| 「うお!石垣やん!」
いやー、コレを見たときには思わず叫んじゃいましたよ。
今まで岩盤むき出しの法面に、「元・国道のクセにケチってなー」とか思っていたら、コレですよ。
手積みの石垣の登場に、この荒れ果てた道が間違いなく明治期に開削された甲州街道であることを確信させた。 |
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かつての街道を塞ぐ巨大な倒木。
その昔は馬車も通っただろう。
車も通ったであろう。
恐らくバスも通ったであろう。
今は唯、一年間に数えられる程度の人間が通り過ぎるのみ。 |
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石垣で固められた築堤に、暗渠が通される。
暗渠はコンクリ製で、恐らく昭和初期に出来た物ではないか?
大垂水峠でもっとも原形を保っていた道路遺構。
しかし、ホント都心すぐそばで、自分が何気なく通り過ぎていた場所に
こんなアツイ場所があったなんて思いもしなかった。
大垂水峠って言ったら、どちらか言うと走り屋さんがブイブイ言わす事で有名な峠よ。
というか、探索中してる際にも何台ものスポーツカーやバイクが
イイ音を響かせて通り過ぎていくのが聞こえるんだな。
そんな場所から大して離れていないこの場所には
過去の遺産が誰にも評価されず、ひっそりと存在しているのだ。 |
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緩やかに、しかし大規模に崩壊した山肌。
ココはすでに道としての原形を留めていない。 |
| その先も完膚なきまでに崩壊。
もはや完全に山の一部と化している。
旧道区間で最も崩壊している箇所だった。
少しすすむ路盤が復活するが・・・。 |
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今度は崩壊木橋。
グチャグチャです。
ここはもう山仕事の人々も木橋を復活させる気は無いようだ。
比較的沢まで降りやすいとこまで行き、その後、木橋の残骸を足場に再び路面へ登る。
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崩壊木橋のよりちょっと進んだ所。
鬱蒼とした木々のトンネルの下、山側の部分にシダ植物に隠れて何かが見える。 |
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コンクリの側壁!
古びたコンクリにびっしりと苔が蒸している。
一瞬コレを見て古橋かと思ったのだが・・・。 |
| そうではなく、この側壁が築堤を支えているのだ。
そして、沢は暗渠によって通されている。
橋では無かったが、またしても現れた道路遺構に非常に興奮した。
正直、ここまで遺構が残っているとは思わなかった。 |
| 絶え間なく聞こえてくる排気音。
それが一瞬途切れ、静寂がこの世界を支配した。
人一人歩くにはあまりに広すぎる道幅が心地よい孤独を感じさせる。
再び、大型車が走り抜ける響き。
ほんの少しの距離で隔絶された別世界。
今、この美しい空間を己一人占有している喜び。
自分は距離的にだけでなく、精神的に『遠くへ行ける世界』を求めて彷徨っているのだと思う。 |
| またもや沢渡り。
ここには橋台が残されていた。
現役時にはどのような橋が架かっていたのだろう? |
| ここが恐らく一番の危険箇所。
一人分の路面が辛うじて残っているが、かなりの水分を含んでいて今すぐにでも崩れそう。
と言うか、端の方は宙ぶらりん状態になっていて体重かけたら間違いなく崩れる。
山側部分、と言うよりも斜面部分を歩いて速攻で通り過ぎた。 |
| ここは木々が途切れ日なたになっている為に、かなり植生が激しい。
しかしここも人間一人通れるぐらいの路面は確保されていた。 |
| 突然現れた、『遺構』以外の人工物。
なんだろう、コレ?
山仕事の人の作業場だろうか。 |
| すぐそばにこのようなモノが。
井戸の跡か?
それとも、かまど?
少なくとも、つい最近までここに人の営みがあった事は間違いない。
これらを眺めつつ先に進むと、大垂水峠『最大』の遺構が登場する。 |
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切り通し。
かつての路面には一本の若い杉がすくすくと成長していた。
自分はこの前で5分程ボーっと立っていた。
何かここには引き付けるモノがあった。
いや、正直ここが現役の道だったら、何とも思わず通り過ぎていただろう。
ここが今、人々から忘れ去らせている場所だからこそ『意味』のある『映像』に写ったに違いない。
100年近く前、多くの人々手によって切り崩された岩盤。
お金もかかったろう、めんどくさい手続きとかもしただろう。
だが、今は誰も見向きもしない。
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切り通しを過ぎた後、もう一度振り返る。
うん、ここは良い。 |
| さて、またも僅かなスペースを残して崩落してしまった箇所が現れた。
今すぐ崩れそうって訳でもないが、ここも微妙に水を含んでいてちょっとキケン。
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| 『崩落カーブ』の先に路面から水が流れ、滝となっている場所が見えた。 |
| ゆうゆう路面の上を水が流れ、谷へと落ち込んでいる。 |
| 大量の水は底溝から流れてきている。
この底溝の先端には土砂と落葉が溜まっていて、そこから路面へと流れを変えている。
かつてはこの土砂の下に水道管でもあって、そこから谷へと流していたのであろうか?
とにかく結構な水量があり、数年後には完全に路面を崩壊させてしまいそうだ。 |
| 先に進むと今度はこのようなモノが。
なにやら小道のように見えるが・・・ |
| その横はちょっとした窪地になっていて、窪地の回りは石垣に囲まれているのだ。
池の跡? |
| 池の跡?を過ぎると前方の視界が開けてきた。
木々の隙間から幾つかの人工物が見える。
車の走行音もクリアーになってきた。
ようやくたどり着いたか・・・。
ここまで約1時間近く。 |
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現道合流地点を確認。
大垂水峠・旧道は間違いなく存在していた。
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現道からの分岐地点。
画像にマウスを置いて欲しい
ここから峠の食堂の資材搬入口(柵がある所)みたいな所が旧道である。
ちなみにこの画像を撮っている場所はもう東京都である。
一年越しの『大垂水峠・旧道の謎』は解明された。
都会の片隅の忘れ去られた道。
二度と車両が通る事が無いであろうかつての幹線道路をあとにした。
あ、飲み会あったの忘れてた。
・・・約束に時間に間に合わねェw
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