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旅日記北陸夏2002

1日目

夏の終わりの東京国際空港。今回もまた飛行機&レンタカーという基本プ
ランになってしまった。さすがにまだ8月。まだ6時を過ぎたばかりなのにこ
れだけの人が空港にはいた。沖縄や札幌行きの便に満席が多い。

東京はあいにくの曇り空。今回は全日空のプランということで、富山行きは
ボーイング767−300が就航していた。実はこの767型機の機長さんに知
り合いがいる。昨年四国から帰ってくるときには前もってその便に乗ること
を連絡しておいたらわざわざ私の乗る便に乗務してくださった。
もしかして、Oキャプテンの機ではないかと期待していたが、さすがにそれ
はなかった。(笑)

飛行機はほぼ定刻に離陸した。すぐに雲の上に出るがそうなると下には雲以外何も見えない。松
本の上空を通過するということで晴れていれば、八ヶ岳や諏訪湖を上空から見ることもできるかと
思ったが、残念ながら見ることはできなかった。次に地上の景色が見えたのは「黒部湖」であった。
ここまでまだ離陸してから30分ほどである。速い。実に速い。東京が曇っていたのは南海上の台
風の影響もあったが、高い山に阻まれて雲が北陸側に広がらない様子がわかった。左には立山連
峰を見ることができた。立山を過ぎればすぐに富山である。海側からの進入はわかっていたが、一
度海へ出てからすぐに着陸するのかと思ったら、また海へ出て行く。どうやら旋回しているようだ。
富山空港管制塔より着陸待機命令が出たとのこと。しかし、これがラッキーであった。予期せぬ、富
山とその周辺の空中散歩となった。

富山空港よりレンタカーでまずは氷見方面に向かう。越中国分と雨晴の間
の海沿いを走る氷見線をカメラにおさめる。

氷見線のガーダ—橋の下で、漁の準備をする漁師さんの姿があった。

氷見線の撮影を終えると、次は北陸本線の倶利伽羅駅へ向かう。ここは
場所としては富山県を離れ石川県に入る。ここでひとつ間違えをおかし
た。今回のレンタカーにはナビが付いていたのだが、なぜか、「倶利伽
羅」を「石動」と勘違いしていて、ナビで「いするぎ」を設定してしまった。
なぜこのようなミスをしたのかいまだにわからない。倶利伽羅駅は無人
駅のはずなのに妙に町が大きい。「へえ、こんなのもあるんだ・・・」と思
いながら車を運転していて、「あれ?いするぎじゃなくて・・・倶利伽羅じゃ
ん!」と慌てたが、実は石動の後が倶利伽羅だったことを思い出し、その
まま石動を通過して倶利伽羅まで行った。

倶利伽羅駅では、偶然通りかかった特急「しらさぎ」を撮影。そのまま、どこかよい撮影場所を探そうと
思い、今来た道を引き返す。

倶利伽羅駅からほんの200メートルほど金沢方
面に行ったところに跨線橋があった。よく見るとそ
の脇に下る坂がある。車で降りていくと広いスペ
ースがあり、そこに車をとめることができる。そし
て、そこから線路のすぐ脇まで行くことができた。
降りてみると、程よいカーブの途中で、よい撮影
ポイントであった。ちょっと暑かったが。

ここには1時間ほどとどまり、列車の撮影をした。北陸本線のうれしいところは時刻表にない貨物列車が
通ることである。そして、このポイントは富山側は倶利伽羅駅の列車通過の警告音。金沢側は踏切によ
り、列車の接近を知ることができるというメリットがあった。

次に向かったのは再び富山県。名水めぐり第一弾として、庄川町の
「瓜裂の清水」に行く。ここ富山県は名水の宝庫。「日本名水百選」に
選ばれているところだけでも全国最多の4箇所ある。その他にも名水
がたくさんある。立山連峰をはじめとする山々からの雪解け水や伏流
水が地下に溜まりそれがいたるところで湧き出ているようである。ここ
「瓜裂の清水」もきれいな水がこんこんと湧いていた。ただ、マナーの
悪い人がおり、ちょっと気になった。深くは書かないが、もはやこういっ
た名水を守っていくのも、破壊するのも人間なんだ、ということに気づい
てほしいと思った。

まだ時間としては早かったがホテルにチェックインするために富山全日
空ホテルへ向かう。チェックインして車を置いてまた出かけようというプラ
ンであった。富山全日空ホテルは19階建のとても大きなホテルであ
る。近くに行けばどこからでも見える。今回は全日空のプランということ
で、この豪華なホテルがセットになっていたのはラッキーである。

私が今までに泊まったいわゆるシティホテルというのはチェックインする
と、そのまま部屋のカギを渡されて自分で荷物を持って部屋へ行くの
が通例であった。ところが、ここはスタッフの方が荷物を持ち部屋まで
案内してくださるのである。温泉地のホテルなどではそれが当たり前
であるが、シティホテルでは初めての経験。少々戸惑いながらも「さす
が」だと思った。そして、とても清潔な部屋。外観は良くても部屋の中、
特にユニットバスはどうしても細かいカビが目についたりする。ところが
ここはそのようなものも一切に目に付くことはない。「さすが」だ。ちょう
ど、この日は近くの高校の生徒であろうか、夏季の実地研修ということ
でスタッフの方についていろいろと勉強していた。学校での勉強ももち
ろん大切であるが、このような、その業界でも「一流」と言われるところ
での研修はとても大切な勉強になるであろう。とにかくスタッフの方々
が男性も女性もさりげない笑顔で応対してくれる。「プロフェッショナル」
というものを見た気がする。

