このページは、2019年3月に保存されたアーカイブです。最新の内容ではない場合がありますのでご注意ください

特急「海幸・山幸」 出発進行!!
宮崎観光の代表格といえば、フェニックスハネムーンの時代から変わらず日南海岸ではないか・・・と多くの人が感じているはずである。

宮崎市中心部から国道220号線を南下すると、まず出迎えてくれるのが中央分離帯に植えられた背の高いワシントニアパームであり、青島、堀切峠、鬼の洗濯岩、鵜戸神宮・・・と風光明媚な観光地が続く。そして終点が都井岬にそびえる白い灯台。展望台から東を望めば海と空だけ・・・という、何と申し上げるか「遠くまで来たなぁ・・。」と感慨にふけってしまう風景が広がっている。また、ここには日本在来馬として学術的にも貴重な御崎馬もいる。最近は外見上の特徴が御崎馬らしくない(明治期に外来種の血を入れたが為に、本来の毛色とは異なった形質を持った馬が生まれることがある)個体を“活用馬”として、アニマルセラピーに使用する試みもなされているようである。

東国原知事就任後の盛り上がりがあり、ここの所は多くの人がこの海沿いの道を行き来しているが、サボテンハーブ園の閉園や沿線のホテルの廃業といった様な暗いニュースが過去あった。国道220号線のバイパス工事の進捗や、東九州自動車道の開通によって今後、大きく人の流れが変わることも予想される。

それに加えて、2011年3月に迫った九州新幹線の博多開業がある。新幹線の沿線では博多駅や鹿児島中央駅の再開発の様に、開業に向けての準備が着々と進んでいる。新幹線の開業は宮崎にも影響が及ぶ事項であるために、観光に対する議論というのは始まっているのかも知れないが、私が知る限り、一般の人間には伝わってこなかったりする。知事人気への依存から脱却できないのか、単純に意識が及んでいないのか・・・。杞憂であれば良いのだが、ソフト、ハードの両面から観光客を呼び込むための議論をやっていなければならない。

5年前の新八代〜鹿児島中央間の部分開業の際もそうであったが、JR九州は新幹線を核とした観光ルートの開拓に熱心であった。つまりは木造駅舎という産業遺産の多数残る肥薩線へのテコ入れである。彼の路線では矢岳峠越えに“いさぶそう・しんぺい”、吉松以南に特急“はやとの風”を投入した。その運転開始当日の吉松駅の様子を 以前 レポートしたことがあったが、マイカーやバスによる観光との競合もあるから運転開始当初の様な賑わいは薄れたかと思う。だが、地元に特急列車が走るという事は地元にとっては心強い。これまでの単なる古い木造駅が観光地に変わる事もあり得るのだ。地元の人々も案内などと力添えして、それが観光客に受けていたりもする。

さて、ちょっと前置きが長くなりすぎたが、JR九州はこの新幹線の全通を見越しての宮崎県へのテコ入れとして、単なる生活路線であった日南線に観光特急を走らせることとした。車両は平成17年の台風14号の被災により廃線となった高千穂鉄道で“トロッコ神楽号”として観光客に好評であったTR-401、402という2輌のディーゼルカーをリニューアルすることとし、内装、外装共に宮崎県特産の飫肥杉をふんだんに使用したデザインとなっている。車両デザインを担当したのは当然ながらドーンデザイン研究所だ。

運転開始1週間前に宮崎県民にお披露目がなされたわけだが、発着駅である宮崎駅をはじめ、車両と縁の深い延岡駅でも公開がなされている。そのようなJR九州の粋な計らいについては 先日 、このサイトで紹介させてもらった。

この2輌のディーゼルカーは「海幸・山幸」と名付けられ、土日を中心に日南線を南郷駅まで下ることとなる。運転初日となる平成21年10月10日の午前10時30分からは宮崎、JR、国が出席しての発車式が開催される事となっていた。

次項からは、その様子をご覧いただこうと思う。
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(09.10.12)

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