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新撰組異聞 〜 夏の頃 薫衣草の贈り物 〜


〜 改訂版 〜


今は、夏の終わり。


ここは、京の町。


毎日のように夏の暑さが続いている。


ここは、屯所。


土方歳三の部屋。


土方歳三は微笑んで居る。

沖田総司は笑顔で居る。

斉藤一は普通に居る。

机の上に、紙と木箱が載っている。


沖田総司は土方歳三に嬉しく話し出す。

「斉藤さんが、土方さんから珍しい物を分けてもらえると教えてくれました! 楽しみです!」

土方歳三は沖田総司に微笑んで話し出す。

「期待してもらえて嬉しいよ。」

沖田総司は土方歳三を嬉しく見た。

土方歳三は木箱を微笑んで持った。

沖田総司は土方歳三を嬉しく見ている。

斉藤一は土方歳三と沖田総司を普通の表情で見た。

土方歳三は沖田総司の前と斉藤一の前の間に、木箱を微笑んで置いた。

沖田総司は土方歳三と木箱を嬉しく見た。

斉藤一は沖田総司を普通の表情で見た。

土方歳三は木箱を微笑んで開けた。


木箱を開けた途端に、優しくて落ち着く香りが、土方歳三と沖田総司と斉藤一を包んだ。


木箱の中には、紫色の小さな花が集まるように咲く植物が、たくさん入っている。


沖田総司は花を不思議な様子で見た。

土方歳三は沖田総司に微笑んで話し出す。

「“らべんだー”。異国の花だ。“薫衣草”の別名がある。」

沖田総司は土方歳三を見ると、土方歳三に不思議な様子で話し出す。

「“らべんだー”? “くいんそう”?」

土方歳三は沖田総司に微笑んで頷いた。

沖田総司は土方歳三に不思議な様子で話し出す。

「良い香りの花だと思いますが、枯れている様子に見えます。」

土方歳三は沖田総司に微笑んで話し出す。

「乾燥させた花を分けてもらった。」

沖田総司は土方歳三を不思議な様子で見た。

土方歳三は沖田総司に微笑んで話し出す。

「異国では、“らべんだー”を、煎じて飲む、風呂に浮かべる、部屋に飾る、いろいろな楽しみ方をしているそうだ。」

沖田総司は土方歳三を不思議な様子で見ている。

土方歳三は紙を取ると、沖田総司に紙を渡して、沖田総司に微笑んで話し出す。

「簡単な説明を書いてある。」

沖田総司は土方歳三から紙を不思議な様子で受け取った。

土方歳三は沖田総司を微笑んで見た。

沖田総司は紙を広げると、紙を不思議な様子で見た。

土方歳三は沖田総司に微笑んで話し出す。

「“らべんだー”を数本ほど分ける。“らべんだー”を持っていく場所があれば、斉藤と一緒に出掛けろ。」

沖田総司は紙を持ち、土方歳三を見ると、土方歳三に笑顔で話し出す。

「ありがとうございます!」

土方歳三は沖田総司に微笑んで頷いた。

沖田総司は紙を持ち、“らべんだー”を嬉しく見た。

土方歳三は沖田総司に微笑んで話し出す。

「花に疎い総司が、“らべんだー”を楽しく選んでいる。」

沖田総司は紙を持ち、土方歳三を僅かに動揺して見た。

土方歳三は沖田総司に微笑んで話し出す。

「総司。動揺しているのか?」

沖田総司は紙を持ち、土方歳三に僅かに動揺して話し出す。

「動揺していません。」

土方歳三は沖田総司に微笑んで話し出す。

「“らべんだー”の風呂に浸かる。喜ぶ人物がいるな。」

沖田総司は紙を持ち、土方歳三を僅かに動揺して見た。

土方歳三は斉藤一に微笑んで話し出す。

「斉藤。総司は面白い。」

斉藤一は土方歳三に普通の表情で軽く礼をした。

土方歳三は沖田総司に微笑んで話し出す。

「総司。動揺しても構わないが、“らべんだー”を早く選んでくれ。」

沖田総司は紙を持ち、土方歳三に僅かに動揺して話し出す。

