このページは、2019年3月に保存されたアーカイブです。最新の内容ではない場合がありますのでご注意ください
|
2008年2月。
西都市に新しい焼酎蔵元が誕生した。
拙サイトにおいて、これまで同市都於郡地区に蔵を構えていた“岩乃鶴酒造”の
動向
をお伝えした事があった。
以前、ブログ「
Jar Ja,Songeja,Songejaga!
」を管理されているsyotikureさんより、同蔵の主力銘柄“
岩乃鶴
”の復活をお教え頂いた事はあったが、その後しばらくは動きらしい動きはなかった。
そうしたところの新しい蔵元の誕生である。蔵の名前は“
西の都酒造株式会社
”と言う。
芋焼酎をメインに醸す蔵である。 蔵は西都市の南の端に近い下三財の高台にある。工業団地の一角に広大な敷地を構えるのであるが、以前、この付近に仕事の関係でお世話になっていた頃、この工業団地の存在すら知らなかった(爆)。
地元ローカルのニュース番組でこの蔵のオープンを知っていたので、近く遊びに行くぞ!!・・・と思っていたのであるが、3月初旬の週末に改めて行ってみた所、思いっきり迷ってしまった。何とか車のナビを頼りに到達・・・。
到着してビックリしてしまった。
高台にあると言う事もあり、米良の山々をバックに大きな青空が広がっていたのですね。その様な雄大とも言える景色の中、これまた広大な駐車場、青空にそびえるようにして立つ蔵の施設・・・。正直、これはえらいな物が出来てしまったぞ・・・と思ってしまった。
上記画像の正面に見えるのが、この蔵のフリースペースである“西の都アグリ館”。同蔵の仕込み工程の紹介スペースを持ち、且つ、レストランを設置するなど至れり尽くせりな内容の施設である。この背後には貯蔵スペースとボトリング工場が続いている。ちなみに、これら貯蔵スペースやボトリング作業ラインについては実際に見学する事が出来る。
同館の展示施設については後ほど触れたいが、その前に時刻はちょうど昼食時。まずは腹ごしらえをしなければならないのだ。
同館には上記のようにレストラン“彩食酎房あぐり”が併設されており、地元西都で生産される農畜産物を使用したメニューを楽しむ事が出来る。
妻は宮崎県人にとって王道とも言えるチキン南蛮を注文した。
レストラン内部は左画像のように非常に天井が高く、またスペースも結構広い。
大きな窓も相まって、非常に開放的で明るい施設である。
私はと言えば、“酒健美豚の陶板焼定食”を注文。
この酒健美豚であるが、西都市で生産される豚肉のローカルブランドで、調べてみたのだが詳細はよく分からなかった。ただ、ブランドに『酒』という文字が入っているので、焼酎粕由来のリサイクル飼料を給与しているのでは?という気もしないまでもない。
だれかご存知の方、お教えくださいな。
さて、注文して程なく運ばれてきたのがこの豚肉でして、ピンク色の肉色が非常に美しいのですね。
定食はこの豚肉とご飯、みそ汁、酢の物、香の物で1000円程度なのであるが、盛りつけ方が画像の通りで印象的。
肝心の味であるが、肉の脂がくどくなく、とても美味。ただ、出来ればタレではなく、塩胡椒で頂きたかったです。
この施設は2階建てであり、1階部分はこのレストランをはじめ、同蔵の焼酎販売スペース、工芸品なども扱う土産物販売スペース、試飲カウンターで構成されている。
蔵のロケーションを全面的に出したコンセプト『清水と神話』を全面的に押し出した館内となっていて、上記画像のように古墳の幾何学的な形をモチーフとした噴水(・・・とはいっても激しい噴水ではなく、こんこんと水が湧き出ている感じです)が設けられている。
試飲スペースには主力銘柄となる焼酎“西の都”が度数違いで並べられていた。
20度と25度。
