このページは、2019年3月に保存されたアーカイブです。最新の内容ではない場合がありますのでご注意ください

新撰組異聞 〜 桜の花に喩えたら 〜


〜 第三版 〜


今は春。


ここは、京の町。


早咲きの桜が咲いている。


沖田総司は真剣な表情で京の町の見回りをしている。

沖田総司の率いる一番組の隊士達も、真剣な表情で京の町の見回りをしている。


沖田総司と一番組の隊士達から少し離れた場所に、綺麗な緋色の花の咲く木が見えた。


一番組の隊士達は、綺麗な緋色の花の咲く木を見ながら話し出した。

「梅の花の時季は終わりに近い。桃ではない。桜でもない。何の花かな?」

「時季的に考えて早咲きの桜だと思う。」

「早咲きの桜は何種類かあるそうだ。早咲きの桜の可能性が高いな。」


沖田総司は一番組の隊士達に厳しい表情で話し出す。

「今は任務中だ! 何時まで任務に無関係の内容を話している! 気を抜くな!」

一番組の隊士達は沖田総司に困惑して話し出す。

「申し訳ありません。」

沖田総司は一番組の隊士達を睨んだ。

一番組の隊士達は真剣な表情で京の町の見回りをした。

沖田総司は真剣な表情で京の町の見回りをした。


僅かに後の事。


ここは、綺麗な緋色の花の咲く木の傍。


沖田総司は真剣な表情で来た。

一番組の隊士達も真剣な表情で来た。


沖田総司は綺麗な緋色の花の咲く木を真剣な表情で見た。


桜の花を小さくした綺麗な緋色の花がたくさん咲いている。


一番組の隊士達は真剣な表情で京の町の見回りをしている。

沖田総司は、綺麗な緋色の花、一番組の隊士達、京の町の様子、全てに気を配りながら、真剣な表情で見回りをしている。


沖田総司は、真剣な表情で見回りを続けながら、綺麗な緋色の花の咲く木を通り過ぎた。

一番組の隊士達も、真剣な表情で見回りを続けながら、綺麗な緋色の花の咲く木を通り過ぎた。


翌日の事。


ここは、京の町。


青空が広がっている。


沖田総司は微笑んで歩いている。

少女も微笑んで歩いている。


沖田総司は少女に微笑んで話し出す。

「鈴ちゃん。昨日の任務中に、桜の花を小さくした綺麗な緋色の花が咲く木を見付けたんだ。鈴ちゃんも気に入ると思うんだ。一緒に見よう。」

少女は沖田総司に微笑んで話し出す。

「楽しみです。」

沖田総司は少女を微笑んで見た。


少し後の事。


ここは、綺麗な緋色の花の咲く木の傍。


沖田総司は笑顔で来た。

少女は微笑んで来た。


沖田総司は綺麗な緋色の花の咲く木を指すと、少女に笑顔で話し出す。

「鈴ちゃん! 綺麗な色の花だよね!」

少女は綺麗な緋色の花を見ると、沖田総司に微笑んで話し出す。

「はい。」

沖田総司は綺麗な緋色の花が咲く木を指すのを止めると、少女に笑顔で話し出す。

「鈴ちゃんも気に入ったんだ! 嬉しいな!」

少女は沖田総司を微笑んで見た。

沖田総司は少女に微笑んで話し出す。

「鈴ちゃん。綺麗な緋色の花は、桜の花で良いのかな?」

少女は沖田総司に微笑んで話し出す。

「“おかめ桜”という名前の桜です。」

沖田総司は少女に微笑んで話し出す。

「桜の名前は、“おかめ桜”なんだ。」

少女は沖田総司に微笑んで話し出す。

「はい。」


