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新撰組異聞 〜 秋明菊 〜


〜 第三版 〜


今は秋。


ここは、京の町。


原田左之助が京の町を忙しく行動する機会が増えた。


原田左之助が忙しく行動する理由。

おまさのために、菓子などを売る店の確認、一緒に出掛ける場所の確認、を事前にしているため。


原田左之助に店や出掛ける場所を教えたのは、沖田総司と親しくする少女。


原田左之助も少女も、町中でお互いの姿を見掛けても、声を掛ける時はほとんどない。


少女が原田左之助に声を掛けない理由は、任務中の場合に迷惑を掛けるので、遠慮しているため。

原田左之助が少女に声を掛けない理由は、少女が沖田総司や斉藤一と居る時が多いため、話し掛ける時がほとんどないため。

原田左之助が少女に声を掛けない他の理由は、少女に声を掛けて迷惑を掛けないため。

原田左之助が少女に声を掛けない一番の理由は、おまさに気を遣っているため。

原田左之助は、幾つもの理由、幾つもの状況、が重なっているために、少女に礼を含めた感謝をしっかりと伝えていない。

原田左之助にとっては、沖田総司とは別な意味で少女が気になる日が続いている。


或る秋の日の事。


ここは、屯所。


縁。


沖田総司は微笑んで歩いている。

斉藤一は普通に歩いている。


沖田総司が斉藤一に微笑んで話し出す。

「今日は、私、斉藤さん、鈴ちゃん、の三人で逢いますよね。私は探し物があるので、少しだけ遅れてしまいます。私の代わりに鈴ちゃんを迎えに行ってください。」

斉藤一は沖田総司に普通の表情で頷いた。

沖田総司は斉藤一を微笑んで見た。


原田左之助が包みを持ち、笑顔で現れた。


斉藤一は普通に止まった。

沖田総司は不思議な様子で止まった。


斉藤一は原田左之助を普通の表情で見た。

沖田総司は原田左之助を不思議な様子で見た。

原田左之助は包みを持ち、沖田総司に微笑んで話し出す。

「総司。今日もあの子に逢うのか?」

沖田総司は原田左之助を不思議な様子で見ている。

原田左之助は沖田総司に包みを差し出すと、沖田総司に微笑んで話し出す。

「美味いと評判の店の菓子を買ったんだ。多く買ったから、お裾分けだ。」

沖田総司は原田左之助から包みを受け取ると、原田左之助に微笑んで話し出す。

「ありがとうございます。」

原田左之助は沖田総司に笑顔で話し出す。

「総司! しっかりしろよ!」

沖田総司は包みを持ち、原田左之助を不思議な様子で見た。


原田左之助は笑顔で歩き出した。


沖田総司は包みを持ち、原田左之助を不思議な様子で見た。

斉藤一は原田左之助を普通の表情で見た。


原田左之助の姿は見えなくなった。


沖田総司は斉藤一に包みを渡すと、斉藤一に微笑んで話し出す。

「斉藤さん。鈴ちゃんには、私に気兼ねせずに、先に菓子を食べるように、伝えてください。」

斉藤一は沖田総司から包みを受け取ると、沖田総司に普通の表情で頷いた。

沖田総司は斉藤一に微笑んで軽く礼をした。

斉藤一は包みを持ち、沖田総司に普通の表情で頷いた。


沖田総司は微笑んで居なくなった。


少し後の事。


ここは、少女の家。


玄関。


斉藤一は包みを持ち、普通に訪れた。


少女は僅かに不安な様子で現れた。


斉藤一は包みを持ち、少女に普通に話し出す。

「総司は用事があるために少し遅れる。総司の代わりに美鈴さんを迎えに来た。」

少女は斉藤一に僅かに不安な様子で話し出す。

「はい。」

斉藤一は包みを持ち、少女に普通の表情で頷いた。


斉藤一は包みを持ち、普通に居なくなった。

少女は僅かに不安な様子で居なくなった。


少し後の事。


ここは、秋明菊の花の綺麗に咲く場所。


斉藤一は普通に居る。

斉藤一の傍には、包みが置いてある。

少女は考えながら居る。


少女は沖田総司の来る予定の方向を心配な様子で見た。

斉藤一は少女に普通に話し出す。

「総司の遅れる状況が気になるのか?」

少女は斉藤一を見ると、斉藤一に微笑んで話し出す。

「大丈夫です。」

斉藤一は少女に普通に話し出す。

「俺の前で、嘘も隠し事も、するな。」

少女は斉藤一を困惑した様子で見た。

斉藤一は少女に普通に話し出す。

「話す内容が悪かった。」

少女は斉藤一に微笑んで話し出す。

「私は大丈夫です。安心してください。」

斉藤一は少女に普通に話し出す。

「原田さんから、美味しいと評判の店の菓子をもらった。総司が、総司に気兼ねせずに、美鈴さんに先に食べるように、と話した。」

少女は斉藤一に微笑んで話し出す。

「総司さんが来るまで待ちます。」

斉藤一は少女に普通の表情で頷いた。

少女は斉藤一に微笑んで話し出す。

「原田さんが、美味しいお菓子を売るお店などを教えて欲しいと話しました。私の知るお店などを何軒か紹介しました。原田さんが、私の紹介したお店で買物をした時に、お土産としてお菓子を頂いた時があります。」

