このページは、2019年3月に保存されたアーカイブです。最新の内容ではない場合がありますのでご注意ください

column 3 〜「運送約款」って何?〜

 フェリー乗船券の裏や下に、「当乗船券は当社運送約款により発行します」などと書いてあるのを見たことはないだろうか?どうやら我々は、この「運送約款」なるものに同意していることを前提にフェリーを利用していることになっているようだが、果たしてその内容を知っている人が何人いることだろうか?
 そもそもこれは、「標準運送約款」というものが運輸省によって定められており、基本的に船会社はこの約款に基づいて旅客や貨物・自動車の運送を行っている。約款は、フェリーの乗船手続きをする場所に必ず掲示してあるか、あるいは冊子がぶら下がっているはずだから、時間のあるときにでも一度目を通しておくといいだろう。
 さてこの約款は、「旅客運送の部」「受託手荷物及び小荷物運送の部」「特殊手荷物運送の部」「自動車航送の部」の4部構成となっている。このうち、「自動車航送」と「旅客運送」は何について定めているか分かるだろうが、「受託手荷物」「小荷物」「特殊手荷物」の区別というのは案外わかりにくいものではないだろうか。
 標準運送約款によると、それぞれの「荷物」の区分は次の通りとなっている。

○受託手荷物
 旅客がその乗船区間について運送を委託する荷物であって、次のいずれかに該当するもの。
 ①3辺の長さの和が2m以下で、かつ重量が30kg以下の物品
 ②車イス(旅客が使用するものに限る)
 ③盲導犬(旅客が盲導犬協会の発行する証明書を提示して運送を委託するものに限る)
○小荷物
 受託手荷物の①に該当するもので、船会社に運送が委託されたもの(委託した人は乗船しない)
○特殊手荷物
 旅客がその乗船区間について運送を委託するものであって、次にあげるもの及びその積載物品。
 ①道路運送車両法第2条第2項に規定する自動車であって、二輪のもの(125cc以上の自動二輪車)
 ②道路運送車両法第2条第3項に規定する原動機付自転車(125cc以下の自動二輪車及び原付)
 ③自転車、乳母車、荷車その他の道路運送車両法第2条第4項に規定する軽車両であって、人力により移動するもの(手回り品及び受託手荷物として取り扱われるものを除く)
 そう、バイクは「特殊手荷物」だったのである!自動車の航送料金には「運転者の2等運賃を含む」となっているが、バイクの運賃には運転者の2等運賃が含まれないのには、このような扱いの違いがあったのである。繰り返すが、バイクは「手荷物」扱いなのである。
 「そうか!だから隅っこに置かれたり、ぞんざいに扱われたりするんだな……」と思ったあなた!冷遇されてばかりではない!「荷物」には「荷物」の特権があるのです! 
 たとえば……
 ①車が乗船待ちで列をなしているのに、その横をすり抜けて待ち時間無しで乗船出来る
 ②車よりも先に積み込んでもらえるので、好きな場所を確保できる
 ③何だかんだ言っても、車の航送料金よりは安上がりである
 ④計画性のない旅をしていても、ほぼ予定通りに船に乗れる(バイクが満員で乗船を断られることは、夏の北海道行き等の特別な航路・時期を除けばほとんどない)
等々……。
 ちなみに、「受託手荷物」を旅客自らが船内に持ち込むと、「手回り品」と呼ばれる。これについては20kgまでは無料、と標準約款に定められている。
 ……、とまぁ、これらのことを知らないからといって切符を売ってもらえない訳じゃあないけど、約款に書いてある「旅客の禁止事項」を守らなかったりしたら、「船長が下船を命じることが出来る」そうだから、気をつけましょう!

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