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新撰組異聞 〜 さくらんぼ 〜
今は夏。
ここは、京の町。
暑い日が増えてきた。
ここは、屯所。
斉藤一の部屋。
斉藤一は普通の表情で机に向かっている。
沖田総司は部屋を笑顔で訪れた。
斉藤一は沖田総司を普通の表情で見た。
沖田総司は斉藤一に微笑んで話し出す。
「鈴ちゃんのために珍しくて美味しい物を用意したいと考えています。斉藤さん。良い物を知りませんか?」
斉藤一は沖田総司に普通に話し出す。
「美鈴さんが珍しくて美味しい物を喜ぶとは限らないだろ。美鈴さんの好きな物を用意したらどうだ?」
沖田総司は斉藤一に微笑んで話し出す。
「鈴ちゃんは、京の町の美味しい物や京の町の美味しい店に関する情報に、とても詳しいです。私は、鈴ちゃんが手に入れるのが難しい京以外の物を用意したいです。」
斉藤一は沖田総司に普通に話し出す。
「京で手に入れるのが難しい美味い物はたくさんあるが、生物は遠い所では運搬や手配が出来ない可能性があるぞ。乾物を用意するのか?」
沖田総司は斉藤一に微笑んで話し出す。
「斉藤さんが手伝ってくれます。心配はしていません。」
斉藤一は沖田総司に普通に話し出す。
「俺は手伝うとは言っていないぞ。」
沖田総司は斉藤一に不思議そうに話し出す。
「手伝ってくれないのですか?」
斉藤一は沖田総司を普通の表情で見た。
沖田総司は斉藤一に寂しそうに話し出す。
「今回は手伝ってくれないのですね。」
斉藤一は沖田総司を普通の表情で見ている。
沖田総司は斉藤一に寂しそうに話し出す。
「私は鈴ちゃんに迷惑をたくさん掛けています。鈴ちゃんは京から出た経験がありません。鈴ちゃんを京の外に連れてはいけません。私には、食べ物や土産物などしか用意できませんが、鈴ちゃんに京の外の物を見せてあげたいと思いました。私一人では無理なので、斉藤さんだったら相談をしたら手伝ってくれると思っていました。」
斉藤一は沖田総司に普通に話し出す。
「総司の話の内容と気持ちは分かった。」
沖田総司は斉藤一に笑顔で話し出す。
「斉藤さん! ありがとうございます!」
斉藤一は沖田総司に普通に話し出す。
「総司。俺は・・・」
沖田総司は斉藤一の話の途中に笑顔で話し出す。
「斉藤さん! 私は鈴ちゃんへの贈り物は菓子か果物が良いと思っています!」
斉藤一は話しを途中で止めると、沖田総司を普通の表情で見た。
沖田総司は斉藤一に笑顔で話し出す。
「詳しい話は後でしましょう!」
斉藤一は沖田総司を普通の表情で見た。
沖田総司は斉藤一に笑顔で話し出す。
「失礼します!」
斉藤一は沖田総司を普通の表情で見ている。
沖田総司は元気良く部屋から出て行った。
それから数日後の事。
ここは、京の町。
青空が広がっている。
ここは、沖田総司と少女が良く訪れる寺。
寺の中。
縁の傍。
沖田総司と少女が居る。
沖田総司は少女に笑顔で話し出す。
「鈴ちゃん! 今日は斉藤さんが来るんだよ!」
少女は沖田総司を微笑んで見た。
沖田総司は少女に笑顔で話し出す。
「鈴ちゃん! 近い内に私と鈴ちゃんと斉藤さんの三人で食べたい物があるんだ! 都合の悪い日を教えてくれるかな?!」
少女は沖田総司に微笑んで話し出す。
「私はいつでも大丈夫です。」
沖田総司は少女に笑顔で話し出す。
「鈴ちゃんも稽古の日があるよね! 本当に都合の悪い日はないの?!」
少女は沖田総司に微笑んで話し出す。
「お稽古の日程はいつも通りです。もしお稽古の日と重なっても予定を変更できます。私の心配はしないでください。」
沖田総司は少女に笑顔で話し出す。
「分かった! 食べ物の用意が出来る日がはっきりとしたら、鈴ちゃんに教えるね!」
少女は沖田総司に微笑んで頷いた。
沖田総司は少女に笑顔で話し出す。
「言い忘れていた! 鈴ちゃん! 果物は好き?!」
