新撰組異聞　〜　秋の夜長の夢語り　薄荷の香り　〜


〜　改訂版　〜


今は初秋。


ここは、京の町。


日中も陽が沈んでも、暑い日が続いている。


今は夜。


暑さは感じる。


夜空には月が綺麗に輝いている。


ここは、屯所。


沖田総司の部屋。


部屋の中に蚊帳が吊ってある。


蚊帳の中に床が敷いてある。


沖田総司は床の中で静かに寝ている。


部屋の中が不思議な空気に包まれた。


沖田総司は床の中でゆっくりと目を開けた。


少女が沖田総司を笑顔で覗き込んでいる。


沖田総司には、夜の国の住人で少女と同じ顔の“夢”という名前の少女と直ぐに分かった。


沖田総司は床の中で、夢に微笑んで話し出す。

「夢ちゃん。こんばんは。」

夢は沖田総司から離れると、沖田総司に微笑んで話し出す。

「総司さん。こんばんは。」

沖田総司は床の上に体を起すと、夢を微笑んで見た。

夢は沖田総司に微笑んで抱き付いた。

沖田総司は床の上に体を起して、赤面して動きを止めた。


夢は沖田総司を微笑んで抱いて、不思議な空気に包まれた。

沖田総司は赤面して動きを止めて、不思議な空気に包まれた。


一瞬の後の事。


ここは、夜の国。


夜空には、月と満天の星が輝いている。


心地良い空気に包まれている。


広い草原。


夜空には、月と満天の星が輝いている。


心地良い空気に包まれている。


夢は沖田総司を微笑んで抱いて、静かに現れた。

沖田総司は赤面して動きを止めて、静かに現れた。


夢は沖田総司から微笑んで放れた。

沖田総司は夢を赤面して見た。

夢は沖田総司に微笑んで話し出す。

「総司さん。夜の国に到着しました。初秋の夜の国を楽しんでください。」

沖田総司は夢に赤面して不思議な様子で話し出す。

「夢ちゃんから薄荷の香りがする。」

夢は沖田総司に微笑んで話し出す。

「はい。私からは薄荷の香りがします。」

沖田総司は夢に赤面して微笑んで話し出す。


「当たったんだ。」

夢は沖田総司に微笑んで話し出す。

「はい。」

沖田総司は夢を赤面して微笑んで見た。

夢は沖田総司に抱き付くと、沖田総司に微笑んで話し出す。

「総司さん。薄荷の香りが更にはっきりと感じますよね。」

沖田総司は夢を赤面して緊張して動きを止めた。


夢は沖田総司を微笑んで抱いて、静かに居なくなった。

沖田総司は赤面して動きを止めて、静かに居なくなった。


一瞬の後の事。


ここは、夜の国。


夢の家。


一室。


夢は沖田総司を微笑んで抱いて、静かに現れた。

沖田総司は赤面して動きを止めて、静かに現れた。


夢は沖田総司から微笑んで放れた。

沖田総司は夢を赤面して見た。

夢は沖田総司に微笑んで話し出す。

「先程の話の続きです。今夜は総司さん達に或る物で楽しんで頂きたくて、夜の国にご招待しました。」

沖田総司は夢を赤面して不思議な様子で見た。

夢は沖田総司に微笑んで話し出す。

「一つ目の補足です。総司さん達の住む場所でも見られます。或る用途で利用します。」

沖田総司は夢を赤面して不思議な様子で見ている。

夢は沖田総司に微笑んで話し出す。

「二つ目の補足です。私です。」

沖田総司は夢を見ながら、赤面して不思議な様子で考えた。

