新撰組異聞外伝　〜　真澄の鏡　十月桜の咲く中で　〜


〜　前編　〜


月日は過ぎて、暦は九月となっている。



まだ夏の暑さを残している。

空の様子を見ても、夏の雲を見る事が出来る。

秋の季節を実感できるのは、もう少し先の事になりそうな気配となっている。



沖田総司の息子の敬一は、藤田五郎の家を訪れた。

玄関の前に来ると、元気良く声を出す。

「こんにちは！　敬一です！」

藤田五郎の妻の時尾が微笑んで現れた。

敬一は藤田五郎の妻の時尾に、笑顔で話し出す。

「こんにちは！」

藤田五郎の妻の時尾は、敬一に微笑んで話し出す。

「こんにちは。どうぞ家の中にお入りください。」

敬一は藤田五郎の妻の時尾に、微笑んで軽く礼をした。

藤田五郎の妻の時尾と敬一は、家の中へと入っていった。



敬一は時尾に微笑んで話し出す。

「時尾さん。お腹が大きくなりましたね。お子さんが生まれるのは、今月の終わりか、来月の初めですよね。」

時尾は敬一を見ながら微笑んで頷いた。

敬一は時尾に微笑んで話し出す。

「時尾さん。お腹を触っても良いですか？」

時尾は敬一を見ながら微笑んで頷いた。

敬一は時尾のお腹に優しく手を当てると、微笑んで話し出す。

「男の子かな〜？　女の子かな〜？　もしかして、双子なのかな〜？　早く会いたいな〜」

時尾は敬一の様子を微笑んで見ている。

藤田五郎と時尾の息子でまだ幼い勉が、時尾と敬一の前に笑顔で現れた。

敬一は時尾のお腹から手を離すと、藤田五郎と時尾の息子の勉を、微笑んで見た。



勉は敬一の前に笑顔で立っている。

敬一は勉を見ると、微笑んで話し出す。

「勉君。こんにちは。」

勉は敬一に笑顔で話し出す。

「こんにちは。」

敬一は勉に微笑んで話し出す。

「もう少しすると、勉君に弟か妹が生まれるね。」

勉は敬一を見ながら笑顔で頷いた。

敬一は勉に微笑んで話し出す。

「勉君。もう少ししたら、お兄ちゃんになるね。」

勉は敬一に笑顔で話し出す。

「おにいちゃん。おなじ。」

敬一は勉に微笑んで話し出す。

「勉君もお兄ちゃん。僕もお兄ちゃん。同じだね。」

勉は敬一を見ながら笑顔で頷いた。

時尾は敬一と勉の様子を微笑んで見ている。



敬一は藤田五郎の部屋の前に来ると、元気良く話し出す。

「こんにちは！　敬一です！」

藤田五郎は障子を開けて敬一を見ると、普通に話し出す。

「部屋の中に入れ。」

敬一は藤田五郎に笑顔で話し出す。

「はい！」

藤田五郎は敬一を普通の表情で見ている。

藤田五郎と敬一は、部屋の中へと入っていった。



ここは藤田五郎の部屋のなか。

敬一は藤田五郎に微笑んで話し出す。

「時尾さんのお腹が、とても大きくなりましたね。」

藤田五郎は敬一を見ながら普通の表情で黙って頷いた。

敬一は藤田五郎に微笑んで話し出す。

「斉藤さん。お願いしたい事があります。」

藤田五郎は敬一を普通の表情で見ている。

敬一は藤田五郎に恥ずかしそうに話し出す。

「やっぱり止めます。」

藤田五郎は敬一に普通に話し掛ける。

「話しを途中で止めるな。」

敬一は藤田五郎に恥ずかしそうに話し出す。

「今の話は忘れてください。」

藤田五郎は敬一に普通に話し出す。

「気になるから、さっさと言え。」

