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新撰組異聞 〜 露隠の葉月の頃 〜


今は冬。

ここは、京の町。


冬の寒さを感じ始めている。


新撰組は、池田屋事変などで名前を広く知られるようになった。

藤堂平助などが江戸へ隊士募集のために出掛けた時期があった。

新撰組に新たな隊士達が入隊した。

新たに入隊した隊士達の中に、伊東甲子太郎の名前の隊士が居る。

伊東甲子太郎は、藤堂平助が誘った人物になる。

伊東甲子太郎は、山南敬助や藤堂平助と同様に北辰一刀流の門下生の経歴を持つ人物になる。

伊東甲子太郎は、知識と教養のある人物になる。

伊東甲子太郎は、参謀の地位で新撰組に入隊した。


ここは、町中。


山南敬助は微笑んで歩いている。

明里も微笑んで歩いている。


山南敬助は明里に微笑んで話し出す。

「明里とは屋内で逢う機会が多い。明里と外で逢いたくなった。明里を誘った。」

明里は山南敬助に微笑んで話し出す。

「外で話しながら過ごす。楽しいです。」

山南敬助は明里に微笑んで話し出す。

「京の町は人が多い。外に長く居ると落ち着かないかな?」

明里は山南敬助に微笑んで話し出す。

「はい。」

山南敬助は明里に微笑んで話し出す。

「屋内で過ごす方法の中で、直ぐに思い出す方法。私は雅に疎いから、飲食関係になってしまう。」

明里は山南敬助に微笑んで話し出す。

「信頼できる人物と食べながら過ごす時間。楽しい時間です。信頼できる人物と美味しい食べ物を食べる時間。更に楽しい時間です。」

山南敬助は明里に微笑んで話し出す。

「屋内で美味しい物を食べよう。」

明里は山南敬助に微笑んで話し出す。

「ありがとうございます。」

山南敬助は明里に微笑んで話し出す。

「気付いたら、明里と屋内で過ごす方法で逢う状況になった。」

明里は山南敬助を微笑んで見た。

山南敬助も明里を微笑んで見た。


数日後の事。


ここは、京の町。


花街が活気付くには少し早い時間になる。


ここは、一軒の店。


一室。


山南敬助は微笑んで居る。


明里は不思議な様子で訪れた。


山南敬助は明里を微笑んで見た。

明里は山南敬助に不思議な様子で話し出す。

「山南先生。いつもより早い訪問ですね。」

山南敬助は明里に微笑んで話し出す。

「今日も任務が早く終わった。明里に逢いたくなった。明里に逢いに来た。」

明里は山南敬助を不思議な様子で見た。

山南敬助は明里に微笑んで話し出す。

「今の私は重要な任務に就いていない。時間に余裕が有る。」

明里は山南敬助に不思議な様子で話し出す。

「山南先生は総長さんの役職に就いていますよね。近藤先生に次ぐ偉い役職ですよね。時間に余裕が有るのですか?」

山南敬助は明里に微笑んで話し出す。

「近藤さんと土方さんが中心になって新撰組をまとめている。私が実行する任務は少ない。」

明里は山南敬助を不思議な様子で見た。

山南敬助は明里に微笑んで話し出す。

「偉い役職の人物が全員で屯所を不在にする状況は問題が有る。私は留守番役を務める機会が多い。」

明里は山南敬助に微笑んで話し出す。

「山南先生はしっかりとした人物です。近藤先生と土方先生は、安心して屯所を不在にする任務が出来ると思います。」

山南敬助は明里を微笑んで見た。

明里は山南敬助に申し訳なく話し出す。

「先生には分かりきった内容ですね。気付くのが遅過ぎました。」

山南敬助は明里に微笑んで話し出す。

「明里。気遣ってくれてありがとう。」

明里は山南敬助を微笑んで見た。


暫く後の事。


ここは、屯所。


山南敬助の部屋。


山南敬助は微笑んで居る。


伊東甲子太郎が部屋を微笑んで訪ねてきた。


山南敬助は伊東甲子太郎を微笑んで見た。

伊東甲子太郎は山南敬助に微笑んで話し出す。

「山南さん。二人のみでゆっくりと酒が飲みたいです。都合の良い日はありますか?」

山南敬助は伊東甲子太郎に微笑んで話し出す。

「私はいつでも構わない。」

伊東甲子太郎は山南敬助に微笑んで話し出す。

「二日後でも良いですか?」

山南敬助は伊東甲子太郎に微笑んで頷いた。

