新撰組異聞　〜　春雨の降る中で　そして　〜


〜　改訂版　〜


今は春。


ここは、京の町。


春雨が降っている。


寒さはほとんど感じない。


沖田総司は傘を差して、微笑んでゆっくりと歩いている。

斉藤一は傘を差して、普通の表情でゆっくりと歩いている。


沖田総司は傘を差して、斉藤一に微笑んで話し出す。

「春の雨は、冬の雨と違って、濡れても冷たくないです。良いですね。」

斉藤一は傘を差して、沖田総司に普通に話し出す。

「夏の雨は、春の雨より、濡れても冷たくない。総司の話に当てはめると、春の雨より夏の雨が良い状況になる。」

沖田総司は傘を差して、斉藤一を苦笑した表情で見た。

斉藤一は傘を差して、沖田総司を普通の表情で見た。

沖田総司は傘を差して、斉藤一に苦笑して話し出す。

「斉藤さんらしい発言で良いと思います。」

斉藤一は傘を差して、沖田総司に普通に話し出す。

「良い方向に考えて、褒められたと解釈する。礼を言う。」

沖田総司は傘を差して、斉藤一を苦笑した表情で見た。

斉藤一は傘を差して、沖田総司を普通の表情で見た。

沖田総司は傘を差して、斉藤一に微笑んで話し出す。

「今日は雨が降るせいか、町中を歩く人が少ないです。普段と同じ所を歩いているのに、違う所を歩いているように感じますね。」

斉藤一は傘を差して、沖田総司に普通の表情で頷いた。

沖田総司は傘を差して、斉藤一に微笑んで話し出す。

「普段と違う雰囲気の京の町を見る。楽しいですね。」

斉藤一は傘を差して、沖田総司に普通の表情で頷いた。

沖田総司は傘を差して、雨の降る様子を考えながら見た。

斉藤一は傘を差して、沖田総司を普通の表情で見た。

沖田総司は傘を差して、雨の降る様子を心配して見た。

斉藤一は傘を差して、沖田総司を普通の表情で見ている。

沖田総司は傘を差して、斉藤一を見ると、斉藤一に心配して話し出す。

「斉藤さん。子供達と遊ぶ約束をした場所は、寺などの雨を凌げる場所ではありません。子供達は大丈夫でしょうか？」

斉藤一は傘を差して、沖田総司に普通に話し出す。

「何故、俺に質問をする？」

沖田総司は傘を差して、斉藤一に不思議な様子で話し出す。

「斉藤さんも子供達と遊ぶからです。」

斉藤一は傘を差して、沖田総司に普通に話し出す。

「俺は総司と子供達の遊ぶ約束に返事をしていない。」

沖田総司は傘を差して、斉藤一に不思議な様子で話し出す。

「私が斉藤さんに一緒に外出するか質問をしたら、了承の返事をしました。子供達の待つ場所に行かないのですか？」

斉藤一は傘を差して、沖田総司に普通に話し出す。

「総司は、俺に一緒に外出したいと誘ったが、目的も場所も、説明が無かった。中途半端な説明だったが、総司の誘いに頷いた。」

沖田総司は傘を差して、斉藤一に不思議な様子で話し出す。

「私は、斉藤さんに、目的も場所も、説明していませんか？」

斉藤一は傘を差して、沖田総司に普通の表情で頷いた。

沖田総司は傘を差して、斉藤一に不思議な様子で話し出す。

「斉藤さん。今の時間ならば、私が鈴ちゃんか子供達に逢うと考えて、了承したんですよね。」

斉藤一は傘を差して、沖田総司を普通の表情で見た。

沖田総司は傘を差して、斉藤一に心配して話し出す。

「斉藤さん。今日は予定があるのですか？」

斉藤一は傘を差して、沖田総司に普通に話し出す。

「無い。」

沖田総司は傘を差して、斉藤一に安心して話し出す。

「良かった〜　斉藤さんも子供達と遊ぶ約束の場所に行けますね。」

斉藤一は傘を差して、沖田総司に普通に話し出す。

「俺は、子供達と遊ぶ約束の場所に行く内容に関して、了承の返事をしていない。」

沖田総司は傘を差しながら、斉藤一に不思議な様子で話し出す。

「斉藤さん。予定が無いと話しましたよね。」

斉藤一は傘を差しながら、沖田総司に普通に話し出す。

「予定は無いと話したが、一緒に行くとは話していない。」

沖田総司は傘を差して、斉藤一に寂しく話し出す。

「子供達は斉藤さんに逢う時間を楽しみにしています。斉藤さんは子供達の笑顔を見たくないのですか？」

斉藤一は傘を差して、沖田総司を普通の表情で見た。

沖田総司は傘を差して、斉藤一を寂しく見た。

斉藤一は傘を差して、沖田総司に普通に話し出す。

