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平成27(2015)年・鉄道とサッカーの論点





■天皇杯決勝戦をTV観戦して

 平成27(2015)年サッカーJリーグのシーズンは、新年明けて平成28(2016)年元旦の天皇杯決勝戦を以て完了した。決勝戦のカードは浦和レッズ対ガンバ大阪。筆者がレッズを応援する心は過去記事に繰り返し明示している。とはいえ、その筆者ですら「またもやガンバにはやられるんだろうな」と感じてしまうのは何故だろう?(苦笑)

 ◆過去記事◆ 赤い旋風が吹けば…… 【平成18(2006)年シーズン】
        赤い旋風も一休み 【平成19(2007)年シーズン】
        浦和の勢いは止まった。大宮は残留した。来季は如何に。 【平成20(2008)年シーズン】
        赤い旋風が再び吹く日は遠い 【平成21(2009)年シーズン】

 案の定というべきか、レッズは1対2でガンバに敗れた。2失点はいずれもパトリック。一人で局面を打開できる強力な選手をフリーにしては、失点を喫するのは当然すぎるほど当然の帰結にすぎない。両失点シーンとも槙野が振り切られた、……といってもただ槙野を責めるのは酷であろう。負傷の影響を措くとして、日本代表DFを務めうる槙野でさえ通用しない、という冷徹な事実を受け止めるしかあるまい。

 天皇杯決勝戦での敗北は、チャンピオンシップ準決勝での敗北よりも救いがない。あの時のガンバは、レッズ側から見れば「理不尽に勝負強い」チームだった。幸いというべきであろう、更に「途方もなく勝負強い」サンフレッチェ広島の優勝により、いささか胸がすく思いを得られたものだ。その一方、天皇杯はガンバ優勝で決着した以上、復仇の機会はもはや得られない。

 それにしても、強い強いと評されつつ、レッズ無冠の年が続くというのは面白くない。最初のうちは選手に問題ありと見ていたが、ここまでくるとチーム編成の問題であることに気づかざるをえない。

浦和レッズ
浦和レッズのメンバーをあしらったパスネットカード(平成17(2005)年版)
ブッフバルト監督や三都主が懐かしい……と思ったら十年も前のものだ(^^)ゞ
当時の主力選手鈴木啓太もとうとう引退……十年ひと昔である


 近年のレッズの補強は、Jリーグ他チームで活躍した選手の引き抜きが主である。武藤の大化けは例外として、ズラタン・興梠・李・柏木・森脇・槙野・西川らはそれぞれ実績を上げて移籍してきた選手だ。移籍時期が古くなりレッズになじんでいるとはいえ、阿部や梅崎も同様である。彼らは紛れもなく現下Jリーグを代表しうる選手である。しかし、彼らがパトリックのように、あるいはかつて在籍したワシントンのように、一人で局面を打開できる選手かといえば、残念ながらそうではない。

(※広島での実績を有するペトロビッチ監督を起用している点にも同様のことがいえる)

 優れた選手を集めながらも、傑出した選手が存在しないというチーム編成方針の背後に、官僚的な硬直を感じ取るのは邪推に過ぎるだろうか。なんというか、現状は「優勝争いをするチーム」まではつくっているものの、「優勝するチーム」をつくるノウハウもスキルも、ひょっとすると「優勝への渇望」すらないように見受けられるのだ。

 しかも今オフ、湘南から遠藤航を補強するという。遠藤もまた優れた選手であることには同意しても、何をかいわんや、と天を仰ぎたくなる。若手選手さえ他チームからの移籍に依存する状況は、チームに育成能力がなく、アイデンティティも確立していないことを示す証左といえよう。

 来シーズンも無冠に終わる(遺憾ながらその可能性は高い)ようでは、全くの手詰まりにおちいってしまう。充実した戦力を有しながら、レッズは最盛期を迎えられないまま、衰退の危機に立とうとしている。

 出典を失念したが、約一年前、ガンバの某選手がレッズを酷評していたことを思い出す。確か「レッズは怖くない。どう攻めてくるかわかり切っているから、簡単に対応できる」主旨だったと記憶する。優秀な選手を集め、選手らは勤勉にプレイしても、ガンバは更に上手を行くというわけだ。何やら、日本企業にも通じる話ではある。





■大宮アルディージャのJ1復帰

 浦和はそれでも強豪チームであることは間違いない。勝てそうでいて勝ちきれない現状を憂うるのは、贅沢な悩みの一種といえよう。同じ埼玉県内にあって、現実に厳しい状況に遭ったのは、昨シーズンにJ2陥落した大宮アルディージャである。J1では、特長を失ったチームがJ2陥落する傾向が認められ、昨シーズンの大宮はまさしくそうだった。率直にいって、大宮の個性はうすく、J2でも低迷して浮上してこないのではないか、と筆者は予期していた。

 千葉や東京ヴェルディは陥落して以来、J1に復帰できないままでいる。札幌・京都も久しくJ1に上がる気配がない。セレッソ大阪も来季はどうなることか。大分に至ってはJ3にまで陥落してしまった。

 あに図らんや、個性にとぼしい大宮が磐田を抑えてJ2優勝を果たし、J1に復帰することとなった。これは望外の慶事である。

大宮アルディージャ
大宮アルディージャのメンバーをあしらったパスネットカード(平成17(2005)年版)


 来シーズンのJ1は熾烈な戦いになると予想される。なにしろ、J1初参加のチームが存在しないだけに、残留争いはJ1史上最も過酷になるであろう。大宮の数少ない特長といえば「陥落しそうでしない」しぶとさが挙げられるところ、その大宮のしぶとさが十全に発揮される展開になる、と思われてならない。

 その際重要なのは守備力である。昨シーズンは、正GKを固定できないという異常事態で、守備の破綻は明白だった。守備さえしっかりしていれば、攻撃力が多少劣ってもなんとかなることは過去に実例がある。大宮のしぶとさを改めて見てみたい。

 浦和と大宮とで埼玉スタジアムを沸かせ、埼玉高速鉄道を更に賑わせてほしいと、筆者は切に念願している。筆者はいろいろな話題を取り扱いながら、根本には鉄道または交通現象が控える構図を採っているつもりでいる。レッズもアルディージャも鉄道に関わりがあり、かつ交通現象の一端に影響を及ぼしていると知っていただければ幸甚である。この詳細に関しては過去記事を参照されたい。

埼玉スタジアム
ピッチ近くから見渡した埼玉スタジアム
※本稿の写真は全て過去記事の再掲である





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