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新撰組異聞 〜 紅葉月 神無月 時雨降る 〜
ここは、京の町。
紅葉が紅色に染まっている。
たくさんの人達が新撰組の評判について話すのを聞く機会がある。
たくさんの人達が話す新撰組の評判は、どちらかというと悪い評判が多く感じる。
ここは、屯所。
土方歳三の部屋。
土方歳三は普通の表情で机に向かっている。
斉藤一が普通に訪ねてきた。
土方歳三は斉藤一を見ると、微笑んで話し出す。
「斉藤。待っていた。」
斉藤一は土方歳三に普通の表情で軽く礼をした。
土方歳三は斉藤一に微笑んで話し出す。
「斉藤。話がしたい。傍に来てくれ。」
斉藤一は土方歳三に普通に近寄った。
土方歳三は斉藤一を真剣な表情で見た。
斉藤一は土方歳三を普通の表情で見た。
土方歳三は斉藤一に耳元に顔を近付けると、真剣な表情で何かを囁き始めた。
斉藤一は土方歳三を普通の表情で見ている。
土方歳三は真剣な表情のまま、斉藤一の耳元から離れた。
斉藤一は土方歳三に普通の表情で軽く礼をした。
土方歳三は斉藤一に微笑んで話し出す。
「斉藤。また後で。」
斉藤一は土方歳三に普通の表情で軽く礼をした。
土方歳三は斉藤一を微笑んで見た。
斉藤一は部屋を普通に出て行った。
土方歳三は真剣な表情で机に向かった。
それから僅かに後の事。
ここは、縁。
斉藤一は普通に歩いている。
沖田総司の明るい声が、斉藤一の後ろから聞こえてきた。
「斉藤さん!」
斉藤一は立ち止まると、後ろを普通の表情で見た。
沖田総司は斉藤一の前に微笑んで来た。
斉藤一は沖田総司を普通の表情で見た。
沖田総司は斉藤一に微笑んで話し出す。
「斉藤さん。今夜は時間に余裕があったら、一緒に話しましょう。もちろん斉藤さんは私に遠慮せずに酒を飲んでください。」
斉藤一は沖田総司に普通に話し出す。
「美鈴さん何か遭ったのか?」
沖田総司は斉藤一に苦笑しながら話し出す。
「鈴ちゃんは普段と同じく笑顔でした。」
斉藤一は沖田総司に普通に話し出す。
「今夜は総司と話す時間が遅くなるかも知れない。」
沖田総司は斉藤一に微笑んで話し出す。
「斉藤さん。無理しないでください。別な日に話しましょう。」
斉藤一は沖田総司に普通の表情で頷いた。
沖田総司は微笑みながら居なくなった。
それから暫く後の事。
ここは、京の町。
空の色は橙色と紺色が交じり合っている。
家路へと急ぐ人達、食事の支度をする人達、寝る支度をする人達などで、僅かに落ち着かない雰囲気になっている。
斉藤一は普通に歩いている。
斉藤一が普通に歩く姿は、京の町の人達の中に溶け込んでいる。
それから少し後の事。
ここは、京の町。
空の色は紺色に染まっている。
月の光が空と地面を淡く照らしている。
町を歩く人の姿がかなり減った。
ここは、一本の木の傍。
一人の新撰組隊士がゆっくりと歩いている。
木の一部が光った。
新撰組隊士はゆっくりと歩いている。
木の一部の光が素早く動いた。
新撰組隊士は、目を見開いたまま、地面へと倒れた。
月の光が木の辺りを淡く照らした。
斉藤一が刀を持ちながら木の傍に居る姿が淡く浮かび上がった。
斉藤一は刀を持ちながら、地面に倒れている新撰組隊士を普通の表情で見た。
新撰組隊士は既に事切れている。
斉藤一は刀を持ちながら視線を戻すと、普通の表情で歩き出した。
それから暫く後の事。
ここは、屯所。
沖田総司の部屋。
沖田総司は床の中で静かに寝ている。
障子がほとんど音を立てずにゆっくりと開いた。
沖田総司は床の中で静かに寝ている。
障子はほとんど音を立てずにゆっくりと閉じた。
沖田総司は床の中でゆっくりと目を開けた。
斉藤一が沖田総司を普通の表情で見ている。
沖田総司は床に横になったまま、斉藤一を驚いた表情で見た。
斉藤一は沖田総司を普通の表情で見ている。
沖田総司は床の上に体を起すと、斉藤一に僅かに驚いた様子で話し出す。
「斉藤さん。気配を消しながら部屋の中に入らないでください。驚きます。」
斉藤一は沖田総司に普通に話し出す。
「総司。思い切り熟睡していたな。今夜の総司は簡単に斬れたな。」
