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この会社は「鉄道会社」か?「せんべい屋」か?
− 銚 子 電 鉄 −
TAKA 2006年12月03日
「銚子電鉄」といえば本州最東端の鉄道として有名であり、江戸時代から利根川河口の良港である銚子港を中心に「漁港と醤油の街」として有名な銚子市の玄関口でありJR総武本線の終着駅である銚子駅を基点とし、本州最東端の灯台である犬吠崎の傍(犬吠駅⇔犬吠崎灯台は約300m)を通り漁港のある外川を結ぶ、大正12年開業の全長6.4km駅数9駅車両数8両と言うミニ私鉄です。
この素朴なミニローカル鉄道は昭和60年、銚子を舞台に繰り広げられたNHK朝の連続テレビ小説「
澪つくし
」に出た事と、副業で始めた「
銚電のぬれ煎餅
」が結構なヒット商品になりテレビ等で取り上げられた事で全国的に有名になり、鉄道マニアだけでなく一般の人々にもよく知られる鉄道になりました。
普通「鉄道会社の副業」と言えばバス・タクシー・物販・不動産・建設・レジャーなど鉄道事業に比較的近い分野に進出するのが一般的で、大手民鉄になればなるほど副業は盛んですが、中小民鉄であっても副業の分野の傾向はそんなに変わらないと言えます。その中で銚子電鉄は銚子が醤油の産地であることを生かして副業で「ぬれ煎餅」を販売したら大ヒットし、いまや本業の鉄道事業以上に収益を上げる事業になっています。
そう言う訳で今や「鉄道会社」か「せんべい屋」か分からない状況になってしまったとも言える銚子電鉄ですが、それ以外にもタイヤキ屋を誘致したりユニークな副業を行っています。ただこの副業は「鉄道を支える為の苦肉の策」と言う側面が強く、必死になり煎餅で稼いで鉄道を支えていると言う「地方鉄道の苦境」を示している「涙・涙の物語」であるとも言う事が出来ます。
今回偶々3連休の初日の11月3日の午後に時間を取る事が出来たので、午後から「旨い魚でも買いながら」序にホームページのネタ集めを兼ねて銚子漁港と「煎餅で鉄道を支えている」銚子電鉄を訪問してみることにしました。
参考HP: 「
銚子電鉄HP
」「
銚子市HP
」「
銚子電気鉄道線
(wikipedia)」
参考文献: 鉄道ピクトリアル96年4月増刊号-関東鉄道のローカル私鉄-
「銚子電鉄 主要指標」
※上記数値は「数字で見る鉄道2003・2005・2006」より引用(一部は資料を基に計算)しています。年度 営業キロ 輸送人員 輸送密度 資本金 従業員 営業収益 営業費用 営業損益 全事業経常利益 H13年 6.4km 721千人 1,124人/日 129百万円 23人 142,017千円 202,227千円 ▲60,210千円 ▲5,699千円 H15年 6.4km 674千人 1,022人/日 129百万円 23人 127,605千円 165,819千円 ▲38,214千円 1,027千円 H16年 6.4km 652千人 1,001人/日 129百万円 20人 110,374千円 134,856千円 ▲24,482千円 22,766千円
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☆ 東京⇔銚子間は「鉄道」か?「高速バス」か?(東京13:40→銚子15:29 しおさい7号・銚子18:00→東京20:35 佐原経由高速バス)
銚子電鉄を訪問するといっても、幾ら「東京の隣の県」に有るからと言って簡単には出かけられません。ある意味地元に近い埼玉県の西武秩父線や仕事で良く出かける方面の伊豆箱根大雄山線よりかも土地勘がなく今まで訪問した事がない分遠く感じ、実際に今回は多摩センターで用事を終わらせてから関東横断をして向かった為「関東鉄道めぐり」の中で関東鉄道竜ヶ崎線と並ぶ「大遠征」になってしまいました。
さて千葉方面の玄関口である東京駅に着いたのは12時過ぎで、
東京駅の地下街の南国酒家
であんかけ焼きそばを食べながら(これは結構おいしい。私の東京駅での定番のひとつ)、「どうやって銚子まで行こうかな?」と考えて迷った結果とりあえず八重洲通り沿いの銚子行きの高速バスの乗り場に行ってみる事にしました。
13時10分過ぎに高速バス乗り場に向かうとかなりの人数が並んでいます。とりあえず列に並んだものの、列は私の後にも伸びて合計で30名を超えるほどになってしまいました。混雑している高速バスの居住性というのはお世辞にも褒められた物ではありません。実際定時に浜松町から来たバスには10名位先客がいます。「これは高速バスは混むな」と思い、予定変更で東京駅地下ホームに走り13:40発のしおさい7号で銚子に向かうことにしました。
東京駅地下ホームに走って向かい着いた時にはすでに列車は入線していました。とりあえず先頭車両に行きお約束の写真を撮り喫煙自由席に席を取るとすぐ発車します。一服して落ち着いたらすでに錦糸町を発車していました。車内を見回すと乗車率は2割程度(10名程度/両)で前後の車両もそんなに変わりはありません。9両編成の特急ですからこの程度の乗車率だと東京・錦糸町からの乗客は100名程度で高速バスの約2.5倍、これを多いと見るか少ないと見るかは難しいですが、少なくともこの段階では255系の9両編成は過剰に見えます。E257計500番台の5両編成が導入された訳が良く分かります。
