉藤一の居る部屋。
沖田総司は斉藤一の傍に僅かに不機嫌そうに来た。
斉藤一は沖田総司を普通の表情で見た。
沖田総司は斉藤一に僅かに不機嫌そうに話し出す。
「今日は鈴ちゃんと逢いました。鈴ちゃんが作ったお月見団子をくれました。直ぐに食べたくなったので、一つだけお月見団子を食べました。勢い良く食べたので、むせてしまって、咳をしました。咳が治まったので、鈴ちゃんに近付いたら不安そうに私を見ました。」
斉藤一は沖田総司に普通に話し出す。
「美鈴さんが総司をさすろうとして近付いた時に、総司が焦って美鈴さんの手を払っていないか?」
沖田総司は斉藤一に僅かに不機嫌そうに話し出す。
「鈴ちゃんが近付いてきたので不安になったために、鈴ちゃんの手を払いました。咳が治まって直ぐに鈴ちゃんに謝ったのに、鈴ちゃんは下を向いてしまいました。」
斉藤一は沖田総司に普通に話し出す。
「総司は軽く手を払ったつもりでも、美鈴さんは思い切り手を払われたように感じて不安になるはずだ。総司が不機嫌に話しをすれば、美鈴さんは更に不安になるだろ。」
沖田総司は真剣な表情で考え込んだ。
斉藤一は沖田総司に普通に話し出す。
「美鈴さんは忙しい時間を割いて、総司のために月見団子を作ったんだろ。美鈴さんに詫びと礼をしっかりと言えよ。」
沖田総司は斉藤一に真剣な表情で話し出す。
「今から鈴ちゃんに礼と詫びを言いに出掛けます。」
斉藤一は沖田総司に普通の表情で頷いた。
沖田総司は急いで部屋を出て行った。
それから暫く後の事。
ここは、京の町。
夜空では月が静かに輝いている。
ここは、屯所。
山南敬助の居る部屋。
障子は開いている。
山南敬助、沖田総司、斉藤一が居る。
山南敬助、沖田総司、斉藤一の傍には、酒と簡単な肴が置いてある。
沖田総司の傍には、少女の作ったお月見団子の入った包みが置いてある。
山南敬助は杯の酒を飲みながら、沖田総司と斉藤一に微笑んで話し出す。
「十五夜まで日があります。今夜を本番ではなく練習にすれば、何度も楽しめますね。総司。斉藤君。良いでしょうか?」
斉藤一は杯の酒を飲みながら、山南敬助に普通の表情で軽く礼をした。
沖田総司は山南敬助に寂しそうに話し出す。
「はい。」
山南敬助は杯の酒を飲みながら、沖田総司を心配そうに見た。
斉藤一は杯の酒を飲みながら、山南敬助に普通に話し出す。
「総司は美鈴さんに詫びと礼を言うために家に出掛けたのに、不在のために詫びと礼が言えなかったそうです。」
沖田総司は山南敬助に寂しそうに話し出す
「私が鈴ちゃん家を送り届けてから暫く後に出掛けたそうです。私がもう少し早く着けば、鈴ちゃんに逢えたようです。鈴ちゃんは明日も予定があって、早く出掛けるそうです。鈴ちゃんや家の人に迷惑を掛けられないので、明日は出掛けるのは止めます。鈴ちゃんに伝言を頼むは止めました。」
山南敬助は杯の酒を飲みながら、沖田総司に微笑んで話し出す。
「総司。美鈴さんに詫びと礼を言う日は、明後日というのはどうですか? 明後日も美鈴さんに逢えなかったら、文を書いて詫びと礼を伝えるというのはどうですか?」
沖田総司は山南敬助に寂しそうに話し出す。
「はい。」
斉藤一は杯の酒を飲みながら、沖田総司を普通の表情で見た。
山南敬助は杯の酒を飲みながら、沖田総司と斉藤一を微笑んで見た。
沖田総司は寂しそうにため息をついた。
山南敬助は杯の酒を飲みながら、沖田総司に微笑んで話し出す。
「総司。先程から包みを大事そうに置いていますね。」
沖田総司は山南敬助に微笑んで話し出す。
「鈴ちゃんが私と斉藤さんのために作ってくれたお月見団子です。」
山南敬助は杯の酒を飲みながら、沖田総司を微笑んで見た。
沖田総司は山南敬助に微笑んで話し出す。