沖田総司は床の上に体を起こしたまま、斉藤一に苦笑しながら話し出す。
「私が斉藤さんの気配を感じないのは、ある意味になりますが、危険がないので安心です。」
斉藤一は沖田総司を普通の表情で見た。
沖田総司は床の上に体を起こしたまま、斉藤一に不思議そうに話し出す。
「斉藤さん。何か遭ったのですか?」
斉藤一は沖田総司に普通に話し出す。
「今夜の総司は俺と話しながら過ごしたかったのだろ。遅くなったが、時間が出来たので訪ねてきた。」
沖田総司は床に体を起こしたまま、斉藤一に微笑んで話し出す。
「用事は終わったのですか?」
斉藤一は沖田総司に普通に話し出す。
「一旦は終わった。残りは別な日にする。」
沖田総司は床の上に体を起こしたまま、斉藤一に微笑んで話し出す。
「今夜は早く眠気を感じたので、普段より早く床に着きました。寝巻きのままで話しても良いですか?」
斉藤一は沖田総司に普通に話し出す。
「体調が悪いのか?」
沖田総司は床の上に体を起こしたまま、斉藤一に微笑んで話し出す。
「体調は普段と同じです。」
斉藤一は沖田総司に普通に話し出す。
「今夜はこのまま休め。話しは別な日にしよう。」
沖田総司は床に体を起こしたまま、斉藤一に微笑んで話し出す。
「分かりました。斉藤さん。お休みなさい。」
斉藤一は沖田総司に普通の表情で頷いた。
沖田総司は床に体を起こしたまま、斉藤一を微笑んで見た。
斉藤一は部屋を普通に出て行った。
沖田総司は微笑みながら床に着いた。
その翌日の事。
ここは、京の町。
青色の空の中に黄色や橙色が混じり始めた。
斉藤一は、不逞浪士を普通の表情で追い掛けている。
一人の新撰組隊士は、不逞浪士を真剣な表情で追い掛けている。
不逞浪士は必死の形相で横道に入った。
斉藤一は、不逞浪士を追い掛けながら、普通の表情で横道に入った。
新撰組隊士は、不逞浪士を追い掛けて真剣な表情で横道に入った。
不逞浪士は必死に走っている。
斉藤一は不逞浪士を普通の表情で追い掛けている。
新撰組隊士は不逞浪士を真剣な表情で追い掛けている。
斉藤一と新撰組隊士は、不逞浪士に追いついた。
不逞浪士は立ち止まると、刀を抜いて、必死の表情で構えた。
新撰組隊士は刀を抜くと、真剣な表情で構えた。
斉藤一は真剣な隊士と不逞浪士を普通の表情で見た。
不逞浪士は新撰組隊士に必死な表情で斬りかかった。
新撰組隊士は不逞浪士の刀を真剣な表情で受けた。
斉藤一は新撰組隊士と不逞浪士から僅かに離れると、不逞浪士を睨んだ。
不逞浪士は新撰組隊士と刀を交えながらも、斉藤一を驚いた表情で見た。
斉藤一は不逞浪士を睨んでいる。
不逞浪士は刀を持ちながら、斉藤一を恐怖の表情で見た。
新撰組隊士が不逞浪士を真剣な表情で斬った。
不逞浪士は目を見開いたまま、地面へと倒れた。
新撰組隊士は刀を持ちながら、不逞浪士を真剣な表情で見た。
斉藤一は新撰組隊士の横に来ると、不逞浪士を普通の表情で見た。
不逞浪士は既に事切れている。
新撰組隊士は刀を持ちながら、斉藤一を真剣な表情で見た。
斉藤一はしゃがみ込むと、不逞浪士の刀を普通の表情で取った。
新撰組隊士は斉藤一を真剣な表情で見た。
斉藤一は普通の表情のまま、新撰組隊士に刀を素早く突き刺した。
新撰組隊士は目を見開いたまま、地面へと崩れた。
斉藤一は刀から手を離すと、新撰組隊士を普通の表情で見た。
新撰組隊士は既に事切れている。
斉藤一は普通の表情のまま居なくなった。
それから暫く後の事。
ここは、京の町。
空の中に月の光が薄っすらと見える。
ここは、屯所。
土方歳三の部屋。
土方歳三と斉藤一が居る。
土方歳三は斉藤一に普通に話し出す。
「先日の頼んだ件だけでなく、他の件も済ませてくれた。さすが斉藤。礼を言うよ。」
斉藤一は土方歳三に普通の表情で軽く礼をした。
土方歳三は斉藤一に微笑んで話し出す。
「斉藤。日は改めさせてもらうが、礼を兼ねて飲みに連れて行ってやる。」
斉藤一は土方歳三に普通の表情で軽く礼をした。
土方歳三は斉藤一を微笑んで見た。
斉藤一は土方歳三に普通に話し出す。
「礼のついでと言っては何ですが、一つ頼みがあります。」