陽の光がおかめ桜に向かって差した。


少女は沖田総司とおかめ桜を微笑んで見た。

沖田総司も少女とおかめ桜を微笑んで見た。


陽の光がおかめ桜の枝の間を通り抜けながら、少女に差している。


沖田総司は少女を見ながら、恥ずかしく呟いた。

「鈴ちゃん。綺麗。」

少女は沖田総司を不思議な様子で見た。

沖田総司は少女に恥ずかしく話し出す。

「鈴ちゃんを見ていたら、おかめ桜のようだと思ったんだ。」

少女は沖田総司を寂しく見た。

沖田総司は少女を不思議な様子で見た。

少女は下を寂しく見た。

沖田総司は少女に心配して話し出す。

「鈴ちゃん。私は変な内容の話したのかな?」

少女は沖田総司を見ると、沖田総司に寂しく話し出す。

「総司さんは変な内容を話していません。総司さんの話すとおりです。」

沖田総司は少女を心配して見た。

少女は沖田総司を寂しく見た。

沖田総司は少女に心配して話し出す。

「歩いた後に立ち話をすると疲れるよね。場所を変えて休みながら話そう。」

少女は沖田総司に微笑んで話し出す。

「はい。」

沖田総司は少女を安心した様子で見た。


暫く後の事。


ここは、屯所。


斉藤一の部屋。


斉藤一は普通に居る。


沖田総司は部屋を不安な様子で訪ねた。


斉藤一は沖田総司を普通の表情で見た。

沖田総司は斉藤一に不安な様子で話し出す。

「斉藤さん。私は鈴ちゃんを悲しませる内容を話したようです。」

斉藤一は沖田総司を普通の表情で見ている。

沖田総司は斉藤一を不安な様子で見た。

斉藤一は沖田総司に普通に話し出す。

「続きを話せ。」

沖田総司は斉藤一に不安な様子で話し出す。

「昨日の出来事になりますが、綺麗な緋色の小さめの桜を見ました。小さめの桜で可愛いので、鈴ちゃんにも見て欲しいと思いました。今日は、鈴ちゃんと綺麗な緋色の小さめの桜を見に行きました。小さくて可愛い緋色の桜なので、鈴ちゃんのようだと話しました。鈴ちゃんは悲しい様子になりました。後の鈴ちゃんは、時折は笑顔を見せていましたが、下を向いている時が多かったです。」

斉藤一は沖田総司に普通に話し出す。

「総司が美鈴さんに喩えた桜は何だ?」

沖田総司は斉藤一に不安な様子で話し出す。

「おかめ桜、です。」

斉藤一は沖田総司を普通の表情で見た。

沖田総司は斉藤一を不安な様子で見た。

斉藤一は沖田総司に普通に話し出す。

「総司。おかめ桜の咲く場所に連れて行け。」

沖田総司は斉藤一に心配な様子で頷いた。


斉藤一は部屋を普通に出て行った。

沖田総司は部屋を心配な様子で出て行った。


少し後の事。


ここは、おかめ桜の木の傍。


沖田総司は不安な様子で来た。

斉藤一は普通に来た。


沖田総司はおかめ桜を指すと、斉藤一に不安な様子で話し出す。

「おかめ桜です。」

斉藤一は沖田総司とおかめ桜を普通の表情で見た。

沖田総司はおかめ桜を指すのを止めると、斉藤一に不安な様子で話し出す。

「鈴ちゃんのような可愛い桜ですよね。」

斉藤一は沖田総司に普通に話し出す。

「総司。おかめ桜は綺麗な色の小さい花が咲く。総司が美鈴さんをおかめ桜の花に喩えた気持ちは分かる。今回の一番の問題は、総司がおかめ桜の一部の言葉の意味を忘れて、美鈴さんに詳しい説明をせずに喩えた状況だ。」

