このページは、2019年3月に保存されたアーカイブです。最新の内容ではない場合がありますのでご注意ください

湯布院行 【2005年・春】
先日、亀の井別荘の『鍵屋』で買った 湯飲み についてのコンテンツをupした。その翌日。仕事から帰ってきて麦茶を飲もうと食器棚からコップを取り出そうとしたところ、棚の上にこの湯飲みがあった。手にしたところ妙に引っかかるような感触があって、よく見ればひびが入っていた。妻に聞いたのだが、布団を干すときに誤って引っかけてしまったとのこと。形ある物はいつかは壊れる物だから仕方がないのだが、やっぱりこの湯飲みだけは手元に置いておきたい。・・・というわけで、急遽、この湯飲みを購入するためだけに湯布院行きを決定したのであった。

3月19日(土)。夜明け前から国道10号線を北上する。今回も当然ながら乳飲み子をつれての旅行となるから、出来ることなら宿付きが良い。3月の3連休であるから「まず無理だろう。」とネット検索をかけたのであるが、なんとビジネスホテルの予約が取れてしまった。 以前 宿泊したことのあるビジネスホテル『ビッグベアー』。ツインで1泊お一人6500円。飯は付かないがお得ではある。

順調に飛ばし、湯布院へは午前10時過ぎに到着する。ここのところ肉体勝負な仕事が続いていたこともあり、道中、すっごく眠たかった。よって所々で休憩を入れながら走ったので、通常より時間がかかっています。

カメラを持ちながらに加えて長男を乗せたベビーカーでの散策ということになるから、当然ながら雨など降らない方がよい。つい先日、富山より湯布院入りされた Youさん はトラブルに見舞われたというから、湯布院行の数日前より移動性高気圧とのにらめっこが続いた。結果、晴れたのでしてやったりである。
さすがに4時半出発では腹も減るので、当然のように腹ごしらえである。

昼食も近かったので重いものは食べるつもりはなかったのだが、由布見通りから湯の坪へと入るところ。“ 山荘 無量塔 ”がプロデュースするケーキショップ“
B-speak”の前には『P ROLL』を買おうとする行列が出来ていた。
今更説明するのもアレであるが、『P ROLL』とは一体どういう物か。ロールケーキ以外の何物でもないのであるが、今や湯布院土産の定番となっている。一日に数度、この由布見通りの店舗で焼き上げられるのだが、どの回も整理券を求めて長い行列が出来る。過去、何度か買い求めた事があったが、ふんわりとした生地にたっぷりのクリームが非常にイケる。

これまではこのロールケーキを食すには他の観光客との真剣勝負であったのだが、昨年の5月より 由布院美術館 の敷地内に喫茶“B-speak caffe”がオープン。手軽に食べることが出来るようになった。とはいってもこちらも人気のようで、多いときには店の前に行列が出来る。
これがその『P ROLL』である。このチョコとプレーンと2種があるのだが、“国産の原料、有精卵と厳選した原料を使用”するという文句はさっ引いても正直美味い!!一切れ400円足らずの幸福だが、陽光で明るい由布院美術館の中庭を眺めながらのお茶タイムというのがのんびりとして贅沢な時間を楽しめるのである。モシャモシャ食べて、じっくりくつろいで出てきましたよ。ごちそうさまでした。
軽い腹ごしらえも済んだし、早速散策を始めようか。