「分かった。総司と子供達が約束をした場所に一緒に行く。俺は普段と同様に子供達とは遊ばない。良いか？」

沖田総司は傘を差して、斉藤一に微笑んで話し出す。

「斉藤さん。子供達が喜びます。ありがとうございます。」

斉藤一は傘を差して、沖田総司に普通の表情で頷いた。

沖田総司は傘を差して、斉藤一を微笑んで見た。

斉藤一は傘を差して、辺りを普通の表情で見た。

沖田総司は傘を差して、辺りを不思議な様子で見た。


沖田総司の傘や斉藤一の傘に、雨の雫の当たる様子がない。


雨の雫が水溜りに当たって出来る波紋が見えない。


沖田総司は傘を差して、斉藤一を見ると、斉藤一に微笑んで話し出す。

「雨が止みましたね。」

斉藤一は傘を差して、沖田総司に普通の表情で頷いた。


沖田総司は傘を差して、微笑んで止まった。

斉藤一は傘を差して、普通の表情で止まった。


沖田総司は傘を微笑んでたたんだ。

斉藤一は傘を普通の表情でたたんだ。


沖田総司は傘を持ち、微笑んで歩き出した。

斉藤一は傘を持ち、普通の表情で歩きだした。


少し後の事。


ここは、沖田総司と子供達が遊ぶ約束をした場所。


沖田総司は傘を持ち、微笑んで来た。

斉藤一は傘を持ち、普通に来た。


地面には所々に水溜りがある。


沖田総司は傘を持ち、辺りを確認するように見た。

斉藤一は傘を持ち、辺りを普通の表情で見た。

沖田総司は傘を持ち、斉藤一を見ると、斉藤一に寂しく話し出す。

「子供達は居ませんね。」

斉藤一は傘を持ち、沖田総司を見ると、沖田総司に普通の表情で頷いた。

沖田総司は傘を持ち、辺りを寂しく見た。

斉藤一は傘を持ち、沖田総司に普通に話し出す。

「今日は、少し前まで雨が降っていた。子供達の来る時間が遅れていると思う。子供達は、総司との約束だから、遊べなくても来ると思う。心配するな。」

沖田総司は傘を持ち、斉藤一を見ると、斉藤一に寂しく話し出す。

「少し前まで雨が降っていました。水溜りが出来ているし、地面も濡れていますね。子供達が来ても一緒に遊べませんね。」

斉藤一は傘を持ち、沖田総司に普通の表情で頷いた。

沖田総司は傘を持ち、斉藤一に寂しく話し出す。

「少しの遅れならば、子供達と遊ぶ場所を変えたいと思います。余りに遅れる場合は、場所は変えずに、子供達と話して過ごします。」

斉藤一は傘を持ち、沖田総司に普通の表情で頷いた。

沖田総司は傘を持ち、斉藤一に寂しく話し出す。

「斉藤さん。子供達が長い時間を待っても来ない場合は、遠慮せずに帰ってください。」

斉藤一は傘を持ち、沖田総司に普通に話し出す。

「今日は予定が無い。総司の誘いを了承して一緒に来た。総司が帰ると決めるまで、俺も一緒に待つ。」

沖田総司は傘を持ち、斉藤一を微笑んで見た。

斉藤一は傘を持ち、沖田総司を普通の表情で見た。


沖田総司の前と斉藤一の前から、子供達の元気の良い声が聞こえた。

「総司お兄ちゃん〜！　はじめお兄ちゃん〜！」


沖田総司は傘を持ち、前を笑顔で見た。

斉藤一は傘を持ち、前を普通の表情で見た。


子供達は笑顔で走って来た。


沖田総司は傘を持ち、子供達に微笑んで話し出す。

「みんな。こんにちは。」

斉藤一は傘を持ち、子供達を普通の表情で見た。

子供達は沖田総司と斉藤一に笑顔で話し出す。

「今日は遅れました！　ごめんなさい！」

沖田総司は傘を持ち、子供達に微笑んで話し出す。

「今日は少し前まで雨が降っていたよね。遅れるのは仕方がないよ。」

斉藤一は傘を持ち、子供達に普通の表情で頷いた。

子供達は沖田総司と斉藤一を笑顔で見た。

沖田総司は傘を持ち、子供達に微笑んで話し出す。

「地面が濡れているよね。場所を変えよう。寺に行こう。」

子供達は沖田総司に笑顔で話し出す。

「はい！」

沖田総司は傘を持ち、子供達を微笑んで見た。

子供達は沖田総司と斉藤一に微笑んで話し出す。

「今日はお姉ちゃんが一緒に居ないね。」

「雨が降っていたから、お姉ちゃんを誘わなかったんだよ。」

「以前に総司お兄ちゃんが、雨が降る日にお姉ちゃんと外で逢った内容を話していたよ。」

「総司お兄ちゃんは、お姉ちゃんが雨に濡れないか物凄く心配しているよ。」

「総司お兄ちゃんは、お姉ちゃんを雨の降る日に意味もなく誘わないよ。」

