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新撰組異聞 〜 白萩と紫式部 〜


〜 第三版 〜


暦は秋。


ここは、京の町。


夏の名残の暑さから、秋の暑さに変わり始める気配を感じ始めた。


萩の花の見頃の場所が、少しずつ増えてきた。


ここは、白萩と小紫式部の紫色の実を一緒に見られる場所。


大きめの木の下。


沖田総司は微笑んで居る。

少女も微笑んで居る。

少女の傍には、包みが置いてある。


沖田総司と少女から少し離れた場所。


藤堂平助は沖田総司と少女を寂しい微笑みで見ている。


斉藤一が普通に現れた。


藤堂平助は斉藤一を僅かに驚いた表情で見た。

斉藤一は藤堂平助を普通の表情で見た。

藤堂平助は斉藤一に僅かに動揺して話し出す。

「お騒がせしました。直ぐに失礼します。」

斉藤一は藤堂平助を普通の表情で見ている。

藤堂平助は斉藤一に僅かに動揺して軽く礼をした。

斉藤一は藤堂平助を普通の表情で見ている。


藤堂平助は少し早い歩調で歩き出した。


斉藤一は藤堂平助を普通の表情で見ている。


藤堂平助の姿は見えなくなった。


斉藤一は沖田総司と少女を普通の表情で見た。


僅かに後の事。


ここは、白萩と小紫式部の紫色の実を一緒に見られる場所。


傍に在る大きめの木の下。


沖田総司は微笑んで居る。

少女も微笑んで居る。

少女の傍には、包みが置いてある。


斉藤一は普通に来た。


沖田総司は斉藤一に笑顔で話し出す。

「斉藤さん! 待っていました!」

少女は斉藤一に微笑んで話し出す。

「こんにちは。」

斉藤一は沖田総司と少女に普通の表情で頷いた。

少女は斉藤一に包みを差し出すと、斉藤一に微笑んで話し出す。

「お団子を用意しました。」

斉藤一は少女に普通に話し出す。

「俺は遠慮する。総司と美鈴さんの二人で食べろ。」

沖田総司は少女に笑顔で話し出す。

「斉藤さんは団子を遠慮すると答えたよね! 私が斉藤さんの代わりに団子を食べるね!」

斉藤一は少女に普通の表情で頷いた。

少女は沖田総司に包みを微笑んで差し出した。

沖田総司は包みから団子を取ると、団子を美味しく笑顔で食べた。

斉藤一は沖田総司を普通の表情で見た。

少女は包みを持ち、沖田総司を微笑んで見た。


数日後の事。


ここは、白萩と小紫式部の紫色の実を一緒に見られる場所。


少女は白萩と小紫式部の紫色の実を微笑んで見ている。


少女の居る場所から少し離れた場所。


藤堂平助は少女を寂しい微笑みで見ている。


土方歳三が微笑んで現れた。


藤堂平助は土方歳三を僅かに驚いた様子で見た。

土方歳三は藤堂平助に微笑んで話し出す。

「あの子が気になるのか?」

藤堂平助は土方歳三に不思議な様子で話し出す。

「彼女と話してから、彼女が更に気になります。理由は分かりませんが、彼女がとても気になります。」

土方歳三は藤堂平助に微笑んで頷いた。

藤堂平助は土方歳三に不思議な様子で話し出す。

「一見すると頼りなく見えますが、日頃の様子を見ると、心のしっかりとした子だと分かります。沖田さんを信頼する姿も頼る姿も庇う姿も、意地らしい姿です。沖田さんや斉藤さんと話す時の彼女の笑顔が忘れられません。彼女と話したいと気持ちが強くなっています。沖田さんと斉藤さんが、私と彼女が話したと知った時の状況を考えると、彼女と話しが出来ません。」

土方歳三は藤堂平助を笑いを堪えて見た。

藤堂平助は土方歳三を不思議な様子で見た。

土方歳三は藤堂平助に笑いを堪えて話し出す。

「可笑しくて笑った訳ではない。或る特定の出来事に不慣れな者が、一度は必ず思う内容だ。新撰組には凄腕の隊士が多いが、剣術以外は疎い隊士が多い。極端過ぎるのは困る。新撰組の若い隊士は、揃いも揃って変わった人物ばかりだ。」