一休みしたところで、時刻表を開いてみる。富山発の普通列車に乗っ
てみようと思う。そして、私は三脚とカメラだけを持ち、富山駅へと向か
った。ホテルは富山城址のすぐ近くにある。今年は大河ドラマの影響で
ここを訪れる人も多いのではないか。

ここのところ車で来ることが多かったので、富山駅を見るのは久しぶり
である。ずいぶん変わったな、と思ったが、構内に入るとそんなに変わ
っていないことに気づく。

少しの間にもいろいろな特急が到着する。北陸本線は特急列車の宝
庫である。もしも北陸新幹線が開業するとこの様子もがらっと変わっ
てしまうのだろう。15:51発の黒部行き「549M」に乗車する。これ
は元の寝台特急電車「月光」などに使われていた車両を普通列車用
に改造したものだ。そのためやたらと高さが出てしまい、前から見る
と食パンのような形をしている。通称「食パン電車」とも言われている
ようだ。

内部は普通車の座席に改造されているものの、上段の寝台はその
まま格納してある形で、随所にその名残が残っている。ドアは折り戸
となっており、通勤通学のラッシュ時にはちょっときついだろう。

車窓には、あの車内にさわやかな風が吹いたときの景色が広がっ
ている。しかし、冷房がついており、窓は開かない。

そんなことを考えているうち、列車は常願寺川を渡り、水橋駅に到着し
た。

水橋駅で、駅長さん(駅務長さん)にお願いし、しばらくホームにとどまら
せていただき、通過する特急列車や到着する普通列車とその乗客の
撮影をさせていただいた。たまに、私のような妙な客が来るようで、い
ろいろとお話を聞かせていただいた。中にはとんでもないマナーの悪い
鉄道ファンもいるようで、自分のことではないにしても何か申し訳なさを
感じた。

水橋駅で降りたのにはもちろん列車の撮影という目的もあったが、もう
ひとつの目的があった。それは先ほど渡ってきた常願川の橋梁を渡る
列車を撮るためであった。今回のこの旅の目的のひとつとして、「トワイ
ライトエクスプレス」を狙うというのもあったので、その撮影場所を徒歩
で確かめておきたいという理由もあった。徒歩で10分ほどで堤防に着
く。しかし、道をショートカットしたため、田んぼの横の背丈ほどの草むら
を歩いていかねばならず、ちょっと苦労した。堤防の上の、橋梁脇の撮
影ポイントはかなり上り線の線路に近づいてしまうが、よいポイントだっ
た。三脚をセットし、光線具合や構図などを決める。が、いろいろな考
えが出てきてしまいなかなか決まらない。
「まだ明日が本番だから・・・」そんな気持ちでいるものだから、どうもだ
めだ。そんなことをしているうちに、何本もの特急列車や普通列車が
通過する。

ここでひとつ面白いことに気づいた。そんなことは考えてみればあたり前のことで、くだらないことなの
かもしれないが。前述したように上り線(富山方面)の線路のすぐ近くに三脚を立てた。しがたって、
列車が通る時の「走行風」がかなり吹く。ところが、速度が速い特急「はくたか」よりも速度が遅い普
通列車の方が、その走行風が強いのである。「はくたか」は流線型のボディをしており、それがいか
に空気抵抗を低減させているかが、いまさらのことのように実感できた。

水橋駅に戻り、暗くなるまではもう少し間があったので、もう一度列車
の撮影をする。そろそろ、帰宅時間と重なるのか、乗降客の数も増え
てきた。

暗くなってきたので、18:22発568Mで富山へ帰る。富山寄りの先頭
車は特急の形そのままの改造車であった。

富山へつく頃にはすっかり暗くなっていた。そのままいったんホテル
へ戻り、夕食をとり、また出かけることにした。

再び富山駅へ向かって歩き出す。今度の目的は富山地方鉄道線。
しかし、時間がすでに9時近くなっており本数も少ない。まだ次の列
車までは時間があるので、駅構内の喫茶店に入りコーヒーを飲む。

この目的は夜の誰もいない無人駅を撮るということと、初めての富山
地方鉄道という私鉄に乗ることであった。そして、富山からの最初の
無人駅、越中三郷を目指す。

21時02分発の列車に乗り、本当にささやかな初めての路線の旅行
を楽しんだ。遅い時間でも利用者はかなりあった。

越中三郷で降りたのは自分を含めて3人だけ。当然のごとく他の二人
はすぐに闇の中へ消えていく。夜の無人駅は本当に寂しい。誰も来な
いし、誰も通らない。ただ、駅の明かりだけがこうこうとついている。そ
れが寂しさを余計に強調しているように見える。列車が近づくと警報機
が鳴る。それまでただ、虫の声しか聞こえない駅に急に警報機が鳴り
出すとびっくりする。何か怖いものでも来るのではないかという感じを
受けてしまう。人間の感覚というのは状況によって変わるものだ。

21時35分発の富山行きに乗り、富山へ戻る。もう、町はほとんど眠っていた。

夜の富山城はライトアップされていた。

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