左:東京駅八重洲口銚子方面高速バス乗り場 右:八重洲口高速バス乗り場に止まる13:20発銚子行き高速バス
左:
255系
特急しおさい7号@東京駅 右:特急しおさい7号車内@錦糸町
左:特急しおさい7号車内@成東 右:特急しおさい7号@銚子
しおさいは総武本線を「もどかしい」と思うほどの速度で銚子に向かいます。単線の上交換駅では1線スルー化がされておらず交換駅ごとにYポイントを減速して通過します。千葉〜銚子間を普通92分に対してしおさいは74分です。その差18分しか有りません。幾ら放置プレイでも同じ県内で特急で74分はかかりすぎです。せめてもう少しの高速化を望みたい所です。
成東を過ぎるとしおさいは横芝・八日市場・旭・飯岡と細かく停車して行き、この地域の中間駅の利用も馬鹿には出来ずその度に数名づつ降車客があり、最終的に銚子に着いたときには東京駅発車時点の2割程度(10名程度/両)の乗車率に戻っていました。しおさいは「そこそこ利用されている」特急列車であるとはいえますが、車両は更新されたので不満の無いレベルですが、速度は不満が残るレベルです。高速バスに侵食されて居るとも言える状況です。千葉県は「県都1時間構想」を掲げこの地域でも千葉東金道路(2期)・銚子連絡道路(1期・2期)の事業化を行い現在千葉東金道路(2期)・銚子連絡道路(1期)が完成し、横芝光IC間で高速道路がつながっています。その整備状況から考えると今のしおさいの状況が良いとは言えません。鉄道も千葉県が進める「県都1時間構想」に対抗できる程度の(車両は整備されたので)インフラ面の高速化を考える必要があるのかもしれません。
左:東芝町(銚子駅入口)バス停と東京行き高速バス 右:東芝町18:00発佐原経由東京行きバス車内(高速上)
最終的にこのバスに乗ってきた乗客は東芝町1名(私)・小見川1名・香取市役所前1名・佐原駅北口4名・大栄1名の合計8名でした。行きの小見川経由の便の乗車率を見ると「天と地の差」です。高速バス銚子線は人口約7.5万人の銚子が目的地の路線の割には毎時2〜3本の高頻度運転がされていますが、以外に運行時間帯・経由地等で利用客に差が出ているのかもしれません。
いずれにしても傍目から見れば「高速バスと鉄道で競争」と見えるのかもしれません。実際運転本数を見るとその感じを強くしますが、実際は高速バス→対東京輸送メイン・鉄道→対千葉輸送+対東京輸送で根強い需要と言う棲み分けが出来ていて高速バス・鉄道共に微妙なバランスの中で(鉄道は衰退気味だが)共存しているのかもしれません。ただ銚子の人口が約7.5万人でそれ以外には目ぼしい都市が無いこの地域では少需要で採算が取れる高速バスは頑張ってそのリターンが有りますが、鉄道が頑張っても移動需要の絶対量が少なければ投資に対してリターンが悪いのかもしれません。それでJR東日本千葉支社はインフラ投資に消極的なのかもしれません。(車両は投資しても転用できるからリスクは低い)
☆ 銚 子 電 鉄 訪 問 記 (銚子15:42→笠上黒生15:51・犬吠16:53→外川16:55・外川17:06→仲ノ町17:23)
銚子に着くとチョット時間が有ったので改装工事中の銚子駅の前をフラフラした後、特に目ぼしい店や見る物も無かったので、今度は本命の銚子電鉄に乗りに行くことにしました。銚子電鉄の駅はJR銚子駅の中に同居しています。地方私鉄の駅がJR駅に同居と言う事自体は珍しくは有りません。しかし普通の駅ではJR改札口等で私鉄の切符を売っているのですが、銚子の場合JR駅で切符を売っている気配は有りません。駅員に聞いてみると「銚子電鉄に乗るのならそのまま入って下さい」と言われます。どうも銚子電鉄はワンマン運転で車内で切符を買う様です。
銚子電鉄のホームはJRの2番線・3番線の先に有りとんがり屋根の駅舎(?)が有ります。跨線橋を渡ると2・3番ホームには房総各線に投入されたばかりの211系が停まっています。211系の脇を通り過ぎるとその先が銚子電鉄の駅です。ホームにとんがり屋根の駅舎が有りますが、切符を売っている訳では有りませんし待合室が有る訳では有りません。銚子電鉄の各駅の駅舎は親会社が「内野屋工務店」時代に建てた個性的な駅舎が沢山有りますが(銚子・観音・君ヶ浜・犬吠)その後の困難でメンテが行き届いていない事も有り荒んだ感じです。暫くすると単行の
1000系
が入って来ます。そうすると乗客が三々五々集まってきます。観光客と思しき客を中心に立ち客が出るほどの乗客が集まり、賑やかな感じで電車は出発します。
左:JR銚子駅駅舎 右:JR銚子駅ホームに間借りする銚子電鉄銚子駅
左:路線の状況@観音 右:路線の状況@本銚子
