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新撰組異聞 〜 秋の夜長の夢語り 蕎麦を巡って 〜
〜 改訂版 〜
季節は、秋になる。
ここは、京の町。
秋を感じる物が増えてきた。
ここは、京の町。
沖田総司と少女が良く訪れる寺。
本堂。
沖田総司は微笑んで居る。
少女も微笑んで居る。
沖田総司は少女に微笑んで話し出す。
「京の町は、美味しい物がたくさんある、江戸では見られない物もたくさんある。京の町は、雅に感じるんだ。」
少女は沖田総司を微笑んで見た。
沖田総司は少女に微笑んで話し出す。
「京の町は、良い部分がたくさんあるけれど、残念に思う部分があるんだ。」
少女は沖田総司を不思議な様子で見た。
沖田総司は少女に微笑んで話し出す。
「美味しい蕎麦を食べられる店が、思うように見付からないんだ。」
少女は沖田総司を不思議な様子で見ている。
沖田総司は少女に微笑んで話し出す。
「鈴ちゃん。江戸と同じような美味しい蕎麦の食べられる店。知っている?」
少女は沖田総司に申し訳なく話し出す。
「私は江戸のお蕎麦を食べた時がありません。江戸のお蕎麦を食べられるお店も知りません。お役に立てません。ごんめなさい。」
沖田総司は少女に申し訳なく話し出す。
「鈴ちゃん。話す内容が悪かったね。ご免ね。悩まないでね。」
少女は沖田総司に申し訳なく見た。
沖田総司は少女に微笑んで話し出す。
「近い内に、鈴ちゃんのお勧めの蕎麦の食べられる店に、一緒に行こう。」
少女は沖田総司に心配して話し出す。
「私はお蕎麦を食べる機会が少ないです。総司さんは美味しいお蕎麦を知っています。私のお勧めのお店では、お口に合わないかも知れません。」
沖田総司は少女に微笑んで話し出す。
「鈴ちゃんが美味しいと思う店は、絶対に美味しいよ。心配しいで。」
少女は沖田総司を安心した表情で見た。
暫く後の事。
今は、夜になる。
ここは、京の町。
夜空には綺麗な月が浮かんでいる。
ここは、屯所。
沖田総司の部屋の前に在る縁。
沖田総司は夜空を寂しく見ている。
沖田総司は夜空を見ながら、寂しく呟いた。
「鈴ちゃんは京の町から出た時が無い。鈴ちゃんは江戸の蕎麦に関連する質問をされても返事に困るよね。鈴ちゃんに悪い言動をしたな。近い内に、鈴ちゃんと一緒に美味しい物を食べられる店に行こう。」
夜空の月は綺麗な姿で輝きながら浮かんでいる。
沖田総司は沖田総司の部屋の中に静かに入って行った。
暫く後の事。
ここは、屯所。
沖田総司の部屋。
沖田総司は床の中で気持ち良く眠っている。
部屋の中を不思議な気配が包んだ。
沖田総司は床の中で、ゆっくりと目を開けた。
少女が笑顔で沖田総司を覗き込んでいる。
沖田総司は、沖田総司と良く一緒に居る少女と表情は全く同じだが、沖田総司には夜の国の住人の“夢”だと直ぐに分かった。
沖田総司は床の中で、夢に微笑んで話し出す。
「夢ちゃん。今晩は。」
夢は沖田総司から微笑んでゆっくりと離れた。
沖田総司は床の上に起こすと、夢を微笑んで見た。
夢は沖田総司に微笑んで抱き付いた。
沖田総司は赤面して動きを止めた。
不思議な空気が、沖田総司と夢を、静かに包んだ。
直後の事。
ここは、夜の国。
広い草原。
心地良い空気に包まれている。
月の綺麗な輝きが、辺りを優しく照らしている。
夢は沖田総司を微笑んで抱いている。
沖田総司は赤面して居る。
夢は沖田総司から微笑んでゆっくりと放れた。
沖田総司は夢を赤面して見た。
夢は沖田総司に微笑んで話し出す。
