このページは、2019年3月に保存されたアーカイブです。最新の内容ではない場合がありますのでご注意ください





逆走が出来ないのなら宙を飛べ
鳥取砂丘パークアンドライド、2年目の奇策




昨年の大型連休に鳥取砂丘に出かけた際、偶然にも体験したパークアンドライドのシャトルバスを巡る「逆走事件」については、ここでも2回に亘って論じました。
「ラクダも呆れるパークアンドライド」   「兵は拙速を尊ぶ〜鳥取砂丘P&R問題続編」 ご参照

結局、「逆走」を指示した市職員が道交法違反容疑で書類送検されるという結末になっており、他所では当たり前のように行われている誘導員を配置しての「逆走」による公共交通の機能維持が鳥取では否定されたのです。

さて、あれから1年。市職員が書類送検されるという事態にまで発展しては、1年で取り止めかと思ったら、なんと継続です。

大型連休後半の4連休の9時から17時半まで、オアシス駐車場をベースに20分ヘッドでの運行。砂丘道路経由だと去年の二の前になるため、農道を迂回する2.2kmのコースは去年の5割増というところです。
運賃は往復300円と100円高くなりましたが、片道運賃の設定もあり、洗練されてきた感じです。
農道も農耕者以外の通行を規制するため、定時性の確保は確実です。

ところで、新聞記事によると往復券の購入者は砂丘リフトに無料で乗れるとあります。
えらく太っ腹と思いきや、なんと今年のシャトルバスは、去年の砂丘会館ではなく、裏手の高台にある砂丘センターに発着するのです。
ここから砂丘へのアクセスは砂丘リフトが定番で、シャトルバスの往復券にリフト券がついているのはある意味当然、リフトに乗ってようやく砂丘に着くからです。

なんという奇策でしょうか。逆走が封じられたらこんどは宙を飛ぶのです。
しかし、冷静に考えると、このアプローチには問題も少なくありません。
まず、リフトは砂丘会館付近の上空を通り、砂丘にダイレクトにアクセスします。砂丘センターでも土産物の購入や食事は出来ますが、選択肢が狭められたと言うか、去年とはまったく別ルートからのアクセスと割り切るべきルートです。

さらに、砂丘リフトはスキー場にあるいわゆるペアリフトそのものです。
乳幼児、高齢者や、障害者までは行かなくとも、足腰が弱いとか、高所恐怖症とか、荷物や土産物があるとか、リフトの利用に不都合がある層が少なからず存在します。
もちろん歩くことも出来ますが、こちらは距離を残しているわけで、こうなるとシャトルバスとは言いがたいでしょう。オアシス駐車場から歩くのとどのくらい違うのか、という感じですから。

今回、ファイナルアプローチがリフトになると言うことを周知して誘導したのか。
去年の我が家のように誘導されるがままに利用して、最後のリフトを見て呆然とするようなケースはなかったのか。
リフトと言う一般的でない手段を介するというのは、ある意味徒歩区間が長いよりも厄介な話です。

そこまでの奇策に頼らざるを得なかったのも、去年の逆走が原因ですが、では今年は県警などの協力を得て、20分に1回、規制して逆走する、と言う手段がなぜ取れなかったのか。
オアシス駐車場から砂丘会館までは走れば2分程度。どうせ駐車場待ちのクルマが邪魔して走るクルマも無い区間をその程度規制しても実害などありません。

にもかかわらず逆走という正攻法は取れず、リフトを介するという奇策に出たと言うことは、関係各署が今年もパークアンドライドには本質的に無理解と言うことを示しているということでしょう。





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