このページは、2019年3月に保存されたアーカイブです。最新の内容ではない場合がありますのでご注意ください |
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くらいあな みんなではいれば こわくない
ついに到達した栗子隧道! そりゃもう叫んださ。 藪の向こうにコイツが見えてきた時は。 人里から遠く離れ、 山の一部へと還りつつある道を進んだ先に突如現れる巨大な穴。 凸凹の路面に振られながらも僕は夢中でコイツの前へ駆け込んでいった 坑口の付近は広場になっており、隧道の全体が見渡せる 比較的状態の良い福島側に比べ こちらはもうボロボロに朽ち果ててしまっている。 しかし、その荒廃ぶりは返って存在感を際出させ まるで遺蹟のような風格すら漂わせている。 | |
うしろを振り返ればやっぱり藪。 何処をどうやってきたのかさっぱり分からん。 しっかし、天気悪いなァ。 良くこんな天候でこんなトコ来たもんだ。 | |
取りあえず隧道内に入って雨をしのぐ。 | |
坑口付近にこんなものが。 校外学習かなんかで、中学生達がここまで来たらしい。 いや、まあ地元の歴史に触れるにはもってこいだし、元々は車道規格の道だから登山道に比べれれば勾配も緩い。 それでも廃道トレックをさせるとは随分マニアックな学校だ。 ・・・オブローダー養成学校? | |
さてさて、今回 自分は初めて訪れた山形側坑口だが、 MR氏にとっては2度目の来訪である。 前回、MR氏が訪れた際に何やら気になる物を見つけたそうな。 コレである 地中に埋もれた謎のレール。 このレールは隧道坑口手前を横断するように存在している 一体何故こんな物がここに存在しているのか? MR氏の今回の探索はこのレールの謎を解き明かす事にあった! | |
そんな訳でレール発掘作業開始! このレールの存在が明らかになった際 『もしかしたら、工事用軌道の跡かも?』 と言う意見が少なからず出たそうだ。 しかし、それならば何故トンネル内に向かう形ではなく坑口を横断するような形になっているのか?と言う疑問もでる。 では工事用軌道跡ではなければ、このレールは何の為に存在していたのか? その答えを探すべく、掘る!掘る!掘る! レールは端の方へ行けば行くほど、坑口の上から落ちてきた土砂に深く埋もれている。 またその土砂の中には、坑門から剥がれてきたコンクリ片も多く混じっており、いかに山形側坑口が風化しているか という事を副産物的に実感させられた。 坑口正面に対し右側へひたすらレールを掘り返す事 数分. 坑口の部分を越え、徐々に法面が近づいてきた。 そろそろ何か変化があってもよさそうなんだが・・・ 気温は恐らく10℃以下なのに汗だくになって発掘作業をしていたMR氏が、突然手を止めた。 「終点だーー!」 | |
レールの終点部分。 片方しか見えていなかったレールだが、 掘り返した結果、ちゃんともう一本のレールが水平に存在している事も確認された。 ただし、右側レールは押し潰されたのか、 元々なのか分からないが横に倒れ込んだような形になっている。 さて、ここまで発掘し終えて現地で感じたのは、 流石に即興で作られた軌道としても少々心もとないレールだという事だ。 どちらかというと柵かなんかを移動させる為のレールのような気がする。 この旧国道13号線は冬季通行止めの道であった。 と、するとこれは冬季通行止め時の封鎖用の柵、 もしくは半年間放置される隧道を保護に雪が入らないようにする為の 遮蔽板みたいなのがあったのでは? このレールは上記の物を開閉させる為のレールではないかと言う意見に落ち着いた。 ソースが無いので確定は出来ないがたぶん、これで合っているのではないだろうか? 坑口手前で一仕事を終え、いい感じで達成感を感じてしまったが まだ、隧道内には数mしか立ち入っていない。 ここまで来たんだから是非とも最深地点まで行きたい! | |
しかし隧道入っていきなり、 単独行動だったらへタレてしまいそうな光景が現れる。 小規模な崩落を起こし瓦礫が路面全体を覆う。 数本のか細い鉄線のみで空中にぶら下がるコンクリ隗がキモい。 水没した福島側ほど『行けない感』は無いが、 ここの崩落も「引き返したい」と思わせるには十分な障害である。 頭上が怖いので徒歩でもヘルメットは外せない。 もちろん、デカイのが一発くればそれまでであるが。 | |
崩れた内壁の向こうから栗子の岩盤が「コンニチハ」。 昭和の大改修時に組み立てられた木の支保工がにょっきり。 そして、ここに来た人全員が言っている事だが 「コンクリ、薄。」 しかもなんつーか、コンクリの質も悪そー。 このコンクリのついては MR氏 の福島側レポをどうぞ | |
