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新撰組異聞 〜 冬月に見る夢 蝋梅の彩る頃 〜


〜 改訂版 〜


今は冬。


ここは、京の町。


寒い日が続いている。


沖田総司と少女が良く訪れる寺。


本堂。


沖田総司は微笑んで居る。

少女も微笑んで居る。


沖田総司は少女に微笑んで話し出す。

「斉藤さんには、姉と兄がいるんだ。斉藤さんの名前は、“一”だよね。斉藤さんに名前の由来を幾度も質問しているんだ。斉藤さんは教えてくれないんだ。斉藤さんが“一”と名付けられた理由が分からないんだ。長く不思議に思っているんだ。」

少女は沖田総司に微笑んで話し出す。

「お武家様は、元服や出世などの時にお名前を変えると聞きました。斉藤さんのお名前の“一”は、元服や出世に関係しているのでしょうか?」

沖田総司は少女に微笑んで話し出す。

「私が斉藤さんに以前に逢った時には、“一”と名乗っていたんだ。“一”と名乗る理由は、出世に関係していないと思うんだ。」

少女は沖田総司に微笑んで話し出す。

「斉藤さんは大切なお友達の総司さんにも、お名前の由来を秘密にしているのですね。」

沖田総司は少女に微笑んで話し出す。

「近藤さんと土方さんは、斉藤さんの名前の由来を知っている様子なんだ。」

少女は沖田総司に微笑んで話し出す。

「近藤さんも土方さんも、斉藤さんの上役さんですよね。上役さんだから、斉藤さんのお名前の由来を知っているのかも知れません。」

沖田総司は少女に微笑んで頷いた。

少女は沖田総司を微笑んで見た。

沖田総司は少女に微笑んで話し出す。

「私は斉藤さん本人から名前の由来を教えてもらいたいんだ。」

少女は沖田総司に微笑んで話し出す。

「斉藤さんがお名前の由来を話す日が早く訪れると良いですね。」

沖田総司は少女に微笑んで頷いた。

少女は沖田総司を微笑んで見た。

沖田総司は少女に慌てて話し出す。

「鈴ちゃん! 鈴ちゃんは、私と斉藤さんにとって大切な友達だから話したけれど、斉藤さんの名前の由来などは、多くの人達に秘密なんだ! 鈴ちゃんも他の人達に秘密にしてね!」