藤堂平助は土方歳三を不思議な様子で見ている。

土方歳三は藤堂平助に笑いを堪えて話し出す。

「知りたいだろ。」

藤堂平助は土方歳三に不思議な様子で話し出す。

「是非、教えてください。」

土方歳三は藤堂平助に笑いを堪えて話し出す。

「教えない。」

藤堂平助は土方歳三を僅かに不機嫌に見た。

土方歳三は藤堂平助に微笑んで話し出す。

「さすが、平助。不機嫌な表情は凄みがある。あの子が今の平助の表情を見たら、あの子は怖がるか心配するか悩む。」

藤堂平助は土方歳三に僅かに驚いて話し出す。

「怖かったですか?」

土方歳三は藤堂平助に微笑んで話し出す。

「俺は見慣れているから平気だが、あの子は違う。」

藤堂平助は少女を僅かに困惑して見た。

土方歳三は藤堂平助に微笑んで話し出す。

「あの子がとても気になるのだろ。あの子と一度だけで良いから話してみろ。総司か斉藤が知った時は、総司か斉藤に斬り殺されるかも知れない。覚悟して話す必要がある。」

藤堂平助は土方歳三を考えながら見た。

土方歳三は藤堂平助に微笑んで話し出す。

「話し忘れていた。山南さんはあの子を気遣っていた。あの子と話すと、山南さんの気持ちも少しだけ分かるかも知れない。」

藤堂平助は土方歳三に不思議な様子で話し出す。

「山南さんの気持ち?」

土方歳三は藤堂平助に微笑んで話し出す。

「俺が話せる内容ではない。ゆっくりで構わない。平助が一人で考えろ。」

藤堂平助は土方歳三を不思議な様子で見た。


土方歳三は微笑んで去って行った。


藤堂平助は少女を不思議な様子で見た。


僅かに後の事


ここは、白萩と小紫式部の紫色の実を一緒に見られる場所。


藤堂平助の居る場所。


藤堂平助は真剣な表情で歩き出した。


僅かに後の事。


ここは、白萩と小紫式部の紫色の実を一緒に見られる場所。


少女の居る場所。


少女は白萩と小紫式部の紫色の実を微笑んで見ている。


藤堂平助は少女の傍に微笑んで来た。


藤堂平助は少女に微笑んで話し出す。

「美鈴さん。こんにちは。」

少女は藤堂平助を見ると、藤堂平助に不思議な様子で軽く礼をした。

藤堂平助は少女に微笑んで話し出す。

「少し話したいです。時間はありますか?」

少女は藤堂平助に不思議な様子で軽く礼をした。

藤堂平助は少女に微笑んで話し出す。

「先日はいろいろと迷惑を掛けました。」

少女は藤堂平助に微笑んで話し出す。

「お気遣いありがとうございます。」

藤堂平助は少女に微笑んで話し出す。

「沖田さんや斉藤さんと楽しく話しているそうですね。」

少女は藤堂平助に微笑んで話し出す。

「沖田様も斉藤様も、お仕事でお忙しいのに、私を気遣ってくださいます。私を気遣って出掛ける場所を選んでくださいます。沖田様も斉藤様も、お優しい人物です。沖田様と斉藤様が、楽しく過ごされている姿を見ると、とても嬉しくなります。」

藤堂平助は少女を寂しい微笑みで見た。

少女は藤堂平助を不思議な様子で見た。

藤堂平助は少女に微笑んで話し出す。

「暑い中の長話は辛いですよね。最後に一言だけ話して終わりにします。」

少女は藤堂平助に不思議な様子で軽く礼をした。

藤堂平助は少女に真剣な表情で話し出す。

「山南さんは切腹をして亡くなりました。山南さんのような優しい人物を喪った状況は、とても辛いです。山南さんは既に今の世に居ませんが、私は今でも山南さんを慕い尊敬しています。みんなが山南さんを忘れていくように感じる時があります。私は今より先に何が起きたとしても、山南さんを絶対に忘れません。私は山南さんが最期に親しくしていた伊東さんの元で、たくさんの内容を学びたいと考えています。伊東さんは教養のある人物です。伊東さんからは、私にとって役立つ内容を、たくさん学べると思っています。」

少女は藤堂平助を僅かに困惑して見た。

藤堂平助は少女に苦笑して話し出す。

「一言ではないですね。難しい内容の話ですね。申し訳ありませんでした。」

少女は藤堂平助に微笑んで軽く礼をした。

藤堂平助は少女に微笑んで話し出す。

「更に一言だけ話も良いですか?」

少女は藤堂平助に微笑んで軽く礼をした。

藤堂平助は少女に微笑んで話し出す。

「美鈴さんの見ていた、紫色の小さい実の名前を教えてください。」

少女は藤堂平助に微笑んで話し出す。

「“小紫式部”です。」

藤堂平助は少女に微笑んで話し出す。

「難しい話を聞いて頂いて、ありがとうございました。沖田さんと斉藤さんと、末永く過ごせると良いですね。今より後に何が起きたとしても、美鈴さんは必ず幸せになってください。」

