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鉄道時計(懐中時計)のページ
鉄道時計(懐中時計)・・・列車の定時運行のために、乗務員等に貸与されている時計。

 写真のセイコーのSVBR001鉄道時計(懐中時計)は、一般にも市販されており、普通の人にも入手しやすいですね。
  
 大きくて見やすい鉄道時計、いろいろな工夫がこらされている鉄道時計。
 このサイトでは、そんな鉄道時計について、主に、現行タイプのもの(SEIKO SVBR001が中心になってしまいますが)について紹介させていただきます。
(画像をクリックいただくと、大きい画像をご覧いただけます)
鉄道時計(SEIKO SVBR001)の主な仕様や特長

 鉄道という、秒単位の世界で使われる時計のため、月差15秒のクオーツが使われています。
 スペック上では15秒ですが、私の持っている物は、月に10秒程度しか狂いません。
 ほとんどの製品はこの精度内に収まっているのではないでしょうか。
 1日にするとたった0.3秒狂うかどうかといったレベルですね。
 
 心臓部のキャリバーは7Cタイプで、飽和潜水用のダイバーウォッチや、盲人の方がフタを開けて、針に直接触って時刻を知るための触読式時計にも使われているものです。 
 「潜水」、「針を指で直接触る」、時計にかかる負荷や、時計の置かれる状況は相当過酷なものです。
 鉄道における時刻の重要性は当然として、ダイバーにとっても時計の狂いや停止は命に関わる問題です。
 鉄道時計には、こういった時計に使われるのと同じモジュールが使われています。
 
 電池は10年電池で、電池切れの前には2秒ごとに秒針が運針し、電池切れを教えてくれます。
 ガラスは一般的な「ガラス」に比べて数倍の強度があり、透明度も高いといわれるアクリルガラスが使われ、事故などの際の割れにくさや、見易さの工夫がされています。
 
 動作可能温度は、-10℃〜+60℃で、運転室や車掌さんのポケットの中で使われる事を考えると、日本国内での使用には十分な範囲といえます。

 使ってみて感じたのは、とにかく見やすいということです。
 
 腕時計に比べて大きいからというのは別にして、シンプルな算用数字のフォント、分針の先と目盛りが近接しているので、時間の把握がとてもしやすいです。
 ファッション性を重視した一般の時計ですと、分針の先と目盛りの間にすき間が結構あったり、ローマ数字だったり、数字が一切なかったりで、時刻の把握に若干の時間を要すことがありますが、鉄道時計の場合は、ほぼ瞬間的に時間を把握できます。

 ところで、最近では、電波時計が一般的になってきましたね。
 置時計タイプの物はかなり安いですし、腕時計タイプの物でも、海外製造品などがディスカウントストアで3,500円位で売ってます。

 鉄道の世界でも、東海道新幹線の東京駅で、ホーム監視の駅員さんが立つ場所に電波時計が使われているのを見ました。
 このような屋外でむき出しのような場所以外では、まだ電波時計の導入は進んでいないようです。
 ではなぜ鉄道時計の電波時計化は遅れているのでしょうか?
  
 鉄道時計のもう一つの性能に、「2種強化耐磁時計」というのがあります。
 運転室には各種計器がありますが、これらの物から磁気が発生する可能性があり、その磁場の影響で時計が狂ってしまうことは許されません。
 軽い磁場に耐えられる「1種耐磁時計」をみかけますが、鉄道時計はより強い磁場でも時計が狂いにくい「2種強化耐磁時計」となっています。
 
 ご参考までに、日本工業規格(JIS)の分類
 
1種耐磁時計:直流磁界4,800A/mに耐えられる水準(日常生活において、磁界を発生する機器に耐磁時計を5cmまで近づけてもほとんどの場合性能を維持できる水準)
 2種強化耐磁時計:直流磁界16,000A/mに耐えられる水準(日常生活において、磁界を発生する機器に耐磁時計を1cmまで近づけてもほとんどの場合性能を維持できる水準)



 電波時計は電波を受信する関係で、あまり密閉をすることができず(防水性能の密閉ではなく、磁気的な密閉)耐磁構造にするのがむずかしいとのことです。
 どうりで、車掌さんが使っているシチズンCQという時計も、電波ではない一般的なアナログ時計なんだなと納得しました。