しかし銚子電鉄は路面電車並みの最高速度40km/hなので駅間が数百mしかなくてもかなり時間が掛かる感じがします。地方鉄道でありながら最高速度40km/hと言うのは遅く感じますが、銚子電鉄の場合軌道こそ96年度までに「軌道の40kgN軌条化」が行われていますが、写真のように枕木も木製で劣化しておりバラストも砕石の形が無い状況で架線柱は木製で架線は路面電車並みの直吊架線方式で有りレベルは低く、おかげで路面電車並みの最高速度40km/h運転でも乗り心地はいままでの乗車経験の中でも最悪レベルです。
左:笠上黒生駅での乗降風景 右:笠上黒生駅に入線する上り列車(ポイントには15km/hの速度規制有)
左:上下列車のスタフ交換風景 右:笠上黒生駅の駅舎
銚子電鉄では今や日本でも数えられるほどしかなくなってしまった、「
票券閉塞式
」を仲ノ町駅〜笠上黒生駅間で採用している為、笠上黒生駅ではその為に有人駅であり写真の様な票券の交換を見る事ができます。
笠上黒生自体は田園風景の中にある駅で、駅舎は時代を感じさせる木造の建物で路地奥に引っ込んだ形になっており、駅の周辺は住宅と畑が混在した感じの地域ですが、商店は1件もなく閑散とした感じの駅で、この日も私以外に外川行き・銚子行きに各1名づつの乗車客がいたのと駅の待合室で地元の部活帰りの体操服姿の中学生が2名ゲームをしているだけでそれ以外の人は駅員以外居ない寂しい状況でした。
取り合えず交換風景を見学した後、お土産を買いにウオッセ21に向かうことにしました。しかしこのような行動をとるのは私一人でここから銚子漁港方面の観光施設に行く様な人はほとんど居ないようです。最初は「人気がないスポットなのかな?」と思いましたが、どうも人気が無い訳ではないようです。その訳が後でわかる事になります。
ウォッセ21は銚子漁港の外港に面した所にポートタワーと一体になってあり、銚子駅で聞いたときには「銚子駅からバスorタクシー」との事でしたが、地図を見ると「笠上黒生から1km位かなと思い」笠上黒生駅から歩いてみましたが・・・歩けど歩けど着きません。やっとの思いで県道254号線に出てポートタワーが見えてきたのでポートタワーを目指し県道から外れ食品工業団地の中を歩き笠上黒生駅から30分以上掛かりやっと到着しました。後で地図を見たらどうも道を間違えたようですが、より近い道を行っても歩くには厳しかったようです。
ウォッセ21の中には幾つもの魚屋さんが入っており、流石漁港の町銚子だけあり何回か訪れている
氷見のフィッシャーマンズワーフ
にも負けず劣らずの数の店が入っています。しかし魚の種類は珍しい魚が少なく時間も無かったのでメジマグロを中心に見繕って購入し家に宅急便で送る様にしました。「魚が地の物」と言う事もあるのでしょうがメジマグロ以外に魚の品揃えに華が無いと言う感じはしましたが、それでも(行った時間は同じ頃なのに)氷見以上の客が居たのには驚きました。氷見や銚子だけでなく那珂湊や寺泊も魚の直売で賑わっていますが、観光の側面から考えるとこの様な施設の集客力も馬鹿にはできません。
左:銚子電鉄犬吠駅の駅舎 右:犬吠駅構内に有る銚子電鉄の「せんべい屋」
犬吠の駅に着いたのは16時半を回る頃で周囲は薄暗くなってきておりましたがまだ観光客が居り閑古鳥が鳴くほどではありません。しかし外から駅の外観を見ると海辺の事も有ってか建物の傷みも激しく「
電車レストラン
」に使われている電車は完全に塗装が褪せてしまい「倒産直前」と言う感じになってしまっています。この日この様な時間でも犬吠駅には観光客が居て観光利用もそれなりに有る様なので、観光施設だからこそこの様な物の手入れはきちんとしてイメージアップを図って欲しい物です。
犬吠駅の駅舎の中に入るとお目当ての銚子電鉄直営の「ぬれ煎餅」屋さんが有ります。すでに数人の観光客が品定めをしていましたが「煎餅屋さん」とは馬鹿にできないいろいろな煎餅等の品揃えがあります。(銚子電鉄訪問時は今の騒動前だったので・・・今は違うだろう)何枚か写真を取らせてもらった後売り子のおばちゃんに「何がお勧めなの?」と聞いた上お勧めの煎餅を2袋お土産に購入しました。家に帰って置いておいたら私が食べる前に親が全部食べてしまいましたが、今回の騒動が報道された後に母親曰く「あれが噂の煎餅なの?美味しかったわよ?お気に入りの草加煎餅並に美味しいね。煎餅屋さんでも十分通用するわね」と言っていたので、噂の「銚電煎餅」はかなりの味のようです。
煎餅屋さんを訪問後駅員に「次の電車は?」と聞くと「外川行きですよ」との事なので、「銚子電鉄全線完乗」を目指すために取り合えず外川へ行き外川から銚子まで乗ることにしました。それで駅員から切符を買ったのですが・・・なんと未だに硬券です。秩父鉄道でも急行券の硬券は見ましたが未だに硬券が現役であるとは驚きです。
犬吠駅から外川行きの列車に乗り外川駅に降りてみると・・・「電車がタイムマシンなのか?」と一瞬思ってしまいました。1面ホーム1線+機回し線1線のこじんまりとした駅ですが、駅舎・ホームは木造で蛍光灯ではなく裸電球が照明として付いています。駅には自動券売機・自動改札と言う様な「自動」と名の付く物は(駅外にあるコーラの自販機以外)何も無く駅員が昔ながらの出札所で硬券を売っています。この前行った「
