このページは、2019年3月に保存されたアーカイブです。最新の内容ではない場合がありますのでご注意ください |
かつて多くの旅人が通り過ぎたであろう隧道。
開通して100年近くたった今、人知れずその隧道は息絶えていた。
最早、通り抜ける事は出来なくなった隧道に物好きな男が一人やってきた。
岩富トンネル手前、現道は切り通しの合間をカーブを描いてトンネルへ突っ込む。 その切り通しの横を怪しげな歩道が斜面を登っていく。 この日、お目当ての物件は岩富隧道の隣にある小浦隧道であり、その旧隧道の分岐点を探すため2つのトンネルを行き来していた。 その時、たまたま目に入ったのがこの歩道である。 WEBで岩富隧道を検索して出てくるのはJR内房線(旧北条線)の旧線隧道であり、道路隧道の方の情報は全く無い。 てっきり埋められたか、広げて現トンネルにしたかどっちかかと思っていた。 | |
アスファルトの歩道を上り詰めるとこのような場所に。 恐らく古道と思われる登山道がさらに上へと誘っている。 これはこれで魅惑的な道だが、その横には更に気になる空間が。 | |
車一台が通れそうなスペース。 やっぱこれ旧道だよね? 少し奥のほうに荒れ果てた小屋がある。 よく調べなかったのでちょっと用途はわからない。 更に奥の方は木々が生い茂り、暗くなっていてよくわからない。 が、この雰囲気。 この先にあるものは一つ。 | |
キたァ! 旧隧道だ! しかも、ちょっと崩れてるっぽい。 (興奮と緊張でメチャ、写真ブレとるがなw。) | |
崩れてるどころか閉塞ぎみ。 奥は暗くてよく見えないが完全に天井まで瓦礫が詰まっている。 旧岩富隧道はお亡くなりになっていました。 取りあえず、反対側の様子も見に行こう。 | |
現岩富隧道。 昭和25年製で延長257m、国道127号線の最長トンネルである。 と、いう事は旧隧道もそこそこの長さがあったという事か? | |
岩富トンネル坑口脇に某施設の駐車場へ向かう道がある。 どうやら、これが旧道のようだ。 | |
バスが何台も止められそうな大きな駐車場。 とりあえず斜面に向かって歩く。 | |
斜面に何か気配を感じる・・・。 | |
!? | |
穴だッ! しかもこっちの方は無事なようだ! 柵が張られているが、わずかに潜りこめそうな隙がある。 よし、いくぞ! | |
これが旧岩富隧道内部だ! あちこちで内壁が崩れている。 反対側坑口だけでなく隧道全体が緩やかに崩壊に向かって進んでいる。 あと、意外と奥の方まで光が届いている事に気付いた。 調べた所、どうやら日当たりの良い方向の坑口を大きめに取る事により、 隧道全体を明るくしているらしい。 小浦隧道 の旅館側坑口が巨大なのもその為なのだ。 この技法は千葉の隧道独特の技法だそうだ。 煉瓦随道のような優美さはないが、 旅人に少しでも安心して通れるように配慮した無骨な優しさを持つ隧道と言えよう。 | |
さて、隧道内部に数十m侵入した訳だが、 自然光を多く取り入れてるとは言え、さすがに奥の方暗くなってくる。 崩落も激しくなってくるし、だんだん不安になってくる。 さらに隧道最深部になんか小さな光が見えるんですけど。(画像にカーソルを) 今こうやって冷静に見ると閉塞しているように見えて、実はわずかに隙間があったのでは? と思えるが、この時妙にこの光が怖かった。 もしかして何かの動物の目では?とか思って先に進むのが躊躇われた。 そんな訳で、画像の地点でUターンしてしまいましたw ヘタレですいませんw | |
隧道から外に出ると、駐車場の向こうに海が見えた。 かつての旅人達も薄暗い隧道から出た先、美しい海を見てホッと一息ついたのではないか。 そんなかつての街道のワンシーンを思い浮かべつつこの地を後にした。 |
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