「山南さん。鈴ちゃんの作ったお月見団子を見てください。でも、見るだけなので気を付けてください。」
山南敬助は杯の酒を飲みながら、沖田総司に微笑んで頷いた。
沖田総司は包みを広げると、山南敬助に微笑んで差し出した。
山南敬助は杯を置くと、包みを微笑んで見た。
斉藤一は杯の酒を飲みながら、山南敬助と沖田総司を普通の表情で見た。
山南敬助は沖田総司を見ると、微笑んで話し出す。
「美味しそうですね。」
沖田総司は山南敬助に包みを差し出しながら、僅かに大きな声で話し出す。
「鈴ちゃんが作ったお月見団子は、美味しそう、ではなくて、美味しい、です。」
山南敬助は沖田総司に微笑んで話し出す。
「総司と美鈴さんに、失礼な言い方をしました。謝らないといけませんね。」
沖田総司は包みを自分側に戻すと、山南敬助に微笑んで話し出す。
「山南さんは、私には謝る必要はありません。鈴ちゃんには私から話しをします。」
山南敬助は沖田総司に微笑んで頷いた。
沖田総司は包みからお月見団子を取ると、寂しそうに呟いた。
「鈴ちゃん。お月見団子の礼を言う前に、怒ってしまってごめんね。」
山南敬助は沖田総司を微笑んで見た。
斉藤一は杯の酒を飲みながら、沖田総司を普通の表情で見た。
沖田総司は寂しそうにお月見団子を食べた。
山南敬助は杯の酒を注ぐと、微笑んで飲んだ。
沖田総司はお月見団子を食べ終わると、寂しそうに呟いた。
「鈴ちゃん。美味しいよ。ありがとう。」
山南敬助は杯の酒を飲みながら、沖田総司を微笑んで見た。
斉藤一は杯の酒を飲みながら、沖田総司を普通の表情で見た。
それから二日後の事。
ここは、屯所。
縁。
沖田総司は寂しそうに歩いている。
斉藤一は沖田総司の前に普通に来た。
沖田総司は立ち止まると、斉藤一を寂しそうに見た。
斉藤一は沖田総司に普通に話し出す。
「山南さんが心配している。報告も兼ねて部屋に行こう。」
沖田総司は斉藤一に寂しそうに頷いた。
斉藤一は普通に歩き出した。
沖田総司は寂しそうに歩き出した。
それから僅かに後の事。
ここは、屯所。
山南敬助の部屋。
斉藤一は普通に訪ねてきた。
沖田総司は寂しそうに訪ねてきた。
山南敬助は沖田総司と斉藤一を心配そうに見た。
斉藤一は山南敬助を普通の表情で見た。
山南敬助は沖田総司に心配そうに話し出す。
「美鈴さんには逢えなかったのですか?」
沖田総司は山南敬助に寂しそうに話し出す。
「はい。」
山南敬助は沖田総司に心配そうに話し出す。
「美鈴さんに逢えないのは心配ですね。」
沖田総司は山南敬助に不安そうに話し出す。
「心配というより、とても不安です。鈴ちゃんが私に逢えない事情を教えてくれないのは、私が鈴ちゃんに怒ったからだと思います。」
斉藤一は沖田総司に普通に話し出す。
「美鈴さんが総司に出掛ける話をしたのは、総司が怒るより前だろ。総司が美鈴さんに逢えないのは、総司の行動や発言が原因ではなく、美鈴さんが出掛けているからだろ。」
沖田総司は斉藤一に不安そうに話し出す。
「鈴ちゃんが私を嫌いになったから逢ってくれないように感じます。」
斉藤一は沖田総司に普通に話し出す。
「総司。美鈴さんに詫びと礼の文を書け。美鈴さんは総司の文を読んだら、文か言付けで返事を残すはずだ。美鈴さんの返事の内容によって、今後の対応を考えよう。」
沖田総司は斉藤一に寂しそうに話し出す。
「はい。」
斉藤一は沖田総司を普通の表情で見た。
山南敬助は沖田総司と斉藤一を微笑んで見た。
その翌日の事。
ここは、京の町。
町が活気付くには早い時間のため、静かな雰囲気に包まれている。
ここは、少女の家。
斉藤一は普通に訪れた。
ここは、少女の部屋。
斉藤一は普通に部屋の中に入った。
少女は床の上に体を起すと、斉藤一を微笑んで見た。
斉藤一は少女に普通に話し出す。
「いつから体調が悪いんだ?」