秩父鉄道上長瀞駅
」も似たような味のある駅でしたが、外川駅はそれを超えています。元々外川は
外川漁港
を中心に栄えた町で NHK連続ドラマ「澪つくし」の舞台として有名になった町ですが、坂道が有り風情のある町として有名です。そのような街に完全にマッチした木造の外川駅ですが、「よく言えば味のある、悪く言えば時代遅れ」の駅舎が有る意味銚子電鉄を示していると言えます。
外川駅からは取り合えず折り返しの列車に飛び乗り銚子へ戻ります。外川駅は「
地球の丸く見える丘展望館
」が約1kmと近いので観光客が居るかな?と思いましたが、私以外は地元客数人で出発です。その代わり次の犬吠駅で私が居たときから待っていた観光客を含め20名以上が乗って来てちらほら立ち客が出るようになります。流石に休日のこの時間だけあり東京方面に帰る観光客以外は地元客は殆ど乗ってこず、各駅に停車しても乗降ゼロのまま銚子に向かいます。唯一観音で2名乗ってきましたし次の下りを待つ人も2〜3名居た上に、観音駅に同居のたい焼き屋では部活帰りと思しき体操着姿の中学生がたい焼きを買っていました。流石に市街地に近く学校も多い駅だけあり、此処だけがにぎやかでした。
私は高速バスまで時間が会ったので仲ノ町で降りすでに真っ暗の車庫と此処も風情のある駅舎を眺めながら、銚子駅まで一駅歩いてみました。銚子の市街地自体が銚子駅前では無く、中央町・新生町周辺の県道244号線と銚子漁港(内港)に挟まれた地域であるので、微妙に中心を外れた仲ノ町〜銚子駅周辺はちょっと暗く寂れた感じです。その点から見ると銚子電鉄の銚子〜仲ノ町〜観音〜本銚子間はヤマサ醤油の工場へ貨物を運ぶのであれば良いルートですが、銚子の中心市街地とは微妙に外れています。その点から考えると銚子電鉄が「銚子の市内電車」的な使われ方をするにはルート的に厳しい状況があると言えます。
☆ 銚子電鉄は「せんべい屋が運行する鉄道」のままで良いのか?
この様に11月に「サラリと駆け足で」訪問した銚子電鉄ですが、この訪問後事態は急転直下し銚子電鉄は極めて危機的状況になっています。
11月15日の銚子電鉄HPに掲載された「電車修理代を稼がなくちゃ、いけないんです」と言うメッセージに起因するネットを中心とした一連の「濡れ煎餅購入の動き」
(11/27 ITmediaニュース)と11月24日に国土交通省関東運輸局が出した「
安全確保に関する命令
」の2つの動きがあり、今や銚子電鉄を取り巻く状況は約1ヶ月前の銚子電鉄訪問時とは決定的に異なる状況になり、今や銚子電鉄は極めて厳しい存亡の危機に立たされています。
有る意味銚子電鉄の危機は昨日今日に始まった話ではありません。元々銚子電鉄は創業当時から泡沫鉄道として苦労を重ねています。実際大正2年に開業後・大正6年に廃止・大正12年に再開業・昭和20年に空襲で約4ヵ月半運休と言う困難を経験し、戦後も昭和38年に1度役員会で廃止を決議(その後存続が決定)・昭和50年に地域のバス会社の千葉交通から地元企業の内野屋工務店へ譲渡・98年の親会社内野屋工務店の破産と言う様に、困難な道を辿っており何時潰れても可笑しく無い状況であり、実際この様な苦しい経営状況により昭和44年から銚子市の単独補助・昭和50年から鉄道軌道整備法による欠損補助・平成6年からは欠損補助を受けていますが、国の欠損補助は2004年に打ち切られておりその為経営的には極めて厳しい状況になっています。
その様に後ろ盾も無く厳しい状況で今回破綻した内野屋工務店に連なる前社長による業務上横領事件で運転資金のキャッシュ不足になり、今回の「電車修理代を稼がなくちゃ、いけないんです。濡れ煎餅を買って下さい」と言う騒動になったのが実情です。
確かに2ch・ブログ等のネットを中心とした「銚電濡れ煎餅購入運動」はかなりの広がりを持っており、テレビのニュース等でも取り上げられてからネット内の運動を飛び出して全国的に知名度が高まり運動が広がっています。その為今や濡れ煎餅は「11/27段階で9400件を超える注文・11/29には注文10000件を超え対応が追いつかなくてネットショップ休店」と言う状況になっています。確かに1件1,000円の注文が有ったとしても1,000円*10,000件=10,000,000円の売上が上がった事になります。それは今の銚子電鉄に取っては「大きな助け舟」になるでしょう。
しかし現実としては「今を乗り切れば良い」と言う訳ではなく、銚子電鉄は社会的に本当に必要なのか?銚子電鉄が本当に必要なのなら今後如何にして銚子電鉄を存続させて行くか?と言う将来をにらんだ現実的解決策で有ると思います。今「銚子電鉄支援濡れ煎餅購入運動」は色々な所で実施されていますので、TAKAの交通論の部屋では他のサイトやブログとは違う、現実的側面から今後の銚子電鉄のあり方について考えて見たいと思います。
(1)銚子電鉄の利用客の実態は?
