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新撰組異聞 〜 蓬の湯気に包まれて 〜


〜 改訂版 〜


今は、春。


ここは、京の町。


色とりどりの花が咲き始めた。

厳しい寒さを感じない穏やかな日が続くようになった。


ここは、屯所。


縁。


沖田総司は蓬を入れた籠を持ち、元気良く歩いている。


斉藤一が沖田総司の前を普通に歩く姿が見えた。


沖田総司は蓬を入れた籠を持ち、斉藤一に向かって元気良く歩いた。


斉藤一は普通に歩いている。


斉藤一の後ろから、沖田総司の明るい声が聞こえた。

「斉藤さん〜!」


斉藤一は普通に止まった。


斉藤一は後ろを普通の表情で見た。


沖田総司は蓬を入れた籠を持ち、元気良く歩いてきた。


斉藤一は沖田総司と蓬を普通の表情を見た。

沖田総司は蓬を入れた籠を持ち、斉藤一に笑顔で話し出す。

「蓬湯に浸かりたいと思いました! 蓬を採ってきました! 足りない量の蓬を分けてもらいました!」

斉藤一は沖田総司を普通の表情で見た。

沖田総司は蓬を入れた籠を持ち、斉藤一に笑顔で話し出す。

「斉藤さんの浸かる蓬湯の蓬も一緒に採ってきました!」

斉藤一は沖田総司に普通の表情で頷いた。

沖田総司は蓬を入れた籠を持ち、斉藤一に笑顔で話し出す。

「二人分のみの蓬湯ですが、蓬湯を用意してもらいましょう!」

斉藤一は沖田総司に普通の表情で頷いた。

沖田総司は蓬を入れた籠を持ち、斉藤一に笑顔で話し出す。

「斉藤さん! 行きましょう!」

斉藤一は沖田総司に普通の表情で頷いた。


沖田総司は蓬を入れた籠を持ち、笑顔で歩き出した。

斉藤一は普通に歩き出した。


少し後の事。


ここは、京の町。


空は薄っすらと橙色へと染まり始めた。


ここは、屯所。


風呂場。


沖田総司は蓬湯に気持ち良く浸かっている。


沖田総司は蓬に浸かり、外を笑顔で見た。


橙色に薄っすらと染まる空が見える。


沖田総司は蓬湯に浸かり、微笑んで呟いた。

「気持ち良いな〜」


蓬湯の心地良い湯気が沖田総司を包んだ。


数日後の事。


ここは、沖田総司、少女、斉藤一が良く訪れる寺。


本堂。


沖田総司は微笑んで居る。

斉藤一は普通に居る。

少女は微笑んで居る。


沖田総司は少女に微笑んで話し出す。

「数日前、私と斉藤さんの二人だけで、蓬湯に浸かったんだ。」

少女は沖田総司に微笑んで話し出す。

「薬湯の銭湯にお出掛けしたのですか?」

沖田総司は少女に微笑んで話し出す。

「違うよ。私が帰る途中で蓬湯のための蓬を採ったんだ。私が足りない量の蓬湯のための蓬を分けてもらったんだ。私と斉藤さんが、屯所で蓬湯に浸かったんだ。」

少女は沖田総司に微笑んで話し出す。

「みなさん。総司さんと斉藤さんを羨ましいと話しませんでしたか?」

沖田総司は少女に微笑んで話し出す。

「私は何も言われていないけれど、屯所で近い内に蓬湯を用意すると決まったんだ。羨ましいと思った隊士がいたと思うんだ。」

少女は沖田総司に微笑んで話し出す。

「次に蓬湯に浸かる時が楽しみですね。」

沖田総司は少女に微笑んで話し出す。

「鈴ちゃん。蓬を採って帰ろう。」

少女は沖田総司に微笑んで話し出す。

「はい。」

沖田総司は少女に微笑んで話し出す。

「蓬湯のための蓬が足りない時は、私が用意するよ。」

少女は沖田総司に微笑んで話し出す。

「お気遣いありがとうございます。」

沖田総司は斉藤一に微笑んで話し出す。

「斉藤さんも一緒に付き合ってください。」

斉藤一は沖田総司に普通の表情で頷いた。

沖田総司は斉藤一と少女を微笑んで見た。


少し後の事。


ここは、沖田総司、少女、斉藤一が良く訪れる寺。


境内。


沖田総司は微笑んで居る。

斉藤一は普通に居る。

少女は微笑んで居る。


沖田総司は少女に微笑んで話し出す。

「和尚さんに蓬を採る許しをもらったんだ。蓬を採って帰ろうね。」

少女は沖田総司に微笑んで話し出す。

「はい。」

沖田総司は少女に微笑んで話し出す。

