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K2形蒸気機関車を訪ねる
〜大日本炭鉱勿来鉱専用軌道 特別編〜
K2形蒸気機関車の基礎知識
正式名称:日本陸軍鉄道聯隊K2形蒸気機関車
製造年 昭和17(1942)年〜昭和19(1944)年
製造両数 47両(内 勿来鉱専用軌道に7両)
製造会社 川崎車輌(現 川崎重工業車両カンパニー)
車重 12.5トン
現存車両 2両(?)
K2形の誕生とその時代背景
日本陸軍では戦時下における陸上の輸送手段として鉄道を重用していた。
日本の占領下、統治下の各地域において1067mm、もしくは1435mmの鉄道を建設して戦術物資や人員を運んでいた。
それらの鉄道は今でも立派に使用されているものが多い。日本の鉄道建設技術の高さが窺えるだろう。
その一方、陸軍では簡易線(臨時軌道、作業線、戦術線)の研究も盛んに行なわれていた。
陸軍では簡易線における専用蒸気機関車の開発を進めていた。
ドイツ オーレンシュタインウントコッペル社製E形蒸気機関車を手本として、車両の製作は川崎車輌が担当した。
試作機であるK1形(昭和4(1929)年製:1両)を基として昭和17(1942)年にK2形蒸気機関車が誕生した。
K2形の特徴
K2形蒸気機関車は戦時中、当時のソ連国境付近での配備を想定して製作された。
K2形の特徴としては
①:軸重の軽減:手本となったE形蒸気機関車と同じように車輪配置を0−10−0、すなわち片側5輪ずつ、全て動輪(牽引力を発揮する車輪)にし、
1輪あたりにかかる車重の軽減と牽引力の増大を図っている。
試作機であるK1形の車重15トンに対し、K2形では溶接構造の多用により12.5トンにまで軽量化された。1輪当たり1.25トンである。
軸重の低減により、軌道に掛かる負担が少なくなり、簡易軌道(軌匡)などでの運用が容易になった。
②曲線追従性の向上:作業線などでは敷設する土地の形状的制約により、やむを得ず急カーブが敷設される事がままある。
そこでE形の流れをくむK1,K2形では小径車輪採用の上、「クリン・リントナー式」と呼ばれる複雑なギヤ駆動システムを採用し、曲線における車輪の追従性を向上させた。
更に中央の第3動輪をフランジレスとして急カーブにおける第3動輪の浮遊(!!)を許して更なる曲線通過性能の向上を目指した。
クリン・リントナー式の採用は機関車の下回りに複雑なシステムを作る事になり、戦場における「簡便的な使用、メンテナンスの簡素化」に反するものとして歓迎されなかった。
③実践的装備:K2形には揚水ポンプとホースが装備され、軌道付近の湖や河川からのボイラー用水の調達を簡単なものとした。
また、追加炭庫などの各種装置の追加も可能であり、実戦現場におけるフレキシブルな運用を可能にした。
K2形は600mm〜1067mm(あるいはそれ以上)までの軌間に対応できる構造になっている。
車輪の履き替えにより、600、762mmの軽便規格の鉄道はもとより、1067mmの本線規格の鉄道の走行も可能になっていた。
戦後各地に放出されたK2形は1067mm規格に改造された物が多い(画像の134号機も1067mm規格である)
尚、1067㎜に改軌されたK2形には上述のクリン・リントナー機構は付いていない。(Brass_solderさんからの情報)
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