「総司さん。今夜はお蕎麦を用意しました。夜の国のお蕎麦をたくさん食べてください。」
沖田総司は夢に赤面して不思議な様子で話し出す。
「蕎麦は夜の国でなくても食べられるよ。」
夢は沖田総司に微笑んで話し出す。
「総司さん。美鈴さんにお蕎麦を食べたいと話しましたよね。」
沖田総司は夢に赤面して不思議な様子で頷いた。
夢は沖田総司に微笑んで抱き付いた。
沖田総司赤面して動きを止めた。
不思議な空気が、沖田総司と夢を、静かに包んだ。
直後の事。
ここは、夜の国。
夢の家。
一室。
沖田総司は赤面して動きを止めて、静かに現れた。
夢は沖田総司を抱いて、微笑んで静かに現れた。
夢は沖田総司から微笑んでゆっくりと放れた。
沖田総司は夢を赤面して見た。
夢は沖田総司に微笑んで話し出す。
「総司さん。夜の国の秋の時間をゆっくりと楽しんでくださいね。」
沖田総司は夢を赤面して見ている。
夢は微笑んで、静かに居なくなった。
沖田総司は部屋の中を赤面して見た。
部屋の中は、沖田総司のみになる。
沖田総司は部屋の中を見ながら、不思議な様子で呟いた。
「今夜の夜の国では、鈴ちゃんと斉藤さんと一緒に、夜の国の蕎麦がたくさん食べられるのかな?」
部屋の中が温かい雰囲気に包まれた。
沖田総司は部屋の中を微笑んで見た。
少女が微笑んで、静かに現れた。
沖田総司は少女に微笑んで話し出す。
「鈴ちゃん。こんばんは。」
少女は沖田総司に微笑んで話し出す。
「こんばんは。」
沖田総司は少女を微笑んで見た。
少女は沖田総司に微笑んで話し出す。
「総司さん。夜の国で“鰊蕎麦”という珍しいお蕎麦を食べました。」
沖田総司は少女に微笑んで話し出す。
「にしん蕎麦?」
少女は沖田総司に微笑んで話し出す。
「総司さん。鰊蕎麦を食べますか?」
沖田総司は少女に微笑んで頷いた。
少女は沖田総司を微笑んで見た。
僅かに後の事。
ここは、夜の国。
夢の家。
食卓の在る部屋。
斉藤一は杯の酒を普通の表情で飲んでいる。
沖田総司は部屋の中に微笑んで入ってきた。
少女も部屋の中に微笑んで入ってきた。
斉藤一は杯の酒を飲みながら、沖田総司と少女を普通の表情で見た。
沖田総司は斉藤一に微笑んで話し出す。
「斉藤さん。こんばんは。」
斉藤一は杯の酒を飲みながら、沖田総司に普通の表情で頷いた。
沖田総司は斉藤一に微笑んで話し出す。
「斉藤さん。にしん蕎麦を食べましたか?」
斉藤一は杯の酒を飲みながら、沖田総司に普通の表情で頷いた。
少女は沖田総司に微笑んで話し出す。
「直ぐに鰊蕎麦を用意します。」
沖田総司は少女に微笑んで頷いた。
少女は部屋を微笑んで出て行った。
沖田総司は斉藤一に微笑んで話し出す。
「鈴ちゃんは、にしん蕎麦を、京の町では見掛けない珍しい蕎麦だと話しました。」
斉藤一は杯の酒を飲みながら、沖田総司に普通の表情で頷いた。
沖田総司は斉藤一に微笑んで話し出す。
「斉藤さん。にしん蕎麦。美味しかったですか?」
斉藤一は杯の酒を飲みながら、沖田総司に普通の表情で頷いた。
沖田総司は斉藤一に微笑んで話し出す。
「にしん蕎麦。楽しみです。」
斉藤一は杯の酒を飲みながら、沖田総司に普通の表情で頷いた。
沖田総司は台所の方向を見ると、微笑んで呟いた。
「にしん蕎麦〜 楽しみだな〜」
斉藤一は杯の酒を飲みながら、沖田総司を普通の表情で見た。
少女はお盆の上に丼を載せて、部屋の中に微笑んで入ってきた。
沖田総司は少女を微笑んで見た。
少女はお盆を卓に微笑んで置いた。
沖田総司は丼を笑顔で見た。