土方歳三は斉藤一に微笑んで話し出す。
「無理な頼みでなければ叶えてやる。」
斉藤一は土方歳三に普通の表情で軽く礼をした。
土方歳三は斉藤一を微笑んで見た。
その翌日の事。
ここは、京の町。
紅葉は紅色に染まっている。
ここは、沖田総司、斉藤一、少女が良く訪れる寺。
寺の中。
斉藤一と少女が居る。
少女の脇には包みが置いてある。
少女は出入り口になっている障子を心配そうに見た。
斉藤一は少女を普通の表情で見た。
少女は斉藤一を見ると、申し訳なさそうに話し出す。
「すいません。」
斉藤一は少女に普通に話し出す。
「美鈴さんは俺に謝る行動も発言もしていないだろ。」
少女は斉藤一に申し訳なさそうに話し出す。
「すいません。」
斉藤一は少女を普通に話し出す。
「総司は少し遅れるだけだ。心配するな。」
少女は斉藤一に言い難そうに話し出す。
「新撰組の隊士の方が続けて亡くなられた噂を聞きました。亡くなられた新撰組隊士の方の名前が分からなくて、とても不安でした。後で亡くなられた新撰組の隊士の方の名前を知る機会がありました。私が知らない方の名前でした。」
斉藤一は少女に普通を表情で見た。
少女は斉藤一に言い難そうに話し出す。
「総司さんと斉藤さんは、新撰組隊士の方が亡くなられて、悲しんで大変な思いもしているかも知れないのに、私は安心しました。私は冷たい心の持ち主だと思いました。」
斉藤一は少女に普通に話し出す。
「厳しい任務に就く者と親しい者ならば、誰でも美鈴さんと同じ想いを抱く。美鈴さん。悩むな。」
少女は斉藤一に寂しそうな表情で小さく頷いた。
斉藤一は少女に普通に話し出す。
「美鈴さん。暗い顔をしていると総司が心配するぞ。」
少女は斉藤一に微笑んで頷いた。
斉藤一は少女に普通の表情で頷いた。
出入り口になっている障子が開いた。
沖田総司が元気良く入ってきた。
少女は沖田総司を微笑んで見た。
斉藤一は沖田総司を普通の表情で見た。
沖田総司は斉藤一と少女の傍に微笑んで来た。
少女は沖田総司に微笑んで話し出す。
「総司さん。こんにちは。」
沖田総司は少女に微笑んで話し出す。
「遅くなってごめんね。」
少女は沖田総司に微笑んで首を横に振った。
沖田総司は少女の脇に置いてある包みを見ると、微笑んで話し出す。
「鈴ちゃん。もしかして菓子を用意してくれたのかな?」
少女は沖田総司に微笑んで話し出す。
「お煎餅を用意しました。」
沖田総司は少女に微笑んで話し出す。
「斉藤さんも食べられるようにお煎餅を用意したんだね。」
斉藤一は少女を普通の表情で見た。
少女は沖田総司と斉藤一に微笑んで話し出す。
「甘いお菓子を用意する機会が多いので、斉藤さんがお菓子を食べる機会が少ないです。今回は三人で食べられるようにお煎餅を用意しました。」
沖田総司は斉藤一に微笑んで話し出す。
「斉藤さん。良かったですね。」
斉藤一は沖田総司と少女を普通の表情で見た。
沖田総司は斉藤一を微笑んで見た。
少女は斉藤一を僅かに心配そうに見た。
斉藤一は沖田総司と少女に普通の表情で頷いた。
少女は斉藤一を安心した表情で見た。
沖田総司は斉藤一と少女を微笑んで見た。
外から雨の降る音が聞こえてきた。
沖田総司は斉藤一と少女に不思議そうに話し出す。
「時雨が降り始めたみたいだね。」
少女は沖田総司に微笑んで頷いた。
沖田総司は縁の傍に来ると、障子を微笑んで開けた。
時雨が降っている。
時雨が境内の紅葉を早く散らして地面へと舞い散らせている。
沖田総司は障子を微笑んで閉めた。
少女は沖田総司の横に微笑んで来た。
沖田総司は少女に微笑んで話し出す。
「寺に来るのが少し遅れたら、時雨に降られて慌てたと思う。」
少女は沖田総司を微笑んで見た。
沖田総司は少女に微笑んで話し出す。
「時雨は帰るまでには止むと思うんだ。帰る時も時雨が降り続いていたら、傘を借りて帰ろうね。」
少女は沖田総司に微笑んで頷いた。
沖田総司は少女に微笑んで話し出す。
「鈴ちゃん。寒くない?」
少女は沖田総司に微笑んで話し出す。
「大丈夫です。」
沖田総司は少女に微笑んで話し出す。