沖田総司は斉藤一を何かを思い出した表情で見た。

斉藤一は沖田総司を普通の表情で見た。

沖田総司は斉藤一に不安な様子で話し出す。

「私は鈴ちゃんに失礼な内容を話してしまいました。」

斉藤一は沖田総司に普通の表情で頷いた。

沖田総司は斉藤一を悲しい様子で見た。

斉藤一は沖田総司に普通に話し出す。

「総司。花を贈る時や花に喩える時は、花の特徴や名前を考えてから話せ。美鈴さんの気持ちを考えてから、花を贈れ、花に喩えろ。」

沖田総司は斉藤一に寂しく話し出す。

「私は花について疎いです。鈴ちゃんに花を贈れなくなります。」

斉藤一は沖田総司に普通に話し出す。

「贈り物に選んだ理由や花に喩えた理由を、美鈴さんに詳しく説明すれば良い。」

沖田総司は斉藤一に不安な様子で話し出す。

「斉藤さん。私は、鈴ちゃんの笑顔を戻すために、何をすれば良いのですか?」

斉藤一は沖田総司に普通に話し出す。

「美鈴さんにおかめ桜に喩えた理由を詳しく説明しろ。美鈴さんに説明するだけでは不安なら、おかめ桜以外の花を贈って説明しろ。」

沖田総司は斉藤一に不安な様子で頷いた。

斉藤一は沖田総司を普通の表情で見た。


沖田総司の視線の先に、淡い桃色の花の咲く木が見えた。


淡い桃色の花の咲く木は、周りを穏やかな雰囲気に包んでいる。


沖田総司は淡い桃色の花の咲く木を不思議な様子で見た。

斉藤一は沖田総司と淡い桃色の花の咲く木を普通の表情で見た。

沖田総司は斉藤一を見ると、斉藤一に不思議な様子で話し出す。

「斉藤さん。淡い桃色の花の咲く木。桜ですか?」

斉藤一は沖田総司を見ると、沖田総司に普通に話し出す。

「桜になる。桜の名前は、“春めき”、になる。」

沖田総司は斉藤一に微笑んで話し出す。

「春めき。良い名前の桜ですね。」

斉藤一は沖田総司に普通の表情で頷いた。

沖田総司は斉藤一に心配な様子で話し出す。

「鈴ちゃんは春めきを見たら喜びますよね。鈴ちゃんも春めきを見て欲しいです。」

斉藤一は沖田総司に普通の表情で頷いた。

沖田総司は斉藤一に不安な様子で話し出す。

「鈴ちゃんは、何時も温かくて優しくて春のようです。鈴ちゃんは、春めきの桜のようです。鈴ちゃんの笑顔が早く見たいです。私の想いを以上の内容で伝えたら、鈴ちゃんの笑顔は戻るでしょうか?」

斉藤一は沖田総司に普通の表情で頷いた。

沖田総司は斉藤一を微笑んで見た。

斉藤一は沖田総司に普通に話し出す。

「総司。戻るぞ。」

沖田総司は斉藤一に微笑んで話し出す。

「はい。」

斉藤一は沖田総司を普通の表情で見た。


斉藤一は普通に歩き出した。

沖田総司は微笑んで歩き出した。


数日後の事。


ここは、京の町。


早咲きの桜が綺麗に咲いている。

春めきも綺麗に咲いている。


ここは、少女の家。


玄関。


沖田総司は微笑んで居る。


少女は心配な様子で現れた。


沖田総司は少女に微笑んで話し出す。

「今日は時間に余裕が出来たんだ。桜の花を見に行こう。」

少女は沖田総司に心配な様子で話し出す。

「はい。」

沖田総司は少女を微笑んで見た。


沖田総司は家を微笑んで出て行った。

少女は家を心配な様子で出て行った。


少し後の事。


ここは、おかめ桜と春めきの咲く場所。


おかめ桜は満開になって咲いている。

春めきは綺麗に咲いている。


ここは、おかめ桜の木の傍。


沖田総司は微笑んで来た。

少女は僅かに寂しく来た。


少女はおかめ桜を僅かに寂しく見た。

沖田総司は少女に心配な様子で話し出す。

「鈴ちゃん。少し話しても良いかな。」

少女は沖田総司を見ると、沖田総司に不安な様子で話し出す。

「はい。」

沖田総司は少女に心配して話し出す。

「おかめの名前が付いているけれど、おかめ桜は小さくて綺麗な緋色の花の咲く可愛い桜だと思ったんだ。おかめ桜は可愛い桜だから、鈴ちゃんのようだと思ったんだ。おかめの言葉の意味を考えずに、鈴ちゃんに喩えてしまった。私の気配りが足りないために、鈴ちゃんに悲しい思いをさせてしまった。鈴ちゃん。ご免ね。」