伊東甲子太郎は山南敬助に微笑んで話し出す。

「二日後を楽しみに待っています。」

山南敬助は伊東甲子太郎に微笑んで話し出す。

「私も二日後を楽しみに待っている。」

伊東甲子太郎は山南敬助に微笑んで軽く礼をした。

山南敬助は伊東甲子太郎に微笑んで頷いた。


伊東甲子太郎は部屋を微笑んで出て行った。


二日後の事。


今は夜になる。


ここは、料亭。


一室。


山南敬助は杯の酒を微笑んで飲んでいる。

伊東甲子太郎も杯の酒を微笑んで飲んでいる。

卓には、豪華な酒の肴と美味いと評判の酒が乗っている。


山南敬助は杯の酒を飲みながら、伊東甲子太郎に微笑んで話し出す。

「約束のとおり、部屋の中には、二人のみだね。二人のみで豪華な料理と豪華な酒を楽しむ。不思議な感じがする。」

伊東甲子太郎は杯の酒を飲みながら、山南敬助に微笑んで話し出す。

「屯所では、ゆっくりと酒を飲みながら話す雰囲気が無いです。山南さんとゆっくりと酒を飲みながら話したかったので、料亭の一室を用意しました。明里さんの名前の女性を呼ぶ方法を考えましたが、二人以外の人物が居ると、ゆっくりと話しが出来ないと思って止めました。」

山南敬助は杯の酒を飲みながら、伊東甲子太郎を不思議な様子で見た。

伊東甲子太郎は杯の酒を飲みながら、山南敬助に微笑んで話し出す。

「私が明里さんの存在を知る状況は不思議ですか?」

山南敬助は杯の酒を飲みながら、伊東甲子太郎に微笑んで首を横に振った。

伊東甲子太郎は杯の酒を飲みながら、山南敬助に微笑んで話し出す。

「私には、江戸に居る頃には想像の付かなかった内容が有ります。」

山南敬助は杯の酒を飲みながら、伊東甲子太郎に微笑んで話し出す。

「江戸に居る頃に想像の付かなかった内容。是非、知りたい。」

伊東甲子太郎は杯の酒を飲みながら、山南敬助に微笑んで話し出す。

「新撰組の伊東と名乗ると、余程の出来事が無い限り、部屋を用意してくれます。江戸に居る頃には想像の出来ない内容でした。新撰組の凄さを実感しました。」

山南敬助は杯の酒を飲みながら、伊東甲子太郎を微笑んで見た。

伊東甲子太郎は杯の酒を飲みながら、山南敬助に微笑んで話し出す。

「江戸の町でも、新撰組が、京の町で、壬生狼、と呼ばれて評判が悪い内容の噂を聞きました。江戸の町と京の町は、遠いです。噂は、尾ひれが付いて伝わる時が多いです。噂の真偽は、京の町に来れば分かります。噂の真偽は、焦って確認しませんでした。私は京の町に来ました。新撰組は、京の町の人達に、壬生狼、と呼ばれて評判が悪い状況です。少し驚きました。」

山南敬助は杯の酒を飲みながら、伊東甲子太郎を複雑な微笑みで見た。

伊東甲子太郎は杯の酒を飲みながら、山南敬助を微笑んで見た。

山南敬助は杯の酒を飲みながら、伊東甲子太郎に微笑んで話し出す。

「伊東さんが、京に来て直ぐの頃も、今も、驚いた様子を見た時がない。伊東さんから、驚く、の言葉を聞くと、不思議な感じがする。」

伊東甲子太郎は杯の酒を飲みながら、山南敬助に微笑んで話し出す。

「新撰組の隊士の中で、京の町について詳しい人物は居ないに等しい様子です。京の町の決まり事などを知らずに過ごせば、京の町の人達に、壬生狼と呼ばれても仕方が無いと思います。」

山南敬助は杯の酒を飲みながら、伊東甲子太郎を複雑な微笑みで見た。

伊東甲子太郎は杯の酒を飲みながら、山南敬助に微笑んで話し出す。

「京の町は、主上のおわす都です。近藤さんや土方さんは、様々な配慮をする必要が有ります。」

山南敬助は杯の酒を飲みながら、伊東甲子太郎を微笑んで見た。

伊東甲子太郎は杯の酒を飲みながら、山南敬助に微笑んで話し出す。

「失言が多過ぎました。以後、気を付けます。」

山南敬助は杯の酒を飲みながら、伊東甲子太郎に微笑んで話し出す。

「的確な内容を話している。驚いて話が出来なかった。」

伊東甲子太郎は杯の酒を飲みながら、山南敬助に微笑んで話し出す。

「お気遣いありがとうございます。」

山南敬助は杯の酒を飲みながら、伊東甲子太郎に微笑んで話し出す。

「私は近藤さんに試衛館で逢った。私は近藤さんを信じても良い人物だと思った。私は近藤さんと共に京の町に来た。近藤さんも私も含めて、幾つもの危険な任務に就いている。」