車は本日宿泊予定のホテルに預けてきた。こういう風な融通が当たり前のように利くのでありがたいが、さてさて・・・。何処に行こうか。

昼食は何処かで取ればよいとして、あては無いけれども、てくてくと歩きましょうか。
毎度書いているような気もするが、今や湯布院観光は“滞在型”の温泉保養地から“散策型”の何の個性も感じられない観光地へと変わってしまったと行っても良い。九州でも黒川温泉や日田の豆田地区がこの手の観光地へと変貌しつつあるが、九州でも最も早く軽井沢のような妙な方向へ行ってしまった“ハシリ”がこの湯布院だったりする。とは言っても、“亀の井別荘”や“ 由布院 玉の湯 ”、さきの“ 山荘 無量塔 ”に代表されるような魅力的な宿が点在しているし、未だ観光の手が入っていない古い山村の風景を残す地区も当然のように存在している(これは何処の観光地だって一緒だった・・・)。作品を撮るために歩くのはこのような地区なのだが、連れがいるのではなかなかこういうディープな所に入り込むわけにも行かない。連休初日ということもあってそう観光客も多くないから、ここは思いっきり散策を楽しむことにした。
ん〜、そうはといっても結局の所土産物向けの菓子の試食を楽しむだけに終わってしまうのでしょうがないのだが、今回思ったのはベビーカーが邪魔だという点。既に8kgにも体重が乗ろうとする長男を抱えるのはつらい・・・という判断だったが、行動範囲を狭める結果となってしまった。

次からは要らないな。少々重くても我慢をしよう。
いくつかの店を巡るが、(食事処はまだまだだが)土産物屋に限って言えば湯の坪に限ってはもう大抵見尽くしたな・・・という感じ。特段目新しい物はない。鮮魚店や普通の商店には季節季節の物が並んでいて結構楽しめるが、その他は妙に田舎色を出した店とか、1000円均一の土産物屋なので面白くないのだ。

そのような状況の中にあってこの偏屈者の眼を楽しませてくれるのが亀の井別荘の売店“鍵屋”なのである。季節季節で扱う商品に違いが出る事もあるのだが、実際に旅館で使用されている品が商品として並べられているのが嬉しい。私などは玉の湯の“由布院市”で販売されている土鍋(油炒めオッケーな品。何と2万円!!)を買ってやろうと考えているのだが、その中でお気に入りの品があった。それが件の楕円湯飲みなのだ。
妻は木製のスプーンなどを見ているが、私はこのカップに釘付けになったのですね。大分の粕取り焼酎や宮崎の焼酎を散々楽しんできた盃であるから、割れて失った今となってはどうしても再度手に入れたかった。

妻に「欲しい欲しいどうしても欲しい・・・。」というサインを出し続け、粘って10分。やっと購入許可が出る。ぐへへ・・・。

このように3色の釉薬が塗られているのだが、私は前回に引き続いて“黄色”を選んだ。この方が酒の柔らかみを感じることが出来ると思ったからである。事実、この項を打っている最中も粕取り“園の蝶”をトクトクと注ぎ、その甘みを楽しんでいるのだ。

そうやって夫婦間の日常を演じている最中に腹の虫が鳴る。ちょうど12時。正確な腹時計というのはちょこっと恥ずかしいが、昼食を考えなければならない。相談の上、手打ちの蕎麦というのも考えたのだが、結局は・・・、
金鱗湖に近い“夢鹿”においてランチを摂ることにした。

1500円+税という値段なのだが、トマトと山芋のソースに彩られた様子が美しい。味も良く、店内の雰囲気やサービスも嫌みが感じられないことから結構良い塩梅だ。

このように古くから湯布院盆地で商いを続けていらっしゃるお店では結構当たりの場合が多い。
前菜としてサーモンのカルパッチョ、ポタージュスープ、メインのポークソテーなど食べ飽きない味付けが印象的であった。ソテーの山芋ソースなどはきめが細かく、舌の上に乗せるとじんわりと溶けていく・・・。

量は少な目であったが、存分に楽しめた小1時間であった。

そのままホテルに向かい、チェックインを済ませる。宮崎を出発する時間が早かったこともあって、家族全員、体力の限界に達していたのだろうか。全員が眠り入ってしまった。

午後6時頃、空腹のために目が覚めてしまったが、夕食はあっさりほか弁に決まる。この時、サイドメニューとして駅前の商店街にある“
河原精肉店”のメンチカツを食す。この精肉店。鶏の唐揚げもにんにくが利いて絶品なのであるが、このメンチカツも最高であった。噛みしめるたびに甘い肉汁がしみ出る・・・。私は地元清酒の“西の関”のカップ酒を飲みながらこのカツにかぶりついたのであるが、あぁ・・・。何か甘ったるい酒だが、いい感じに酔ってしまったぞ・・・。

結局、このまま1日目はふけていったのであった。
次へ行く
(05.03.28)

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