敬一は藤田五郎に恥ずかしそうに話し出す。

「もし、女の子が生まれたら、僕のお嫁さんにしたいな、と考えたんだ。」

藤田五郎は敬一を普通の表情で見ている。

敬一は藤田五郎に恥ずかしそうに話し出す。

「歳が離れていても、結婚をしている人達はいるから、大丈夫かな、と考えたんだ。」

藤田五郎は敬一を普通の表情で見ている。

敬一は藤田五郎に恥ずかしそうに話し出す。

「斉藤さん。今の話は早く忘れてください。」

藤田五郎は敬一に普通に話し出す。

「時尾にも話しをしておく。」

敬一は藤田五郎に恥ずかしそうに話し出す。

「今の話は忘れてください。」

藤田五郎は敬一に普通に話し出す。

「忘れる必要は無いだろ。」

敬一は藤田五郎を恥ずかしそうに見ている。

藤田五郎は敬一に普通に話し出す。

「詳しい話は、女の子が生まれてからにしよう。美鈴さんにも話しをする必要があるな。」

敬一は藤田五郎に慌てた様子で話し出す。

「お母さんには僕から話します。」

藤田五郎は敬一を見ながら普通の表情で黙って頷いた。

敬一は藤田五郎に慌てた様子で話し出す。

「お母さんの返事の内容に関係なく、斉藤さんには必ず伝えます。」

藤田五郎は敬一を見ながら普通の表情で黙って頷いた。



それから暫く後の事。

敬一が家に帰る時間になった。

敬一は藤田五郎に笑顔で話し出す。

「今日はありがとうございました！　また来ます！」

藤田五郎は敬一を普通の表情で見ながら黙って頷いた。

敬一は藤田五郎に笑顔で軽く礼をすると、自分の家へと帰っていった。



更にそれから暫く後の事。

敬一は自分の家の前に到着した。

敬一の母親の美鈴は、敬一を微笑んで出迎えた。

敬一は元気良く家の中へと入っていった。

母親の美鈴は、敬一の様子を微笑んで確認しながら、家の中へと入っていった。



敬一は美鈴に微笑んで話し出す。

「お母さん。時尾さんのお腹がとても大きくなっていたよ。」

美鈴は敬一に微笑んで話し掛ける。

「時尾さんのお子さんは、今月の終わりか、来月の初めに生まれるのよね。」

敬一は美鈴を見ながら微笑んで頷いた。

美鈴は敬一に微笑んで話し掛ける。

「出産のお祝いの品を、用意しないといけないわね。」

敬一は美鈴に微笑んで話し出す。

「お母さん。まだ斉藤さんの家に一度も行った事がないよね。ちょうど良い機会だから、お母さんも一緒にお祝いに行こうよ。」

美鈴は敬一に微笑んで話し出す。

「今回は遠慮しようと思っているの。敬一にお願いしても良いかしら。」

敬一は美鈴に微笑んで話し出す。

「わかった。僕に任せて。」

美鈴は敬一を微笑んで見ている。

敬一は美鈴に恥ずかしそうに話し出す。

「お母さん。話しがあるんだ。」

美鈴は敬一を不思議そうに見た。

敬一は美鈴に恥ずかしそうに話し出す。

「斉藤さんと時尾さんの間に生まれた赤ちゃんが、女の子だったら、僕のお嫁さんにしたいなと思っているんだ。」

美鈴は敬一を微笑んで見た。

敬一は美鈴に微笑んで話し出す。

「お父さんは、僕と斉藤さんのお子さんが結婚をして欲しいと、手紙に書きたかったと思うんだ。でも、結婚をして欲しいと書くと、僕が無理をしてしまうと思ったから、手紙に書くのを止めたと思うんだ。」

