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落書き帳
12年4月15日
非冷房車
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この時期、列車の窓を全開にして、車窓の景色を楽しむのが好きだ。
と、言っても、最近の電車は、窓が開かない。開けられる車輌でも、
空調されているので、開けると、他のお客に、迷惑をかける場合がある。
走行音がうるさいし、強風で、女性やユーポスおじさんの髪が乱れたり・・
そんなわけで、今となっては、このような機会に恵まれない。
小さい頃、非冷房車が、冷房車に替わる、過渡期だった。
地元、国鉄「阪和線」の車輌は、半分くらいが、非冷房車だったし、
大阪の地下鉄御堂筋線も、非冷房の車輌が、多くあった。
地下鉄の非冷房車は、夏はうるさく、油のような、特有の匂いがした。
冷房車には「冷房車」と、でかでかと、窓にシールが貼ってあった。
真夏など、窓を全開にした、非冷房車が、ホームに入線すると、
大人たちが舌打ちをしていたが、わたしは、JNR印の扇風機だけの、
非冷房車のほうが好きだった。窓を、気兼ねなく、全開に出来るからだ。
父は、国鉄の通勤定期を持っていたので、よく、土曜日の閑散時間帯に、
幼児の私を乗せ、環状線を1周したり、楽しませてくれた。
進行方向右側の席は、突然、対向車両が通過し、びっくりするので、
進行方向左側を陣取り、靴を脱いで、ロングシートにひざまずき、
窓を開ける。そして、乾いた走行音と、爽やかな風を楽しむのだった。
大げさではなく、タカラブネ(ケーキ屋)の前では、甘い香りが、
パチンコ屋の前を通過すると、タバコの匂いがした。
通過する、町の生活音、香りまで楽しめた。
昨年の夏。JR舞鶴線(東舞鶴〜綾部)普通列車に、乗車した時。
「おや?」車内の様子が、おかしい・・2両編成の全部の窓が全開だった。
「本日、冷房故障の為、大変、ご迷惑をお掛けしております・・」
不幸にも、冷房が故障した車両!!
「くそ〜〜っ。このクソ暑い時に!!」座席に座ると、汗が吹き出た。
しかし、走り出すと、とても、なつかしいような、夏草の匂い・・・
カタン、コトンっと、レールのつなぎ目の音。そして、ディーゼルの音。
ドップラー効果のかかった、踏切の警報器の音・・・
トンネルに入ると、車内が一瞬で、涼しくなった。天然クーラーだ。
キオスクで買った、缶ビールを「プシュ〜」っと開け、一気に飲み干す。
「く〜〜っ、うまい!!」
(綾部から乗り継ぐ、京都行きの特急で、飲むことにしていたのだが・・)
わたしが、自転車が好きな理由の一つは、風を楽しめるという事。
自転車は、今後、どんなに進化しても、「非冷房車」のままだ。
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