少女は沖田総司に微笑んで頷いた。
沖田総司は少女に笑顔で話し出す。
「鈴ちゃんは果物が好きなんだ! 良かった!」
少女は沖田総司を微笑んで見た。
沖田総司は少女に笑顔で話し出す。
「やはり鈴ちゃんには早く言うね!」
少女は沖田総司を不思議そうに見た。
沖田総司は少女に笑顔で話し出す。
「北の国で栽培している珍しい果物を用意しようと思っているんだ! 斉藤さんが教えてくれたんだ! とても珍しい果物だと思うよ!」
少女は沖田総司を心配そうに見た。
沖田総司は少女を不思議そうに見た。
少女は沖田総司に心配そうに話し出す。
「北の国の珍しい果物というのは、高価な果物になりますよね。」
沖田総司は少女を不思議そうに見ている。
少女は沖田総司に心配そうに話し出す。
「私は総司さんから高価な物をたくさん頂いています。私は総司さんに迷惑ばかり掛けているのに、たくさん気遣って頂いています。申し訳ありません。」
沖田総司は少女に心配そうに話し出す。
「鈴ちゃん。遠慮や心配はしないで。いつも世話になっている礼だと思って。」
少女は沖田総司を心配そうに見た。
沖田総司は少女に僅かに不機嫌そうに話し出す。
「鈴ちゃん。もしかして、私と鈴ちゃんが初めて逢った頃のように、私がお金を持っていないと思っているのか?」
少女は沖田総司を不安そうに見た。
沖田総司は少女を僅かに不機嫌そうに見た。
斉藤一は寺の中に普通に入ってきた。
沖田総司は斉藤一を僅かに不機嫌そうに見た。
少女は斉藤一を申し訳なさそうに見た。
斉藤一は沖田総司と少女の前に普通に来た。
沖田総司は斉藤一を僅かに不機嫌そうに見ている。
少女は斉藤一を申し訳なさそうに見ている。
斉藤一は沖田総司に普通に話し出す。
「総司。何をしているんだ?」
沖田総司は斉藤一を僅かに不機嫌そうに見ている。
斉藤一は沖田総司に普通に話し出す。
「総司。早く美鈴さんに謝れ。」
沖田総司は斉藤一に不機嫌そうに話し出す。
「なぜ私の話を聞かずに、私が悪いと決めるのですか?!」
斉藤一は沖田総司に普通に話し出す。
「美鈴さんは総司に迷惑を掛けない。総司は美鈴さんに迷惑ばかり掛けている。総司が美鈴さんに謝ると考えるのが妥当な判断だろ。」
沖田総司は斉藤一を不機嫌そうに見た。
斉藤一は沖田総司の腕を掴むと、普通に話し出す。
「総司。話しがある。境内に行くぞ。」
沖田総司は斉藤一を不機嫌そうに見ている。
斉藤一は沖田総司の腕を掴みながら、少女を見ると、普通に話し出す。
「美鈴さん。少しだけ一人で待っていてくれ。」
少女は斉藤一に不安そうに頷いた。
斉藤一は沖田総司の腕を掴みながら、境内へと普通に居なくなった。
沖田総司は境内へと不機嫌そうに居なくなった。
それから僅かに後の事。
ここは、境内。
斉藤一は沖田総司の腕を掴みながら普通に来た。
沖田総司は不機嫌そうに来た。
斉藤一は沖田総司の腕を普通に放した。
沖田総司は斉藤一を不機嫌そうに見た。
斉藤一は沖田総司に普通に話し出す。
「総司。美鈴さんと話していた内容を教えろ。」
沖田総司は斉藤一に不機嫌そうに話し出す。
「鈴ちゃんや斉藤さんと一緒に、果物を食べるための予定について話していただけです!」
斉藤一は沖田総司に普通に話し出す。
「美鈴さんに珍しい果物だと何度も話しをしなかったか?」
沖田総司は斉藤一に不機嫌そうに話し出す。
「珍しい果物だと言いましたが、何度も言っていません!」
斉藤一は沖田総司に普通に話し出す。
「珍しい果物だと何度も言わなくても、北の国の珍しい果物だと言ったのだろ。」
沖田総司は斉藤一に不機嫌そうに話し出す。
「北の国の珍しい果物だと言いましたが、何度も言っていません!」
斉藤一は沖田総司に普通に話し出す。
「自分のために高価な物を用意すると笑顔で話したら、普通の人でも気を遣う。美鈴さんは気配りや気遣いを常にする性格だ。総司の説明を聞けば、普段より更に気を遣うだろ。」