美鈴は敬一に微笑んで話し出す。

「敬一。お父さんのために無理をしなくてもいいのよ。」

敬一は美鈴に微笑んで話し出す。

「無理はしていないよ。斉藤さんと時尾さんのお子さんだから、絶対に良い子になるよ。だから、女の子が生まれるのを、僕はとても楽しみにしているんだ。」

美鈴は敬一に微笑んで話し出す。

「斉藤さんは敬一の申し出を了承したの？」

敬一は美鈴に微笑んで話し出す。

「斉藤さんは時尾さんに話しをすると言っていたよ。それに、女の子が生まれたら、詳しい話をしようとも言ってくれたんだ。」

美鈴は敬一に微笑んで話し出す。

「お母さんは、大歓迎よ。斉藤さんが良いお返事をしてくれると良いわね。」

敬一は美鈴に微笑んで話し出す。

「お母さん。ありがとう。お母さんの返事は、僕から斉藤さんに伝えるね。」

美鈴は敬一を見ながら微笑んで頷いた。

風が吹いたのか、がらすの風鈴が涼しげな音を鳴らした。

敬一と美鈴は、がらすの風鈴を微笑んで見た。

敬一は美鈴を見ると、笑顔で話し出す。

「お父さんも嬉しいと話をしているみたいだね！」

美鈴は敬一を見ると、微笑んで頷いた。

敬一は美鈴を笑顔で見ている。

がらすの風鈴は、涼しげな音を鳴らし続けている。



その日の夜の事。

ここは藤田五郎の家。

虫の声が涼しげな音を響かせている。

藤田五郎は縁に一人で座っている。

時尾がお盆に酒と肴を乗せて、藤田五郎の横に来た。

藤田五郎は時尾を普通の表情で見た。

時尾は藤田五郎の横に静かにお盆を置くと、微笑んで話し出す。

「お酒と肴を用意しました。」

藤田五郎は時尾を見ながら普通の表情で黙って頷いた。

時尾は藤田五郎に微笑んで話し出す。

「虫の声が綺麗ですね。」

藤田五郎は時尾に普通に話し出す。

「勉は寝たのか？」

時尾は藤田五郎を見ながら微笑んで頷いた。

藤田五郎は時尾に普通に話し出す。

「敬一が興味深い話しをしていた。」

時尾は藤田五郎を不思議そうに見た。

藤田五郎は時尾に普通に話し出す。

「女の子が生まれたら、敬一が嫁にしたいそうだ。」

時尾は藤田五郎を微笑んで見た。

藤田五郎は時尾に普通に話し出す。

「世間には歳の離れた夫婦はいるから、問題ないだろうとも話をしていた。」

時尾は藤田五郎に微笑んで話し出す。

「美鈴さんは、敬一君の申し出をご存知なのですか？」

藤田五郎は時尾に普通に話し出す。

「敬一から美鈴さんに確認を取ると、話していた。美鈴さんから良い返事がもらえる雰囲気だったから、俺に話をしたんだと思う。」

時尾は藤田五郎に微笑んで話し出す。

「敬一君の性格だと、そうかもしれませんね。」

藤田五郎は時尾を見ながら普通の表情で黙って頷いた。

時尾は藤田五郎に微笑んで話し出す。

「私は敬一君からの申し出を、喜んでお受けしたいと思います。」

藤田五郎は時尾を見ながら普通の表情で黙って頷いた。

時尾は藤田五郎に微笑んで話し出す。