少女は藤堂平助に恥ずかしく軽く礼をした。

藤堂平助は少女に微笑んで軽く礼をした。

少女は藤堂平助に恥ずかしく軽く礼をした。


藤堂平助は微笑んで去って行った。


少女は白萩と小紫式部の紫色の実を恥ずかしく見た。


同じ頃。


藤堂平助と少女が居る場所から少しだけ離れた場所。


土方歳三は藤堂平助と少女を微笑んで見ている。

斉藤一は藤堂平助と少女を普通の表情で見ている。


土方歳三は斉藤一を見ると、斉藤一に微笑んで話し出す。

「平助はあの子と少し話しただけで終わったな。」

斉藤一は土方歳三を見ると、普通の表情で軽く礼をした。

土方歳三は斉藤一に微笑んで話し出す。

「平助があの子に気持ちを伝えずに去った。真面目な性格と若さの両方が関係している。」

斉藤一は土方歳三に普通に話し出す。

「真面目な性格と若さだけでなく、真剣だからこそ、気持ちを伝えなかったと思います。」

土方歳三は斉藤一に不思議な様子で話し出す。

「斉藤は、総司より若いが、本当にしっかりとしている。」

斉藤一は土方歳三に普通に話し出す。

「総司と一緒にしないでください。」

土方歳三は斉藤一に微笑んで頷いた。

斉藤一は土方歳三を普通の表情で見た。

土方歳三は斉藤一に微笑んで話し出す。

「総司が平助とあの子が話した状況を知った時は、物凄く騒ぐ。平助に物凄い形相で斬りかかるかも知れない。総司に知られないよう頼む。」

斉藤一は土方歳三に普通の表情で軽く礼をした。

土方歳三は斉藤一に微笑んで話し出す。

「今日のあの子には、危険の及ぶ気配が無く、危険な状況に巻き込まれる気配も無い。斉藤。一緒に戻ろう。」

斉藤一は土方歳三に普通の表情で軽く礼をした。

土方歳三は少女を微笑んで見た。

斉藤一は少女を普通の表情で見た。


土方歳三は微笑んで去って行った。

斉藤一は普通に去って行った。


少し後の事。


ここは、屯所。


伊東甲子太郎の部屋。


伊東甲子太郎は机に普通の表情で向かっている。


藤堂平助は部屋に考え込んで訪れた。


伊東甲子太郎は藤堂平助を不思議な様子で見た。

藤堂平助は伊東甲子太郎に不思議な様子で話し出す。

「沖田さんは凄い人物ですよね。私には敵わないと思いました。」

伊東甲子太郎は藤堂平助に微笑んで話し出す。

「私は山南さんとは違う。私の考えを話す。沖田君が凄い状況は、事実だ。藤堂君は凄いが、沖田君は更に凄い。」

藤堂平助は伊東甲子太郎を不思議な様子で見た。

伊東甲子太郎は藤堂平を微笑んで見た。

藤堂平助は伊東甲子太郎に微笑んで話し出す。

「変な内容の質問に答えて頂いてありがとうございました。」

伊東甲子太郎は藤堂平助に微笑んで話し出す。

「私は今の藤堂君の質問を変な内容に該当しないと思う。」

藤堂平助は伊東甲子太郎を微笑んで見た。

伊東甲子太郎は藤堂平助に微笑んで頷いた。


少し後の事。


ここは、屯所。


縁。


藤堂平助は普通の表情で歩いている。


土方歳三が藤堂平助の前を歩く姿が見えた。


藤堂平助は僅かに早く歩いた。


土方歳三は普通に歩いている。


藤堂平助の穏やかな声が、土方歳三の後ろから聞こえた。

「土方さん。少し話しても良いですか?」


土方歳三は不思議な様子で止まった。


土方歳三は後ろを不思議な様子で見た。


藤堂平助は土方歳三を微笑んで見ている。


土方歳三は藤堂平助に微笑んで頷いた。

藤堂平助は土方歳三に微笑んで話し出す。

「先日はありがとうございました。」

土方歳三は藤堂平助に微笑んで頷いた。

藤堂平助は土方歳三に微笑んで話し出す。

「あの子の良く見る素敵な笑顔は、誰にでも見せる笑顔ではありません。今日になって分かりました。」

土方歳三は藤堂平助に微笑んで頷いた。

藤堂平助は土方歳三に微笑んで軽く礼をした。

土方歳三は藤堂平助に微笑んで頷いた。


藤堂平助は微笑んで去って行った。


土方歳三は藤堂平助を微笑んで見た。


藤堂平助の姿は見えなくなった。


土方歳三は微笑んで歩き出した。