沖田総司は斉藤一を不機嫌そうに見た。
斉藤一は沖田総司に普通に話し出す。
「美鈴さんは育ちが良いから、常に良い物を身に着けているし、美味しい食べ物についても詳しい。身なりなどからは分かり難いが、美鈴さんは礼として高価な物を贈られるのを当然だと考える子ではないだろ。特別な状況でなければ、総司に物をねだる子ではないだろ。いつも俺達に気を遣う子だろ。」
沖田総司は斉藤一を何かを思い出した表情で見た。
斉藤一は沖田総司に普通に話し出す。
「総司。やっと冷静になったな。」
沖田総司は斉藤一を不安そうに見た。
斉藤一は沖田総司に普通に話し出す。
「総司。少しだけで良いから言い方を考えろ。」
沖田総司は斉藤一に不安そうに頷いた。
斉藤一は沖田総司に普通に話し出す。
「総司。早く美鈴さんの元に行け。」
沖田総司は斉藤一に不安そうに頷いた。
斉藤一は沖田総司を普通の表情で見た。
沖田総司は不安そうに寺の中に入っていった。
それから僅かに後の事。
ここは、寺の中。
縁の傍。
少女は不安そうに居る。
沖田総司は少女の傍に不安そうに来た。
少女は沖田総司を不安そうに見た。
沖田総司は少女に心配そうに話し出す。
「鈴ちゃん。言い方が悪くてごめんね。私は鈴ちゃんに喜んでもらいたかっただけなんだ。」
少女は沖田総司に微笑んで話し出す。
「私は総司さんにたくさんの物を頂いています。“ぽっぴん”や“びいどろの風鈴”という高価な品物まで頂きました。私のために気を遣わないでください。」
沖田総司は少女に微笑んで話し出す。
「鈴ちゃんの笑顔を見ていると、私も笑顔になるんだ。鈴ちゃんは遠慮しなくて良いよ。」
少女は沖田総司を微笑んで見た。
沖田総司は少女に微笑んで話し出す。
「鈴ちゃん。三人で果物を食べようよ。きっと更に美味しくなるよ。」
少女は沖田総司に微笑んで頷いた。
沖田総司は少女を微笑んで見た。
それから何日か後の事。
ここは、京の町。
沖田総司と少女が良く訪れる寺。
寺の中。
沖田総司、斉藤一、少女が居る。
斉藤一の傍には布を掛けた籠が置いてある。
斉藤一は沖田総司の傍に布を掛けた籠を普通に置いた。
沖田総司は布を掛けた籠を笑顔で取った。
少女は沖田総司と斉藤一を微笑んで見た。
沖田総司は籠から布を取ると、少女に笑顔で話し出す。
「鈴ちゃん! “さくらんぼ”という果物だよ!」
少女は籠を不思議そうに見た。
沖田総司は布を持ちながら、少女に申し訳なさそうに話し出す。
「鈴ちゃんに期待させる話しをしたのに、さくらんぼが少しだけしか用意できなかった。たくさん食べられなくてごめんね。」
少女は沖田総司を見ると、微笑んで話し出す。
「さくらんぼという果物を初めて見ました。どのようなお味がするのか楽しみです。」
沖田総司は布を脇に置くと、少女に微笑んで話し出す。
「鈴ちゃん。さくらんぼを食べよう。」
少女は沖田総司に微笑んで頷いた。
沖田総司は少女の前に籠を置くと、微笑んで話し出す。
「さくらんぼには種があるんだ。気を付けて食べてね。」
少女は沖田総司に微笑んで頷いた。
沖田総司は少女を微笑んで見た。
少女はさくらんぼを取ると、沖田総司に微笑んで話し出す。
「さくらんぼは、二つ一緒に生るのですね。可愛い果物ですね。」
沖田総司は少女に笑顔で頷いた。
斉藤一は沖田総司と少女を普通の表情で見た。
少女はさくらんぼを持ちながら、沖田総司に微笑んで話し出す。
「いただきます。」
沖田総司は少女に笑顔で頷いた。
少女はさくらんぼを微笑んで食べた。
沖田総司は少女を微笑んで見た。
少女はさくらんぼを食べ終わると、沖田総司に微笑んで話し出す。
「さくらんぼは、美味しいです。」
沖田総司は少女を笑顔で見た。
少女は沖田総司を微笑んで見た。
沖田総司は籠からさくらんぼを笑顔で取った。
少女は沖田総司を微笑んで見た。
沖田総司はさくらんぼを美味しそうに食べ始めた。
少女は沖田総司を微笑んで見ている。