斉藤一は少女を普通の表情で見た。

少女は斉藤一に微笑んで話し出す。

「原田さんが、美味しいと評判のお菓子を売るお店や綺麗な花の咲く場所の確認のために、町を忙しい様子で走る姿を幾度も見掛けます。お相手の方が羨ましいです。」

斉藤一は少女を普通の表情で見ている。

少女は斉藤一に僅かに慌てて話し出す。

「私は、総司さんと斉藤さんと、たくさんお話しをして、たくさんお出掛けをして、美味しい食べ物をたくさん食べています。いつも楽しいです。」

斉藤一は少女に普通に話し出す。

「慌てて話す必要は無い。」

少女は斉藤一を不安な様子で見た。

斉藤一は少女に普通に話し出す。

「美鈴さんの話したい内容は分かる。気にするな。」

少女は斉藤一を不安な様子で見ている。

斉藤一は少女に普通に話し出す。

「総司にも他人にも、話す理由は無い。悩むな。」

少女は斉藤一に不安な様子で小さい声で話し出す。

「はい。」

斉藤一は少女を普通の表情で見た。


同じ頃。


ここは、おまさの住む家の近く。


原田左之助は小さい花束を持ち、微笑んで居る。

おまさは不思議な様子で居る。


おまさは原田左之助に不思議な様子で話し出す。

「いつも明るいわね。」

原田左之助は小さい花束を持ち、おまさに微笑んで話し出す。

「おまさちゃんと話しが出来るから嬉しいんだ。」

おまさは原田左之助に微笑んで話し出す。

「同じ言葉を、土方さんや沖田さんから、言われたら、更に嬉しくなるわね。」

原田左之助は小さい花束を持ち、おまさを苦笑して見た。

おまさは原田左之助に微笑んで話し出す。

「嘘よ。」

原田左之助は小さい花束を持ち、おまさを苦笑して見ている。

おまさは原田左之助を微笑んで見た。

原田左之助はおまさに小さい花束を差し出すと、おまさに微笑んで話し出す。

「綺麗な花を見掛けたから、おまさちゃんのために摘んだ。受け取ってくれ。」

おまさは原田左之助から小さい花束を受け取ると、原田左之助に微笑んで話し出す。

「ありがとう。」

原田左之助はおまさを笑顔で見た。

おまさは小さい花束を持ち、原田左之助に微笑んで話し出す。

「綺麗な藤色の花ね。私の知る花ではなくて、似ている花かも知れないわ。念のために名前を教えて?」

原田左之助はおまさに微笑んで話し出す。

「分かった。」

おまさは小さい花束を持ち、原田左之助を微笑んで見た。


僅かに後の事。


ここは、斉藤一と少女が居る秋明菊の花の綺麗に咲く場所。


斉藤一は普通に居る。

斉藤一の傍には、包みが置いてある。

少女は微笑んでいる。


沖田総司は小さい花束を持ち、笑顔で来た。


少女は沖田総司を笑顔で見た。

斉藤一は沖田総司を普通の表情で見た。

沖田総司は小さい花束を持ち、少女に笑顔で話し出す。

「鈴ちゃん! 遅れてご免ね!」

少女は沖田総司に微笑んで話し出す。

「大丈夫です。」

沖田総司は小さい花束を持ち、少女に微笑んで話し出す。

「菓子を食べていなかったんだね。」

少女は沖田総司に微笑んで話し出す。

「総司さんと一緒に食べると、更に美味しくなります。総司さんの到着を待っていました。」

沖田総司は小さい花束を持ち、少女を笑顔で見た。

少女は沖田総司を微笑んで見た。

沖田総司は少女に小さい花束を差し出すと、少女に笑顔で話し出す。

「綺麗な藤色の秋明菊の花を見掛けたから、鈴ちゃんのために摘んだんだ! 良かったら受け取って!」

