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新撰組異聞 〜 端月を迎えて少し後の事 その後 〜


年の初めの月の事。

近藤勇とお雪の妹のお孝が付き合う事となった。

お孝はお雪が亡くなる少し前から一緒に住んでいた。

お孝は今もそのまま同じ家に住んでいる。


お孝の家に新撰組の隊士が文を持ってやってきた。

お孝はあまり嬉しくなさそうな表情で出迎えた。

新撰組の隊士は礼をして文を渡すと直ぐに居なくなった。

お孝は文を見るとため息を付いた。

文の送り主は近藤勇。

お孝は文を見るとふてくされた様子で呟いた。

「付き合っているというのに、ほとんど家に来ないのね。付き合っている意味がないじゃない。」

文を持ったまま自分の部屋へと戻っていった。


お孝は部屋に入ると机の前に座った。

手紙を読まずに机に置こうとしたが、一瞬だけ考えた後に呟いた。

「もしかしたら、会う予定が書いてある文かも知れないわよね。」

お孝は文を読み始めた。

しかし、文を読み始めて直ぐにふてくされた表情になり呟いた。

「なんだ。やっぱり会えないのね。」

お孝は文を全部読むと机に置いた。


土方歳三が近藤勇の部屋を訪れた。

近藤勇は土方歳三に微笑んで話し掛ける。

「歳。どうした?」

土方歳三は近藤勇に普通に話し掛ける。

「近藤さん。お孝さんの事で話しがある。良いかな。」

近藤勇は微笑んで土方歳三を見ると頷いた。

土方歳三は困った様子で近藤勇に話し掛ける。

「近藤さん。お孝さん宛の文を預けた隊士達が居るよな。みんなが俺の所に同じ話しをしてきて困っているんだ。」

近藤勇は土方歳三を不思議そうに見ている。

土方歳三は困った様子で近藤勇に話し掛ける。

「お孝さんの機嫌があまり良くないらしい。」

近藤勇は不思議そうに土方歳三に話し掛ける。

「誰もそんな事を俺に言ってこないぞ。」

土方歳三は近藤勇に呆れた様子で話し掛ける。

「普通は、近藤さんに、付き合い始めたお孝さんの機嫌が悪いですよ、とは言わないだろ。」

近藤勇は不思議そうに土方歳三に話し掛ける。

「でも、総司や斉藤は、お雪の事もお孝の事も、尋ねれば話しをしてくれたぞ。」

土方歳三は近藤勇に微笑んで話し掛ける。

「あの二人は特別。他の奴と一緒にしたら駄目だろ。」

近藤勇は納得をした様子で土方歳三に話し掛ける。

「確かにあの二人は特別だよな。」

土方歳三は近藤勇に呆れた様子で話し掛ける。

「今はそんな事に感心している場合ではないだろ。」

近藤勇は土方歳三を見ながら困った様子で話し出す。

「お孝は機嫌が悪かったのか。会っていても気が付かなかった。」

土方歳三は近藤勇に普通に話し掛ける。

「お孝さんは近藤さんと会えれば嬉しいだろ。近藤さんの前で機嫌が悪くなる事は無いだろ。」

近藤勇は土方歳三に考え込みながら話し掛ける。

「文の返事があまり来ないのもそのせいだったのか。」

土方歳三は近藤勇に困った様子で話し掛ける。

「近藤さん。お雪さんとお孝さんは姉妹だが性格がかなり違う。お雪さんと同じ気持ちで付き合っているなんて事は無いよな。」

近藤勇は土方歳三に考え込みながら話し掛ける。

「そういうつもりは無い。お孝に悪いだろ。忙しくてお孝と思うように会えないんだ。でも、お孝の事は気に掛けてはいるんだ。だから、文を書いたりしていたんだ。」

土方歳三は近藤勇に普通に話し掛ける。

「とにかく、お孝さんは近藤さんが付き合って家まで用意した相手だろ。局長の付き合っている人の機嫌が悪いなんて話しがいつまでも続くのは、対外的にも対内的にも困るんだ。」