「鈴ちゃん。私が蓬を採るからね。私が鈴ちゃんの家まで蓬を持っていくね。」

少女は沖田総司に微笑んで話し出す。

「ありがとうございます。」

沖田総司は少女に微笑んで話し出す。

「鈴ちゃんの着物は可愛いよね。可愛い着物が汚れたら困るよね。遠慮しないでね。」

少女は沖田総司に微笑んで話し出す。

「褒めて頂いて嬉しいです。」

沖田総司は少女に慌てて話し出す。

「鈴ちゃん! ご免ね! 誤解する内容を話した! 着物も可愛いけれど、鈴ちゃんも可愛いよ!」

少女は沖田総司を恥ずかしく見た。

沖田総司は少女に赤面して話し出す。

「あの〜 だから〜 え〜と〜」

少女は沖田総司を恥ずかしく見ている。

沖田総司は少女を赤面して見た。

斉藤一は沖田総司と少女を普通の表情で見た。


沖田総司は強い力で背中を押された。


沖田総司は驚いた表情で勢い良く前に出た。


少女は沖田総司を不思議な様子で見た。

沖田総司は少女を驚いた表情で勢い良く抱いた。

少女は沖田総司を驚いた表情で見た。

斉藤一は近くに植わる蓬を普通の表情で採り始めた。

沖田総司は少女を抱いて、少女を赤面して見た。

少女は沖田総司を微笑んで見た。


少し後の事。


ここは、沖田総司、少女、斉藤一が良く訪れる寺。


境内。


沖田総司は少女を微笑んで抱いている。

少女は微笑んで居る。

斉藤一は蓬を普通の表情で採っている。


斉藤一は蓬を採り終わると、沖田総司と少女を見て、沖田総司と少女に普通に話し出す。

「蓬を採った。」

沖田総司は少女を優しく離すと、斉藤一に赤面して話し出す。

「斉藤さん。何をするのですか? 鈴ちゃんが怪我をする可能性がありました。」

斉藤一は蓬を持ち、沖田総司に普通に話し出す。

「総司は背中を押されて倒れる柔ではない。問題ない。」

沖田総司は斉藤一に僅かに納得のいかない様子で話し出す。

「確かに、私は倒れませんが、酷いです。」

斉藤一は沖田総司に蓬を渡すと、沖田総司に普通に話し出す。

「美鈴さんの蓬を持って帰るのだろ。問題ない。」

沖田総司は斉藤一から蓬を受け取ると、斉藤一に僅かに納得のいかない様子で話し出す。

「斉藤さん。話が繋がりません。」

斉藤一は沖田総司に普通に話し出す。

「問題ない。」

沖田総司は蓬を持ち、斉藤一に僅かに納得のいかない様子で話し出す。

「蓬を採って頂いて、ありがとうございます。」

斉藤一は沖田総司に普通の表情で頷いた。

沖田総司は蓬を持ち、斉藤一を苦笑して見た。

少女は沖田総司と斉藤一を不思議な様子で見た。

沖田総司は蓬を持ち、少女に微笑んで話し出す。

「鈴ちゃん。一緒に帰ろうね。」

少女は沖田総司に微笑んで話し出す。

「はい。」

沖田総司は蓬を持ち、斉藤一に微笑んで話し出す。

「斉藤さん。一緒に帰りましょう。」

斉藤一は沖田総司に普通の表情で頷いた。


沖田総司は蓬を持ち、微笑んで居なくなった。

斉藤一は普通に居なくなった。

少女は微笑んで居なくなった。


少し後の事。


ここは、京の町。


夕日の光が染めている。


ここは、少女の住む家。


風呂場。


少女は蓬湯に微笑んで浸かっている。


蓬湯の心地好い湯気が少女を包んでいる。


少女は蓬湯に浸かり、微笑んで呟いた。

「総司さん。斉藤さん。ありがとうございます。」

少女は蓬湯に浸かり、蓬湯を両手で微笑んですくった。


蓬の香りが僅かに強まった。


少女は蓬湯に浸かり、微笑んで呟いた。

「次に総司さんと斉藤さんと逢う時に、喜んで頂ける美味しい物を用意します。ありがとうございます。」


蓬湯の湯気と香りが、少女を優しく包み続ける。


蓬の香りと蓬湯の湯気が、沖田総司と斉藤一と少女の想いを繋いでいる。

春の時間が穏やかに過ぎていく。




*      *      *      *      *      *




ここからは後書きになります。

この物語は既に掲載している物語の改訂版です。

改訂前の物語の展開や雰囲気を出来るだけ残して改訂しました。

改訂前の物語を掲載するのは止めました。

以上、ご了承願います。

ここからは改訂前の後書きを加筆訂正して書きます。