「話しは変わりますが、近い内に母が来るそうです。」

藤田五郎は時尾を見ながら普通の表情で黙って頷いた。

時尾は藤田五郎を微笑んで見ている。

藤田五郎は時尾に普通に話し出す。

「早く寝ろ。」

時尾は藤田五郎に微笑んで話し出す。

「お産は病気ではありません。寝る時間には少し早いです。なので、もう少し起きていようと思います。」

藤田五郎は時尾を見ながら普通の表情で黙って頷いた。

時尾は藤田五郎に微笑んで話し出す。

「勉の様子を見てきます。終わりましたら、声を掛けてください。」

藤田五郎は時尾を見ながら普通の表情で黙って頷いた。

時尾はゆっくりと立ち上がると、勉の寝ている部屋へと歩き出した。

藤田五郎は時尾の後姿を、普通の表情で黙って見ている。

時尾の姿は見えなくなった。

藤田五郎は黙って杯に酒を注ぐと、辺りに響く虫の声を聞きながら酒を飲み始めた。



それから何日か後の事。

朝夕は涼しさを感じる時間が少しずつ増えてきたが、日中はまだ暑い日が続いている。

秋の季節を少しずつとはなるが、感じる事が出来るようになってきた。



敬一は藤田五郎の家の前に来ると、笑顔で声を出す。

「こんにちは！　敬一です！」

いつものように戸が開いた。

敬一は笑顔で立っている。

戸が開いて現れた人物は、敬一にとっては見知らぬ女性だった。

敬一は見知らぬ女性を驚いた表情で見た。

見知らぬ女性は敬一に微笑んで話し出す。

「こんにちは。」

敬一は見知らぬ女性に微笑んで話し出す。

「藤田さんか時尾さんは居ますか？　少しお話しがしたいと思って、こちらにお伺いしました。」

見知らぬ女性は敬一に微笑んで話し出す。

「時尾に確認してきます。玄関でお待ちください。」

敬一は見知らぬ女性に微笑んで話し出す。

「はい。」

見知らぬ女性は敬一を微笑んで見ている。

敬一は見知らぬ女性に微笑んで軽く礼をすると、玄関へと入って行った。



ここは藤田五郎の家の玄関。

見知らぬ女性は、直ぐに玄関から居なくなった。

敬一は困惑した表情で、玄関に黙って腰掛けた。



それから僅かに後の事。

玄関に腰掛けている敬一の後ろから、時尾の穏やかな声が聞こえた。

「敬一君。こんにちは。」

敬一は立ち上がると、時尾を微笑んで見た。

時尾は敬一に微笑んで話し掛ける。

「どうぞお上がりください。」

敬一は時尾に微笑んで話し出す。

「このまま帰ります。」

時尾は敬一に微笑んで話し出す。

「敬一君が話しをした人は、私の母の高木克子と言います。私のお産が近くなったので、手伝いを兼ねて家に来ています。だから、気兼ねをしなくても大丈夫です。」

敬一は時尾に微笑んで話し出す。

「はい。今日は先日のお話しの返事をしようと思って、お伺いしました。でも、別な日にしたいと思います。元々、返事が終わったら、直ぐに帰ろうと思っていました。なので、気にしないでください。」