夢は沖田総司に微笑んで話し出す。

「総司さん。分かりませんか？」

沖田総司は夢に赤面して不思議な様子で頷いた。

夢は沖田総司に微笑んで話し出す。

「総司さん。照れ屋さんだから、勘が物凄く鈍っていますね。」

沖田総司は夢を赤面して困惑して見た。

夢は沖田総司に微笑んで話し出す。

「総司さん。後で逢いましょう。」

沖田総司は夢を赤面して不思議な様子で見た。


夢は微笑んで、静かに居なくなった。


沖田総司の後ろから、斉藤一の気配がした。


沖田総司は後ろを微笑んで見た。


斉藤一は沖田総司を普通の表情で見ている。


沖田総司は斉藤一を微笑んで見た。

斉藤一は沖田総司に普通に話し出す。

「総司。答えは分かったのか？」

沖田総司は斉藤一に僅かに動揺して話し出す。

「斉藤さん。何時から部屋の中に居たのですか？」

斉藤一は沖田総司に普通に話し出す。

「少し前に部屋の中に来た。総司が、抱かれて、放れて、抱かれて、質問に答えられない、などの言動は知っている。」

沖田総司は斉藤一に動揺した様子で話し出す。

「斉藤さん！　何時から私の近くに居たのですか？！」

斉藤一は沖田総司を普通の表情で見た。

沖田総司は斉藤一に動揺して話し出す。

「斉藤さん！　何故、黙るのですか？！」

斉藤一は沖田総司に普通に話し出す。

「総司。良い機会だ。更に動揺しろ。」

沖田総司は斉藤一を緊張して見た。

斉藤一は沖田総司を普通の表情で見た。

沖田総司は斉藤一に緊張して話し出す。

「さ、斉藤さん、な、何故、だ、黙るのですか？」

斉藤一は沖田総司に普通に話し出す。

「美鈴さんが家の中に居る。」

沖田総司は斉藤一を見ながら、斉藤一の腕を動揺して掴んだ。

斉藤一は沖田総司を普通の表情で見た。


少女は微笑んで、静かに現れた。


斉藤一は少女を普通の表情で見た。

沖田総司は斉藤一から腕を放すと、少女を苦笑して見た。

少女は沖田総司に微笑んで話し出す。

「総司さん。こんばんは。」

沖田総司は少女に苦笑して話し出す。

「鈴ちゃん。こんばんは。」

少女は沖田総司を不思議な様子で見た。

沖田総司も少女を不思議な様子で見た。

少女は沖田総司に不思議な様子で話し出す。

「総司さん。何かありましたか？」

沖田総司は少女に不思議な様子で話し出す。

「鈴ちゃんからも薄荷の香りがする。」

少女は沖田総司を微笑んで見た。

沖田総司は少女に慌てて話し出す。

「鈴ちゃんからも薄荷の香りがする、と話したのは、鈴ちゃん以外の人物からも薄荷の香りがしたという意味で話したんだ！　変な意味ではないよ！」

少女は沖田総司を不思議な様子で見た。

沖田総司は斉藤一を動揺して見た。

斉藤一は沖田総司に普通に話し出す。

「総司。今夜は、夜の国の人達が薄荷湯を用意してくれた。美鈴さんは薄荷を使った菓子を作った。薄荷湯から出た後に、薄荷を使った菓子を食べろ。」

沖田総司は少女に微笑んで話し出す。

「薄荷湯。薄荷を使った菓子。二つの薄荷の趣向が楽しめるんだ。」

少女は沖田総司に微笑んで話し出す。

「見慣れないお菓子ですが、暑い時には更に美味しく感じるお菓子だそうです。お菓子を作る説明書を貸して頂いて、お菓子を作る説明も受けました。総司さんと斉藤さんに、楽しんで頂けると嬉しいです。」