少女は沖田総司に微笑んで話し出す。

「はい。」

沖田総司は少女を微笑んで見た。


暫く後の事。


ここは、京の町。


月の光と星の光が綺麗に輝いている。


屯所。


沖田総司の部屋。


沖田総司は床の中で静かに寝ている。


部屋の中が不思議な空気に包まれた。


沖田総司は床の中でゆっくりと目を開けた。


少女が沖田総司を笑顔で覗き込んでいる。


沖田総司には、少女と同じ顔の夜の国の住人の“夢”だと直ぐに分かった。


沖田総司は床の中で、夢に微笑んで話し出す。

「夢ちゃん。今晩は。」

夢は沖田総司に微笑んで話し出す。

「総司さん。こんばんは。」

沖田総司は床の上に微笑んで体を起こした。

夢は沖田総司に微笑んで抱き付いた。

沖田総司は床の上に体を起こして、赤面して、動きを止めた。


夢は沖田総司を抱いて、微笑んで、静かに居なくなった。

沖田総司は床の上に体を起こして、赤面して、静かに居なくなった。


一瞬の後の事。


ここは、夜の国。


夜空には、月と満天の星が綺麗に輝いている。


心地良い空気に包まれている。


夢の住む家。


一室。


温かい空気に包まれている。


蝋梅の花が花瓶に挿して飾ってある。


部屋の中が甘い香りに包まれている。


夢は沖田総司を抱いて、微笑んで、静かに現れた。

沖田総司は動きを止めて、赤面して、静かに現れた。


夢は沖田総司から微笑んで離れた。

沖田総司は夢を赤面して見た。

夢は沖田総司に微笑んで話し出す。

「総司さん。夜の国に到着しました。」

沖田総司は夢に赤面して話し出す。

「夢ちゃん。夜の国で何か遭ったの?」

夢は沖田総司に寂しく話し出す。

「私は、夜の国に何か起きなければ、総司さんに逢えないのですか?」

沖田総司は夢に心配して話し出す。

「私の話す内容が悪いために、夢ちゃんに寂しい思いをさせてしまった。ご免ね。」

夢は沖田総司に寂しく抱き付いた。

沖田総司は夢を心配して見た。

夢は沖田総司に抱き付いて、沖田総司に微笑んで話し出す。

「総司さん。優しいですね。」

沖田総司は夢を安心した様子で見た。

夢は沖田総司に抱き付いて、沖田総司に微笑んで話し出す。

「総司さん。安心する様子も、赤面する様子も、笑顔も、全て可愛いです。」

沖田総司は夢を赤面して見た。

夢は沖田総司に抱き付いて、沖田総司に微笑んで話し出す。

「総司さんが温かくなりました。」

沖田総司は夢を赤面して見ている。

夢は沖田総司から微笑んで離れた。

沖田総司は部屋の中を赤面して見た。

夢は沖田総司を微笑んで見た。

沖田総司は夢に不思議な様子で話し出す。

「部屋の中が甘い香りに包まれている。」

夢は沖田総司に微笑んで話し出す。

「部屋の中を包む甘い香りは、蝋梅の花の香りです。蝋梅の花を花瓶に挿して飾っています。」

沖田総司は部屋の中を不思議な様子で見た。

夢は沖田総司に微笑んで話し出す。

「総司さん。動揺のために、蝋梅の花の香りに直ぐに気付かなかったのですね。可愛いです。」

沖田総司は夢を恥ずかしく見た。

夢は沖田総司に微笑んで話し出す。

「総司さん。恥ずかしがる姿も、可愛いです。」

沖田総司は夢を僅かに拗ねて見た。

夢は沖田総司に微笑んで話し出す。

「総司さん。拗ねる姿も、可愛いです。」

沖田総司は夢を苦笑して見た。

夢は沖田総司を微笑んで見た。


同じ頃。


ここは、夜の国。


落ち着いた雰囲気の家。


一室。


温かい空気に包まれている。


蝋梅の花が花瓶に挿して飾ってある。


部屋の中が甘い香りに包まれている。


斉藤一は普通に居る。

青年が微笑んで居る。

少女も微笑んで居る。


青年の容姿は、斉藤一には見慣れた人物、少女にはいつも一緒に居たい人物と同じになる。


少女は斉藤一と青年に微笑んで話し出す。

「蝋梅の花の香りは、良い香りですね。」

青年は少女に微笑んで頷いた。

斉藤一は少女に普通の表情で頷いた。

少女は斉藤一に微笑んで話し出す。

「総司さんが、斉藤さんのお名前の“一”の由来が知りたいと話していました。」

青年は斉藤一と少女に微笑んで話し出す。

「斉藤さんには姉と兄がいますよね。沖田さんは斉藤さんを大切な友達と思っています。沖田さんならば、斉藤さんが“一”と名付けられた由来を知りたいと思います。」

少女は青年を微笑んで見た。

斉藤一は少女を普通の表情で見た。

少女は斉藤一を微笑んで見た。

斉藤一は少女に普通に話し出す。

「美鈴さんも俺の名前の由来を知りたいのか。」

少女は斉藤一に申し訳なく話し出す。

「ごめんなさい。」

斉藤一は少女に普通に話し出す。

「美鈴さんが俺を笑顔で見た。美鈴さんは俺の名前の由来を知りたいと思った。美鈴さんに確認をした。謝る理由は無い。」

少女は斉藤一を微笑んで見た。

斉藤一は少女に普通に話し出す。

「俺達の住む場所には、幾つもの危険が有る。美鈴さんが俺に関して詳しく知れば、美鈴さんが危険になる可能性が高まる。美鈴さんの危険が高まらないために、美鈴さんに詳細は話さなかった。夜の国は危険が無いに等しい。美鈴さんが夜の国のみで俺の名前の由来を知るならば、問題は無い。夜の国に居る間のみならば、俺の名前の由来を教えても構わない。」