先ずは今の銚子電鉄の利用の実体について考えて見たいと思います。私が訪問したのは11月3日午後と言う3連休の初日の休日の午後であり、車内の写真が示すように利用した列車の乗客の大部分は銚子〜犬吠間を利用する観光客でした。今はブームになり一斉に観光的利用客が押しかけて居るでしょうからその時以上に観光的利用が多いとは推察できますが、その前から既に銚子電鉄は「観光客が支えている鉄道」で有ったと言う事が出来ます。
実際銚子電鉄の「通勤定期客:通学定期客:定期外客」の旅客量(単位:千人)は1980年→205:571:678・1990年→105:366:560・1994年→78:292:660と言う数字になっています。この数字を見る限り銚子電鉄の利用客のメインは定期外客であり、通勤・通学定期客が漸減している状況の中で定期外客のみ落ち込んでいる物の何とか下支えしていると言うのが実情です。この下支えしている定期外客の大部分は状況から見て観光客であろうと言う事は、実際に乗ったときの状況から見た明らかで有ると言えます。
左:犬吠駅で列車を待つ観光客(16:50頃) 右:観光客が多い外川行き車内(11/3 15:42発)
加えて車両は少ない上に交換駅が笠上黒生しか無い為に約30分毎と言う今以上の運行頻度で運行するのは非常に困難な状況で有ると言えます。この頻度では観光地間の移動に使えません。しかも東京等の需要の根元地から銚子への移動に鉄道を使うウエイトが当初の試乗記で示したように減少していて、しかも高速バスは観光地の犬吠崎直行、車に対してはパーク&ライド施設が殆ど無い状況であり、これらの自動車系交通機関を利用してきた客を銚子電鉄に引き込む様な構造が出来て居ません。その為、銚子電鉄は生命線である筈の銚子域内の観光移動需要を引き込む事も出来ないでいます。
その様な状況から考えると、「銚子電鉄は地域の足としては機能していない」「銚子電鉄は観光客の足としても利便性が低い」と言う状況に有ると言えます。この様な「利用客を集められない鉄道の構造」が今の状況をもたらしたと言えます。銚子電鉄の今の状況は「不幸な悲劇」の側面も有るのは事実ですが、それ以上に「構造的にもたらされた衰退」が抜き差しなら無い状況になったと言う事が出来るのではないでしょうか?この事を銚子電鉄を考える上での前提にしなければならないと言えます。
(2)会社維持の為の銚子電鉄の涙ぐましい努力?
