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飯田線〜新宿直通特急構想1.はじめに現在の飯田線は、年間数億円の赤字経営が続くなど、非常に厳しい状況である。その主な原因としては、他の地域でも見られるように、昭和50年代から進むモータリゼーションの波の中、鉄道離れが進んだ事とともに、中央自動車道の開通により今まで飯田線を利用していた長距離利用者の多くが中央道高速バスに移行してしまった事が挙げられる。 また、現在の飯田線の主な利用層である短距離利用客にしても、近年の少子高齢化に伴い、年々減少傾向にある。 これらの要因が重なり、現在の飯田線は危機的な状況下にある。 その事に危機感をもった東海旅客鉄道(JR東海)は、飯田線活性化策として特急「伊那路」、快速「トロッコファミリー号」などを運行するなど、飯田線を観光路線化をする施策を行っている。 また、飯田線の中でも特に大都市圏に属し、多くの利用者が見込める、豊橋近辺では名古屋直通の特別快速列車(大垣〜新城)を走らせるなど、利便性向上に努めている。 しかし、こうした飯田線南部の積極的な経営に対して、飯田線北部(天竜峡〜辰野)は南の施策もないなど、JR東海から置き去りにされた感が否めない状況にある。 旧国鉄時代、飯田線北部は南部よりも急行列車など優等列車が多かった事実があり、また飯田線全線のうち(約195キロ中)、約80キロが北部区間であり、その活性化次第では豊橋近郊の活性化よりも大きな効果が望める点などを考えると、飯田線全線の活性化には、この北部区間の活性化が必要不可欠であると考えられる。 そこで北部の活性化について考えてみたいと思う。 2.新宿直通特急の必要性。まず北部の主要都市は飯田市(人口10,6万人)を始め伊那市(6,4万人)、駒ヶ根市(3,4万人)、箕輪町(2,5万人)、辰野町(2,3万人)南箕輪村(1,5万人)と続き、3市2郡で人口40万人を擁している。ここで私が提案したい活性化策は「飯田線〜新宿直通特急」である。 全国的に見ても、これだけの沿線人口を擁しながら優等列車の設定がないのは稀で、中央道高速バス(飯田・駒ヶ根〜新宿間)の運転本数(30分に1本)を見ても需要面では申し分ない。 また飯田線経営改善には、新規の需要を起さない限り非常に難しい状況で、利用者減→運転本数減→利用者減→運転本数減という悪循環から脱却するためにも新規需要の発掘が必要不可欠である。 3.新宿直通特急と中央高速バスここで問題なのは、仮に特急を走らせても高速バスとの勝負に勝てるかどうかである。せっかく特急を走らせても、誰も乗らなければ、飯田線急行全廃の二の舞になかねず、採算性をも含め、十分な検討が必要である。では仮に特急が新設されたとして話を進めたい。 運転区間は飯田〜新宿間とする。経費の関係から飯田〜岡谷まで単独で運転し、岡谷以降は特急「あずさ」に併結運転とする。 3−1.所要時間まずは所要時間を検討してみる。現在、中央道高速バスは飯田〜新宿間で4時間15分、駒ヶ根〜新宿間で3時間50分を要している。 では鉄道ではどうだろう。 特急「スーパーあずさ1号」の所要時間で考えてみると、新宿〜岡谷間が2時間20分要している。 飯田線内は急行「こまがね」号で飯田〜辰野間を1時間30分程度で走っていた。これに年々少しづつ行われている軌道強化(PS枕木化、高規格線路の導入)、施設改良(可動式架線の導入)や車両自体のグレードアップも考慮した上で交換駅の1線スルー化をしたと仮定して所要時間を計算してみた。 まず、飯田〜辰野間にある交換駅は全部で21駅ある。 飯田、駒ヶ根、伊那市、辰野は必ず特急が停車するという事で1線スルー化は見送り、また伊那本郷はすでに1線スルー化されているので除外する。 そうすると、16駅を1線スルー駅とすると、1駅あたり30〜40秒の時間短縮が可能だから最大で640秒短縮できる。また、軌道強化や曲線緩和によってキロ当たり数秒の時間が短縮できるとされている。 飯田〜辰野間は67キロであるから最大で150秒〜200秒の短縮ができる。これに車両自体のグレードアップによる時間短縮が考慮して考え、これに急行「こまがね」号に比べ停車駅を4駅減らす事によって30秒短縮する事を考えると最大で飯田〜辰野間は1時間10分程度になる。 これに辰野〜岡谷間の10分と岡谷での併結時間を5分と考えると、 飯田〜新宿間の所要時間は1時間10分+15分+2時間20分=3時間35分となる。ちなみに駒ヶ根〜新宿間の所要時間は2時間50分程度と考えられる。