つい最近発売が開始されたばかりで、この項をまとめている時点では白麹仕込みの芋焼酎だけのラインナップとなるようだ。だが、しばしの貯蔵期間を設けた黒麹仕込みの芋焼酎も近日発売予定であるという。こちらの方は既にラベルもできあがっていて、白麹仕込みのラベルの白黒が反転した図案となる。加えて、麦焼酎の商品化も予定されていると言うから、今後の商品展開が楽しみといえる。
ま、残念ながらハンドルを握る身でございますので、試飲はしておりません。だからと言うわけではないですが、25度の1升瓶を味見用に購入して帰ったのだった(爆)。
さて、上の階へと上がってみようか・・・。
2階のスペースは同酒造の製造ラインや企業としての取組紹介のスペースとなっている。
クイズ形式で焼酎の製造過程を学ぶ事の出来る展示もあるのだが、気になったのが下の画像のこれらであった。
床面に映し出された清水の上を歩いてみたのだが、ちゃぷちゃぷ・・・と波紋が足跡を追って発生するのである。
こいつは面白い・・・と大人げなく何度も往復してしまったが、上述した蔵のコンセプトをよく表している展示であった。
加えて、2階の中央部分には映写スペースが設置してある。
西都は地上に降臨した天孫“瓊瓊杵尊(ににぎのみこと)”が、国津神の美しい姫“木花開耶媛(こなはなさくやひめ)”に逢初川(あいそめがわ)のほとりで出会う神話の舞台としても知られている。以前、姫が祀られている
都萬神社
については紹介させていただいたことがあったが、そういった神話を織り交ぜながらこの蔵で作られる焼酎や蔵の取組が映像で紹介される。
ここにも中央に噴水が設けられてあるのだが、ここで映し出される映像にこの噴水が絶妙な演出効果を見せるのである。それが実際どのような物かは直接見て頂きたい。 前述したが、2階より貯蔵スペースやボトリングを行う別棟へと行く事ができ、ガラス越しにではあるがその様子を見学する事が出来る。
ま、稼働して間もない施設であるので、貯蔵スペースにはがらんとしており、当日は四半的の体験に有効活用。ボトリングのラインもこのような感じで静まりかえっておりました。
残念ながら仕込みを行う棟については見学対象になっていないようだ。なお、この蔵では焼酎粕の飼料化施設を併設していて、宮崎市近辺の中小蔵元の焼酎粕の処理を請け負うという。
穀物飼料の高騰によって、畜産業の生産現場でのコスト削減が叫ばれる昨今であるだけに、機会があれば、こういった施設施設についても見てみたい物だ。
館内には西都市出身の写真家
黒木一明氏
の作品が惜しげもなく大パネルで展示されている。
私は氏の西都を題材とした作品が特に好きで、照葉樹林を思わせるしっとりとした色合いに思わず見入ってしまった。 (08.03.11)
なお、現時点では準備中であったが、2階には同蔵の焼酎を使用して“自分好みの焼酎”を造る事が出来るブレンド体験のスペースも設けられるようだった。
黒麹仕込みの芋焼酎や麦焼酎と言った蔵の顔が出そろっての開業となるのだろう。
帰路、下三財の街並みを抜けたのだが、いくつかの商店の店先にこの焼酎の上りが立っているのを見た。
地元としては大きな工場の進出であり、新しい焼酎蔵に託す夢も大きいのだろう。何より、ここのところ、完熟マンゴーやカラーピーマンの主産地として元気の良い西都市ではあるが、宮崎市の賑わいからすると何処か取り残された感のする市街地の様子が私の中にある。だからと言うわけではないが、この焼酎蔵の誕生は何より明るいニュースに思えたのだ。
西都市の焼酎事情を見た時に、地元に焼酎蔵がありながら都城市の大手のブランドの一人勝ちの様相が見て取れる。この金ぴかラベルの焼酎は値段設定も庶民的であり、がっつりそれと競合していくことなるだろうか。
これから西都の焼酎としてどの様な支持を得ていくのか、ちょっと注目していきたい。
このページは、2019年3月に保存されたアーカイブです。最新の内容ではない場合がありますのでご注意ください
|