その様に「不幸な歴史」で「存亡の危機」に立った銚子電鉄ですが、銚子電鉄は「只漫然と滅亡の時を待った」と言う訳では有りません。他の皆さんがスポットライトを当てたヒット作「濡れ煎餅」業を始め、銚子電鉄は涙ぐましいまでの「企業存続のための新規事業開拓」の努力をしています。
鉄道会社の副業と言えば、不動産・観光・物販・バス・タクシー等の周辺関連の事業に進出し(大なり小なり)企業グループを形成するのが一般的です。しかし銚子電鉄自体が地域の交通産業の支配者である千葉交通から切離されて身売りされると言う流転の人生を経ている為に、その様な本業周辺の関連事業を展開する訳には行かず何か副業が無いかと言う事で紆余曲折の末今の濡れ煎餅屋に行きついたと言えます。
加えて不動産業(と言うには憚られる規模だが・・・)では観音駅に「タイヤキ屋」を併設するなど、今の企業規模と立地の中で出来てしかも鉄道の活性化に少しでも繋がる内容で副業を行う努力をしています。
この様な姿勢は評価できるし、その成果は上がっていると言えます。実際本業の鉄道事業は一番最初に示した「銚子電鉄 主要指標」に有る様に鉄道事業の売上は大きく落ちている状況でありながら、鉄道事業営業損益の赤字が大幅に改善されています。売上が落ちているのにそれ以上に原価が落ちて収支が改善していると言う事は「それだけ厳しい原価削減努力」をしていると言う事を意味します。平成13年→平成15年は従業員が減らないのに約22,000千円の原価低減・平成15年→平成16年は従業員3人減で約14,000万円の原価減を達成しています。
加えて平成15年度・平成16年度は鉄道事業で営業赤字を▲38,214千円・▲24,482千円出しているにも関わらず、会社全体の経常利益では何と1,027千円・22,766千円の黒字を出しています。この事は鉄道事業の赤字を穴埋めしてそれ以上、つまり40,000千円以上の営業利益をその他の事業で稼ぎ出していると言う事を意味します。銚子電鉄にとってはそれだけ収益が上がっている兼業事業が「濡れ煎餅」販売事業であると言う事が出来ます。つまり銚子電鉄は「鉄道会社」でなく「濡れ煎餅屋」なのです。
極めて冷徹に判断をすれば、銚子電鉄は鉄道事業を辞めて「濡れ煎餅屋」になれば優良事業者になれるのです(しかし鉄道のブランドが使えないことでの煎餅屋としてのマイナスが出るだろうから簡単には言えないが・・・)。しかし「其れでは本末転倒になる」と言う強い意志で鉄道を支えるために銚子電鉄は鉄道を運行しながら必死になって煎餅を売っているのでしょう。今回不幸にしてこの様な事態になりましたが、その今までの銚子電鉄の努力に関しては認めてあげなければならないならないと思います。
(3)問題は「安全運行に支障をきたすレベル」に有るインフラ施設
しかしその様な状況に有り、銚子電鉄では特にここ数年投資的経費が削減されてきた事は間違いないと言えます。今回訪問して驚きましたが、銚子電鉄のインフラ設備・車両設備の老朽化ぶりは驚くばかりです。今まで名鉄岐阜線区・日立電鉄等の「インフラがボロボロと定評の有る鉄道」にも廃止直前に乗車してきましたが、正直私が抱いた感想は「それらの路線以上に銚子電鉄のインフラの状況は悪い」と言う事です。
私の取った写真が不鮮明の為分かり辛いと思いますが、この中に有る銚子電鉄の軌道状況の写っている写真を見れば感じて頂けると思いますが、バラストは殆ど形を成していない・枕木は木製で朽ち果てつつある・架線は路面電車並みの直吊架線・海沿いの路線である為車両を含めた鉄製製品の腐食は進行中と言う「酷い」と言うレベルを通り越し「危険」と言うレベルにあると言えます。
その点から見れば、一回乗ったことの有る鉄道の施設に関し多少の知識の有る人ならば、今回の国土交通省の「安全確保に関する命令」のインフラに関する指摘に関して「これは当然だな」と感じると思います。過去に京福の2回の正面衝突の事故を止められず、そこで「地方鉄道の危険なインフラレベル」に関しての厳しい認識を持っていると推察される国土交通省が、「事故の事前予防」と言う側面で今回「安全確保に関する命令」を発したのは有る意味当然であると言う事が出来ます。
逆に言えば私は直接インフラ劣化が原因では無いといえども(原因は票券通票式閉塞での運転手の勘違い、近代的な機械的な閉塞であれば防げた)95年に正面衝突事故を起こしている銚子電鉄ですから、「安全管理体制確立」と言う点では組織改善で直ぐ出来ても「鉄道施設改善」は直ぐ出来ない事を考えると、今回の命令が「即時運行停止」でも可笑しくはなかったと考えます(2ヶ月で改善できなければ運行停止処分も有ると言われているようだが・・・)。このインフラに関しては少なくとも改善しなければ銚子電鉄の運行は継続できない事になります。
では如何すればいいのか?となると速やかなインフラ改善が今後の運行にとって絶対条件になります。しかしインフラ改善には巨額の費用がかかります。果たして其れをどうやって調達すればいいのでしょうか?まさか数億円は下らないインフラ改善費用を「濡れ煎餅を売って調達」と言う訳には行きません。
一説に寄れば、銚子電鉄の「軌道保全・変電設備更新・信号系設備等更新」で5億円の費用がかかると言う話も有ります。確かにこれ位の費用が掛かるでしょう。今手元に物価本と軌道工事の代価表が無いので軌道修繕工事の工事原価は正確には算出できませんが、「
ちほく高原鉄道の「将来的な保守も考慮した」簡易高速化(会社積算)費用内訳
」を元に算出すると、6.7kmの50kgN軌条化→@\12,660*6,700m=\84,822,000・バラスト厚200mm→@\4,150/50mm*4*6,700m=\111,220,000・PC枕木m当り1.36本→6,700m*1.36本*@\7,300=\66,517,600合計\262,559,800に車両を更新するとして最低2両+予備1両=3両で新車で最低1億円で計3億円(中古は良い出物が有るかが問題・・・)架線更新・架線柱更新・踏切施設更新・信号系施設更新・変電設備更新となると、10億円近い費用が掛かる事は明白です。これを1年で投資しなければならない訳では有りませんが、3年に分けるにしても年3億円は投資費用が必要になりますし企業が資金を調達した場合将来に渡り減価償却費がかかります。
殆ど鉄道インフラの再構築とも言えるレベルの投資が必要ですが、「此処まで必要なのか?」と言う議論も有りますがレベルの高低は別にして有る程度のインフラ投資は国土交通省から「鉄道施設改善」に言及した「安全確保に関する命令」が出ている以上、鉄道として安全な輸送を行い今後も存続する為には必要で有ると言えます。
其処で問題になるのは、「それだけの投資をして銚子電鉄は救う価値が有るのか?」と言う廃止に直面したローカル鉄道が突き当たる命題に対して答えを出さなければなりません。果たして銚子電鉄はそれだけのインフラ負担投資を誰かが引き受けても生き残らせる必要が有るのでしょうか?