高速バスに比べて飯田〜新宿間は40分短縮、駒ヶ根では60分短縮、伊那市でも45分短縮される。 この他、(架線改造が必要となるが)振り子車両の導入により、飛躍的に高速化される可能性があり所要時間は如何ようにもなるのは鉄道の強みだ。 3−2.運賃では運賃面ではどうだろう。検討してみる。現在の高速バスの運賃は飯田〜新宿間で4200円、駒ヶ根〜新宿間が3650円、伊那市〜新宿間が3460円となっている。 現在の鉄道を利用すると普通運賃だけで飯田〜新宿間は4940円、駒ヶ根〜新宿間では4310円、伊那市〜新宿間は3890円となっている。ここでA特急料金を加算すると、飯田〜新宿間で8910円、駒ヶ根〜新宿間では7860円、伊那市〜新宿間は7440円となる。
運賃面では圧倒的に高速バスが有利にたっているが、これは正規料金であり、JR側も大幅な割引サービスなどで対抗策を講じれば解決できるだろう。現に特急「あずさ」や「かいじ」などは大幅な割引によりバスとの勝負に勝利している。 3−3.本数次に本数を比較してみよう。現在、高速バスは「安くて・便利」と宣伝していると通り本数は確保されている。飯田⇔新宿便で1日15往復、駒ヶ根⇔新宿便も1日15往復になる。 これに鉄道が対抗するためには、より多くの列車運行が必要だが、 飯田線自体が単線で増発・増便が難しい事や、需要の不透明さなどがあり、難しいと思われる。多くて4往復、少なくて2往復が妥当な線だろう。 しかし、この不利な点も今後の需要次第で改善される見込みがある上、 少ない本数でもバスに対抗し拮抗している例はある。 3−4.快適性では快適性はどうだろうか。約3時間以上も同じ車内に乗車しているのだから快適性は欠かせない。ここでは個人の主観にもよるのだが、おおむね鉄道が有利といってよい。 高速バス自体も快適性を追及したバスを開発しているが、車内は鉄道車両の方が広く、頻繁に出歩くことも可能である。 喫煙席、禁煙席など分ける事も可能の上、デッキでの携帯電話の使用も可能でバスとの勝負には十分に勝てるどころか、アピールすべき点ではないだろうか。 3−5.定時制・安全性では定時制・安全性はどうだろう。これも鉄道の優位な点で、定時制に関しては鉄道が圧倒的に勝っている。 高速バスは渋滞など不確定要素が非常に強いのが難点で、新宿で新幹線などで、違う地域に移動するための中継点と考える人には利用しにくい。その点、鉄道は時間に正確な事は証明済みで、後の計画も立てやすく利用しやすい。鉄道優位な点である。 安全性はJRの積み上げてきた実績がある。バスも危険という訳ではないが、鉄道事故と自動車の事故の確率を見れば安全性はやや鉄道に分があると考えられる。 他にも鉄道には大量輸送という本来の長所など、バスにはない優位な点が多々ある。 管理人が思うに飯田線〜甲府、飯田線〜八王子などバスでは停車しない 地域への輸送など鉄道では可能で、この点も見逃せないし、考慮すべきである。 4.結論上記のとおり、新宿直通特急はかなりの善戦する可能性を秘めている。
特に一般旅行者は、所要時間と本数、運転本数を重視するため、飯田線特急は2勝1敗で、また特に夏休みなど高速道が混む時期には所要時間と定時制はかなりの魅力である。 結論として、高速バスは確かに強敵だが飯田線特急も対抗できないわけではなく、努力次第では飯田線特急が伊那谷交通の主流になる事も可能である。 また伊那谷観光を考えた上でも特急は非常に有効で、特急新設は伊那谷経済にも多くの恩恵をもたらしてくれると考えられる。 よって管理人は飯田線直通特急は飯田線経営改善に必要不可欠なもので、 ぜひ実現して頂きたいと考える。
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