少女は斉藤一に微笑んで話し出す。

「私が斉藤さんのお名前の由来を知る状況になって、総司さんは斉藤さんのお名前の由来を知らない状況になります。総司さんに申し訳ないです。私は総司さんより後に知りたいです。」

斉藤一は少女に普通に話し出す。

「美鈴さんは俺の名前の由来を知らないままになる可能性がある。良いのか?」

少女は斉藤一に微笑んで話し出す。

「総司さんは斉藤さんのお名前の由来を知りたいと思い続けています。斉藤さんは私を気遣ってお名前の由来を教えるのを控えています。私は斉藤さんのお名前の由来を知らないままになったとしても構いません。」

斉藤一は少女に普通の表情で頷いた。

少女は斉藤一を微笑んで見た。

青年は斉藤一と少女を微笑んで見た。

斉藤一は男性を普通の表情で見た。

青年は斉藤一と少女に微笑んで話し出す。

「沖田さんが夜の国に居ます。沖田さん、斉藤さん、美鈴さんで、夜の国の時間をゆっくりと過ごしてください。斉藤さん。美鈴さん。後程、逢いましょう。」

斉藤一は青年に普通の表情で頷いた。

少女は青年に微笑んで話し出す。

「はい。」

青年は斉藤一と少女を微笑んで見た。


斉藤一は普通の表情で、静かに居なくなった。

少女は微笑んで、静かに居なくなった。


僅かに後の事。


ここは、夜の国。


夢の住む家。


一室。


温かい空気に包まれている。


蝋梅の花の甘い香りに包まれている。


沖田総司は微笑んで居る。

夢も微笑んで居る。


夢は沖田総司に微笑んで話し出す。

「総司さん。斉藤さんと美鈴さんが、家に到着する時間です。私は暫く留守にします。後程、逢いましょう。」

沖田総司は夢に微笑んで頷いた。


夢は微笑んで、静かに居なくなった。


沖田総司は部屋の中を微笑んで見た。


斉藤一が普通の表情で、静かに現れた。

少女は微笑んで、静かに現れた。


沖田総司は斉藤一と少女を微笑んで見た。

少女は沖田総司に微笑んで話し出す。

「総司さん。こんばんは。」

沖田総司は夢に微笑んで話し出す。

「鈴ちゃん。今晩は。」

少女は沖田総司を微笑んで見た。

斉藤一は沖田総司と少女を普通の表情で見た。

沖田総司は少女に微笑んで話し出す。

「鈴ちゃん。斉藤さんとたくさん話せた?」

少女は沖田総司に微笑んで話し出す。

「はい。」

沖田総司は少女に微笑んで話し出す。

「斉藤さんと話した内容は何かな?」

少女は沖田総司に微笑んで話し出す。

「斉藤さんのお名前について話しました。」

沖田総司は少女に羨ましく話し出す。

「鈴ちゃん。斉藤さんの名前の由来を教えてもらったんだ〜 羨ましいな〜」

少女は沖田総司に微笑んで話し出す。

「斉藤さんは私に名前の由来を教えても良いと話しました。私は総司さんより斉藤さんのお名前の由来を先に知るのは申し訳ないので遠慮しました。」

沖田総司は少女に残念な様子で話し出す。

「斉藤さんは〜 私には斉藤さんの名前の由来を教えてくれないんだ〜 鈴ちゃんが斉藤さんの名前の由来を知っていたら、静かに教えてもらおうと思ったんだ〜 残念だな〜」

少女は沖田総司に申し訳なく話し出す。

「ごめんなさい。」

沖田総司は少女に慌てて話し出す。

「鈴ちゃんは悪くないよ! 鈴ちゃんが謝る理由は無いよ!」

少女は沖田総司を安心した様子で見た。

沖田総司は少女に微笑んで囁いた。

「鈴ちゃん。斉藤さんの名前の由来を知ったと時は、私にも静かに教えてね。」

少女は沖田総司に微笑んで静かに話し出す。

「はい。」

沖田総司は少女を微笑んで見た。

斉藤一は沖田総司と少女を普通の表情で見た。


同じ頃。


ここは、夜の国。


落ち着いた雰囲気の家。


一室。


温かい空気に包まれている。


蝋梅の花の甘い香りに包まれている。