(4)「銚子電鉄存続」について「地元・自治体」が決断する時が来た?
この様な状況から考えて、今や銚子電鉄の存続に関しては「崖っぷち」状況で有る事は間違い有りません。少なくとも銚子電鉄が単独でこの難局をクリアするだけの力を持っていない事は、車両の定期検査委託料すら払えず「電車修理代を稼がなくちゃ、いけないんです。濡れ煎餅を買って下さい」とアピールする状況であることから明らかです。銚子電鉄自体は「最大限努力をする」としてもその力では如何ともし難い所まで来ているのは明らかです。
ましてやネット上の「銚電濡れ煎餅購入運動」が短期的に会社のキャッシュフローを豊かにして当座の危機を救う事は出来るかも知れませんが、それ以後の「鉄道会社としての根本的存続策」までその運動の力が支える事が出来ない事は明らかですし、今陸続と銚子を訪れているマニア層・ブームに乗った人たちがブームが終われば去ってしまい「銚子電鉄の利用客増」にごく短期的にしか寄与しないのも又明らかです。
そうなると今後特にインフラ改善の投資の点で銚子電鉄を支えるキーパーソンは間違いなく自治体の銚子市になります。銚子市自体今まで欠損補助を行う等補助に関しては積極的で有ったので、その点に関しては銚子電鉄の支援に乗り出してくれるだろうと期待が持てるといえるでしょう。
具体的には銚子電鉄が軌道車両施設を銚子市に無償譲渡して、その代わり上記のインフラ改善費用を銚子市が負担して銚子電鉄からいくばくかの使用料を徴収すると言う「上下分離」しかないと言えます。銚子電鉄自体は会社は黒字ですし、鉄道事業も営業収支的にはかなり改善されてきていると言えます。しかし投資的費用を賄う事が出来ないと言う点が最大の問題で有ると言えます。今の危機に対し緊急融資で借金の市への借り換えをしてあげて、資金上のの不安を取り除き(これは当然後で銚電から市に返してもらう)その後運行とインフラの責任を分担する事です。そうすればインフラ使用料を低額に抑えさえすれば銚子電鉄が今のままの運営体制で鉄道事業+濡れ煎餅屋で運営していけば存続可能で有ると考えます。
又その様な上下分離での存続の道筋を付けた段階で、「普通運賃の値上げ」と言う選択肢も経営改善の選択肢として考えられます。実際銚子市に補助を貰う以上市税を負担する地元利用者には値上げを強要できませんが、定期外利用客の大部分は費用負担への抵抗力の有る観光客で有ることを考えると、「通勤・通学定期料金据え置き(or多少の値下げ)・回数券の割引アップ」で地元利用客の増大を狙いつつ、「普通運賃の3割程度の値上げ」で非日常利用客に応分の負担を願い確実な増収源を確保すれば、収支均等までは行かなくても今より収支が改善さてた経営状況を確保できます。3割の値上げはかなり大幅ですが、定期外利用客の大部分を占める観光客のメインの利用区間である銚子→犬吠間片道で310円→400円なので、往復割引導入・1日乗車券販売等でフォローしてあげれば相手は非日常利用の観光客なので影響は少ないと考えられます。そうすれば重要収入源の観光客さえ逃げなければ、増収が図れ銚子電鉄の経営は今よりかなり改善されると考えます。
しかし最大の問題は「其処までして銚子電鉄が必要なのか?」と言う一点です。(1)で見た様に銚子電鉄は地元の利用客は殆ど居ない状況でメインは観光客であり、その観光客にしても使い辛い状況に有る事は検討してきた通りです。その様に今の様な「限定的な公共性」しか持たない鉄道に地方自治体が数億円〜10億円の投資をする事に市民の理解を得られるか?と言う一点に有ると言えます。
実際的に街の人口規模が約7.5万人の銚子市で1つの鉄道会社が市内鉄道で必要か?と言えば、私は「バスで十分代替え可能」であると考えますし、又財政負担をする銚子市の財政規模も平成18年度で「
一般会計約231億円・土木費23.75億円
」と言う財政規模ですから、10億円近く掛かるであろう銚子電鉄のインフラへの補助は財政的にかなり厳しいと言えます。
その様な状況の中で果たして銚子電鉄は「残す価値の有る鉄道」であると言えるのでしょうか?それに対し私は調子電鉄を残す価値に関して疑問を持ち、バス代替で十分で観光路線の側面から考えればバスの方が面の拡がりを持てて利便性が挙がるので、銚子電鉄跡地は1918年〜1923年の「地元の旅館送迎バス専用道路」としての運用では有りませんが観光バス専用道路にして其れを利用して銚子駅〜ポートタワー〜君ヶ浜〜犬吠崎〜地球の丸く見える丘展望館〜屏風ヶ浦〜飯岡と廻るバス路線を作り観光用に利用するほうが地域の観光促進には賢明ではと考えます。