伊東甲子太郎は杯の酒を飲みながら、山南敬助に微笑んで話し出す。

「京の町と江戸の町は、離れています。京の町に行く決断は簡単に出来なかったと思います。今は新撰組の活躍の凄さが分かる出来事は幾つも有りますが、当時は一つずつ創り上げていく状況だったと思います。近藤さんを信じる思いが分かる話です。」

山南敬助は杯の酒を飲みながら、伊東甲子太郎を微笑んで見た。

伊東甲子太郎も杯の酒を飲みながら、山南敬助を微笑んで見た。

山南敬助は杯の酒を飲みながら、伊東甲子太郎に微笑んで話し出す。

「不逞浪士は見付け次第に斬っていく、命令が下れば無関係の女性にまで危害を加える時があった。法度を上手に使って、新撰組の仲間達を排除した。気付いたら、任務のために、新撰組の秩序を保つために、新撰組の仲間達の中で姿の見られなくなった人物がいた。」

伊東甲子太郎は杯の酒を飲みながら、山南敬助に微笑んで話し出す。

「法度について聞いた時は驚きました。」

山南敬助は杯の酒を飲みながら、伊東甲子太郎を微笑んで見た。

伊東甲子太郎は杯の酒を飲みながら、山南敬助に微笑んで話し出す。

「山南さんの話を聞いて、私は怖い所に来たのだと改めて感じました。」

山南敬助は杯の酒を飲みながら、伊東甲子太郎に微笑んで話し出す。

「怖い所に感じる。本人の心持ち次第かもしれない。」

伊東甲子太郎は杯の酒を飲みながら、山南敬助に微笑んで話し出す。

「近藤さんも土方さんも、京の町に来て変わったのですか?」

山南敬助は杯の酒を飲みながら、伊東甲子太郎に微笑んで話し出す。

「近藤さんも土方さんも、試衛館に居た頃と変わらないと思う。私は、近藤さんも土方さんも、京の町に来てから変わってしまったと思いたい。」

伊東甲子太郎は杯の酒を飲みながら、山南敬助に微笑んで話し出す。

「山南さん、藤堂君、斉藤君、沖田君、からは感じませんが、近藤さん、土方さん、一部の隊士、からは感じる、内容が有ります。」

山南敬助は杯の酒を飲みながら、伊東甲子太郎を不思議な様子で見た。

伊東甲子太郎は杯の酒を飲みながら、山南敬助に微笑んで話し出す。

「武士として認めてもらいたい思いです。」

山南敬助は杯の酒を飲みながら、伊東甲子太郎を不思議な様子で見ている。

伊東甲子太郎は杯の酒を飲みながら、山南敬助に微笑んで話し出す。

「山南さんも私も、武士として認めてもらいたい思いを抱える人物の元で任務に就いています。」

山南敬助は杯の酒を飲みながら、伊東甲子太郎を微笑んで見た。

伊東甲子太郎は杯の酒を飲みながら、山南敬助に微笑んで話し出す。

「山南さんも私も、芹沢局長と同じ状況にならないように、気を付けましょう。」

山南敬助は杯の酒を飲みながら、伊東甲子太郎に微笑んで話し出す。

「私は新撰組の総長の立場だ。私を信じて様々な内容を話してくれた気持ちは嬉しい。」

伊東甲子太郎は杯の酒を飲みながら、山南敬助を微笑んで見た。

山南敬助は杯の酒を飲みながら、伊東甲子太郎に微笑んで話し出す。

「私は近藤さんに今の話の内容を報告する可能性が有る。近藤さんが今の話の内容を知れば、伊東さんは切腹になる可能性が有る。」

伊東甲子太郎は杯の酒を飲みながら、山南敬助に微笑んで話し出す。

「私が今の内容を話した人物は、山南さんのみです。私は、山南さんが私と同じ考えを持つ部分が有ると思ったから、山南さんに今の内容を話しました。私の勘が間違っていたら、私の観察不足と判断不足です。私が今の話の内容が原因で切腹になったとしても、山南さんを恨みません。安心してください。」