少女は沖田総司から小さい花束を受け取ると、沖田総司に微笑んで話し出す。

「ありがとうございます。」

沖田総司は秋明菊の花を一瞥すると、少女を見て、少女に恥ずかしく話し出す。

「良く考えたら、今日は秋明菊を見ながら話す予定だったね。今の居る場所の秋明菊の花も綺麗に咲いているね。寄り道をする必要は無かったね。」

少女は小さい花束を抱えて、下を困惑した様子で見た。

沖田総司は少女に心配して話し出す。

「鈴ちゃん? 調子が悪いのかな?」

少女は小さい花束を抱えて、下を向いて、困惑した小さい声で話し出す。

「大丈夫です。」

沖田総司は少女に心配して話し出す。

「私は変な内容を話したのかな?」

少女は小さい花束を抱えて、下を向いて、沖田総司に泣きそうな様子で話し出す。

「総司さんは悪くないです。悪いのは私です。」

沖田総司は少女を優しく抱くと、少女に心配して話し出す。

「鈴ちゃんは悪くないよ。」

少女は小さい花束を持ち、静かに泣き出した。

沖田総司は少女を抱いて、少女を心配して見た。

斉藤一は沖田総司と少女を普通の表情で見た。


少し後の事。


ここは、沖田総司、斉藤一、少女が居る、秋明菊の花の綺麗に咲く場所。


沖田総司は少女を優しく抱いている。

斉藤一は普通に居る。

斉藤一の傍には、包みが置いてある。

少女は小さい花束を抱いて、少し落ち着いた様子に見える。


少女は小さな花束を持ち、沖田総司に申し訳なく話し出す。

「すいません。」

沖田総司は少女を微笑んでゆっくりと放した。

少女は小さい花束を抱えて、沖田総司に申し訳なく話し出す。

「総司さんと斉藤さんが、楽しめません。」

沖田総司は少女に微笑んで話し出す。

「私も、疲れた時に悲しくなる時があるよ。」

少女は小さい花束を抱えて、沖田総司を申し訳なく見た。

沖田総司は斉藤一に微笑んで話し出す。

「斉藤さんも同じ状況になる時がありますよね。」

斉藤一は沖田総司と少女に普通の表情で頷いた。

少女は小さい花束を抱えて、沖田総司と斉藤一を安心した表情で見た。

沖田総司は少女を微笑んで見た。

少女は小さい花束を抱えて、沖田総司に微笑んで話し出す。

「総司さんから頂いた秋明菊のお花。私のお部屋に飾ります。」

沖田総司は少女に微笑んで話し出す。

「鈴ちゃんが喜んでくれて嬉しいよ。」

少女は小さい花束を抱えて、沖田総司を微笑んで見た。

沖田総司は少女に微笑んで話し出す。

「鈴ちゃん。菓子を食べよう。」

少女は小さい花束を抱えて、沖田総司に微笑んで話し出す。

「はい。」

沖田総司は少女を微笑んで見た。

斉藤一は沖田総司と少女を普通の表情で見た。


同じ頃。


ここは、おまさの住む家の近く。


原田左之助は笑顔で居る。

おまさは小さい花束を持ち、微笑んで居る。


おまさは小さな花束を持ち、原田左之助に微笑んで話し出す。

「左之助さん。秋明菊の花束。ありがとう。」

原田左之助はおまさに微笑んで話し出す。

「おまさちゃんが喜んでくれて嬉しいよ。」

おまさは小さい花束を持ち、原田左之助を微笑んで見た。

原田左之助はおまさに微笑んで話し出す。

「近くに美味しい菓子を売る店があるんだ。秋明菊の花を用意する間に売り切れたら困るから、取り置きを頼んだんだ。おまさちゃんに、是非、食べて欲しい菓子なんだ。これから一緒に菓子を取りに行かないか?」