その様な考え方に対し、理論的に「如何に銚子電鉄存続が必要か?」と言う理論的説明を地元・自治体が納得して金を出してもらえるようにしなければなりません。其れは非常に難しいと言えますが危機的状況にある銚子電鉄が生き残る為には困難でもしなければなりません。それに国土交通省の「安全確保に関する命令」が期限付きで突きつけられている以上、銚子電鉄に存続のために残された時間は多くは有りません。
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今までローカル鉄道は数多く廃止されてきましたが、昭和30年代〜40年代の私鉄地方ローカル線が廃止されてきた時代には、今の銚子電鉄のように「金が尽きて運行できなくなり突然死の様に廃止」と言う鉄道も有ったはずです。その時には今の銚子電鉄の様に「温かい支援」が寄せられる事無く寂しく消えていった筈です。その点から考えると今の銚子電鉄は幸せ物で有ると言えます。
其れは「火をつけたら燎原の火の如く広がる」ネットの(良い意味での)実力発揮と、銚子電鉄が今までの努力で「濡れ煎餅」と言う「簡単に買える支援になる物」が有ったから今回の様な「銚電濡れ煎餅購入運動」が成立した事は間違い有りません。その点では銚子電鉄は「今までの努力で救われた」と言う側面が強いと言えます。
しかしネット上でも「
2chでは「今回、銚子電鉄が一時的なブームで危機を乗り越えても、また資金難がやってくるのでは」と心配する声も上がっており、長期的に支援する方法を探る議論も盛り上がっている。
」(11/27 ITmediaニュース)と言う議論が盛り上がっているようですが、実際大切なのは「銚子電鉄が恒久的に存続できるスキーム」であり、その為には「存廃を含めて銚子電鉄は本当に地域にとり必要なのか?」「安全確保に関する命令がでた段階で、存続させるにはどれ位の努力が必要か?」と言う具体的な内容の検討で有ると考えます。
自分もHPを持っているので正しく「ネット上の人間」で有る事は否定できません。今回一連の「銚電濡れ煎餅購入運動」を見て、ネットが火をつけマスコミが火を大きくした事での、濡れ煎餅購入が10,000に達すると言うその効果大きさを見て、ネットの力の大きさには一ネット上の人間として正直驚かされました。
偶々「関東鉄道めぐり」のネタ拾いに銚子を訪れたのが11月の3日で、ネタ的には「11月は秩父で12月が銚子」との予定で居たので、私的には最終的には予定通りの執筆を行ったのですが、ここ数日で書く前は「皆が銚子について書いているのに後から猿真似みたいに書くのはヤダ」と思い、執筆をやめようかと思っていました。
しかしネット上を見ると「銚子電鉄が危ない」「濡れ煎餅を買って下さい」「銚子電鉄に行って来ました」と言う記事が主流で、詳細な分析とこの問題の根本に有る「本当に銚子電鉄は存続させる社会的必要性が有るの?」と言う問題に触れているサイト・ブログに当たる事が出来なかった為、今までTAKAの交通論の部屋で「
近年のローカル線の廃止問題について考える
」「
「ローカル線廃止」の「ドミノ倒し」は止まるのか?
」等でローカル線の廃止問題について触れていたので、今回「後追いになるが違う視点で触れてみよう」と思い、「関東鉄道めぐり」で銚子電鉄を取り上げて見ました。
私が思うに「銚子電鉄は社会的に必要な鉄道ですか?」と言う命題に関しては、「NO」であり「バス代替でより便利な観光・地域輸送網が作れる」と考えます。しかしその選択をするのは「私」でもありませんし「ネット上の人間」でもありません。銚子電鉄と自治体の銚子市と地元の利用者を中心とした住民です。只「存続のために濡れ煎餅を買う」と言う事も重要ですが、それ以上に「論理的に選択肢を示す」と言う事も、銚子電鉄の将来を考えて真に必要であろうと考え今回はこの様な文を書きました。将来の存続を考えると銚子電鉄の将来のために決断する為の時間は多くは残されて居ません。その残り少ない時間を有効に使える一助になればと思い今回はこの様な文を書いてみました。
そういう意味では今回の「関東鉄道めぐり」の一文はちょっと毛並みの違う一文になりましたが、その点を含み置きして頂きご一読をして頂ければ幸いに思います。
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