数日後の事。


ここは、小紫式部の紫色の実が綺麗に生る場所。


傍に在る少し大きめの木の下。


沖田総司は笑顔で居る。

少女は微笑んで居る。


沖田総司は傍に生る紫色の小さい実を指すと、少女に笑顔で話し出す。

「鈴ちゃん! 紫色の小さい実の名前を教えて!」

少女は沖田総司の指した先を一瞥すると、沖田総司を見て、沖田総司に微笑んで話し出す。

「“小紫式部”です。」

沖田総司は傍に生る紫色の小さい実を指すのを止めると、少女に笑顔で話し出す。

「“小紫式部”は名前に小さいが付くけれど、“源氏物語”の作者と同じ名前だね!」

少女は沖田総司に微笑んで話し出す。

「“紫式部”を連想して名付けられた話があります。」

沖田総司は少女に笑顔で話し出す。

「鈴ちゃんは物知りだね!」

少女は沖田総司を恥ずかしく見た。

沖田総司は少女に心配して話し出す。

「私は鈴ちゃんを困らせる内容を話したのかな?」

少女は沖田総司に恥ずかしく話し出す。

「大丈夫です。」

沖田総司は少女に安心して話し出す。

「良かった。」

少女は沖田総司を微笑んで見た。

沖田総司も少女を微笑んで見た。

少女は小紫式部を微笑んで見た。

沖田総司は少女と小紫式部を微笑んで見た。


少し後の事。


ここは、沖田総司と少女が居る少し大きめの木の下。


沖田総司は笑顔で居る。

少女は微笑んで居る。


斉藤一が普通に来た。


沖田総司は斉藤一に笑顔で話し出す。

「斉藤さん! 待っていました!」

少女は斉藤一に微笑んで話し出す。

「斉藤さん。こんにちは。」

斉藤一は沖田総司と少女に普通の表情で頷いた。

沖田総司は斉藤一に笑顔で話し出す。

「斉藤さん! 小紫式部の実が綺麗に生っています!」

少女は斉藤一に微笑んで話し出す。

「今の居る場所に生る小紫式部の実は、綺麗な紫色です。」

斉藤一は小紫式部を普通の表情で見た。

沖田総司は斉藤一を笑顔で見た。

少女は斉藤一を微笑んで見た。

斉藤一は沖田総司と少女を見ると、沖田総司と少女に普通の表情で頷いた。

沖田総司は斉藤一と少女を笑顔で見た。

少女は沖田総司と斉藤一を微笑んで見た。




*      *      *      *      *      *




ここからは後書きになります。

この物語は既に掲載している物語の再改訂版です。

改訂前の物語の雰囲気や展開を出来るだけ残して改訂しました。

改訂前の物語を掲載するのは止めました。

以上、ご了承ください。

ここからは改訂前の後書きを加筆訂正して書きます。

物語の時間設定は、「新撰組異聞 短編 初見草」と「新撰組異聞 短編 白萩」の直後を想定して書きました。

新撰組の隊士の中で、比較的に名前の知られている人物という限定ですが、“かっこよい”、“もてる”、などが、記録や説として伝わる人物は、近藤勇さん、土方歳三さん、藤堂平助さん、原田左之助さん、などです。

藤堂平助さんは、普段は品が良い、かっこよい、などといわれていますが、剣を持つと勇ましい人物だった、といわれています。

藤堂平助さんが、どのようにして人を好きになるのか考えました。

藤堂平助さんの相手が思い浮かびませんでした。

藤堂平助さんが好きなっても不思議に感じない相手として思い浮かんだ女性は、鈴ちゃんでした。

藤堂平助さんは鈴ちゃんに思い切って話し掛けますが、鈴ちゃんに迷惑の掛かる可能性があるため、途中で話しを止めてしまいます。

「小紫式部(こむらさきしきぶ)」についてです。

小さい紫色の実が生ります。

別名には「小紫(こむらさき)」があります。

「紫式部(むらさきしきぶ)」の名前の種類があります。

「紫式部」より小さいので「小紫式部」と呼ぶようになった説があります。

「紫式部」の名前は、源氏物語を書いた「紫式部」から連想して付いた説があります。

楽しんで頂けると嬉しいです。





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