夢はお茶を微笑んで飲んでいる。

青年は杯の酒を微笑んで飲んでいる。

夢は微笑んで居る。

一人の青年も微笑んで居る。

夢の前には、お茶が置いてある。

一人の青年の前には、酒が置いてある。

夢の前と一人の青年の前には、漬物が置いてある。


夢はお茶を飲みながら、青年に微笑んで話し出す。

「斉藤さんは、美鈴さんに夜の国のみで、斉藤さんの名前の由来を教えようとしたのね。美鈴さんは、総司さんより斉藤さんの名前の由来を先に知るのは申し訳ないと話して断ったのね。斉藤さんらしいわ。美鈴さんらしいわ。」

青年は杯の酒を飲みながら、夢に微笑んで頷いた。

夢はお茶を飲みながら、青年に微笑んで話し出す。

「総司さんが斉藤さんの名前の由来を知る日は、幾日後になるのかしら?」

青年は杯の酒を飲みながら、夢に微笑んで話し出す。

「斉藤さんは慎重な性格だ。斉藤さんは名前の由来を特別な人物のみにしか教えない。斉藤さんは、沖田さんと美鈴さんには、斉藤さんの名前の由来を教えても良いと考えている。沖田さんは、斉藤さんの名前の由来を知るために様々な言動をしているけれど、無茶な言動はしていない。斉藤さんは、沖田さんの様子を興味深く思っている。沖田さんが斉藤さんの名前の由来を知る日までには、多くの日数が必要になると思う。」

夢はお茶を飲みながら、青年を微笑んで見た。

青年は杯の酒を飲みながら、夢を微笑んで見た。


蝋梅の花の咲く頃の夜の国。

夜の国では、今回も穏やかな時間が流れている。

沖田総司が斉藤一の名前の由来を知る日は、幾日後になるのか。

沖田総司が斉藤一の名前の由来を知るための努力が報われる日は、訪れるのか。

夜の国の住人の予想どおりになるのか。

今は、夜の国の蝋梅のみが知る状況かも知れない。




*      *      *      *      *      *




ここからは後書きになります。

この物語は既に掲載している物語の改訂版です。

改訂前の物語の展開や雰囲気を残して改訂しました。

改訂前の物語を掲載するのは止めました。

以上、ご了承願います。

ここからは改訂前の後書きを加筆訂正して書きます。

「蝋梅(ろうばい)」についてです。

ロウバイ科の落葉低木です。

中国原産です。

主に観賞用です。

「臘梅」とも書きます。

別名は「唐梅(“からうめ”、または、“とうばい”)」です。

開花期は、現在の暦で、12月下旬から3月上旬です。

甘い感じの良い香りの花が咲きます。

蝋細工のような黄色い花びらが特徴です。

名前の由来は、「中国でも“蝋梅”という名前なので同じ名前になった」、「蝋細工のような梅に似た花」、「(陰暦十二月の異称の)臘月(ろうげつ)に梅に似た花を咲かせる」、三つの辺りから「蝋梅」になったといわれています。

花やつぼみから抽出した「蝋梅油」を薬として使用する事があります。

効能、使用方法、などを含めた詳細は、各自でご確認ください。

「蝋梅」も「臘月(ろうげつ)」も、冬の季語です。

斉藤一さんの名前の由来についてです。

斉藤一さんの誕生日は「一月一日生まれ」の説が一般的です。

斉藤一さんの誕生日の他の説は「一月二日の夜明け前」があります。

当時は、夜が明けるまでは前日と考える事があったそうです。

そのため、日付は「一月二日」でも「一月一日」として申請や届け出をする事があったそうです。

長男ではない斉藤一さんが「一」と名付けられたのは、「一月一日生まれ」が関係している話を聞きました。

「一月一日生まれ」の説は良く聞くので、生まれた日から「一」と名付けられた説は正しい説のように思いました。

楽しんで頂けると嬉しいです。





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