真っ暗な坑内をテクテク進む。 一人だったらガクブルな暗黒空間だが、3人ならば笑みが絶えない楽しい探索。 まだ見ぬ最終局面に胸は高まる | |
なつかしのビンコーラ。 果たして何十年前の物であろうか? | |
歩き始めて数分。 再び坑内の状況が悪化してきた。 小規模な崩落がいたる所にあり、崩れていない内壁もにヒビが入り、大量の地下水が漏れ出している。 隧道全体が悲鳴を上げているようだ。 ところで・・・ 左上の方になんかが光ってるんですけど。 MR氏がこんな事を言い出す。 「冬眠前の熊だったりして・・・」 霊なんかよりよっぽど現実的で嫌だぞ。 そんな不安を抱えつつ・・・ | |
閉塞地点到達。 しかし、大ハシャギする三十路前(当時)の男の後ろには怪しく光る目! 「あづさ、うしろ!うしろ!」 | |
正体は単なる反射板ですた。 誰ですか!こんな物置いてった人はw | |
到達記念。 栗子の穴にまた一つの歴史が刻まれる。 これまでにも多くの先人たちがこの閉塞地点を訪れているが、 2007年の初夏には、ただ訪れるだけでは飽きたらなくなった男達が現れた。 その男たちとは 「 ちゃいるどどりーむ 」管理人にて元・自衛官 ちい氏。 廃道サイトの頂点「 山さ行かねが 」の愛されキャラ ミリンダ細田氏 そして・・・ 前述の「山さ行かねが」の管理人にて、日本オブローダー界の最終兵器 ヨッキれん氏 この3名によりなんと『栗子隧道再貫通計画』が実行されたのだ。 この計画は 日本の廃道 第18号にて発表された。 ただしこの号ではまだ序章を発表されたのみであり、 この計画の成否は第19号のレポにて公開される予定で、 我々がここに来た時は再貫通が成功したかどうかは、まだ発表されてはいなかった。 実はここに来た折にはレポが公開されるより先に この前人未到の計画がどうなったかを確認したかったのだ。 | |
画像では明るくしているが、現場はライトを照らしている箇所以外は殆ど真っ暗な坑内。 崩れやすい瓦礫の上を慎重に足元の感触を確かめながら上へと登る。 先に上へと登っていた熊五郎氏が人為的に広げられたと思われる空間を見つける。 そして空間内部へと入り込んだ熊五郎氏が突然大声で叫んだ! 「福島側の光が見えるっ!」 | |
自分もすぐさまそこへ向かった。 その空間へと入り込むと、思わず体を押し出されてしまいそうな強い風が吹き抜けていた。 手前こそ大人一人分ほどの空間であったが、 奥の方は人が入り込むには少々厳しいスペースしかない。 ・・・しかし、その小さな空間の向こうに確かに見えた。 福島の光が! 写真では殆ど見えていないおぼろげな光であるが、確かに福島側坑内の光が僅かに見える! 「すげェ!」 もうこの一言である。 とても完全開通とは言えないが、僅かながらも福島側の空間と繋げる事が出来たのだから。 僕はもうこの偉業に感動せずには入られなかった。 素人の作業でここまでやってしまうとは・・・。 しかし・・・ 本当の衝撃は後日、日本の廃道 第19号を読んだ時に訪れた。 マジか! これは是非とも多くの方に知ってもらいたい! この貫通工事に情熱をかけた男たちの姿を! そして、あの日この場所で起きた(無謀極まりない)奇跡を! 「 日本の廃道 第19号 (定価200円)」 こちらでこの計画の全てを! | |
30分以上閉塞地点を探索し十分堪能した所で、再び外へと戻る事とした。 閉塞地点より坑口を振り返る。 出口まで300m程か? 遠く坑口の光が小さく見える。 | |
帰りもまた暗い坑内に明るい声を響かせながら 出口へ向かって歩いていく。 閉塞地点へ到達し、3人とも非常に満足げな表情だ。 徐々に光が近づいてくると 坑口付近の崩落がシルエットとして浮かび上がってきて 異様さを際立たせていた。 崩落の瓦礫を乗り越えようとした時、MR氏が何かに気付いた。 「何か、音がしない?」 音? 確かに耳を澄ませてみると、外の方から何やら音が聞こえてくる。 その音は徐々に明確になってきて、それは機械音のような物であった。 最初、山仕事のオッサン達が入山してきて チェーンソーを使っているのかと思った。 しかし外は雨。 こんな日に入山して仕事をするだろうか? しかも、例の倒木ゲートから先はとても人によって管理されている山とは思えなった。 音は更にクリアになってきた。 これはチェ−ンソーと言うより・・・ バイクの排気音? ・・・・・・・・。 まさか!? ぱーーんッ! 山間に響くエキゾースト。 蠢く藪の向こうより現れしは鉄の体を持つカモシカ。 栗子隧道前にて とら氏 合流。 |
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