少女は床の上に体を起しながら、斉藤一に微笑んで話し出す。
「昨日から体調が少し悪くなりました。」
斉藤一は少女に普通に話し出す。
「総司と会えないから無理をしたのか?」
少女は床の上に体を起しながら、斉藤一に微笑んで話し出す。
「総司さんと逢えない間は、お稽古の関係のお手伝いをしていました。総司さんは私のためにお忙しい時間を割いて逢ってくださいます。総司さんが訪ねてきた時に私が出掛けていたら申し訳ありません。念のために七日間後に逢う約束をしました。体調が悪くなったので、お稽古の関係のお手伝いは辞めました。今日から体調が良くなるまでは、お稽古もお休みします。」
斉藤一は少女に普通に話し出す。
「なぜ総司に稽古のために会えないと説明しなかったんだ?」
少女は床の上に体を起しながら、斉藤一に申し訳なさそうに話し出す。
「総司さんは重要なお仕事をしています。私はお稽古の関係の手伝いのために何日もお出掛けします。総司さんに申し訳なくて事情を説明できませんでした。」
斉藤一は少女に普通に話し出す。
「美鈴さん。先程より顔色が悪くなっている。無理はするな。」
少女は床の上に体を起しながら、斉藤一に微笑んで話し出す。
「大丈夫です。」
斉藤一は少女を普通の表情で見た。
少女は床の上に体を起しながら、斉藤一に不安そうに話し出す。
「家族から総司さんが私を訪ねてきたと聞きました。私は家族に総司さん宛の文も伝言も頼んでもいませんでした。総司さんは私を怒っていますよね。」
斉藤一は少女に普通に話し出す。
「総司は美鈴さんに詫びと礼を伝えたいと話している。怒っていない。安心しろ。」
少女は床の上に体を起しながら、安心した表情になった。
斉藤一は少女を普通の表情で見た。
少女は床の上に体を起しながら、斉藤一を微笑んで見た。
斉藤一は少女に普通に話し出す。
「美鈴さん。総司は美鈴さんが体の具合の悪い状態だとは知らない。総司は美鈴さんの体の具合が悪いと知る時が遅くなるほど、自分の態度や発言のせいだと責めるはずだ。総司に早く伝えよう。」
少女は床の上に体を起しながら、斉藤一に申し訳なさそうに話し出す。
「斉藤さん。総司さんへの伝言を頼んでも良いですか?」
斉藤一は少女に普通の表情で頷いた。
少女は床の上に体を起しながら、斉藤一に申し訳なさそうに話し出す。
「一つ目は、私が体の具合を悪くしているという内容です。二つ目は、総司さんと逢う約束の日までに必ず元気になるという内容です。三つ目は、総司さんと逢えるのとお話しが出来るのを楽しみにしているという内容です。よろしくお願いします。」
斉藤一は少女に普通の表情で頷いた。
少女は床の上に体を起しながら、斉藤一を微笑んで見た。
斉藤一は少女に普通に話し出す。
「今日はこれで帰る。美鈴さん。無理をせずに、しっかりと養生しろ。」
少女は床の上に体を起しながら、斉藤一に微笑んで頷いた。
斉藤一は部屋から普通に出て行った。
それから暫く後の事。
ここは、屯所。
沖田総司の部屋。
斉藤一は普通に訪れた。
斉藤一は沖田総司に普通に話し出す。
「総司。話しがある。」
沖田総司は斉藤一に僅かに落ち着かない様子で話し出す。
「これから鈴ちゃんの家に出掛けます。申し訳ありませんが、話は後でも良いですか?」
斉藤一は沖田総司に普通に話し出す。
「美鈴さんから総司への伝言を頼まれた。出掛けるのは伝言を聞いてからにしろ。」
沖田総司は斉藤一に心配そうに話し出す。
「鈴ちゃんに何か遭ったのですね?」
斉藤一は沖田総司に普通に話し出す。
「美鈴さんは昨日から体調を悪くして寝込んでいる。」
沖田総司は斉藤一に不安そうに話し出す。
「鈴ちゃんの体調が悪くなったのは、私の体調や発言や行動が関係していますか?」
斉藤一は沖田総司に普通に話し出す。