時尾は敬一に微笑んで話し出す。

「勉も敬一君が来るのを楽しみに待っています。藤田も敬一君の返事を待っていると思います。直ぐに帰るとは言わずに、上がっていってください。」

敬一は時尾に微笑んで話し出す。

「ではお邪魔致します。」

時尾は敬一を微笑んで見ている。

時尾と敬一は、玄関を後にした。



時尾と敬一は、客間に居る。

時尾の母の高木克子が、お茶とお菓子を持って、客間に入ってきた。

敬一は、時尾の母の高木克子を見ると、微笑んで軽く礼をした。

時尾の母の高木克子は、敬一の前にお茶とお菓子を置くと、静かに話し出す。

「時尾の母の高木克子と言います。よろしくお願いします。」

敬一は、時尾の母の高木克子に、微笑んで話し出す。

「藤田さんと、以前に一緒に仕事をしていた同僚の息子で、敬一と言います。こちらこそよろしくお願いします。」

時尾の母の高木克子は、敬一に微笑んで話し出す。

「ゆっくりとしていってくださいね。」

敬一は、時尾の母親の高木克子に、微笑んで話し出す。

「はい。」

時尾の母の高木克子は、敬一に微笑んで軽く礼をすると、部屋の外へと出て行った。



時尾は敬一に申し訳なさそうに話し出す。

「母に敬一君が良く家に来る話しをしなかったの。驚かせてしまって、ごめんなさい。」

敬一は時尾に微笑んで話し出す。

「大丈夫です。」

時尾は敬一を微笑んで見ている。

敬一は時尾に微笑んで話し出す。

「先日の話しですが、お母さんから、良い返事をもらいました。」

時尾は敬一に微笑んで話し出す。

「私から藤田に敬一君の返事を伝えます。」

敬一は時尾に微笑んで話し出す。

「よろしくお願いします。」

時尾は敬一を見ながら微笑んで頷いた。



月が変わり、十月になった。

朝夕は涼しさを感じられるようになってきた。

日中は少し暑く感じる事もあるが、夏とは違う暑さとなっている。

秋の気配を、少しずつ感じられるようになってきた。



ここは敬一と美鈴の家のなか。

敬一は美鈴に笑顔で話し出す。

「お母さん。斉藤さんの家に出掛けてくるね。」

美鈴は敬一に不思議そうに話し掛ける。

「時尾さんのお子さんが生まれる頃よね。出掛けても大丈夫なの？」

敬一は美鈴に微笑んで話し出す。

「時尾さんと勉君の様子を確認したら、直ぐに帰ってくるつもりだよ。」

美鈴は敬一に微笑んで話し出す。

「もし長居をするように勧められても、早く帰るようにね。」

敬一は美鈴を見ながら微笑んで頷いた。

美鈴は敬一に微笑んで話し出す。

「行ってらっしゃい。」

敬一は美鈴に微笑んで話し出す。

「行ってきます。」

美鈴は敬一を微笑んで見ている。

敬一は元気良く出掛けて行った。



それから少し後の事。

敬一は藤田五郎の家の前に到着した。



敬一は藤田五郎の家の前で元気良く声を出す。

「こんにちは！　敬一です！」

高木克子が現れると、敬一に微笑んで話し出す。

「こんにちは。」

敬一は高木克子に微笑んで話し出す。

「時尾さんと勉君はお元気ですか？　もし大丈夫でしたら、お話しをさせて頂きたいと思って、お伺いしました。」

高木克子は敬一に微笑んで話し掛ける。

「どうぞお入りください。」

敬一は高木克子に微笑んで軽く礼をすると、家の中へと入って行った。



敬一が家の中に入って直ぐの事。

勉が敬一の前に笑顔で現れた。

敬一は勉に微笑んで話し掛ける。

「こんにちは。」

勉は敬一に笑顔で話し出す。

「こんにちは。あそぼ。」

敬一は勉に申し訳なさそうに話し出す。

「今日は直ぐに帰るから、一緒に遊べないんだ。勉君。ごめんね。」

勉は敬一を寂しそうな表情で見た。

敬一は勉に申し訳なさそうに話し出す。

「別な日にゆっくりと遊ぼうね。」

勉は敬一を寂しそうな表情で見ている。

高木克子は敬一に微笑んで話し掛ける。

「もしお時間があれば、勉と一緒に遊んで頂いても良いですか？」

敬一は高木克子に微笑んで話し掛ける。

「長居をしたら迷惑になるので、直ぐに帰ろうと思っています。」

高木克子は敬一に微笑んで話し出す。

「勉が寂しがっています。一緒に遊んで頂けないでしょうか？」

敬一は高木克子に微笑んで話し出す。

「わかりました。」

高木克子は敬一を微笑んで見ている。

敬一は勉を見ると、微笑んで話し出す。

「庭に行こう。」

勉は敬一を見ながら笑顔で頷いた。

敬一は高木克子に微笑んで話し出す。

「では勉君と一緒に庭で遊んできます。」