沖田総司はさくらんぼを食べ終わると、少女に微笑んで話し出す。
「鈴ちゃん。さくらんぼは、美味しいね。」
少女は沖田総司に微笑んで頷いた。
沖田総司は斉藤一を見ると、微笑んで話し出す。
「斉藤さん。さくらんぼを食べてください。」
斉藤一は沖田総司に普通の表情で頷いた。
沖田総司は斉藤一を微笑んで見た。
少女も斉藤一を微笑んで見た。
斉藤一は籠からさくらんぼを取ると、普通の表情で食べた。
沖田総司は斉藤一を微笑んで見ている。
少女も斉藤一を微笑んで見ている。
斉藤一はさくらんぼを普通の表情で食べ終わった。
沖田総司は斉藤一に微笑んで話し出す。
「斉藤さん。美味しいですよね。」
斉藤一は沖田総司を見ると、普通の表情で頷いた。
少女は籠からさくらんぼを微笑んで取った。
沖田総司は少女を微笑んで見た。
斉藤一は少女を普通の表情で見た。
少女はさくらんぼを持ちながら、沖田総司に微笑んで話し出す。
「さくらんぼは可愛い果物ですよね。」
沖田総司は少女に微笑んで頷いた。
少女はさくらんぼを持ちながら、沖田総司に恥ずかしそうに話し出す。
「私もさくらんぼのように、総司さんといつも一緒に居たいです。」
沖田総司は斉藤一を見ると、微笑んで話し出す。
「さくらんぼが一人で数個しか食べられないのは、物足りないですよね。いつかたくさん食べたいですよね。」
斉藤一は沖田総司と少女を普通の表情で見た。
少女はさくらんぼを籠に戻すと、沖田総司を寂しそうに見た。
沖田総司は少女を見ると、心配そうに話し出す。
「鈴ちゃん。何か遭ったの?」
少女は沖田総司に微笑んで話し出す。
「総司さん。さくらんぼを食べてください。」
沖田総司は少女に微笑んで話し出す。
「鈴ちゃん。遠慮しないで食べて良いよ。」
少女は沖田総司に微笑んで話し出す。
「私は充分にさくらんぼを頂きました。総司さん。私の分も食べてください。」
沖田総司は少女に心配そうに話し出す。
「鈴ちゃん。さくらんぼが口に合わなかったのかな?」
少女は沖田総司に微笑んで話し出す。
「さくらんぼはとても美味しかったです。」
沖田総司は少女を心配そうに見た。
斉藤一は沖田総司の腕を掴むと、少女に普通に話し出す。
「美鈴さん。俺と総司は境内に行く。少しだけ一人で待っていてくれ。」
沖田総司は斉藤一を不思議そうに見た。
少女は斉藤一を見ると、微笑んで頷いた。
斉藤一は沖田総司の腕を掴みながら、境内へと普通に居なくなった。
沖田総司は境内へと不思議そうに居なくなった。
それから僅かに後の事。
ここは、境内。
斉藤一は沖田総司の腕を掴みながら、普通に来た。
沖田総司は不思議そうに来た。
斉藤一は沖田総司の腕を放すと、普通に話し出す。
「総司。美鈴さんに気を配れ。」
沖田総司は斉藤一を不思議そうに見た。
斉藤一は沖田総司に普通に話し出す。
「美鈴さんがさくらんぼを取った時に、総司はさくらんぼが更に食べたいと言っただろ。美鈴さんがさくらんぼを食べられなくなるだろ。」
沖田総司は斉藤一を驚いた表情で見た。
斉藤一は沖田総司を普通の表情で見た。
沖田総司は斉藤一に心配そうに話し出す。
「鈴ちゃんに謝ってきます。」
斉藤一は沖田総司に普通に話し出そうとした。
沖田総司は僅かに慌てた様子で寺の中へと入っていった。
斉藤一は話しをするのを止めると、普通に寺の中へと入って行った。
それから僅かに後の事。
ここは、寺の中。
少女は籠の中のさくらんぼを微笑んで見ている。
沖田総司は少女の傍に微笑んで来た。
斉藤一は沖田総司の傍に普通に来た。
少女は沖田総司と斉藤一を微笑んで見た。
沖田総司は少女に籠を微笑んで差し出した。
少女は沖田総司を不思議そうに見た。
沖田総司は少女に籠を差し出しながら、微笑んで話し出す。
「鈴ちゃん。食べて。」
少女は沖田総司を心配そうに見た。
沖田総司は少女に籠を差し出しながら、微笑んで話し出す。