「はい。」

土方歳三は沖田総司を微笑んで見た。

沖田総司は紙を持ち、軽く息を吸った。


部屋の中を包む優しくて落ち着く香りが、沖田総司の元に再び届いた。


沖田総司は紙を持ち、微笑んだ表情になった。

土方歳三は沖田総司を微笑んで見た。

沖田総司は紙を持ち、“らべんだー”を微笑んで選んだ。


少し後の事。


ここは、町中。


沖田総司は“らべんだー”を抱えて、微笑んで歩いている。

斉藤一は普通に歩いている。


沖田総司は“らべんだー”を抱えて、斉藤一に微笑んで小さい声で話し出す。

「“らべんだー”。薬草の一種類。“薫衣草”の別名がある。風呂、部屋に飾る、などの内容で楽しむ。」

斉藤一は沖田総司に普通に話し出す。

「煎じて飲む、風呂に浮かべる、部屋に飾る、などの内容で使う。」

沖田総司は“らべんだー”を抱えて、斉藤一に微笑んで話し出す。

「“らべんだー”。薬草の一種類。“薫衣草”の別名がある。煎じて飲む、風呂に浮かべる、部屋に飾る、などの内容で使う。以上です。」

斉藤一は沖田総司に普通に話し出す。

「総司。花に関する内容は、短い文章でも間違える。」

沖田総司は“らべんだー”を抱えて、斉藤一に恥ずかしく話し出す。

「とても長い文章ではないですが、少し長い文章です。」

斉藤一は沖田総司に普通に話し出す。

「文字数は、短歌より長い。総司にとっては、少し長めになる。納得する内容だ。」

沖田総司は“らべんだー”を抱えて、斉藤一に恥ずかしく話し出す。

「時間が無くて覚えられませんでした。」

斉藤一は沖田総司に普通に話し出す。

「俺も時間は無かった。俺は既に覚えた。」

沖田総司は“らべんだー”を抱えて、斉藤一を拗ねて見た。

斉藤一は沖田総司に普通に話し出す。

「男性で拗ねながら花を抱える姿の似合う人物。土方さんのみに等しい。総司は全く似合わない。」

沖田総司は“らべんだー”を抱えて、斉藤一に拗ねて話し出す。

「はい〜」

斉藤一は沖田総司に普通に話し出す。

「花を抱えて拗ねるな。」

沖田総司は“らべんだー”を抱えて、斉藤一に寂しく話し出す。

「はい。」

斉藤一は沖田総司に普通に話し出す。

「男性で寂しい表情で花を抱える姿の似合う人物。土方さんのみに等しい。総司は全く似合わない。」

沖田総司は“らべんだー”を抱えて、斉藤一に困惑して小さい声で話し出す。

「はい。」

斉藤一は沖田総司に普通に話し出す。

「男性で囁くほどの小さい声で話す姿の似合う人物。土方さんのみに等しい。総司は全く似合わない。」

沖田総司は“らべんだー”を抱えて、斉藤一を苦笑して見た。

斉藤一は沖田総司に普通に話し出す。

「完璧ではないが、合格だ。普段どおりの言動が出来れば、完璧な合格だ。」

沖田総司は“らべんだー”を抱えて、斉藤一に苦笑して話し出す。

「斉藤さんから完璧ではなくても合格がもらえました。嬉しいです。」

斉藤一は沖田総司に普通の表情で頷いた。

沖田総司は“らべんだー”を抱えて、斉藤一を微笑んで見た。

斉藤一は沖田総司に普通に話し出す。

「総司。完璧な合格だ。」

沖田総司は“らべんだー”を抱えて、斉藤一に微笑んで話し出す。

「斉藤さんから完璧な合格がもらえました。とても嬉しいです。」

斉藤一は沖田総司に普通の表情で頷いた。

沖田総司は“らべんだー”を抱えて、斉藤一を微笑んで見た。


少し後の事。


ここは、少女の家。


少女の部屋。


沖田総司は微笑んで居る。

沖田総司の脇に“らべんだー”が置いてある。

斉藤一は普通に居る。

少女は微笑んで居る。


“らべんだー”の優しくて落ち着く香りは、沖田総司、斉藤一、少女を包んでいる。


沖田総司は少女に微笑んで話し出す。