少女は沖田総司の前に丼を置くと、沖田総司に微笑んで話し出す。
「鰊蕎麦です。」
沖田総司は丼を驚いた表情で見た。
少女は沖田総司を不思議な様子で見た。
沖田総司は少女を見ると、少女に不思議な様子で話し出す。
「鈴ちゃん。にしん蕎麦は、蕎麦の上に鰊が載っているの?」
少女は沖田総司に微笑んで話し出す。
「はい。鰊蕎麦は、甘く煮た身欠き鰊の載るお蕎麦です。」
沖田総司は丼を見ながら、不思議な様子で呟いた。
「鰊が蕎麦の上に載っているから、鰊蕎麦。」
斉藤一は杯の酒を飲みながら、沖田総司に普通に話し出す。
「総司。鰊蕎麦、と聞いた時に、何を想像したんだ?」
沖田総司は斉藤一を慌てて見た。
斉藤一は杯の酒を飲みながら、沖田総司を普通の表情で見た。
少女は沖田総司に心配して話し出す。
「総司さん。お蕎麦がのびてしまいます。」
沖田総司は少女を見ると、少女に慌てて話し出す。
「鈴ちゃんが鰊蕎麦を作ってくれたの?!」
少女は沖田総司に微笑んで話し出す。
「蕎麦打ち、出汁作り、鰊の調理は、夜の国の方達が用意しました。」
沖田総司は少女に微笑んで話し出す。
「鈴ちゃんは鰊蕎麦を美味しいと思ったんだよね。」
少女は沖田総司に微笑んで話し出す。
「はい。」
沖田総司は少女に微笑んで話し出す。
「鰊蕎麦の美味しい食べ方があれば、簡単に教えて。」
少女は沖田総司に微笑んで話し出す。
「鰊を少し沈めるようにして蕎麦汁と絡めてから食べると、甘く煮た鰊と蕎麦汁が良い感じになります。」
沖田総司は少女に微笑んで話し出す。
「ありがとう。」
少女は沖田総司を微笑んで見た。
沖田総司は少女に微笑んで話し出す。
「いただきます。」
少女は沖田総司を微笑んで見ている。
沖田総司は手で握りこぶしを作ると、真剣な表情で呟いた。
「よし。」
少女は沖田総司を微笑んで見ている。
沖田総司は鰊蕎麦を真剣な表情で食べ始めた。
少女は沖田総司を微笑んで見ている。
斉藤一は杯の酒を飲みながら、沖田総司と少女を普通の表情で見た。
沖田総司は鰊蕎麦を食べながら、少女に笑顔で話し出す。
「鈴ちゃん! 美味しいよ!」
少女は沖田総司を微笑んで見ている。
沖田総司は鰊蕎麦を笑顔で美味しく食べた。
少女は沖田総司を微笑んで見ている。
斉藤一は杯の酒を飲みながら、沖田総司と少女を普通の表情で見ている。
沖田総司は鰊蕎麦を食べ終わると、少女に笑顔で話し出す。
「ご馳走様でした! 鰊蕎麦はとても美味しかったよ!」
少女は沖田総司に微笑んで話し出す。
「鰊蕎麦のお代わりを用意しますか?」
沖田総司は少女に微笑んで話し出す。
「縁で月を見ながら鰊蕎麦が食べたいな。」
少女は沖田総司に微笑んで話し出す。
「分かりました。」
沖田総司は斉藤一に微笑んで話し出す。
「斉藤さん。縁で鰊蕎麦を食べながら、一緒に月を見ませんか?」
斉藤一は杯の酒を飲みながら、沖田総司に普通に話し出す。
「鰊蕎麦を楽しむ他に、酒も肴も、楽しみたい。」
沖田総司は少女に微笑んで話し出す。
「鈴ちゃん。鰊蕎麦を一緒に食べよう。私と鈴ちゃんは、お茶を用意しよう。」
少女は沖田総司に微笑んで話し出す。
「はい。」
斉藤一は杯の酒を飲みながら、沖田総司と少女を普通の表情で見た。
沖田総司は斉藤一と少女を微笑んで見た。
少し後の事。
ここは、夜の国。
夢の家。
縁。
夜空に綺麗な月の浮かぶ様子が見える。
沖田総司は微笑んで座っている。
斉藤一は杯の酒を普通の表情で飲んでいる。
少女は微笑んで居る。
斉藤一の傍には、空の丼、酒、肴が、置いてある。
沖田総司の傍と少女の傍には、空の丼、お茶、菓子が置いてある。