高木克子は敬一に微笑んで話し出す。

「よろしくお願いいたします。」

敬一は高木克子を見ながら微笑んで軽く礼をした。

敬一と勉は、一緒に遊ぶために庭へと向かった。



敬一と勉が、庭で遊び初めて直ぐの事。

高木克子が縁に来た。

敬一は高木克子を不思議そうに見た。

高木克子は敬一と勉に微笑んで話し出す。

「時尾のお産がそろそろ始まるようです。お産婆さんを呼んできます。勉と一緒に家に居てもらっても良いですか？」

敬一は高木克子を心配そうに見た。

高木克子は敬一に微笑んで話し掛ける。

「お産は病気ではありません。余り心配しないでください。」

敬一は高木克子に微笑んで話し出す。

「わかりました。勉君と一緒に留守番をしています。」

高木克子は敬一に微笑んで話し掛ける。

「では、少しの間よろしくお願いします。」

敬一は高木克子に微笑んで話し掛ける。

「行ってらっしゃい。」

高木克子は産婆を呼ぶために、直ぐに居なくなった。



敬一は勉に微笑んで話し出す。

「勉君。お母さんのお産が始まったみたいだよ。もう直ぐ勉君の弟か妹が産まれるね。」

勉は敬一に笑顔で話し出す。

「おにいさん。なる。」

敬一は勉に微笑んで話し出す。

「そうだよ。勉君はもう直ぐお兄さんになるんだよ。」

勉は敬一に笑顔で話し出す。

「おにいさんになる。」

敬一は勉に微笑んで話し出す。

「お母さんの様子を見に行こう。」

勉は敬一を見ながら笑顔で頷いた。

敬一と勉は、時尾の居る部屋へと向かった。



ここは、時尾の居る部屋の前。

勉は敬一の横に笑顔で居る。

敬一は時尾に障子越しに心配そうに話し掛ける。

「時尾さん。大丈夫ですか？」

時尾のいつもと変わらない声が聞こえてきた。

「大丈夫です。気にせずに入ってきてください。」

敬一と勉は、時尾に部屋へとゆっくりと入っていった。



時尾は少し辛そうにしていたが、敬一と勉を見ると微笑んだ。

敬一は時尾に心配そうに話し出す。

「時尾さん。大丈夫？」

時尾は敬一に微笑んで話し掛ける。

「大丈夫よ。それに、生まれるまでには、まだ時間があるの。少しくらいなら話しも出来るから大丈夫よ。」

敬一は時尾を心配そうに見ている。

時尾は敬一に微笑んで話し掛ける。

「お産は病気ではないの。だから、そんな顔をしないでね。」

敬一は時尾を微笑んで見た。

勉は時尾に笑顔で話し掛ける。

「おにいさんになる。」

時尾は勉に微笑んで話し掛ける。

「そうね。勉はもう直ぐお兄さんになるわね。」

勉は時尾を笑顔で見た。

高木克子と産婆が、時尾の居る部屋に入ってきた。

高木克子は敬一と勉に、微笑んで話し掛ける。

「お産婆さんが着たから大丈夫です。」

敬一は勉に微笑んで話し掛ける。

「勉君。部屋を出よう。」

勉は敬一を見ながら笑顔で頷いた。

敬一と勉は、時尾の居る部屋から出て行った。



それから暫く後の事。

敬一が家に帰ってきた。

美鈴は敬一を微笑んで出迎えた。

敬一は美鈴を複雑そうな表情で見ている。

美鈴は敬一に不思議そうに話し掛ける。

「敬一。何かあったの？」

敬一は美鈴に心配そうに話し出す。

「時尾さん。赤ちゃんが生まれそうなんだ。」

美鈴は敬一に微笑んで話し掛ける。

「敬一。何て顔をしているの。」

敬一は美鈴に心配そうに話し出す。

「時尾さんのお母さんに、何か手伝う事はないかと話をしたんだ。そうしたら、お産に男の人居ても手伝う事は無いと言われたんだ。だから、勉君と一緒に居ると言ったんだ。でも、お産が長くなるかもしれないから、早く帰るようにと言われたんだ。」

美鈴は敬一に微笑んで話し掛ける。

「時尾さんのお母様が言う通り、お産は病気ではないし、男の人が手伝う事は何も無いの。敬一が遅くまで斉藤さんの家に居たら、帰る時には外が暗くなってしまうかもしれないわよね。そうすると、斉藤さんがお仕事から帰ってきたら、敬一を家まで送る事になってしまうわよね。お母さんが時尾さんのお母様でも、敬一に同じ事を言うと思うの。」

敬一は美鈴に微笑んで話し掛ける。

「お母さん。明日になったら、斉藤さんの家に出掛けても良いかな？」

美鈴は敬一に微笑んで話し出す。

「時尾さんに会えないかも知れない。でも、敬一が気になるのなら、斉藤さんの家に出掛けてみなさい。」

敬一は美鈴を見ながら微笑んで頷いた。





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