「私と斉藤さんが同じ日に非番になる予定があるんだ。三人で出掛けようね。」
少女は沖田総司に微笑んで頷いた。
沖田総司は少女を微笑んで見た。
少女は沖田総司に微笑んで話し出す。
「住職さんに飲み物を分けてもらえるように頼んできます。」
沖田総司は少女に微笑んで頷いた。
少女は出入り口になっている障子を開けると、微笑んで出て行った。
沖田総司は斉藤一の前に微笑んで来た。
斉藤一は沖田総司を普通の表情で見た。
沖田総司は斉藤一に微笑んで話し出す。
「私と斉藤さんと鈴ちゃんは、物凄く仲の良い友達です。お煎餅をたくさん食べて元気に過ごしましょう。」
斉藤一は沖田総司に普通に話し出す。
「もしかして俺を励ましているのか?」
沖田総司は斉藤一を微笑んで見た。
斉藤一は沖田総司に普通に話し出す。
「美鈴さんに煎餅を用意するように頼んだのか?」
沖田総司は斉藤一に微笑んで話し出す。
「私は鈴ちゃんに何も話していません。鈴ちゃんが気を遣って用意したと思います。」
斉藤一は沖田総司を普通の表情で見た。
沖田総司は斉藤一を微笑んで見た。
斉藤一は沖田総司に普通に話し出す。
「美鈴さんには礼を言うが、総司には礼を言わない。」
沖田総司は斉藤一を不思議そうに見た。
斉藤一は沖田総司に普通に話し出す。
「総司お兄ちゃんは優しいから、わざわざ礼を言わなくても良いですよね。」
沖田総司は斉藤一に怪訝そうに話し出す。
「斉藤さん。何か望みがあるのですか?」
斉藤一は沖田総司に普通に話し出す。
「総司お兄ちゃんに望みは言えません。」
沖田総司は斉藤一に怪訝そうに話し出す。
「斉藤さん。やはり何か望みがありますね。」
斉藤一は沖田総司に普通に話し出す。
「総司に任せるよ。」
沖田総司は斉藤一を苦笑した表情で見た。
斉藤一は沖田総司に普通に話し出す。
「総司。任せるという意味を理解しているよな。」
沖田総司は斉藤一に苦笑しながら頷いた。
斉藤一は沖田総司を普通の表情で見た。
新撰組最強の剣客と称えられる沖田総司と斉藤一。
新撰組最強の剣客達は、危険と隣り合わせになる機会が多い。
新撰組の噂は良い悪いも含めていろいろと聞こえてくる。
全ての噂の真偽を知る者は誰も居ない。
* * * * * *
ここからは後書きになります。
新撰組には内部の粛清についての出来事が幾つも伝わっています。
粛清という表現が正しいか分かりませんが、新撰組の時には何度も使われる言葉です。
ある意味にはなりますが、言い当てている部分があるので、この言葉を使って説明します。
近藤勇さんを頂点にしてまとまるために、幾つかの粛清が起きています。
粛清された新撰組の隊士の中に、倒幕派の間者が紛れていたとか、倒幕派の藩の間者が紛れていたとか、いろいろと説があります。
他にも記録に残る形や残らない形での粛清が起きていたと思います。
最初の頃で一番大きな出来事といえば、芹沢鴨さんの暗殺だったと思います。
芹沢鴨さんが殺害されて亡くなったのは、文久三年(1863年)、九月十六日(10月28日)、または、九月十八日(10月30日)と言われています。
剣の力量や性格などから考えると、斉藤一さんは特殊な相手を斬る役目に適役な方だったのかも知れません。
「紅葉月(もみじづき)」は「陰暦九月の異称」です。
「神無月(かみなづき)」は「陰暦十月の異称」です。
「神無月」の由来は、この時期に全国の神様が出雲大社に集まるために、全国の神様が居なくなるという逸話が基になっています。
「時雨(しぐれ)」は、「秋の終わりから冬の初めにかけて、ぱらぱらと通り雨のように降る雨。時雨煮。涙を落として泣く事、または、その涙そのもの。」という意味です。
冬の季語です。
「時雨(じう)」と読むと「ちょうどよい時に降る雨。しぐれ。」という意味になります。
「時雨」を「しぐれ」・「じう」どちらで読んでも「しぐれ」の意味に繋がりますが、「しぐれ」から「じう」には繋がり難い意味になっているようです。
今回の物語では「しぐれ」と読んでいます。
楽しんで頂けると嬉しいです。
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