山南敬助は杯の酒を飲みながら、伊東甲子太郎に微笑んで話し出す。

「今の話の内容で切れ返されると、近藤さんと土方さんに、伝えられなくなる。」

伊東甲子太郎は杯の酒を飲みながら、山南敬助に微笑んで話し出す。

「もしかして、近藤さんか土方さんに、伝えるつもりだったのですか?」

山南敬助は杯の酒を飲みながら、伊東甲子太郎に微笑んで話し出す。

「私も伊東さんを信じて今の内容を話した。」

伊東甲子太郎は杯の酒を飲みながら、山南敬助に微笑んで話し出す。

「安心しました。」

山南敬助は杯の酒を飲みながら、伊東甲子太郎に微笑んで話し出す。

「伊東さん。今後も、都合が付けば、政や感じた内容を話したい。」

伊東甲子太郎は杯の酒を飲みながら、山南敬助に微笑んで話し出す。

「よろしくお願いします。」

山南敬助は杯の酒を飲みながら、伊東甲子太郎を微笑んで見た。

伊東甲子太郎も杯の酒を飲みながら、山南敬助を微笑んで見た。


翌日の事。


ここは、沖田総司、斉藤一、少女、が共に過ごすために訪れている寺。


境内。


山南敬助は微笑んで来た。


山南敬助は境内を微笑んで見た。


沖田総司、斉藤一、少女、は居ない。


山南敬助は本堂を微笑んで見た。

山南敬助は本堂を見ながら、微笑んで呟いた。

「総司と斉藤君とあの子は、楽しんで話す最中のように感じる。邪魔になる可能性が高い。」

山南敬助は山門を微笑んで見た。


山南敬助は山門に向かって微笑んで歩き出した。


本堂の障子の開く音が聞こえた。


山南敬助は山門に向かって微笑んで歩いている。


山南敬助の後ろから、沖田総司の明るい声が聞こえた。

「山南さん!」


山南敬助は微笑んで立ち止まった。


山南敬助は微笑んで後ろを見た。


沖田総司が笑顔で来た。

少女が微笑んで来た。


山南敬助は沖田総司と少女を微笑んで見た。

沖田総司は山南敬助に笑顔で話し出す。

「山南さん! お参りに来ていたのですか?!」

山南敬助は沖田総司に微笑んで頷いた。

少女は山南敬助に微笑んで軽く礼をした。

山南敬助は少女に微笑んで話し出す。

「美鈴さん。こんにちは。総司と斉藤君と美鈴さんで、楽しく話す最中かな?」

少女は山南敬助に微笑んで話し出す。

「はい。」

山南敬助は少女に微笑んで話し出す。

「美鈴さんの笑顔を見ると、楽しい様子が分かる。」

少女は山南敬助に微笑んで話し出す。

「とても楽しいです。笑顔になります。」

山南敬助は少女を微笑んで見た。


斉藤一は普通に来た。


斉藤一は山南敬助に普通の表情で軽く礼をした。

山南敬助は斉藤一に微笑んで頷いた。

斉藤一は沖田総司と少女に普通に話し出す。

「総司。美鈴さん。今から山南さんと共に出掛ける。」

山南敬助は斉藤一を不思議な様子で見た。

沖田総司は斉藤一に微笑んで話し出す。

「山南さんは斉藤さんと出掛ける約束をしていたのですね。」

斉藤一は沖田総司を普通の表情で見た。

沖田総司は山南敬助と斉藤一に微笑んで話し出す。

「山南さん。斉藤さん。行ってらっしゃい。」

少女は山南敬助と斉藤一に微笑んで話し出す。

「気を付けてお出掛けしてください。」

斉藤一は沖田総司と少女に普通の表情で頷いた。

山南敬助は沖田総司と少女に不思議な様子で頷いた。

沖田総司は少女に微笑んで話し出す。

「鈴ちゃん。斉藤さんは居なくなるけれど、本堂に戻って、続きを話そう。話し終わったら、家まで送るからね。」

少女は沖田総司に微笑んで話し出す。

「はい。」

沖田総司は少女を微笑んで見た。

少女は山南敬助と斉藤一に微笑んで軽く礼をした。

沖田総司も山南敬助と斉藤一に微笑んで軽く礼をした。

山南敬助は沖田総司と少女に微笑んで頷いた。

斉藤一は沖田総司と少女に普通の表情で頷いた。


沖田総司は本堂の中に微笑んで入って行った。

少女も本堂の中に微笑んで入って行った。


少し後の事。


ここは、町中。


山南敬助は微笑んで歩いている。

斉藤一は普通に歩いている。


山南敬助は斉藤一に微笑んで話し掛ける。

「斉藤君。私を気遣ったために楽しい時間が短くなってしまっただろ。」

斉藤一は山南敬助を普通の表情で見た。