「今回はさくらんぼを少しだけしか用意できなかった。いつになるか分からないけれど、さくらんぼを籠一杯に用意して、鈴ちゃんが思い切り食べられるようにするね。」
少女は籠からさくらんぼを取ると、沖田総司に微笑んで話し出す。
「いただきます。」
沖田総司は籠を持ちながら、少女に微笑んで頷いた。
少女はさくらんぼを美味しそうに食べた。
沖田総司は籠を脇に置くと、少女を微笑んで見た。
少女はさくらんぼを微笑んで食べ終わった。
沖田総司は少女に微笑んで話し出そうとした。
斉藤一は沖田総司が話し出す前に、普通に話し出す。
「総司。」
沖田総司は斉藤一を不思議そうに見た。
斉藤一は沖田総司の背中を思い切り押した。
沖田総司は勢いに耐えられずに、少女に向かって倒れそうになった。
少女は沖田総司と斉藤一を驚いた表情で見た。
沖田総司は少女に驚いた表情で抱きついた。
少女は沖田総司を驚いた表情で見た。
沖田総司は少女を微笑んで抱き直した。
少女は沖田総司を微笑んで見た。
斉藤一は沖田総司と少女を普通の表情で見た。
さくらんぼは、二つ一緒に仲良く木に生る果物。
さくらんぼは、とても珍しい果物。
沖田総司の様子を見ていると、少女のささやかな望みが叶うのは暫く先になる実感がする。
斉藤一と少女の苦労は、暫く続く実感もする。
* * * * * *
ここからは後書きになります。
「さくらんぼ」についてです。
夏の季語です。
初夏や夏の果物です。
旬は六月から七月に掛けてとなります。
日本では東北や北海道などの北の地域での栽培になります。
さくらんぼは、紀元前から栽培していた国もあったそうです。
日本には江戸時代に外国(中国のようです)から渡来したという説があります。
ただし、日本では江戸時代に普及する事はなかったそうです。
少しずつですが広まり始めたのは、明治時代からになります。
しかし、明治初期にさくらんぼの栽培はしていても、余り広まってはいなかったそうです。
広まり難かった理由は、栽培方法の難しさだったそうです。
明治時代の終わり頃から、交通手段がしっかりとしてきたので、東京でもさくらんぼを見掛ける事が増えたそうです。
現在でもさくらんぼの栽培には手間がかかり大変だそうです。
現在では品種改良により、値段が高めではありますが、たくさんの種類のさくらんぼが食べられるようになりました。
「さくらんぼ」は、漢字にすると「桜ん坊」・「桜桃」などと書きます。
生産者の方達は「桜桃(おうとう)」を多く使用するそうですが、販売する時には「さくらんぼ、サクランボ、桜ん坊」という字になって店頭に並ぶ事が多いそうです。
以上の事から考えると、沖田総司さんの生きていた江戸時代には、とても珍しい果物だったと思います。
「新撰組異聞外伝 短編 桜ん坊」で敬一君がさくらんぼを食べる場面が登場します。
今回の物語の設定時期に、鈴ちゃんがさくらんぼを既に知っていたかと考えました。
京育ちの鈴ちゃんが知っている可能性は低いように思いながらも、鈴ちゃんが知っている可能性もあるなと思いました。
沖田総司さんは京に着た当初はお金が無くて大変だったようですが、少しずつお金に余裕も出てきて、更に「池田屋事変」以降はかなりの収入があったそうです。
そこで、設定に少し無理はありますが、さくらんぼを手に入れるのは可能だと考えて、今回の物語を考えました。
「ぽっぺん」(鈴ちゃんは“ぽっぴん”と呼んでいます)の登場する物語は「新撰組異聞 短編 夏の青空 光の音」で、「びいどろの風鈴」の登場する物語は「新撰組異聞 短編 夏の鈴の音 風の音」になります。
ただし、この三つの物語を正確な時間設定に当てはめると、少し無理が出てきます。
そのため、このような出来事が以前にあったと想像しながら読んでください。
楽しんで頂けると嬉しいです。
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