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新撰組異聞 〜 生姜の香りで思うこと 〜


〜 改訂版 〜


今は秋。


ここは、京の町。


陽のある時間は過ごしやすいが、夜になると時折だが肌寒さを感じる日が現れるようになった。


ここは、少女の住む家。


玄関。


沖田総司は微笑んで居る。

少女も微笑んで居る。


沖田総司は少女に微笑んで話し出す。

「予定より任務が早く終わったんだ。鈴ちゃんと話したくて、突然だけど訪ねたんだ。都合が悪ければ、直ぐに帰るね。」

少女は沖田総司に微笑んで話し出す。

「私の今日の予定は終わりました。総司さんとお話しが出来ます。嬉しいです。」

沖田総司は少女を笑顔で見た。

少女は沖田総司に微笑んで話し出す。

「総司さん。お茶の用意をします。家の中に上がってください。」

沖田総司は少女に微笑んで話し出す。

「ありがとう。」

少女は沖田総司を微笑んで見た。


沖田総司は家の中に微笑んで入って行った。

少女も家の中に微笑んで入って行った。


少し後の事。


ここは、少女の住む家。


少女の部屋。


沖田総司は微笑んで居る。


少女はお盆にお茶と小さい包みを載せて、部屋の中に微笑んで入ってきた。


沖田総司は少女を微笑んで見た。

少女は、沖田総司の前と自分の前に、お茶を微笑んで置いた。

沖田総司はお盆を不思議な様子で見た。


お盆に小さい包が載っている。


小さい包みからは、微かに生姜の香りが広がっている。


少女は沖田総司を見ると、沖田総司に微笑んで話し出す。

「先日の出来事です。家族で生姜湯に浸かりました。生姜湯に浸かる間に体が温かくなりました。生姜湯に浸かると良い気持ちになりました。総司さんと斉藤さんにも、生姜湯に浸かって欲しいと思いました。生姜を用意しました。」

沖田総司は少女に微笑んで話し出す。

「ありがとう。」

少女は沖田総司を心配して見た。

沖田総司は少女を不思議な様子で見た。

少女は沖田総司に心配して話し出す。

「今になって気付きました。用意した生姜は、総司さんと斉藤さんのみです。総司さんと斉藤さんのお二人のみで生姜湯に浸かる状況になります。大丈夫ですか?」

沖田総司は少女に微笑んで話し出す。

「私は一番組組長だよ。斉藤さんは三番組組長だよ。何か言う人物がいるとすれば、近藤さんか土方さんだと思うんだ。私から近藤さんと土方さんに生姜湯について話すよ。近藤さんも土方さんも、優しいから大丈夫だよ。心配しないで。」

少女は沖田総司を安心した表情で見た。

沖田総司は少女に微笑んで話し出す。

「鈴ちゃん。お茶が冷めてしまうよ。お茶を飲みながら話そう。」

少女は沖田総司に微笑んで話し出す。

「はい。」

沖田総司は少女に微笑んで話し出す。

「いただきます。」

少女は沖田総司を微笑んで見た。

沖田総司はお茶を笑顔で美味しく飲み始めた。

少女はお茶を微笑んで飲み始めた。


暫く後の事。


ここは、町中。


沖田総司は小さい包みを持ち、微笑んで歩いている。


小さい包みからは、微かに生姜の香りが広がっている。


沖田総司のお腹から小さい音が聞こえた。


沖田総司は小さい包みを持ち、僅かに慌てて止まった。


沖田総司は小さい包みを持ち、僅かに慌てて辺りを見た。


沖田総司の様子に気付く者は居ない。


沖田総司は小さい包みを持ち、安心した表情になった。


小さい包みからは、微かに生姜の香りが広がっている。


沖田総司は小さい包みを持ち、苦笑した表情で呟いた。

「生姜の香りの関係かな? 食べ物を買ってから、屯所に帰ろう。」


沖田総司は小さい包みを持ち、苦笑した表情で僅かに早く歩き出した。


少し後の事。


ここは、屯所。


土方歳三の部屋。


土方歳三は机に普通の表情で向かっている。


沖田総司は小さい包みを持ち、部屋を微笑んで訪ねた。


土方歳三は沖田総司を不思議な様子で見た。

沖田総司は小さい包みを脇に置くと、土方歳三に微笑んで話し出す。

「土方さん。良く逢う親しい友達と生姜湯について話しました。良く逢う親しい友達から、私と斉藤さんが、生姜湯に使用するための生姜を頂きました。私と斉藤さんのみになりますが、生姜湯に浸かる許しが欲しくて訪ねました。」