近藤勇は苦笑しながら土方歳三に話し掛ける。

「そうだよな。」

土方歳三は近藤勇に呆れた様子で話し掛ける。

「本当にわかっているのか?」

近藤勇は苦笑しながら土方歳三に話し掛ける。

「わかった。早い内に時間を作ってお孝に会いに行くよ。」

土方歳三は近藤勇に微笑んで話し掛ける。

「ぜひそうしてくれ。」

近藤勇は土方歳三を見ながら微笑んで頷いた。

土方歳三は部屋から出て行った。


原田左之助と籐堂平助の二人が屯所で話しをしている。

原田左之助が籐堂平助に不思議そうに話し掛ける。

「近藤さんとお孝さんが付き合い始めたという話しを聞いたんだ。」

籐堂平助は普通に原田左之助に話し掛ける。

「そのようですね。」

原田左之助は籐堂平助に意味ありげに話し掛ける。

「平助。寂しくないのか?」

籐堂平助は不思議そうに原田左之助に返事をする。

「寂しくないですけど。」

原田左之助は意味ありげに籐堂平助に話し掛ける。

「平助。お孝さんと一緒に何度も出掛けていたよな。」

籐堂平助は原田左之助に普通に返事をする。

「はい。何度か一緒に出掛けました。」

原田左之助は籐堂平助に不思議そうに話し掛ける。

「俺は、お孝さんは平助の事が好きなのかと思っていたんだ。」

籐堂平助は苦笑しながら原田左之助に話し掛ける。

「それはないと思います。」

原田左之助は籐堂平助に不思議そうに話し掛ける。

「平助。違うと言い切る理由は何だ?」

籐堂平助は苦笑しながら原田左之助を見ている。

原田左之助は籐堂平助を不思議そうに見ながら話し掛ける。

「理由は?」

籐堂平助は原田左之助を困った様子で見ている。

原田左之助は籐堂平助に詰め寄って話し出す。

「平助。何かを知っているな?」

籐堂平助は困った様子で原田左之助に話し掛ける。

「原田さん。詰め寄られても困ります。少し離れてください。」

原田左之助は籐堂平助に詰め寄ったまま何かを話し掛けようとした。

しかし、二人のり直ぐ近くから呆れた様子で話し掛ける声が聞こえてきた。

「二人とも楽しそうだな。そんなに理由を知りたいのか?」

原田左之助と籐堂平助の二人は話しをするのを止めた。


少しだけ沈黙の時間が流れた。

原田左之助は声のする方向を恐る恐る見た。

籐堂平助は安心した様子で声のする方向を見た。

二人の視線の先にいるのは、呆れた様子の土方歳三。

土方歳三は呆れた様子で二人に話し掛ける。

「左之助。平助。何をしている? 仕事はどうした?」

原田左之助は土方歳三に笑顔で話し掛ける。

「平助と打ち合わせをしていました。」

籐堂平助は困った様子で土方歳三を見ている。

土方歳三は原田左之助に普通に話し掛ける。

「仕事をしている所を悪いが。平助を借りるぞ。」

原田左之助は土方歳三を見ながら微笑んで話し掛ける。

「どうぞ。」

土方歳三は籐堂平助を一瞥した。

籐堂平助は安心した表情で土方歳三を見ている。

土方歳三は籐堂平助に普通に話し掛ける。

「平助。行くぞ。」

籐堂平助は土方歳三を見ると黙って軽く礼をした。

土方歳三と籐堂平助は去っていった。


土方歳三と籐堂平助は少しだけ歩いた。

土方歳三が立ち止まった。

籐堂平助も立ち止まり不思議そうに土方歳三を見た。

土方歳三は籐堂平助に普通に話し掛ける。

「平助。お孝さんが平助に話しがあると言っていた。一緒に出掛けてくれたお礼が言いたいそうだ。近い内に適当に時間を作るから、お孝さんと話しをしてこい。」

籐堂平助は土方歳三を見ると普通に返事をする。

「わかりました。」

土方歳三は籐堂平助を一瞥すると普通に話し掛ける。

「話しは終わった。仕事に戻って良いぞ。」

籐堂平助は土方歳三に軽く礼をするとその場から居なくなった。


