このページは、2019年3月に保存されたアーカイブです。最新の内容ではない場合がありますのでご注意ください

column 5 〜橋とフェリー〜

 フェリーの天敵ともいえる長大橋。対岸との間を結んでしまうだけではなく、場合によっては物流の流れを大きく変えてしまうこともある。平成10年4月に開通した、明石海峡大橋もその一つだろう。
 この橋は、淡路島を挟んで近畿と徳島を直結した。これまでフェリーで3時間半かかっていた大阪〜徳島間は、車で2時間程で結ばれることとなった。それだけではない。大阪の後背地である京阪神地区と東四国とを一気に近づける効果をこの橋は持っている。「夢の架け橋」と言う言葉にも、うなずけるものがある。
 淡路島と四国は、昭和60年に大鳴門橋によって結ばれた。淡路島南部と徳島との結びつきは強く、淡路「島」であることをあまり感じさせないぐらいである。しかしその一方で、橋の開通前に比べると極めて不便になってしまったこともあることを知る人は少ないのではないだろうか。
 ご存じのように、大鳴門橋、明石海峡大橋ともに「自動車専用道」である。このため、自転車や原付、125cc以下や二人乗りのバイクは通行することが出来ない。自転車で旅をする「チャリダー」や、二人で仲良く一台のバイクに乗って走る方々にとっては、これらの橋は越えようのない「関所」として立ちはだかる障害となってしまうのだ。明石海峡大橋は、直下に明岩フェリーが就航しているのでまだいい。問題は大鳴門橋だ。
 現在、淡路島と四国を結ぶフェリー・客船は存在しない。四輪車を持たない人が四国に渡るには、バス等に乗るしか手段がないのである。また、自動車道を走れない「足」を持っている人にとっては、淡路島と四国の間は越えることの出来ない海峡となっているのだ。徳島・鳴門から淡路島・福良に自転車で向かう方法は、次のようなルートしかない。

①鳴門=徳島〜和歌山=泉佐野〜津名=福良
②鳴門=高松〜東神戸=明石〜岩屋=福良
これでも「たいがいにしろ!」であるが、さらに常軌を逸したルートとして一つだけあげると、
④鳴門=高知〜大阪=明石〜岩屋=福良
(=は陸走区間、〜はフェリー使用)

どうだろうか。阿那賀〜亀浦航路(H8.10.1廃止)を使えば1時間足らずで渡れた鳴門・福良間が、陸続きになったことによって渡れなくなったのである!夢の架け橋によって、「淡路島を通って本州から四国へ向かう」という「夢」がはかなく破れさってしまったチャリダーの嘆きと怒りは、架橋施工者の耳に届いているのだろうか。
 フェリーの大敵の橋の中で唯一、一定の評価が出来るのが尾道〜今治ルートだ。この橋は、自転車や歩行者も通行できる「別通路」が全ての橋に設置されている。自動車専用道で島を結ぶという点に関しては、他の橋と同罪であるこの橋群ではあるが、別通路の設置だけは評価したい。ふぇりい倶楽部としては薦めることではないのだが、機会があれば尾道から今治まで走ってみるのもいいか、とも思ったりもする。(これはここだけの話にしておいてください!)

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