このページは、2019年3月に保存されたアーカイブです。最新の内容ではない場合がありますのでご注意ください |
謎の勧誘の翌日の夜。 私を含む3人は鞄を下げて、札幌駅へと向かっていた。 同行者は、まず勧誘の主、久々の登場となるちるどれん。 もう一人は、これまた当サイトではご無沙汰の拓北である。 この3人で行った旅と言えば、 Sound Schedule Project に 1126ツアー 。 今回もまた、珍紀行となることは容易に想像できよう。 Sきっぷという、特急の自由席が対象の、往復割引切符を購入して、ホームへ向かう。 乗るべき列車は8番線からの発車。 発車時刻は19時半であるが、まだ19時前である。 入線まではまだ時間があったが、混雑することが予想されたため、出来るだけ早く着きたかったのだ。 階段を上がると、隣のホームに蒸気機関車が停車していた。 けたたましい汽笛を鳴らし、周囲の注目を浴びていた。 ちょっと乗ってみたかったが、残念ながら今回乗るにはこれではない。 これから8番線に入ってくる、列車を目当てに待っている人は既にたくさんいた。 このホームで、何やらセレモニーが行われるらしい。 マスコミもたくさん来ている。 そう。 今ここで、別れのセレモニーが行われようとしていたのである。 そう、10月1日のダイヤ改正によってライラックとスーパーホワイトアローが時刻表から姿を消すのである。 特にライラックは、使用されていた車両、781系が本日をもって引退するため、別れを惜しむファンが大勢集まっていた。 勘の鋭い読者の方は、もうお気付きだと思うが、我々の目的は最終のライラックに乗って旭川へ向かうことである。 2007年9月30日19時30分発、ライラック21号。 この便をもって、L特急ライラックは27年の歴史に幕を下ろすのである。 私自身は一回しか乗ったことがないが(しかも砂川〜滝川の一区間のみ)、昔から親しんできた方にとっては、この上なく名残惜しいことだろう。 我々は列に並んで、最終列車の入線を待った。 千歳行きの普通列車がホームから去って、8番線がライラックを受け入れる準備は整った。 我々はホームに立ったままライラックの到着を待つ。 19時22分。 ついに最終のライラックが入線してきた。 私の興味の対象は、むしろ駅の方で、普段は車両には見向きもしないのだが、さすがに感慨深くなり、夢中でシャッターを切った。 無数のフラッシュの中を、ライラックが最後の仕事をするために、今入線した。 プレートは何故か「L特急すずらん」のものになっている。 急遽車両が足りなくなってしまい、同じ型を使用している「すずらん」の車両をまわしたという。 まぁ、同じ車両なので問題ないのだが、最後の晴れ姿がこれでは…とちょっと哀しくなった。 普段では考えられないような混雑ぶりのライラック車内。 我々は早めに並んでいたため、なんとか座ることができた。 私は3時間くらい前から並ばないと座れないと、ある程度覚悟していたため、ホッと一安心。 まったりしながら、しばし発車の時を待つ。 |
19時30分。 発車と同時に発泡酒で乾杯。 喉ごしを楽しみながら、窓の外を眺める。 見慣れた札幌の街の灯が後方へ流れていく。 この文を書いている今も、ライラックは札幌の車庫から札幌の灯を見ているんだろうけど、我々がライラックの窓から、景色を眺めるのはこれが最後なんだろうなぁ。 ライラックが札幌市を抜け出した頃、車内で記念乗車証が配られ始めた。 表にはライラックの簡単な歴史が書かれており、裏にはライラックの以前の車両の写真が載っている。 ファンには嬉しい一品だ。 ライラックは車体を軋ませながら、夜の石狩平野を駆け抜けてゆく。 何やかんや話していると、いつのまにか美唄に到着していた。 美唄は旭川と札幌のちょうど中間辺り。 最終ライラックの旅も、あと残り半分だ。 変わった看板を発見し、咄嗟にカメラを向けるちるどれん。 残念ながら、被写体をカメラで捉えることはできなかったという。 …とまぁ、こんな風にまったりと過ごしている間も、ライラックは石狩平野をひたすら北上していた。 |
21時。 最終のライラックは静かに旭川駅の2番線に滑り込んだ。 キキィと車輪を軋ませながら停止すると、乗客たちは次々と立ち上がり、デッキへと向かい始める。 出てゆく人たちを横目に、我々は座ったまま、じっと余韻を味わっていた。 最後の客たちが吐き出されてゆく。 客室が空になったのを見計らって、我々は荷物を持って立ち上がる。 そして車内を見回してみる。 人のいなくなった車内。 随分と広く、ガランとしてしまった気がする。 最後に一度だけシャッターを切ると、私も踵を返し、客室を後にした。 さようなら ライラック—。 先頭付近には人だかりができていた。 行ってみると、なんと横断幕だ。 ありがとう 781系特急ライラック どうやらこれから最後の撮影会が行われるらしい。 鉄道には興味がないのに、背伸びをしてライラックの正面を撮ろうと奮闘する拓北。 しかも携帯電話のカメラ。 人だかりで私は上手く写真が取れなかったので、拓北の努力の結晶を載せておこうと思う。 うむ…ケータイカメラでよく頑張った。 先頭は人が多過ぎるので、我々は最後尾に。 うーむ、やはり通は後ろに限る!! 一仕事終えた男の背中!! ライラック、良いよ、ライラック。 こちらはお姉さん+横断幕ではなく、車掌さんとのツーショット。 うーむ、渋い!! |
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