このページは、2019年3月に保存されたアーカイブです。最新の内容ではない場合がありますのでご注意ください

俳 書

『しぐれ会』(天明5年刊)


天明八戊申年十月十二日於 義仲寺 興行

      四来奉納
遠江浜松
ふるなりに靡くしくれの柳かな
   白輅

螺の出し片われ山や村しくれ
   柳也
  入野
子を寝せる引越ふねや夕しくれ
   方壷

牛引のしくれて戻る手縄かな
   斗六
  下総
船なから今宵は過つはつしくれ
   尺艾
甲斐小原
夜しくれや火をもちありく蜑か軒
   石牙

はま荻もあしも時雨てけふのそら
   木姿
  飯塚
ひろき野や枯て日のさし雨の降
   依兮
  直方
はつしくれ隣の壁をなかめけり
   文沙

浴室やけふり地をはふ夕時雨
   菊男
  田房
谷かけやまことのしくれ今そ聞
   古声

待人は来ぬに定て時雨きく
   青蘿

わりなしやしくれの中のすまひとり
   瓦全

花の香のむかしなつかし鞍馬炭
   只言

      一座捻香

   例のことく草を影前に立しを拝て
  
備るも色香はあらす枯尾はな
    蝶夢

初雪やあは津文庫の柱たて
    重厚

簔笠を脱日ありけり小六月
   祥然

けふしくれ時雨そへけり閼伽の水
    沂風

      遅来追加
  吉田
さゝ啼に朝日ちらつく葉裏哉
   古帆

白壁にしくるゝ影のうつる哉
    木朶

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