「風呂」についてです。

江戸時代には銭湯をたくさんの人達が利用していました。

現在とは違い「蒸し風呂」のようになっていて、「戸棚風呂」と呼ばれる形だったそうです。

熱くなっている小石の上に水を掛けて蒸気を出していたそうです。

浴槽には膝の高さほどのお湯しかありませんでした。

下半身はお湯に浸して、上半身は小石から出る蒸気で温めていたそうです。

蒸気が逃げないようにするために、「石榴口(ざくろぐち)」が考えられたそうです。

天井から低く板を下げて、蒸気を逃げないようにしていました。

お風呂に入る人達はこの板をくぐって、風呂場の中へと入っていったそうです。

現在でいうお風呂に近い、深く浸かるお風呂も江戸時代に出来ました。

「据え風呂」というそうです。

慶長年間の末頃に出来たそうです。

井戸水などから沸かすお風呂だったそうです。

一般の庶民の家に広まったそうです。

普及していたのは「鉄砲風呂」や「五右衛門風呂」だったそうです。

「鉄砲風呂」は、鉄の筒に燃えている薪を入れてお湯を温めるお風呂です。

鉄の筒でやけどをしないように、筒を遮るように柵で防護していたそうです。

「鉄砲風呂」の形のお風呂は、江戸で主流になっていたそうです。

「五右衛門風呂」は、下の鉄釜を熱して温めるお風呂です。

こちらはやけどをしないように、「釜板、兼、底板」を下に敷いてお風呂に入ったそうです。

「五右衛門風呂」の形のお風呂は、関西で主流になっていたそうです。

薬用のお風呂を専門に提供している銭湯もあったそうです。

「蓬(よもぎ)」と「蓬湯(よもぎゆ)」についてです。

「蓬(よもぎ)」は、キク科の植物です。

現在では「蓬」を使って「草餅」を作る事が多いと思います。

現在では「蓬蕎麦」も見る事があると思います。

食べ物ではありませんが、「お灸」にも使用されています。

ハーブの一種類です。

「蓬」とは違う名前ですが、漢方薬として使用しています。

「蓬」は、葉・茎・根も使える薬草です。

古くは「蓬」の香気は邪気を払うと信じられていて、魔除けやお風呂などに利用していたそうです。

「蓬湯」には、血行を促進する効果があると言われています。

その事により、肩こり、腰痛、神経痛などを和らげる効果があるといわれています。

「蓬」の精油成分には、切り傷などの止血、殺菌にも効果があるといわれています。

「蓬」の葉の香りは、ストレスを和らげる効果があるといわれています。

「蓬湯」の用意について簡単に説明します。

生葉を使う場合についてです。

茎先から20cmほどの「蓬」を、5〜6本ほど用意します。

細かく刻んで水から似出します。

煮汁だけを漉して浴槽に入れます。

乾燥した葉を使う場合についてです。

現在の暦で6月〜7月頃になると、蓬はかなり成長します。

成長をした葉を摘み取り、汚れなどを水洗いで丁寧に洗い流します。

水洗いをした葉を、陰干してしっかりと乾燥させます。

乾燥した葉を30gほど布袋に詰めて、浴槽に入れます。

「蓬(よもぎ)」と「蓬湯(よもぎゆ)」について、いろいろと説明をしましたが、一つ注意をして頂きたい事があります。

「蓬」には、陣痛促進作用があります。

妊婦の方、または、妊娠の可能性のある方は、注意をしてください。

効能を含めた詳細は、各自でお調べください。

この物語で「草餅」を作る話が登場しないのは、「草餅」と「蓬湯」に使う蓬の葉の状態の違いからです。

「草餅」は、地面を這う頃のような、柔らかい「蓬」を使います。

それより大きくなると、柔らかくて美味しい「草餅」を作る事は難しくなります。

「蓬湯」は、ある程度成長をした蓬の葉を使います。

ここまで成長をすると、蓬の葉は硬くなっています。

この物語の補足です。

この物語の設定時季では、ある程度成長した蓬は、日当たりなどの良い場所に植わっていた、などの状況の可能性が有ります。

そのため、ある程度成長した蓬の葉、成長した蓬の葉を手に入れた、などの状況を想像してください。

楽しんで頂けると嬉しいです。





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