土方歳三は沖田総司に微笑んで話し出す。

「総司と斉藤が、自分達で生姜湯に浸かるために用意したと判断すれば、生姜湯に浸かって問題ない。近藤さんには、俺から話しておく。」

沖田総司は土方歳三に微笑んで話し出す。

「ありがとうございます。」

土方歳三は沖田総司に微笑んで話し出す。

「総司と斉藤のために、用意してくれた生姜だろ。出来るだけ早く生姜湯に浸かれ。」

沖田総司は土方歳三に微笑んで話し出す。

「はい。」

土方歳三は沖田総司に微笑んで頷いた。

沖田総司は小さい包みを微笑んで持った。


沖田総司は小さい包みを持ち、部屋の外に嬉しく出て行った。


少し後の事。


ここは、屯所。


斉藤一の部屋。


斉藤一は普通に居る。


沖田総司は小さい包みを持ち、部屋を笑顔で訪ねた。


斉藤一は沖田総司を普通の表情で見た。

沖田総司は斉藤一の前に小さい包みを置くと、小さい包みを笑顔で広げた。

斉藤一は沖田総司と包みを普通の表情で見た。


包みの中には、生姜が入っている。


沖田総司は斉藤一に微笑んで話し出す。

「先日の出来事になるそうです。鈴ちゃんが生姜湯に浸かったそうです。鈴ちゃんが、生姜湯に浸かって、体が温かくなる、良い気持ちになる、などの楽しい雰囲気になったそうです。鈴ちゃんが、私と斉藤さんのために生姜湯に浸かるための生姜を用意してくれました。土方さんから、私と斉藤さんが、生姜湯に浸かる許しをもらいました。近藤さんには、土方さんから話してくれるそうです。」

斉藤一は沖田総司に普通の表情で頷いた。

沖田総司は斉藤一に微笑んで話し出す。

「土方さんが、鈴ちゃんの生姜を用意した気持ちに応えるために、出来るだけ早く生姜湯に浸かるように話しました。」

斉藤一は沖田総司に普通の表情で頷いた。

沖田総司は斉藤一に微笑んで話し出す。

「斉藤さん。楽しみですね。」

斉藤一は沖田総司に普通の表情で頷いた。

沖田総司は斉藤一を微笑んで見た。


翌日の事。


ここは、屯所。


風呂場。


沖田総司は生姜湯に微笑んで浸かっている。


湯船には、薄く切った生姜の入る小さい布袋が浮かんでいる。


沖田総司は生姜湯に浸かり、小さい布袋を持つと、小さい布袋を湯船の中で微笑んで揉んだ。


生姜の香りと生姜湯の湯気が、沖田総司を包んだ。


沖田総司は生姜湯に浸かり、気持ちの良い表情になった。


沖田総司のお腹から小さい音が鳴った。


沖田総司は生姜湯に浸かり、僅かに慌てて辺りを見た。


近くに人の居る気配は無い。


沖田総司は生姜湯に浸かり、安心した表情になった。


生姜の香りと生姜湯の湯気が、沖田総司を包み続けている。


沖田総司は生姜湯に浸かり、恥ずかしく呟いた。

「生姜湯から上がったら、何か食べよう。」


小さい布袋が湯船の中で小さく揺らめいた。


数日後の事。


ここは、沖田総司と少女が良く訪れる寺。


本堂。


沖田総司は微笑んで居る。

少女も微笑んで居る。


沖田総司は少女に微笑んで話し出す。

「私と斉藤さんは、鈴ちゃんからもらった生姜を使って、生姜湯に浸かったんだ。斉藤さんが、鈴ちゃんへの礼を兼ねて、三人で出掛けたいと話していたよ。」

少女は沖田総司に恥ずかしく話し出す。

「私が用意したのは生姜だけです。」

沖田総司は少女に微笑んで話し出す。

「実は、近藤さんが、私と斉藤さんが生姜湯に浸かると知って、隊士達のために生姜湯を用意してくれる話になったんだ。隊士達は喜んでいるんだ。私と斉藤さんは、生姜湯に再び浸かれるから嬉しいんだ。鈴ちゃんの気遣いのおかげだよ。」