一方、こちらも屯所。

沖田総司は斉藤一に不思議そうに話し掛ける。

「近藤さんとお孝さんが付き合っている事ですが、不思議に感じます。」

斉藤一は沖田総司に普通に話し掛ける。

「不思議な話しでもないだろ。」

沖田総司は斉藤一に不思議そうに話し掛ける。

「そうでしょうか? やっぱり不思議です。」

斉藤一は沖田総司に普通に話し掛ける。

「総司は、二人が付き合う事が、そんなに不思議か? 彼女の性格なら近藤さんと付き合ってもおかしくないと思う。」

沖田総司は納得した様子で斉藤一に話し掛ける。

「そうかもしれませんね。」

斉藤一は黙って沖田総司を見ながら頷いた。

沖田総司は斉藤一に心配そうに話し掛ける。

「でも、お孝さんと近藤さんの性格からすると、後々、いろいろな事が起こりそうな気がします。」

斉藤一は沖田総司を見ながら黙って頷いた。

土方歳三が二人の近くを通り掛った。

沖田総司が微笑んで土方歳三に話し掛ける。

「土方さん。こんにちは。」

土方歳三は沖田総司を見ながら普通に話し掛ける。

「二人で何の話しをしていたんだ?」

沖田総司は土方歳三に微笑んで話し掛ける。

「近藤さんとお孝さんが付き合ったという話しをしていました。」

土方歳三は沖田総司を黙って見ている。

沖田総司は土方歳三に考え込みながら話し掛ける。

「近藤さんとお孝さんが付き合うと、後々、何かが起こるような気がします。」

土方歳三は沖田総司に微笑んで話し掛ける。

「例えば、どんな事が起こるんだ?」

沖田総司は土方歳三に考え込みながら話し掛ける。

「上手く説明できません。すいません。」

土方歳三は意味ありげな表情で沖田総司に話し掛ける。

「総司。人の心配をするより前に、心配しないといけない大切な人がいるよな。違ったかな?」

沖田総司は土方歳三を見ながら顔を赤くして黙ってしまった。

土方歳三は沖田総司の様子を見ながら、斉藤一に楽しそうに話し掛ける。

「なぁ、斉藤もそう思うだろ?」

斉藤一は土方歳三を見ると黙って頷いた。

沖田総司は顔を赤くして土方歳三と斉藤一に話し出す。

「二人して何を言っているんですか!」

土方歳三は沖田総司の様子を楽しそうな表情で見ながら居なくなった。

沖田総司は顔を赤くしたまま斉藤一を見た。

斉藤一は沖田総司の様子を普通の表情のまま黙って見ている。


それから数日後の事。

新撰組の隊士が、近藤勇の文を持ってお孝の家を訪れた。

お孝はふてくされた表情のまま、近藤勇からの文を隊士から受取った。

隊士は礼をすると直ぐに居なくなった。


お孝は文をじっと見つめていたが、部屋へと入っていった。


お孝はふてくされた様子で文を読み始めた。

しかし、直ぐに嬉しそうな表情に変わり文を読んでいる。


それから更に数日が経った。

近藤勇がお孝のもとを訪れた。

お孝は嬉しそうに近藤勇に話し掛ける。

「こんにちは。」

近藤勇はお孝を見ると微笑んで話し掛ける。

「お孝。一人にしてしまう事が多くて悪かった。寂しかっただろ。」

お孝は近藤勇を微笑んで見ながら返事をする。

「はい。ずっと一人で寂しかったです。」

近藤勇はお孝を見ながら申し訳なさそうに話し掛ける。

「仕事で忙しくて、お孝の所になかなか来られなかった。悪かった。」

お孝は微笑んで近藤勇に話し掛ける。

「忙しかったのは、お仕事だけですか?」

近藤勇はお孝を不思議そうに見ている。

お孝は微笑んで近藤勇に話し掛ける。

「何度も言いますが、私は姉さんとは違います。いつも笑っていた姉さんとは違います。でも、江戸の奥方様は別ですよ。安心してくださいね。でも、それ以外の人は別ですから忘れないでくださいね。」