沖田総司は少女に微笑んで話し出す。

「鈴ちゃんの作る菓子は、何時も美味しいよ。安心して良いよ。」

少女は沖田総司を微笑んで見た。

沖田総司も少女を微笑んで見た。

斉藤一は沖田総司と少女を普通の表情で見た。


暫く後の事。


ここは、夜の国。


夢の家。


縁。


辺りは心地良さと薄荷の香りに包まれている。


沖田総司は微笑んで座っている。

少女も微笑んで座っている。


沖田総司は少女に微笑んで話し出す。

「薄荷湯。気持ち良かったね。」

少女は沖田総司に微笑んで話し出す。

「はい。」

沖田総司は少女に微笑んで話し出す。

「鈴ちゃんの作る薄荷の菓子が早く食べたいな。斉藤さん。早く戻らないかな。」

少女は沖田総司を微笑んで見た。

沖田総司は少女に僅かに慌てて話し出す。

「斉藤さんも薄荷湯を楽しんでいるのに、早く戻って欲しいと思ったら失礼だよね。」

少女は沖田総司に微笑んで話し出す。

「総司さんと斉藤さんは、とても親しいです。斉藤さんに早く逢いたい気持ちは分かります。」

沖田総司は少女を微笑んで見た。

少女も沖田総司を微笑んで見た。


斉藤一は普通に来た。


斉藤一は沖田総司の横に普通に座った。


沖田総司は斉藤一を微笑んで見た。

少女は斉藤一を微笑んで見た。

斉藤一は沖田総司と少女を普通の表情で見た。

少女は沖田総司と斉藤一に微笑んで話し出す。

「お菓子と飲み物を用意してきます。」

沖田総司は少女に微笑んで頷いた。

斉藤一は少女に普通の表情で頷いた。


少女は家の中へ微笑んで入って行った。


斉藤一は沖田総司に普通に話し出す。

「総司は俺に早く戻って欲しかったのか。」

沖田総司は斉藤一に不思議な様子で話し出す。

「斉藤さん。何時、薄荷湯を出たのですか？」

斉藤一は沖田総司に普通に話し出す。

「少し前だ。」

沖田総司は斉藤一を微笑んで見た。

斉藤一は沖田総司に普通に話し出す。

「総司と美鈴さんが、良い雰囲気で和んでいた。気を遣って薄荷湯に長く浸かっていた訳ではない。」

沖田総司は斉藤一に赤面して僅かに動揺して話し出す。

「斉藤さん。本当は、何時、薄荷湯を出たのですか？」

斉藤一は沖田総司に普通に話し出す。

「少し前だ。総司は俺を疑っているのか？」

沖田総司は斉藤一に赤面して僅かに動揺して話し出す。

「斉藤さんを疑っていません。」

斉藤一は沖田総司に普通の表情で頷いた。

沖田総司は斉藤一を赤面して安心した表情で見た。


少女はお菓子や飲み物をお盆に載せて、微笑んで来た。


沖田総司は少女を微笑んで見た。

斉藤一は少女を普通の表情で見た。


少女はお盆を縁に微笑んで置いた。


少女は沖田総司の横に微笑んで座った。


沖田総司は少女に微笑んで話し出す。

「鈴ちゃん。菓子を取る、飲み物を注ぐ、などは、各自で行なおう。」

斉藤一は少女に普通の表情で頷いた。

少女は沖田総司と斉藤一に微笑んで話し出す。

「はい。」

沖田総司は少女に微笑んで話し出す。

「透き通った菓子は綺麗だね。小さい菓子は煎餅に似ているね。」

少女は沖田総司に微笑んで話し出す。

「透き通ったお菓子は、薄荷を使った冷菓です。お煎餅に似た小さいお菓子は、薄荷を使った焼き菓子です。冷菓は直前まで冷やしていたので、食べ頃になっています。」

沖田総司は少女に微笑んで頷いた。

斉藤一は少女を普通の表情で見た。

沖田総司は斉藤一に微笑んで話し出す。

「斉藤さん。鈴ちゃんが作った菓子です。薄荷を使った菓子を食べる機会は少ないです。一緒に食べましょう。」

斉藤一は沖田総司に普通の表情で頷いた。

少女は沖田総司と斉藤一を微笑んで見た。

沖田総司は薄荷の冷菓を取ると、少女に笑顔で話し出す。

「いただきます！」