おまさは小さい花束を持ち、原田左之助に微笑んで話し出す。

「美味しいお菓子が食べられるのね。とても楽しみ。一緒に出掛けるわ。」

原田左之助はおまさを微笑んで見た。


原田左之助は微笑んで歩き出した。

おまさは小さい花束を持ち、微笑んで歩き出した。


僅かに後の事。


ここは、沖田総司、斉藤一、少女の居る、秋明菊の花の綺麗に咲く場所。


沖田総司は笑顔で居る。

斉藤一は普通に居る。

斉藤一の傍には、菓子の入った包みが広げて置いてある。

少女は微笑んで居る。

少女の傍には、小さい花束が置いてある。


沖田総司は包みから菓子を取ると、斉藤一と少女に笑顔で話し出す。

「いただきます!」

少女は菓子を取ると、沖田総司と斉藤一に微笑んで話し出す。

「いただきます。」

斉藤一は沖田総司と少女に普通の表情で頷いた。

沖田総司は菓子を笑顔で美味しく食べ始めた。

少女は菓子を微笑んで食べ始めた。

沖田総司は菓子を食べ終わると、少女に笑顔で話し出す。

「鈴ちゃん! とても美味しい菓子だね!」

少女は菓子を食べるのを止めると、沖田総司に微笑んで話し出す。

「はい。」

斉藤一は沖田総司と少女を普通の表情で見ている。

少女は菓子を微笑んで食べ始めた。


少し後の事。


ここは、沖田総司、斉藤一、少女の居る、秋明菊の花の綺麗に咲く場所。


沖田総司は菓子を笑顔で美味しく食べ終わった。

斉藤一は普通に居る。

少女は菓子を微笑んで食べ終わった。


少女は沖田総司に微笑んで話し出す。

「秋明菊を秋牡丹と呼ぶ国があるそうです。」

沖田総司は秋明菊を見ると、少女に微笑んで話し出す。

「秋明菊の様子は、牡丹より菊が近いかな。」

少女は沖田総司に微笑んで話し出す。

「はい。」

沖田総司は少女を見ると、少女に微笑んで話し出す。

「鈴ちゃんは物知りだね。」

少女は沖田総司を恥ずかしく見た。

沖田総司は少女に心配して話し出す。

「鈴ちゃん? 大丈夫? 私は変な内容を話したのかな?」

少女は沖田総司に微笑んで話し出す。

「総司さんは変な内容を話していません。大丈夫です。」

沖田総司は少女を安心した表情で見た。

少女は沖田総司を微笑んで見た。

沖田総司は斉藤一を見ると、斉藤一に微笑んで話し出す。

「斉藤さん。秋明菊の花は綺麗ですよね。」

斉藤一は沖田総司に普通の表情で頷いた。

少女は沖田総司と斉藤一を微笑んで見た。


沖田総司、斉藤一、少女が一緒に居る時間は、秋明菊の咲く中で穏やかに過ぎていく。




*      *      *      *      *      *




ここからは後書きになります。

この物語は既に掲載している物語の再改訂版です。

改訂前の物語の雰囲気や展開を出来るだけ残して改訂しました。

改訂前の物語を掲載するのは止めました。

以上、ご了承願います。

ここからは改訂前の後書きを加筆訂正して書きます。

この物語は、「新撰組異聞 短編 藤袴物語」の後日談にもなっています。

原田左之助さんとおまささん、沖田総司さんと斉藤一さんと鈴ちゃん、の物語です。

「秋明菊(しゅうめいぎく)」についてです。

秋に菊に似た花が咲く様子から名付けられたそうです。

花の名前に「菊」の字が入っていますが、キンポウゲ科です。

「秋明菊」には、藤色のような花の他に、白色の花もあります。

中国原産です。

かなり前に日本に渡来したそうです。

別名は、「秋牡丹(あきぼたん)」、「貴船菊(きぶねぎく)」、です。

「貴船菊」は、京都の北の貴船地方に多い事から呼ばれる別名だそうです。

楽しんで頂けると嬉しいです。





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