このページは、2019年3月に保存されたアーカイブです。最新の内容ではない場合がありますのでご注意ください

戸隠バードライン 廃道区間①


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飯綱、戸隠と言えば長野市民にとっては、最も身近な高原である。
飯綱山、戸隠山、高妻山に囲まれた高地に大小多くの湖沼が点在しており、
一年を通じて多くの観光客や市民が訪れる。

当サイトでは、そんな飯綱・戸隠観光の足を担う観光道路を紹介してきた。
オリンピックの開催を期に産み出された、2つのループと長大トンネルを擁する3代目 浅川ループライン
急遽観光道路としての命を受けた、凶悪なヘアピン区間で悪名高い2代目 七曲

そして今回紹介するのは土砂災害に襲われ、市道に観光道路の座を譲った1代目戸隠バードラインである。
戸隠バードラインは飯綱・戸隠への観光道路として、1964年に供用が開始された。
開通当初は未舗装であったが、翌年には全線舗装が完了している。
バードライン開通によって、2時間かかっていた長野市〜戸隠間が40分に短縮され、観光客も増大した。

このように飯綱・戸隠観光を大きく促進させたバードラインであるが、1985年に悲劇的な最期を迎える。
集中豪雨により、地附山の東側斜面が崩れ、バードラインの一部区間が土砂諸共流失したのだ。
失われた区間は蘇ることなく、流失区間を含む上松〜大峰山間が不通となった。
そしてその区間はそのまま廃道となっていった。

私が生まれる3ヶ月前に死んだ道。
不通から21年後の盛夏、訪れた。




① 速すぎる変貌






※地図上①の地点

戸隠バードライン不通区間の少し下にある。
この場所は今でも現役の区間である。
ここから土砂崩れ跡の方(写真奥)へ行ってみよう。

ちなみに右の建物は今でこそ廃墟であるが、以前はレストランで、幼少期は私もよく連れていってもらったものだ。







この辺りは散歩で来た事があったのでよく憶えている。
カーブの先に金網で囲われた料金所跡があり、道はそれを掠めて団地へと下っていたはずだ。






あれ?こんな感じだったっけ?
金網のゲートは開いており、料金所は跡も形もない。
それに道は団地へ下るどころか登っている。
舗装がやたら真新しいような気がするが…。





あれれれれ?こんな道知らないぞ?
真新しい道路がグングンと高度を上げていく。
確かこの辺りの斜面は災害後、完全にコンクリートによって固められていたような…。

真新しい見知らぬ道。
まさか戸隠バードライン不通区間が復活したのか!?





※地図上の②の地点

ありゃ、何だこの公園は。

どうやらこの公園は2004年にオープンした地附山公園というらしい。
以前まではまるで癒えない傷のように、痛々しいコンクリートを晒していた場所であるため、このように整備したことは良いことだと思う。
かと言って、この地を襲った土砂災害が忘れ去られることがあってはならないが。







登って来た道を振り返った写真であるが、18%という凄まじい急坂である。
この坂のせいなのかどうかは分からないが、この道と公園は冬は閉鎖される。





まるで長野市街地へ落ちていくような道である。
素晴らしい風景であるが、景色に気をとられると、本当に落ちそうである。

かつて、バードラインには長野盆地を見渡せる展望台があったらしいが、このような景色を眺めることが出来たのであろうか。
今となっては知る由もないが、本当に良い景色である。

さて、逆側の不通区間へ向かってみよう。




②大峰側ゲートへ






※地図上③の地点

自動車を走らせ、市道を登っていく。
春に自転車をひいて訪れた七曲を初めて自らの運転で登る。
予想通り運転に神経を使う道である。





※地図上④の地点

七曲を抜けた市道はT字路にぶつかる。
かつてのバードラインは右から左へ伸びていた。
左は今でも飯綱、戸隠と書かれているが、右が導くのは大峰城のみである。
「大峰城」の三文字の下の「より先は通行止」の表記が虚しい。
当然私は右折する。







T字路からしばらくの区間は、大峰城址や長野市の斎場があるため、現役である。
大峰城は何故か蝶の博物館となっている。

中央線は消え、交通量はほとんどないものの、ここは生きた道である。





※地図上⑤の地点

やがて行く先に頑丈そうなゲートが現れる。
大峰城や斎場は右折であり、直進のバードラインはここから正真正銘の廃道区間である。

自動車を道路脇の空き地に駐車し、夏の陽射しの下へ飛び出す。
さて、廃道探索の始まりである。
私は日光を浴び、熱くなったゲートに手をかけた。



次回!!遂に不通区間へ!!
20年熟成された廃道の味は如何なるものか!?
次回へ

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