このページは、2019年3月に保存されたアーカイブです。最新の内容ではない場合がありますのでご注意ください

単語解説、K2形消息

 

ここではK2形蒸気機関車を語るにあたり、地名やメカニズムなどを解説(と言うほど偉くは無いが)したものである。(順不同)

 

 

鉄道聯隊(鉄道連隊):鉄道聯隊(てつどうれんたい)は近衛師団隷下の交通兵旅団から明治29(1896)年に「鉄道大隊」として独立し、東京牛込に創設されたのが始まりである。

明治40(1907)年、鉄道聯隊として分立し、同時に千葉県千葉郡津田沼町(現千葉県習志野市津田沼)に転営する。

K2形蒸気機関車が津田沼に展示されているのは鉄道聯隊ゆかりの地であるからである。

 

 

川崎車輌:現在の川崎重工業車両カンパニー。川崎重工業では社内カンパニー制度を導入しているので車両部門をこのように呼ぶ。

明治39(1906)年創業。工場は神戸市兵庫区にある。札幌市地下鉄、神戸市ポートライナー、台湾高速鉄道700T形など作り出した車両には9万両以上を誇る。

戦前(現在もだが)の川崎車輌は技術力も高く、軍部の信頼も厚かった為にK1、K2形の発注を任されたものと考えられる。

 

 

オーレンシュタインウントコッペル社:略して「コッペル」。日本の明治、大正時代の機関車に多大な影響を与えたドイツの総合建機メーカー。

K1、K2形ともコッペル社のE形蒸気機関車を手本として作られている。

当HP内コンテンツ「 浪江森林鉄道 」では大正14(1925)年に同社のガソリン機関車が導入されたと言う記録がある。

 

 

車輪配置:この項ではホワイト式表記を使う。(先輪)−(動輪)−(後輪)の順で表記する。

K2形の場合先輪(前車)なし−動輪 (5×2輪=10)−後輪なし なので車輪配置の表記は0−10−0となる。

K2形はK2Eとも表記されるが、この場合の「E」は動輪が5軸(Aから数えて5番目なのでE)と言う意味である。

 

 

軌匡(ききょう):軌匡とは臨時に敷設する鉄道(作業線、戦術線)などで使用される物で、あらかじめレールと枕木をハシゴ状にして組み立てておいた物を指す。

その軌匡を貨車などで現地に運搬し、迅速に敷設する。

画像にすると

このような感じだったのではないだろうか。

プラレールの線路セットを思い浮かべると分かりやすい。現代のミニ軌匡そのものである。

 

 

クリン・リントナー式:K2形最大の特徴にして、最大のウィークポイントである。

名前の由来はドイツのエヴァルト・クリン氏とハインリヒ・リントナー氏の開発者2人の名前から。

クリン・リントナー式では第1動輪と第5動輪(5輪以上の場合は最後部の動輪)の動軸を中空軸にして、その中央に特殊な球状の歯を切った中味軸を通して

中空軸と中味軸の噛み合せにより、動輪の首振り動作を可能とする機構である。

この機構については、写真や図が入手できた場合更新してより詳しく解説していきたいと思う。

 

 

新京成電鉄:新京成電鉄は常磐線 松戸駅から京成電鉄 京成津田沼駅まで26.5㎞1路線を運行する千葉県の私鉄である。

新京成電鉄の路線は元の鉄道聯隊演習線であり、その為か直線を急カーブで繋ぐ線形が連続する。

松戸〜京成津田沼までの通し運賃は2008年3月現在で250円と現在の基準ではかなり安い部類に入る。

戦後、鉄道聯隊演習線を旅客路線として使用するにあたり、京成電鉄と西武鉄道との間で路線免許の申請が成された。

結果的には京成電鉄が路線を開業したが、西武鉄道はその見返りとして鉄道聯隊に残されていたレール、機関車等(134号も含む)の譲渡を受けた。

 

 

K2形の消息

K2形蒸気機関車は川崎車輌の手によって47両が昭和17(1942)年から昭和19(1944)年の間に作られている。

そのうちの10両ほどが戦地に送られたと言うが、消息は全く不明である。

 

今現在記録に残されているK2形の足跡は11機である。他にも分かり次第順次追加して行く予定である。

 

112号:昭和17(1942)年12月製造:鉄道聯隊→勿来鉱専用軌道

113号:昭和17(1942)年12月製造:鉄道聯隊→勿来鉱専用軌道

115号:昭和18年(1943)製造:鉄道聯隊→神岡軌道(富山、岐阜)

116号:昭和18(1943)年製造:鉄道聯隊→神岡軌道

121号:昭和18(1943)年製造:鉄道聯隊→不明(西武鉄道?)→国鉄土崎工場→解体

129号:昭和18(1943)年8月製造:鉄道聯隊→勿来鉱専用軌道

130号:昭和18(1943)年8月製造:鉄道聯隊→勿来鉱専用軌道(部品取り車として使われた)

131号:昭和18(1943)年8月製造:鉄道聯隊→勿来鉱専用軌道

133号:昭和18(1943)年8月製造:鉄道聯隊→勿来鉱専用軌道

134号:昭和18(1943)年製造:鉄道聯隊→西武鉄道(1067mm)朝比奈線等で砂利運搬などに活躍→西武ユネスコ村静態保存→津田沼1丁目公園静態保存

144号:昭和19(1944)年11月製造:鉄道聯隊→勿来鉱専用軌道

 

    その他にも小湊鉄道(千葉)に1〜2機、西武鉄道にも134号以外に1〜2機が存在したものと思われる。

    勿来にある呉羽化学錦工場(現 クレハいわき工場)引込線に1067㎜仕様のK2形が存在した。Brass_solder氏情報提供)

    現存するK2は公式には134号のみであるが、もう一機日本の何処かにあるらしい。

    勿来鉱専用軌道でのK2形の運行は昭和32(1957)年3月24日まで続けられた。その後の消息は不明。ご存知の形はご一報頂きたい。

 

K2形蒸気機関車 134号を見る

K2形蒸気機関車 説明

トップに戻る

 

このページは、2019年3月に保存されたアーカイブです。最新の内容ではない場合がありますのでご注意ください