「突然の訪問になった。ご免ね。」

少女は沖田総司に微笑んで話し出す。

「総司さんと斉藤さんと一緒に、お話しが出来ます。とても嬉しいです。」

沖田総司は少女に微笑んで話し出す。

「今日は、鈴ちゃんに“らべんだー”という名前の珍しい花を持ってきたんだ。」

少女は沖田総司に微笑んで話し出す。

「ありがとうございます。」

沖田総司は“らべんだー”を取ると、少女に微笑んで話し出す。

「私の持ってきた“らべんだー”は、生花ではなくて、乾燥させた花なんだ。」

少女は“らべんだー”を見ると、沖田総司に微笑んで話し出す。

「良い香りです。綺麗な色です。乾燥させたお花に思えません。」

沖田総司は“らべんだー”を少女に渡すと、少女に微笑んで話し出す。

「鈴ちゃん。“らべんだー”。気に入ったら、受け取って。」

少女は沖田総司から“らべんだー”を受け取ると、沖田総司に微笑んで話し出す。

「ありがとうございます。」

沖田総司は少女に微笑んで話し出す。

「“らべんだー”。薬草の一種類なんだよ。別名は、“薫衣草”だよ。煎じて飲む、風呂に浮かべる、部屋に飾る、などの内容で使うんだよ。」

少女は“らべんだー”を持ち、“らべんだー”を微笑んで見た。

沖田総司は少女に微笑んで話し出す。

「“らべんだー”。気持ちの落ち着く香りだよね。」

少女は“らべんだー”を持ち、沖田総司を見ると、沖田総司に微笑んで話し出す。

「はい。」

沖田総司は少女を微笑んで見た。

少女は“らべんだー”を持ち、沖田総司に微笑んで話し出す。

「お風呂に浮かべて楽しみます。部屋に飾って楽しみます。」

沖田総司は少女に微笑んで頷いた。

少女は“らべんだー”を持ち、“らべんだー”を微笑んで見た。

沖田総司は斉藤一を微笑んで見た。

斉藤一は沖田総司に普通の表情で頷いた。

沖田総司は斉藤一を微笑んで見ている。


“らべんだー”の優しくて落ち着く香りは、沖田総司、斉藤一、少女を包み続けている。


少し後の事。


ここは、町中。


沖田総司は微笑んで歩いている。

斉藤一は普通に歩いている。


沖田総司は斉藤一に嬉しく話し出す。

「鈴ちゃんが“らべんだー”を喜んで受け取ってくれました! 鈴ちゃんの笑顔を見られました! とても嬉しいです!」

斉藤一は沖田総司を普通の表情で見た。

沖田総司は自分の着物を不思議な様子で嗅いだ。

斉藤一は沖田総司を普通の表情で見た。

沖田総司は斉藤一を見ると、斉藤一に微笑んで話し出す。

「“らべんだー”の香りが着物に残っています。」

斉藤一は沖田総司に普通に話し出す。

「今日の間だけは、常に落ち着いて冷静な総司を見られる。」

沖田総司は斉藤一に不思議な様子で話し出す。

「今の話だと、私は常に落ち着きが無くて冷静ではない、になります。」

斉藤一は沖田総司に普通に話し出す。

「細かい内容を気にするな。」

沖田総司は斉藤一に不思議な様子で話し出す。

「気になります。」

斉藤一は沖田総司に普通に話し出す。

「一々、細かい内容を気にするな。」

沖田総司は斉藤一に不思議な様子で話し出す。

「はい。」

斉藤一は沖田総司に普通の表情で頷いた。


暫く後の事。


ここは、少女の家。


風呂場。


少女は風呂に浸かっている。


風呂の中に“らべんだー”が浮かんでいる。


“らべんだー”の香りを含む湯気が、少女を優しく包んでいる。


少女が風呂の中で動くと、“らべんだー”が揺れる。


少女は“らべんだー”を取ると、“らべんだー”を見て、微笑んで呟いた。

「総司さん。斉藤さん。とても気持ち良いです。ありがとうございます。」


“らべんだー”の香りを含む湯気が、少女を優しく包みながら揺らめいた。


