このページは、2019年3月に保存されたアーカイブです。最新の内容ではない場合がありますのでご注意ください

湯布院行 「2010年 晩秋」
今年は既に に由布院盆地を訪問していたこともあり、正直、11月の訪問はどうしようか・・・と迷っていたのだ。

というのも、(金銭的な理由は言うまでもないのだが)11月20日から23日にかけて、寝台客車を使用した最後のリバイバル列車が九州島内を走ることとなっていたし、大学の時に所属していた写真部のOB展の開催期間中であることもあった。ともかく、“やるべき事”を多く抱えていたので、迷っていたのである。

だが、その一方でネット上で時折見かける盆地を中心とした大分の紅葉情報が気になっていた。初秋の残暑から一気に気温が下がった事もあって、鮮やかな紅葉が期待でき、台風の襲来もなかったことから、木が傷んでいないだろう・・・と推測できた。

こうなってくると気もそぞろ。空室情報から湯の坪街道のど真ん中にある宿の情報を引き出し、11月6日〜7日の日程で宿泊を確保したのだった。


当日。

当然というか、週末ともなれば線炉端で引退間近の 485系 を追いかける私である。今回の湯布院行も所々立ち止まっての撮影を敢行している。運行時間をキチンと把握していないためどちらかというと「(´・ω・`)・・・」な感じではあるのだったが、まぁ、近日中にリベンジをしようか。

行程の関係から佐伯市より高速を使用しての盆地入り。沿線の落葉樹は軒並み、朱や黄色に装いを変えている。途中高速道路が抜ける塚原高原の風景も、夏に訪問した際に目にしたソレとは大きく印象を変えていた。大分県内の東九州道の区間では速無料化実験が実施されているが、その恩恵を思わず受けてしまった(爆)。
往路。休憩を入れながら何かしらを食べていたこともあり、あまり空腹というわけではなかった。でも、せっかく昼時であるし、盆地まで来たのだから・・・と気になっていた蕎麦屋さんへと向かう。

場所は金鱗湖畔の天祖神社から佛山寺へと向かう道すがら。私が湯布院通いを始めたばかりの頃は竹林だったが、いつの間にかお洒落な蕎麦屋になった。
佛山寺の付近のカーブを抜けた瞬間、馬と目が合った。この界隈は観光客にも人気の辻馬車の周遊コースとなっているためだ。この馬車も湯布院観光のシンボルとして長い歴史がある。車を脇に寄せ、馬車をやり過ごしてから駐車場へ車を入れた。

さて、湯布院盆地にある蕎麦屋では多くの店が蕎麦を打つところを見ることができる造りになっている。この“
蕎麦処 竹苑”も入り口のすぐ脇に蕎麦打ちの台が設けられてあって、タイミングが合えば、“職人気質”という言葉がそのまま当てはまる様な大将の蕎麦打ちを見ることができるのだろう。

既に満席に近い座敷に上がり、注文した蕎麦を待つ。
運ばれてきた“ざる蕎麦”。特徴ある飛びカンナの模様から小鹿田焼だと思うのだが、その皿に載せられてきた蕎麦はコシも強く、非常に主張のある味わいであった。

一緒に地鶏の焼き物も頼んだのだが、これもしっかりとした味わいで噛みしめるのが楽しい。
食べ終わる頃を見計らって女将さんがそば湯を出してくれる。

それをゆるり・・・と飲んでいたら、いつの間にか客は私たち家族だけとなっていた。
宿のチェックインの時間まではもう少しある。

駐車場に車を駐めさせてもらって、しばし湯の坪界隈を散策することとした。

あまり気になるお店というのは少ないのだが、地酒を扱う“はかり屋”さんなど昔からあるお店を覗いて回る。

定番商品が変わらずある中で、「ん?これは!?」と驚かせるように流行のものを並べている。久しぶりに盆地を訪れる身としては、そういうちょっとした変化を見つけるのが楽しい。

途中、家族が後ろから付いてきているのを忘れて手に持ったカメラのシャッターを押す。気がつけば、はるか前方で待っていたりもして、父ちゃんは罰が悪そうに追いかけるのだ。
界隈を歩きながら気がついたのだが、今回は例年以上にアジア圏からの観光客が多い様に思えた。考えてみれば明白であって、不況を中々抜け出せないで居る我が国、そしてその対面にある中国や韓国の様な好況に沸く国の様相を表していたのだと思う。

いつもならば関西あたりからのツアー客の騒がしさに辟易するのであるが、なんだかそれが懐かしくも思える光景であった。
“猫屋敷”の前に置かれている猫の金属細工が担ぐ盆の中もこんな感じ。

1円硬貨や5円硬貨が存在感もなく傾きかけた晩秋の日光に輝いていたのであった。
ホッとする佇まいを求めて“ 玉の湯 ”のフリースペースに入った。

するとだ。

ため息が出てしまうようなほどの見事な紅葉が出迎えてくれた。それがこのコンテンツのtop画像。この鮮やかな色彩を見に来るために毎年東九州を北上するのだ。そう思わせる瞬間だった。

足許をチョロチョロしている長女の存在を忘れてしばし眺め、デジカメの映像素子に記録していた。気がつけば、長女は“葡萄庵”の玄関先に置かれてあった木馬にまたがってあそんでいるのだった。
玉の湯のアンテナショップ“由布院市”の入り口には、これまたヴィヴィッドな熟れたリンゴが積み上げられている。

そうやって目に訴えかけてくる秋の名宿の風景をしばし楽しんだのだった。
大分川に沿って金鱗湖を目指す。

亀の井別荘 のフリースペースを抜けるのはいつものことなのだが、ここの紅葉の見頃はもう1週間ほど先だろうか・・・。

足を止めて庭のモミジを人々が見上げていくのであるが、老若男女、国籍問わずの感動なのだろう。皆があげる感嘆の声は同じだった。
前回 訪問して数ヶ月しか経っていないはずだが、小さな部分で変化が加えられていた。

右の画像がそれであり、アンテナショップ“鍵屋”入り口の戸口に描かれた『由布院温泉 亀の井別荘図』である。金地の扇には旅館の配置図が描かれており、その上の円には由布岳の遠望。何というか、いいぢゃないか。
その後、鍵屋で宿特製の柚子胡椒、 ことことや のキーウィジャムを買い求める。

近隣湖畔へと出たのだが、そこは海外からのツアー客に溢れていて、彼ら彼女らの記念撮影に写り込まないように歩くのに難儀するほどであった。

付近の焼酎屋で大分県内の粕取り焼酎を試飲させてもらいつつ、宿へと向かう。上にも書いたが、宿は湯の坪街道のど真ん中。金鱗湖からほとんど離れていない好立地だ。狭い路地から九州横断道路へと出る車の列の脇を歩くと、ちょっとの時間で宿に到着した。
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(10.12.12)

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