「総司の体調も発言も行動も関係ない。安心しろ。」
沖田総司は斉藤一に不安そうに話し出す。
「鈴ちゃんは怒っていませんか?」
斉藤一は沖田総司に普通に話し出す。
「美鈴さんは怒っていない。安心しろ。」
沖田総司は斉藤一を僅かに安心した様子で見た。
斉藤一は沖田総司に普通に話し出す。
「総司と逢う約束をした日までに元気になる。総司と逢うのを楽しみにしている。以上が総司から美鈴さんへの伝言だ。」
沖田総司は斉藤一に微笑んで話し出す。
「私は体調の悪い鈴ちゃんに逢えませんが、文などの見舞いの品を持って出掛けます。鈴ちゃんは安心して早く元気になりますよね。」
斉藤一は沖田総司に普通の表情で頷いた。
沖田総司は斉藤一を微笑んで見た。
それから数日後の事。
ここは、京の町。
空の色が僅かに橙色に染まっているように見える。
ここは、少女の家。
玄関。
沖田総司は心配そうに訪れた。
少女は沖田総司の元に微笑んで現れた。
沖田総司は少女に心配そうに話し出す。
「鈴ちゃん。起きても大丈夫なの?」
少女は沖田総司に微笑んで話し出す。
「ご心配をお掛けましました。元気なりました。大丈夫です。」
沖田総司は少女を安心した様子で見た。
少女は沖田総司に微笑んで話し出す。
「総司さん。近くで構わないので、一緒にお出掛けしたいです。」
沖田総司は少女に心配そうに話し出す。
「鈴ちゃん。辛くなったら無理をせずに教えてね。」
少女は沖田総司に微笑んで頷いた。
沖田総司は少女を気遣いながら歩き出した。
少女は微笑んで歩き出した。
それから少し後の事。
ここは、京の町。
落ち着いた雰囲気の寺。
寺の中。
沖田総司と少女が居る。
沖田総司は少女を抱き寄せると、心配そうに話し出す。
「鈴ちゃん。辛くない?」
少女は沖田総司に微笑んで話し出す。
「大丈夫です。」
沖田総司は少女を抱きながら、心配そうに話し出す。
「鈴ちゃんが元気になって良かった。」
少女は沖田総司に申し訳なさそうに話し出す。
「ご心配をお掛けしてすいませんでした。」
沖田総司は少女を抱きながら、心配そうに話し出す。
「鈴ちゃん。この前は手を払ってしまってごめんね。痛かったよね。」
少女は沖田総司に心配そうに話し出す。
「大丈夫です。」
沖田総司は少女を抱きながら、微笑んで話し出す。
「鈴ちゃん。お月見団子ありがとう。美味しかったよ。」
少女は沖田総司に小さい声で話し出す。
「褒めて頂けて嬉しいです。」
沖田総司は少女を抱きながら、心配そうに話し出す。
「鈴ちゃん。辛くなったのかな? それとも私の言い方が悪かったかな?」
少女は沖田総司に静かに泣きながら話し出す
「大丈夫です。ごめんなさい。」
沖田総司は少女を抱きながら、微笑んで話し出す。
「鈴ちゃんは悪くないよ。だから泣かないで。」
少女は静かに泣いている。
沖田総司は少女を抱きながら、微笑んで話し出す。
「もう少し経つと十五夜だね。更に少し経つと十八日だから居待ち月だね。十五夜は無理かも知れないから、居待ち月を一緒に見たいね。近藤さんに承諾をもらったら、私から鈴ちゃんに家の人に話しをするよ。」
少女は静かに泣いている。
沖田総司は少女を抱きながら、心配そうに話し出す。
「鈴ちゃん。近藤さんは優しい人だから心配しなくて良いよ。」
少女は泣き止むと、沖田総司に微笑んで話し出す。
「総司さんと居待ち月を一緒に見られるのですね。楽しみです。」
沖田総司は微笑みながら、少女をゆっくりと放した。
少女は沖田総司を微笑んで見た。
沖田総司は少女に微笑んで話し出す。
「鈴ちゃんが元気になって良かった。」
少女は沖田総司を微笑んで見ている。
沖田総司は少女に手を差し出すと、微笑んで話し出す。
「帰ろう。」
少女は沖田総司の手を微笑んで取った。