斉藤一は薄荷の冷菓を取ると、少女に普通の表情で頷いた。

少女は冷たい薄荷の冷菓を取ると、沖田総司と斉藤一に微笑んで話し出す。

「いただきます。」

沖田総司は薄荷の冷菓を笑顔で美味しく食べ始めた。

斉藤一は薄荷の冷菓を普通の表情で食べ始めた。

少女は薄荷の冷菓を微笑んで食べ始めた。

沖田総司は薄荷の冷菓を食べながら、少女に笑顔で話し出す。

「鈴ちゃん！　美味しいよ！」

斉藤一は薄荷の冷菓を食べながら、少女に普通の表情で頷いた。

少女は薄荷の冷菓を食べながら、沖田総司と斉藤一を微笑んで見た。

沖田総司は薄荷の冷菓を食べながら、少女に笑顔で話し出す。

「夜の国は珍しい物がたくさんあるね！　楽しいね！」

少女は薄荷の冷菓を食べながら、沖田総司に微笑んで話し出す。

「はい。」

斉藤一は薄荷の冷菓を食べながら、沖田総司と少女を普通の表情で見た。


初秋の夜の国。

綺麗に輝く月。

満天の星。

心地良い空気。

薄荷の香り。

薄荷を使ったお菓子。

素適な物がたくさんある。

初秋の夜の国は、楽しい時間の中で過ぎていく。




＊　　　　　　＊　　　　　　＊　　　　　　＊　　　　　　＊　　　　　　＊




ここからは後書きになります。

この物語は既に掲載している物語の改訂版です。

改訂前の物語の展開や雰囲気を出来るだけ残して改訂しました。

改訂前の物語を掲載するのは止めました。

以上、ご了承願います。

ここからは改訂前の後書きを加筆訂正して書きます。

この物語の補足です。

夜の国は、お風呂などを含めて現在に近い状況だと想像してください。

その関係で、江戸時代のお風呂事情に関しての詳しい説明を省略します。

「薄荷（はっか）」について簡単に説明します。

シソ科のハッカ属の植物の総称です。

「ペパーミント」や「スペアミント」も薄荷に入りますが、日本で薄荷というと「日本薄荷（にほんはっか）」・「和薄荷（わはっか）」・英語名では「ｊａｐａｎｅｓ　ｍｉｎｔ」を差す事が多いと思います。

呼び名は違いますが、万葉の時代には自生していた薄荷があると伝えられているそうです。

日本に薄荷が渡来したのも、江戸時代よりかなり前の事になるそうです。

江戸時代の薄荷の値段は分かりませんでした。

日本で自生していた薄荷は、現在では「日本薄荷」・「和薄荷」・英語名では「ｊａｐａｎｅｓ　ｍｉｎｔ」と呼ばれています。

薄荷の特長に一つに清涼感があります。

薄荷の清涼感は、メントールの成分によるものです。

日本薄荷は、メントールの含有量が多いのが特長です。

薄荷の効能には、血行促進、保温、発汗による解熱、などがあります。

今回の物語の中で登場した薄荷を使ったお菓子は、「ミントゼリー」・「ミントクッキー」を参考にして書きました。

「ゼリー」は夏の季語です。

「薄荷湯（はっかゆ）」についてです。

江戸時代には、薬用のお風呂を専門に提供している銭湯もあったそうです。

「菖蒲湯」や「柚子湯」はあったそうです。

薄荷湯がいつ頃からある薬用風呂なのか分かりませんでした。

薬用の銭湯専門店で薄荷湯があった場合に利用する時の値段も、分かりませんでした。

「薄荷湯」の入り方を簡単に説明します。

日陰干しした薄荷の葉を布袋に入れます。

桶などに袋を入れて、熱湯を掛け１５〜２０ほど蒸らします。

袋と煮出したお湯ごと浴槽に入れます。

薄荷・薄荷湯などの詳細は各自でお調べください。

「初秋（“しょしゅう”、または、“はつあき”）」についてです。

「秋の初め。陰暦七月の異称。」を表す言葉です。

楽しんで頂けると嬉しいです。





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