沖田総司は少女に微笑んで話し出す。
「鰊蕎麦は、夜の国のみでしか食べられない蕎麦だよね。夜の国の出来事を覚えていれば、鰊蕎麦が食べられるのにね。残念だね。」
少女は沖田総司に微笑んで話し出す。
「はい。」
沖田総司は少女に微笑んで話し出す。
「夜の国に来た時の楽しみが一つ増えたね。残念な気持ちが少し和らぐね。」
少女は沖田総司に微笑んで話し出す。
「はい。」
沖田総司は少女を微笑んで見た。
斉藤一は杯の酒を飲みながら、沖田総司と少女を普通の表情で見た。
沖田総司、斉藤一、少女にとって、鰊蕎麦は、夜の国のみでしか食べられない蕎麦になる。
沖田総司、斉藤一、少女にとって、夜の国で過ごす時の楽しみが一つ増えた。
鰊蕎麦が京の町などで食べられる時は、沖田総司、斉藤一、少女が共に過ごす後の時の数多の時間を重ねた後になる。
* * * * * *
ここからは後書きになります。
この物語は既に掲載している物語の改訂版です。
改訂前の展開や雰囲気を出来るだけ残して改訂しました。
改訂前の物語を掲載するのは止めました。
以上、ご了承願います。
ここからは改訂前の後書きを加筆訂正して書きます。
「蕎麦(そば)」というと、北日本などに有名なお店が多いような気がします。
「饂飩(うどん)」というと、西日本などに有名なお店が多いような気がします。
現在(平成時代)の想像や感想で、有名なお店の多さを書きましたが、沖田総司さん達の生きた時代もほとんど同じだったと思います。
西日本側の京都に、「鰊蕎麦(にしんそば)」という有名なお蕎麦があります。
「鰊蕎麦」は京都のお店のご主人が考案したそうです。
「鰊蕎麦」を考案したお店は、沖田総司さん達が京都に居る時には、既に商売をしていたそうです。
「鰊蕎麦」を考案したのは、明治十五年(1882年)だそうです。
沖田総司さんは「鰊蕎麦」を食べられない事になります。
「鰊蕎麦」について簡単に説明します。
甘辛く煮た身欠き鰊が蕎麦の上に載っています。
葱などは「お蕎麦」の上に載っていますが、具の主役は鰊の「お蕎麦」です。
「鰊」の生臭さを感じないように、鰊の煮方や汁などを気に掛けるお店があるそうです。
「鰊」が具のため、生臭さを気にする方がいると思いますが、私は気になりませんでした。
私が「鰊蕎麦」を知ったのは、仕事をしてからになります。
同僚が、お品書きに「鰊蕎麦」を見付けて注文しました。
私が「鰊蕎麦」について質問すると、お蕎麦の上に鰊が載っていると説明しました。
話を聞いても、良く分かりませんでした。
実際に「鰊蕎麦」を見ると、不思議に感じました。
別な日の出来事になりますが、私も「鰊蕎麦」を注文して食べました。
蕎麦汁の塩加減と鰊の甘さがちょうど良い感じになっていて美味しかったです。
私は、京都に行った時に、一度だけ「鰊蕎麦」を食べました。
沖田総司と鈴ちゃんが一緒に過ごす頃は、「鰊蕎麦」は見られないため、夜の国を舞台にして物語を書きました。
物語を掲載する日を、「新蕎麦(しんそば)」の時期にしたいと考えました。
「お蕎麦」の産地が日本国内にたくさんあります。
全ての産地で考えると、収穫時期は数ヶ月ほどに渡ります。
現在では、産地を海外などにも広げた関係で、時期が更に広がったようです。
一般的な「新蕎麦」の食べられる時期は、現在の暦で、9月〜11月頃、になるようです。
楽しんで頂けると嬉です。
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