山南敬助は斉藤一に微笑んで話し出す。

「詫びとして、酒をご馳走する。」

斉藤一は山南敬助を普通の表情で軽く礼をした。

山南敬助は斉藤一に微笑んで話し出す。

「総司と美鈴さんには、別に楽しむ機会を設ける。」

斉藤一は山南敬助を見ながら普通の表情で軽く礼をした。

山南敬助は斉藤一に微笑んで話し出す。

「美鈴さんは総司と斉藤君と三人で過ごす時間を楽しんでいる。総司、斉藤君、美鈴さん、三人で過ごす機会も別に設ける。」

斉藤一は山南敬助を見ながら普通の表情で軽く礼をした。

山南敬助は斉藤一に微笑んで話し出す。

「斉藤君。希望はあるかな?」

斉藤一は山南敬助に普通に話し出す。

「お任せします。」

山南敬助は斉藤一を微笑んで見た。

斉藤一は山南敬助を普通の表情で見た。

山南敬助は斉藤一に微笑んで話し出す。

「斉藤君。近い内に、私、伊東さん、斉藤君、三人で酒を飲まないか?」

斉藤一は山南敬助に普通の表情で軽く礼をした。

山南敬助は斉藤一を微笑んで見た。

斉藤一は山南敬助を普通の表情で見た。


冬の最中になるが、季節は一日ずつ冬から春へと近付いていく。

二ヵ月後には春の季節を迎える。

春の季節になっても、最初の頃は寒い日が続く。


年を越してから数ヶ月後に、或る出来事が起きる。

今の時間を過ごす者の中で、或る出来事の内容を説明できる者は、誰も居ない。




*      *      *      *      *      *




ここからは後書きになります。

伊東甲子太郎さんは、元治元年に隊士募集のために江戸に来ていた藤堂平助さんの誘いを受けて、新撰組に入隊します。

元治元年の十一月頃に京に来たようです。

その頃より少し前の出来事になるようですが、山南敬助さんは、近藤勇さんや土方歳三さんとの考え方の違いなどから、少しずつ溝が出来ていたようです。

山南敬助さんは、池田屋事変の時も体調が悪かったという事で、留守番役になっています。

偉い人物の全員が同じ場所に出掛けてしまう状況は、問題があると思うので、残る状況は問題が無いかも知れません。

しかし、山南敬助さんのこの時の体調不良は、納得の行かない事があり、斬り込みを拒否するための仮病だったとする説があります。

山南敬助さんは体調が悪い理由で、何度も留守番役となっているそうです。

伊東甲子太郎さんは、人を斬らずに事を収めたいと考える人物、尊皇攘夷の考えを持つ人物、だったようです。

山南敬助さんは伊東甲子太郎さんの考えに共感して付き合いを深めていきます。

山南敬助さん、伊東甲子太郎さん、藤堂平助さんは、北辰一刀流の門下生でした。

山南敬助さんと藤堂平助さんは、時期は違うようですが、試衛館に入門します。

当時は幾つもの流派に入門する事は、普通の事だったそうです。

そのため、山南敬助さんと伊東甲子太郎さんが同じ時期に試衛館に入門している状況も不思議ではありません。

山南敬助さん、伊東甲子太郎さん、藤堂平助さん、の繋がりが分かるような気がします。

ただし、当時の流派の状況などから考えると、北辰一刀流の門下生が天然理心流の門下生になったのか、という疑問はあります。

山南敬助さんは近藤勇さんに勝負を挑んで負けた話が伝わっています。

天然理心流は、木刀で他の流派と勝負をする時は余り強くなく、剣で他の流派と勝負をする時はとても強かった、という話があります。

この差は、天然理心流が実戦を重視している流派だったために起きる状況だそうです。

山南敬助さんの天然理心流に入門した理由には、近藤勇さんの人柄がきっかけになったという話もあります。

伊東甲子太郎さんの新撰組の入隊は、近藤勇さんや土方歳三さんにとっては、教養の有る人物が入隊するという事で、当初は喜んでいたと思います。

ただし、後々の伊東甲子太郎さんと山南敬助さんと藤堂平助さんとの関係、後に伊藤甲子太郎さん本人の身に起こった出来事、などを考えると、良い出来事だったのか、と疑問に思いました。

「露隠の葉月(つゆこもりのはづき)」についてです。

「陰暦十一月の異称」です。

楽しんで頂けると嬉しいです。





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