近藤勇は苦笑しながらお孝を見ている。

お孝は微笑んで近藤勇を見ている。

近藤勇は苦笑しながらお孝を見て返事をする。

「わかっているよ。」

お孝は近藤勇に微笑んで話し掛ける。

「ありがとうございます。」

近藤勇は微笑んでお孝を見ている。

お孝は近藤勇に嬉しそうに抱きついた。

近藤勇は少し驚いた様子でお孝を受け止めた。

お孝は近藤勇に嬉しそうに話し掛ける。

「近藤さんと会えて嬉しいです。」

近藤勇はお孝を微笑んで見ながら黙って抱きしめた。

お孝は近藤勇に抱きつきながら微笑んで話し掛ける。

「あまり一人にすると怒りますよ。」

近藤勇はお孝を抱きながら苦笑して話し掛ける。

「わかっているよ。これからは、お孝と出来るだけ会うようにするよ。」

お孝は近藤勇に抱きつきながら拗ねた様子で話し出す。

「出来るだけですか?」

近藤勇は微笑んでお孝を抱きながら話し掛ける。

「これから、お孝とたくさん会うようにするよ。」

お孝は近藤勇に微笑んで抱きつきながら話し掛ける。

「ありがとうございます。」

近藤勇は苦笑しながらお孝を抱いている。

お孝は嬉しそうな表情で近藤勇に抱きつきながら話し掛ける。

「近藤さん。次は一緒にどこかに出掛けたいです。」

近藤勇はお孝を微笑んで抱きながら話し掛ける。

「わかった。次は一緒にどこかに出掛けよう。お孝の行きたい所に出掛けよう。」

お孝は近藤勇に嬉しそうに抱きつきながら話し掛ける。

「約束ですよ。忘れちゃ駄目ですよ。」

近藤勇は微笑んでお孝を抱きながら返事をする。

「約束するよ。」

お孝は嬉しそうに近藤勇に抱きついている。

近藤勇は微笑んだ表情でお孝を抱いている。




*      *      *      *      *      *




ここからは後書きになります。

「新撰組異聞 端月を迎えて少し後の事」の後日談となります。

実際のお孝さんが近藤勇さんと付き合い始めたのは、お雪さんが生きていて近藤勇さんと付き合っている最中の事でした。

付き合い始めたきっかけも、お雪さんが体調が悪くて医者に出掛けている間に、近藤さんとお孝さんとの間でいろいろとあった出来事が、付き合うきっかけとなったようです。

ただ、それだと物語も複雑になってくるので、「新撰組異聞」のなかでは、お雪さんが亡くなってから付き合っているという設定にしました。

そのため、お雪さんが亡くなって直ぐとはなりますが、二人は付き合ったという設定で物語を進めました。

二人の間には、女の子の「お勇さん」が生まれます。

お勇さんの登場があるかどうかは未定ですが、近藤勇さんとお孝さんの物語を考えました。

控えめなお雪さんに対して、はっきりと物を言うお孝さん。

ここで、お孝さんが、近藤勇さんに微妙に含みを持たせて話しをしている場面が登場します。

近藤勇さんには、江戸に奥さんのツネさんとお嬢さんが一人います。

しかし、京都では、いろいろな方と付き合っていたようです。

近藤勇さんは、お雪さんやお孝さん以外にもいろいろな人と付き合っていました。

名前がわかる範囲でも何人もいるので、名前の確認が取れない人も含めたら何人いるのかな? といろいろと考えてしまいました。

ただし、当時、身分の高い人や地位のある人が、奥さん以外と付き合うこと自体は、特別不思議な事ではありません。

ツネさんもお雪さんもお孝さんもその事はわかっていたと思います。

新撰組の人達以外の薩長の人達などにも、こういう内容の話しはいろいろとあるようです。

今回の物語は、近藤勇さんとお孝さんと土方歳三さんが中心となっている物語です。

珍しい感じの物語となりました。

「端月」ですが、「たんげつ」と読みます。

「陰暦正月の異称」です。

「端」という字に「はじめ」の意味があるそうなので、そこから、陰暦正月の異称となるそうです。

楽しんで頂けると嬉しいです。





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