 私の自宅には置時計タイプの電波時計が2個あるのですが、数ヶ月に1回ですが、受信不良か何かで、とんでもない時間を示していることがありました。
 99%の確立で正確な時刻を表示してくれる電波時計でも、たった1度の受信不良でとんでもない時間を表示してしまうことがあり、電波時計はプロの世界ではまだ本格的には使えないのでしょう。
 また電波時計は、電波が受信できる場合には限りなく正確な時間ですが、電波が受信できなかった場合は、内部のクオーツで動作しますが、このクオーツの精度が意外とおそまつで、電波の受信ができなかった時には、むしろ鉄道時計の方が正確だったということもありました。

 電波時計は、「正確な時計」ではなく、「時間合わせが楽な時計」であり、プロの世界での「正確さ(受信不良のリスク)」や、「信頼性(耐磁性能等)」を求めた場合、磁気の影響を受けにくく、電波受信もしやすい屋外での限定的なケース以外では、電波時計という答えにはなりにくいと考えます。
 時計には「正確さ」と同時に、確実に動くという事が求められます。
 正確さの点で、電波時計にはかなりのアドバンテージがあるものの、受信不良時の表示誤りなどを考えると「確実さ」の点で少し不安になる部分がありますが、鉄道時計は確実に動いてくれます。
 そして、それがこの鉄道時計に与えられたミッション(使命)です。
 
 鉄道時計はスペック上、月差15秒の精度ですが、実際には月に15秒までいくことは少なく、10秒程度がほとんどだのため、一日にすると僅か0.3秒位と思います。
 この精度で確実に動いてくれます。
 毎日時計を合わせなくても、時報等で差を確認するだけでも十分です。
 
 鉄道時計は時間合わせがしやすいです。
 安物の時計にありがちな、時報に合わせてリューズを押し込んだ瞬間に、分針が動いてしまったというようなこともありません。
 時間合わせがしやすいため、「時計合わせ」という作業にあまりストレスを感じません。
 鉄道時計を使っていると、この時計合わせの時間が一つの楽しみにもなります。

 私は、深夜に自動受信をしてくれ、目覚めた時に正しい時間である電波時計を使った時の心地良さを否定しません。
 しかし、他人任せ(電波)ではなく、自分の手で時計を合わせることで、時間を意識し、時間に責任を持つこができる鉄道時計を携帯する満足感はそれ以上のものではないでしょうか。
 
 見た目は何の飾りっけもないシンプルな懐中時計ですが、その裏側に秘めた魅力や性能に着目し、皆様も普段お使いになる時計の一つに、鉄道時計を入れてみてはいかがでしょうか。


 ※電波時計に関しての補足:電波時計は電波受信の関係で、耐磁気という点での密閉が困難したが、シチズンが2006年6月から発売する電波腕時計(鉄道時計ではありません)は、電波時計でありながら、JIS第1種相当の耐磁性能が搭載される予定です。

 ※私が個人的に今後の鉄道時計に欲しい機能など
 (耐磁性能の重要性や、自分で時計を合わせる楽しみ、時間を意識する等の観点から、当面は電波時計化は望みません)

 ・夜間や、一時的に暗い場所に入った際の視認性を高めるために、全面ルミブライトにしてほしい。 東急に導入されている特注品はルミブライトという話が。
 ・秒針を赤針等にしてほしい。  「30秒停車」といったようなケースでは、秒針が反対側に行った時がそのタイミングですが、秒を意識することが多いため、秒針を目立つ赤針などにして欲しい。  JR東海の車掌が使ってる腕時計は秒針が赤との噂が。
 ・短針(時針)がもう少し短くてもいい。
 ・日常生活防水でもいいので防水性能を持たせて欲しい。  基本的には運転士が携帯することが多いですが、車掌区によっては、車掌もSVBR001を使っている場合もあり、屋外での使用を想定し、最低限の防水性能を持たせて欲しい
 ・ソーラー発電などにしてほしい。 メンテナンスの目安にもなるので、現行の10年電池でもいいですが。。。
 ・年差クオーツとまではいかなくても、月に5秒程度の精度にならないだろうか。


 
 
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  無人駅と鉄道時計(大糸線ヤナバスキ−場前駅)

  無人駅と鉄道時計(飯田線田本駅)

 

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