少し後の事。


ここは、京の町。


多くの人々が寝ている時間。


静かな時間が流れている。


ここは、少女の家。


少女の部屋。


机の上に、“らべんだー”が花瓶に挿して飾ってある。


“らべんだー”の優しくて落ち着く香りは、少女を優しく包んでいる。


少女は床の中で微笑んで気持ち良く寝ている。


“らべんだー”が広く知られるのは、土方歳三、沖田総司、斉藤一、少女が生きる時代よりかなり後の時になる。

“らべんだー”が広く知られる前の京の町で起きた物語になる。




*      *      *      *      *      *




ここからは後書きになります。

この物語は既に掲載している物語の改訂版です。

改訂前の物語の展開や雰囲気を出来るだけ残して改訂しました。

改訂前の後書きを掲載するのは止めました。

以上、ご了承願います。

ここからは改訂前の後書きを加筆訂正して書きます。

「ラベンダー」についてです。

シソ科の多年草です。

良く見る花色は、濃い紫色です。

地中海沿岸が原産です。

生薬などで使う時の別名は、「薫衣草(くいんそう)」と言うそうです。

ハーブの一種類です。

ハーブティー、食品、化粧品、お風呂、アロマオイル、ドライフラワー、ポプリ、など、いろいろな用途に使用されています。

「ラベンダー」の独特の香りには、殺菌効果、消炎効果、鎮静効果、などがあります。

効能や使用方法に関する詳細は、各自でご確認ください。

日本に「ラベンダー」が渡来したのは、江戸時代で1810年代(文化年間)になるそうです。

日本で「ラベンダー」が本格的に栽培されるようになったのは、昭和になってからだそうです。

開花時期は、場所によって違いがありますが、現在の暦で、5月から8月中旬です。

晩春から夏に掛けて開花すると思ってください。

この物語の「ラベンダー」は、ドライフラワーになっていると思ってください。

「お風呂」についてです。

江戸時代には銭湯をたくさんの人達が利用していました。

現在とは違い、「蒸し風呂」のようになっていたそうです。

「戸棚風呂」と呼ぶ形だったそうです。

熱くなっている小石の上に水を掛けて蒸気を出していたそうです。

浴槽には膝の高さほどのお湯しかありませんでした。

下半身はお湯に浸して、上半身は小石から出る蒸気で温めていたそうです。

蒸気が逃げないようにするために、「石榴口(ざくろぐち)」が考えられたそうです。

簡単な説明ですが、天井から低く板を下げて、蒸気を逃げないようにしていました。

お風呂に入る人達はこの板をくぐって、風呂場の中へと入っていったそうです。

現在の「お風呂」に近い、深く浸かる「お風呂」は、江戸時代に出来ました。

「据え風呂」と呼ぶそうです。

「慶長年間の末頃」に出来たそうです。

井戸水などから沸かすお風呂だったそうです。

一般の庶民の家に広まったそうです。

普及していたのは「鉄砲風呂」や「五右衛門風呂」だったそうです。

「鉄砲風呂」は、簡単に言うと、鉄の筒に燃えている薪を入れてお湯を温めるお風呂です。

鉄の筒でやけどをしないように、筒を遮るように柵で防護していたそうです。

この形のお風呂は、江戸で主流になっていたそうです。

「五右衛門風呂」は、簡単に言うと、下の鉄釜を熱して温めるお風呂です。

下の熱された鉄釜でやけどをしないように、「釜板、兼、底板」を下に敷いてお風呂に入ったそうです。

この形のお風呂は、関西で主流になっていたそうです。

楽しんで頂けると嬉しいです。





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