「話をまとめると、雨が降っていて僕達と遊ぶ予定があるから、お姉ちゃんを誘わなかったんだね。」

沖田総司は傘を持ち、子供達に苦笑して話し出す。

「鈴ちゃんは最初から誘っていないんだ。」

子供達は斉藤一に微笑んで話し出す。

「はじめお兄ちゃん。今日は、いつも遊ぶ寺に行きたいです。お姉ちゃんの都合によるけれど、誘っても良いですか？」

斉藤一は傘を持ち、子供達に普通の表情で頷いた。

子供達は沖田総司に微笑んで話し出す。

「総司お兄ちゃん。はじめお兄ちゃんと僕達は、何時も遊ぶ寺に先に行くね。総司お兄ちゃんは、お姉ちゃんを誘ってから来てね。」

沖田総司は傘を持ち、子供達を不思議な様子で見た。

子供達は斉藤一に笑顔で話し出す。

「はじめお兄ちゃん！　早く行きましょう！」

斉藤一は傘を持ち、子供達に普通の表情で頷いた。

沖田総司は傘を持ち、斉藤一と子供達を不思議な様子で見た。

子供達は沖田総司に笑顔で話し出す。

「総司お兄ちゃん！　早くお姉ちゃんを誘わないと、逢う時間が短くなるよ！」

斉藤一は傘を持ち、沖田総司に普通の表情で頷いた。

沖田総司は傘を持ち、斉藤一と子供達を微笑んで見た。

子供達は沖田総司を笑顔で見た。


沖田総司は傘を持ち、微笑んで歩き出した。


子供達は沖田総司を笑顔で見た。

斉藤一は傘を持ち、沖田総司を普通の表情で見た。


沖田総司の姿は見えなくなった。


子供達は元気良く歩き出した。

斉藤一は傘を持ち、普通に歩き出した。




＊　　　　　　＊　　　　　　＊　　　　　　＊　　　　　　＊　　　　　　＊




ここからは後書きになります。

この物語は既に掲載している物語の改訂版です。

改訂前の物語の展開や雰囲気を出来るだけ残して改訂しました。

改訂前の物語を掲載するのは止めました。

以上、ご了承願います。

ここからは改訂前の後書きを加筆訂正して書きます。

この物語の補足です。

基の物語は、２００５年の２月〜３月頃に書きました。

２００５年の間に掲載しようと思ったのですが、季節的に桜の物語を幾つか掲載している間に、時期的に合わなくなりました。

梅雨などに設定を変更する事を考えましたが、春雨の降る頃の設定にしたかったので、設定の変更を止めました。

翌年の２００６年も同じような状況で掲載できませんでした。

昨年同様に設定を変更して掲載するのは止めました。

２００８年になりましたが初稿版を掲載しました。

この物語は、春雨の降る天気のために、沖田総司さんが子供達との遊ぶ約束について考える場面があります。

史実的な話になりますが、沖田総司さんが子供達と遊ぶ逸話があるそうです。

沖田総司さんが京の町で子供達と遊んでいたのは、非番の日に、屯所か屯所の近くだったそうです。

２００８年４月７日までに掲載中の「新撰組異聞」・「雪月花　新撰組異聞　編」では、沖田総司さんが子供達と屯所で遊ぶ場面は登場していません。

「新撰組異聞」関連の物語の中で、沖田総司さんが子供達に理由がないのに屯所に来ないように話している事が分かる設定が登場します。

掲載している物語では、屯所以外の場所で遊ぶ設定にして書いています。

史実的には、山南敬助さんなどの沖田総司さん以外の人も、非番の時に子供達と遊んでいた逸話があるそうです。

沖田総司さんなどが屯所で子供達と遊んでいたかについてですが、京の町の人達に新撰組が嫌われたり恐れられていたりした関係で、印象を良くするための宣伝の一つだった説があるそうです。

沖田総司さんや他の隊士達が、印象を良くするための宣伝の一つとして子供達と遊ぶ状況について知っていたかについては分かりませんでした。

沖田総司さんや他の隊士達が、宣伝だけで子供達と遊んでいたとも思えないので、簡単な内容でのみ知らされていたか、何も知らされていない、ように思いました。

私が子供達と屯所内で遊ぶ場面を書かないようにしようと考えたのは、宣伝などの思惑を考えない状況で物語を読んで頂きたいと思った、子供達と遊ぶ時に沖田総司さん達が新撰組隊士としての地位や立場を強調するような状況にしたくない、と思った事があります。

楽しんで頂けると嬉しいです。





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