少女は沖田総司に微笑んで話し出す。

「お気遣いありがとうございます。」

沖田総司は少女に赤面して話し出す。

「鈴ちゃんは可愛いよ。」

少女は沖田総司を恥ずかしく見た。

沖田総司は少女に赤面して話し出す。

「鈴ちゃんの笑顔が戻った。嬉しいな。」

少女は沖田総司に恥ずかしく話し出す。

「お気遣い頂いてありがとうございます。」

沖田総司は少女に赤面して話し出す。

「鈴ちゃん。おかめ桜から少し離れた場所に、綺麗な桜が咲いているんだ。一緒に見よう。」

少女は沖田総司に恥ずかしく話し出す。

「はい。」

沖田総司は少女を赤面して見た。

少女は沖田総司を微笑んで見た。


沖田総司は赤面して歩き出した。

少女は微笑んで歩き出した。


僅かに後の事。


ここは、春めきの木の傍。


春めきは淡い色の花を綺麗に咲かせている。


沖田総司は微笑んで来た。

少女も微笑んで来た。


少女は春めきを微笑んで見た。

沖田総司は少女に微笑んで話し出す。

「鈴ちゃん。今の居る場所に咲く桜の名前を知っている?」

少女は沖田総司を見ると、沖田総司に微笑んで話し出す。

「春めき。合っていますか?」

沖田総司は少女に微笑んで頷いた。

少女は沖田総司を微笑んで見た。

沖田総司は少女に微笑んで話し出す。

「春めきを見ていたら、笑顔になったんだ。春を感じる綺麗な桜だよね。」

少女は沖田総司に微笑んで話し出す。

「はい。」

沖田総司は少女に赤面して話し出す。

「鈴ちゃんは春めきの桜のようだ。」

少女は沖田総司を恥ずかしく見た。

沖田総司は少女に赤面して話し出す。

「鈴ちゃん。春めきを少し分けてもらえるんだ。部屋に飾って楽しんで。」

少女は沖田総司に恥ずかしく話し出す。

「ありがとうございます。嬉しいです。」

沖田総司は少女に赤面して話し出す。

「綺麗な春めきを分けてもらおうね。」

少女は沖田総司に恥ずかしく話し出す。

「はい。」

沖田総司は少女に赤面して話し出す。

「理由が分からないけれど、気持ちが落ち着かない。気持ちを落ち着かせてから、春めきを分けてもらおう。」

少女は沖田総司に恥ずかしく話し出す。

「はい。」

沖田総司は赤面してしながら、大きく息をはいた。

少女は恥ずかしい様子で、小さく息をはいた。

沖田総司は少女に微笑んで話し出す。

「気持ちが落ち着いた。」

少女は沖田総司に微笑んで話し出す。

「はい。」

沖田総司は少女に微笑んで話し出す。

「鈴ちゃん。春めきを分けてもらおう。」

少女は沖田総司に微笑んで話し出す。

「はい。」

沖田総司は少女を微笑んで見た。


沖田総司は微笑んで歩き出した。

少女も微笑んで歩き出した。


おかめ桜と春めきは、染井吉野より早く咲く桜。

綺麗な緋色の花のおかめ桜と淡い桃色の花の春めきは、沖田総司が少女に喩えた桜。

たくさんの桜が京の町を包む季節が始まった。




*      *      *      *      *      *




ここからは後書きになります。

この物語は既に掲載している物語の再改訂版です。

改訂前の物語や展開を出来るだけ残して改訂しました。

改訂前の物語を掲載するのは止めました。

以上、ご了承願います。

ここからは改訂前の後書きを加筆訂正して書きます。

この物語に登場する「おかめ桜」と「春めき」は、新撰組の隊士達が見られない(又は、見られない可能性の高い)桜です。

「おかめ桜」についてです。

「おかめ」の名前でご存知の方もいると思います。

植物園などでは「おかめ」の名前で説明していますが、「おかめ桜」の名前でも知られています。

「おかめ」の名前は付いていますが、綺麗な桜です。

「豆桜」と「寒緋桜」の種間雑種から選抜して出来た桜だそうです。

早咲きで小さめで緋色の花が特徴です。

遠くから見ると、緋色の花が綺麗に映えます。

近くで見ても緋色の花が綺麗です。

「おかめ」は、昭和の時代になってから、ベルギーの或る園主が、お土産に持ってきた桜という説が広く知られていました。

後に上記の説が違う事が分かったそうです。

訂正された内容は、「イギリスのプラントハンターだった人が、自ら作った“豆桜(まめざくら)”と“寒緋桜(かんひざくら)”の交雑品種に“おかめ”と名付けたそうです。」となります。

この物語は「おかめ桜」の名前で書きました。

「おかめ」は「お多福(おたふく)」と同じ意味のため、褒め言葉には使わない方が良いと思う言葉です。

「春めき」についてです。

早咲きの桜なので「染井吉野」より早く咲きます。

元の呼び名は「足柄桜(あしがらざくら)」です。

足柄市民の方が「春めき」の名前で品種登録をした桜です。

淡いピンク色の綺麗な桜です。

楽しんで頂けると嬉しいです。





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