このページは、2019年3月に保存されたアーカイブです。最新の内容ではない場合がありますのでご注意ください

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久生十蘭 (ひさお・じゅうらん) 1902〜1957。




キャラコさん1・社交室  (青空文庫)
短編。いつもキャラコの下着(シュミーズ)を着ていることから付いた綽名は「キャラコさん」──。金持ちの叔母・沼間夫人のお供で、贅沢な人たちが宿泊している伊豆・川奈のホテルへやって来た剛子(キャラコさん)だが…。沼間夫人が二人の娘を連れてホテルに宿泊する意外な理由と、贅沢なホテルに似つかわしいみすぼらしい老人客の意外な正体は? 「マキちゃんは、やっぱり秋作氏を愛していたんだわ」。退役陸軍少将・石井長六閣下の末娘で、快活で素直で親切な少女・キャラコさんの活躍を描いたハートフル小説・第1話。

キャラコさん2・雪の山小屋  (青空文庫)
短編。やんちゃな女学生たちの付き添い役として、志賀高原の山小屋にやって来たキャラコさん(剛子)だが、山小屋の持ち主の娘・梓(あずさ)さんの恋愛問題がかなり深刻な状況に陥ってしまい…。「…どうしていいかわからない。どこを目あてに生きてゆけばいいのか見当がつかない。だから、恋愛なんかにばかり追従するようになるんだわ」──。恋愛事件を通して、子供以上大人未満の少女たちの成長を描いた「キャラコさん」第2話。

キャラコさん3・蘆と木笛  (青空文庫)
短編。千万長者の相続人になったばかりに(第1話)、大きなニュースとなってしまい、暫く東京に居られなくなったキャラコさん──。蘆(あし)の湖畔で知り合った盲目の青年・佐伯氏(戦争で失明した傷痍軍人)に同情し、親切にしてあげるキャラコさんだが…。「結構よ。放って置いてちょうだい。…あたし、兄を盲目のままにして置きたいんです」、「茜さん、あなた…」。佐伯氏の意外な過去と、心の視力の回復…。ハートフル小説・第3話。

キャラコさん4・女の手  (青空文庫)
短編。憔悴した四人の若い科学者と出会ったキャラコさん。戦場にいる兵士と同じ苦労をするため、廃鉱から金を採掘しているという彼らの愛国心に感激した彼女は、四人の身の回りの世話を買って出るが…。「われわれの労苦がむくいられることなどは、すこしも期待していなかったのに、思ってもいない方法で、感激された。…かりに、神というものがあるならば、神様とは、なかなか油断のならない人格だね」──。剋苦の精神と女手の崇高さ。

キャラコさん5・鴎  (青空文庫)
短編。日本へ遊びに来た外国人・アマンドさんに招待され、快遊船(ヨット)の客となったキャラコさんは、女学校時代の友人・レエヌさん(アマンドの息子の婚約者)と再会するが、彼女はすっかり傲慢でひねくれた人間になっていた…。「鴎(かもめ)に故郷はない。…陸(おか)も海も自分の故郷ではない。…今日もまた空の下の涯(は)てない漂泊…」──。日本人でもフランス人でもないレエヌの“こころの秘密”を描いた「キャラコさん」第5話。

キャラコさん6・ぬすびと  (青空文庫)
短編。昔の恋を清算したいから、恋人だった悦二郎氏の家へ行って、自分の手紙を盗んで来てほしい──すっかり我がままになってしまった友人・緋娑子(ひさこ)さんから、そう頼まれたキャラコさんは、悦二郎氏(叔母・沼間夫人の実家の三男)の家を訪問するが…。「やァ、お見事おみごと。…たいへん、お上手ですわ。…ほんとうに、お利口な懸巣(かけす)さんだこと」──。一羽の小鳥に救われ、良心を取り戻す「キャラコさん」第6話。

キャラコさん7・海の刷画  (青空文庫)
短編。湘南の海で夏を過ごすやんちゃな女学生たち(第2話登場)。毎日決まった時間に沖から泳いで来る外国人・ローリーさんの謎と、毎日決まった場所に停まっているヨットの謎…。この二つの謎の関係は? 「ローリーさんは、なかなか詩人だったんだね。見なおしたよ」──。この小説が書かれた時代を考慮しつつ…。第7話。

キャラコさん8・月光曲  (青空文庫)
短編。キャラコさんの家の隣に引越してきた傍若無人な利江子夫人。その息子の真澄(ボクさん)が、両親の離婚のために大好きな父親と引き離され、母親(利江子夫人)から酷い仕打ちを受けていると知ったキャラコさんは、ボクさんの「星の世界」への憧憬に不安を感じる…。「…おいそがしく…ありませんでしたら、…どうぞ、遊んでいらして、ちょうだい。…でも、…あなた、ボクのような子供と遊ぶの、つまらないかしら」──。醜い大人の争いの犠牲になる健気な少年の悲しみ…。大人くさい少年の言い方が可愛らしく涙を誘う。ハートフル小説・第8話。

キャラコさん9・雁来紅の家  (青空文庫)
短編。「要するに、あなたは、あの絵の中の青年が好きになってしまったのよ」──。小さな骨董店の飾窓(ショウ・ウインドウ)で見かけた一枚の油絵。その絵の中の青年に心を惹かれたキャラコさん。どうしてかしら、この絵の青年に溺れるような不思議な愛情や憧憬を感じるのは? 「あなたは、もしかして、あたくしを知っていらっしゃるのではないでしょうか」──。深い心と無自覚の感謝が引き合わす奇跡を描いた「キャラコさん」第9話。

キャラコさん10・馬と老人  (青空文庫)
短編。苗木を積んだ馬車を引いて毎日、公園にやって来るみすぼらしい老人。貧窮の生活の中でも、ボロ馬を愛情たっぷりに世話している老人の姿に、何とも言えない豊かな気持ちになったキャラコさんは、老人にちかづきになり、馬に長人参(ながにんじん)を食べさせてあげようと思い立つが…。「なんという気品の高い馬さんなんでしょう。ほんとうに、感心しましたわ」──。老人の夢想と、少女の心配りを描いた「キャラコさん」第10話。

キャラコさん11・新しき出発  (青空文庫)
短編。中国へ旅立つことになったキャラコさんを送別するため、これまで彼女と懇意になった人々が麻布の沼間(ぬま)家に勢ぞろい。しかし、送別会が始まってもなかなかやって来ない茜さん(第3話登場)の事が心配のキャラコさんは、会を途中で脱けて、茜さんがいるという郊外の荒屋(あばらや)を訪れるが…。「キャラコさん、…あたし…たったひとりだったの…」──。様々な人々の人生の起伏を描いてきた「キャラコさん」感動の最終話!



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