少女は沖田総司を恥ずかしく見た。

沖田総司は少女を微笑んで見た。


暫く後の事。


ここは、屯所。


斉藤一の部屋。


斉藤一は普通に居る。


沖田総司は微笑んで訪れた。


斉藤一は沖田総司を普通の表情で見た。

沖田総司は斉藤一に微笑んで話し出す。

「斉藤さん。生姜湯に再び浸かれますね。嬉しいですね。」

斉藤一は沖田総司に普通の表情で頷いた。

沖田総司は斉藤一を微笑んで見た。

斉藤一は沖田総司に普通に話し出す。

「薬用関係の風呂に浸かる時は、総司が一番風呂になる回数が多い。」

沖田総司は斉藤一に微笑んで話し出す。

「近藤さんや土方さんに、私が薬用風呂に浸かりたいと積極的に話すからだと思います。」

斉藤一は沖田総司の耳元に顔を近付けると、沖田総司に普通の表情で囁いた。

「総司お兄ちゃん。俺も一番風呂に浸かりたいな。総司お兄ちゃんから積極的に話してくれるかな?」

沖田総司は斉藤一に怪訝な様子で話し出す。

「斉藤さん。私を利用して生姜湯の一番風呂に浸かろうとしていますね。」

斉藤一は沖田総司の耳元から離れると、沖田総司に普通に話し出す。

「今の話は冗談だ。」

沖田総司は斉藤一を怪訝な様子で見た。

斉藤一は沖田総司に普通に話し出す。

「言い方を間違えた。今の話。本気なのか、冗談なのか。総司の判断に任せる。」

沖田総司は斉藤一に僅かに拗ねて話し出す。

「斉藤さんには幾度も世話になっています。私が、近藤さんか土方さんに、斉藤さんの一番風呂について話します。」

斉藤一は沖田総司に普通に話し出す。

「総司。俺のために気を遣うな。」

沖田総司は斉藤一に僅かに拗ねて話し出す。

「気を遣っていません。感謝の気持ちを込めて話しています。」

斉藤一は沖田総司に普通に話し出す。

「総司。礼を言う。」

沖田総司は斉藤一を見ながら、苦笑して軽くため息をついた。

斉藤一は沖田総司を普通の表情で見た。


生姜の香りで思う事。

沖田総司は、少女、斉藤一、食べ物を思う。

少女は、沖田総司と斉藤一を思う。

斉藤一は、何を思うのか?

答えを知るのは、斉藤一、生姜湯、生姜、だけかも知れない。




*      *      *      *      *      *




ここからは後書きになります。

この物語は既に掲載している物語の改訂版です。

改訂前の物語の展開や雰囲気を出来るだけ残して改訂しました。

改訂前の物語を掲載するのは止めました。

以上、ご了承願います。

ここからは改訂前の後書きを加筆訂正して書きます。

「風呂」についてです。

江戸時代にはたくさんの人達が銭湯を利用していました。

現在とは違い「蒸し風呂」のようになっていたそうです。

「戸棚風呂」と呼ばれている形だったそうです。

熱くなっている小石の上に水を掛けて蒸気を出していたそうです。

浴槽には膝の高さほどのお湯しかありませんでした。

下半身はお湯に浸して、上半身は小石から出る蒸気で温めていたそうです。

蒸気が逃げないようにするために、「石榴口(ざくろぐち)」が考えられたそうです。

簡単な説明ですが、天井から低く板を下げて、蒸気を逃げないようにしていました。

お風呂に入る人達はこの板をくぐって、風呂場の中へと入っていったそうです。

現在でいうお風呂に近い、深く浸かるお風呂は、江戸時代の慶長年間の末頃に出来ました。

「据え風呂」と言って、井戸水などから沸かすお風呂だったそうです。

一般の庶民の家に広まったそうです。

普及していたのは「鉄砲風呂」や「五右衛門風呂」だったそうです。

「鉄砲風呂」は、簡単に言うと、鉄の筒に燃えている薪を入れてお湯を温めるお風呂です。

鉄の筒でやけどをしないように、筒を遮るように柵で防護していたそうです。

この形のお風呂は、江戸で主流になっていたそうです。

「五右衛門風呂」は、簡単に言うと、下の鉄釜を熱して温めるお風呂です。

こちらはやけどをしないように、「釜板、兼、底板」を下に敷いてお風呂に入ったそうです。

この形のお風呂は、関西で主流になっていたそうです。

「生姜(しょうが)」についてです。

ショウガ科の多年草植物です。

熱帯アジアが原産ではないかと言われています。

生姜は、香辛料、芳香、薬用など、古くからいろいろな用途に使用されていたそうです。

日本には中国から渡来したいといわれています。

渡来した時期は、古事記に生姜についての記載がある事から、その頃からそれ以前になると思われます。

生姜は、以前は「クレノハジカミ」と呼ばれていたそうです。

辛味と香が「山椒(さんしょ)[※ハジカミ]」に似ていたために、「クレノハジカミ」として区別していたそうです。

生姜には、解毒作用、殺菌作用、整腸作用、強壮作用、抗酸化作用、食欲増進効果など、いろいろな作用や効果があります。

生姜は、ジンジベインという消化酵素を多く含んでいるそうです。

そのため、うどん、鰹料理、冷奴、肉類などの炒め物など、いろいろな料理に利用されています。

「生姜湯(しょうがゆ)」についてです。

生姜湯には、上記の効果の関係で、新陳代謝を促進し、風邪を予防する効果があるそうです。

体の芯から温まり、湯冷めし難い効果もあるそうです。

生姜湯の入り方を簡単ですが説明します。

生姜一握り分(80g相当)を摩り下ろします。

絞り汁を浴槽に入れて、良くかき混ぜてから入浴します。

生姜を薄く切って布袋に入れ、揉みながら入浴すると、香りも一緒に楽しむ事が出来ます。

生姜湯は、足湯でも体を温める効果を期待する事が出来るそうです。

生姜、生姜を利用した料理、生姜湯などの詳細については、各自でお調べください。

楽しんで頂けると嬉しいです。





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