沖田総司は少女と手を繋ぎながら笑顔になった。
それから何日か後の事。
ここは、京の町。
夜空では居待ちの月が輝いている。
ここは、少女の家。
少女の部屋。
縁。
沖田総司と少女は、座りながら月を見ている。
沖田総司と少女の傍には、お茶やお菓子が置いてある。
少女は沖田総司に微笑んで話し出す。
「お酒の用意をしてあります。」
沖田総司は少女に微笑んで話し出す。
「お酒は飲まないよ。肴が用意してあったら、お茶を飲みながら食べよう。」
少女は沖田総司に不思議そうに話し出す。
「お酒を飲まないのですか?」
沖田総司は少女に微笑んで頷いた。
少女は沖田総司にお月見団子を差し出すと、微笑んで話し出す。
「お月見団子を作りました。良かったら食べてください。」
沖田総司は少女に嬉しそうに話し出す。
「さすが鈴ちゃん! 見ただけで美味しいと分かるお月見団子だよ!」
少女は沖田総司にお月見団子を微笑んで差し出している。
沖田総司は少女に苦笑しながら話し出す。
「鈴ちゃん。お茶の用意を頼んでも良いかな?」
少女は沖田総司の傍に包みを置くと、お茶を微笑んで入れた。
沖田総司は少女を微笑んで見た。
少女は沖田総司の傍にお茶を微笑んで置いた。
沖田総司はお月見団子を手に取ると、嬉しそうに食べ始めた。
少女はお月見団子を手に取ると、微笑んで食べ始めた。
ちょうど同じ頃。
ここは、屯所。
山南敬助の部屋。
縁の傍。
障子は開いている。
山南敬助と斉藤一は、酒を飲んでいる。
山南敬助は杯の酒を飲みながら、斉藤一に微笑んで話し出す。
「美鈴さんに逢えない時の総司は寂しそうでしたね。」
斉藤一は杯の酒を飲みながら、山南敬助に普通の表情で軽く礼をした。
山南敬助は杯の酒を飲みながら、斉藤一に微笑んで話し出す。
「今夜も二人で楽しんでいると良いですね。」
斉藤一は杯の酒を飲みながら、山南敬助に普通の表情で軽く礼をした。
山南敬助は杯の酒を飲みながら、斉藤一に微笑んで話し出す。
「今年の居待ち月は綺麗ですね。」
斉藤一は杯の酒を飲みながら、山南敬助に普通の表情で頷いた。
居待ちの月は、たくさんの人達の想いを受けて輝いている。
* * * * * *
ここからは後書きになります。
この物語は既に掲載している物語の改訂版です。
改訂前の物語の展開や雰囲気を出来るだけ残しながら改訂しました。
改訂前の物語を掲載するのは止めました。
以上の点、ご了承願います。
ここからは改訂前の後書きを加筆訂正しながら書いていきます。
一つの例になりますが、茶道では、季節や特定の日に、日没や早朝からのお茶会を行う事があります。
主催者側も招待者側も相当に大変だと聞いた事があります。
鈴ちゃんが沖田総司さんと次に逢う約束の日付を何日も空けたのは、お稽古事にはそのような出来事があるので、稽古を兼ねて手伝っていたと想像してください。
沖田総司さんは咳をしたために不安になり、動揺して鈴ちゃんの手を払ってしまいます。
沖田総司さんは鈴ちゃんに謝りたいのに、なかなか謝る事が出来なくなりました。
山南敬助さんと斉藤一さんの助けもあって、沖田総司さんと鈴ちゃんは、居待ちの月を見ながら過ごす事が出来ました。
「居待ちの月(いまちのつき)」は、「居待ち月(いまちづき)」と呼ぶ事が多いと思います。
「やや遅く出るので座って待つ月」という意味から、この呼び方になっているそうです。
「居待ちの月」は、「陰暦十八日の月。特に、陰暦八月十八日の月。」を言うそうです。
ちなみに、「十五夜。中秋の名月。芋名月。お月見。」→「十六夜」→「十七夜。立ち待ち月。」→「居待ち月」となります。
楽しんで頂けると嬉しいです。
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