東武鉄道朝ラッシュ輸送
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やっと発揮した1000億円の設備投資の真価?



−東武鉄道の朝ラッシュ輸送の変化を見る−



 2007年 7月 17日 TAKA (訪問日7月13日)


伊勢崎線の輸送形態を根本から変えた半蔵門線乗り入れ線@曳舟


 東武鉄道といえば今や463.3kmの路線延長を持つ「関東最大の民鉄」ですが、その鉄道輸送の根幹は伊勢崎線・東上線の都心部分を中心とした都市圏輸送と埼玉・栃木・群馬と言う北関東に広げたネットワークによる広域輸送の2つであり、その内の都市圏輸送は伊勢崎線では日比谷線・半蔵門線への地下鉄乗り入れと17.3kmの複々線が東上線では有楽町線への地下鉄乗り入れと5.3kmの複々線が支えています。その東武鉄道の都市圏輸送は昭和30年代後半から現在に至る長い期間に構築されたそれらの巨大なインフラが支えており、戦後の東武鉄道の歴史は正しく「都心アクセス改善と輸送力増強の歴史」であると言えます。
 その東武鉄道の「都市圏輸送」と「北関東の広域輸送」に大きな転機が訪れたのは、昨年3月のダイヤ改正でした。昨年のダイヤ改正に関してはTAKAの交通論の部屋・交通総合フォーラムでも議論しましたが、やはり今まで関東の民鉄でほぼ唯一「都市圏輸送」と「広域輸送」が並立して行われていた東武伊勢崎線のダイヤ改正での「都市圏輸送主体への切替」は劇的な物が有ったと思います。
 又今までも行われていた「都市圏輸送」でも今までの「伊勢崎線緩行⇔日比谷線直通」がメインであった形態から、「伊勢崎線緩行線⇔日比谷線」に加えて今までは北千住乗換を強いていた伊勢崎線急行線のかなりの部分が半蔵門線直通と接続し「伊勢崎線急行線⇔半蔵門線直通」と言うルートが確立し、2本立てになったのは非常に大きな変化で有ったと言う事が出来ます。

 そのダイヤ改正に関しては、その劇的な改正内容も有り改正直後には現地訪問などを行い状況を見たりしていましたが、私の基本的な行動範囲から東武伊勢崎線沿線が外れている事も有りその後は殆ど訪れる事が有りませんでした。しかし先日行った健康診断を受ける病院が偶々東武伊勢崎線堀切に有り、その為山手線から北千住経由で東武に乗り朝ラッシュの東武伊勢崎線を利用する機会が有りました。
 その時に北千住の朝ラッシュの時間帯にはチョット遅かった物の朝ラッシュ時の北千住での東武伊勢崎線急行線・浅草方面への輸送の状況をチラリとですが見る事が出来ました。「半蔵門線直通」を重視したダイヤ改正から1年チョットが経過して、私が前に感じていた「東武伊勢崎線輸送の姿」とはかなり異なる、ダイヤ改正後で大幅に変わった今の姿を見る事が出来ました。その辺を実情を交えながら纏めて見たいと思います。


 ※「TAKAの交通論の部屋・交通総合フォーラム」東武ダイヤ改正関係記事
 ・ 東武3月ダイヤ改正は何をもたらしたのか?   ・ 東武は北関東ネットワークを捨てるのか?  ・ 東武3月ダイヤ改正の効果は?
 ・ 鮮明な輸送体系変革〜〜東武鉄道のダイヤ改正 (交通総合フォーラム 和寒様) ・ 「常識の実現」に戸惑い〜〜東武鉄道ダイヤ改正短信 (交通総合フォーラム 和寒様)

 ※「参考文献」 ・東武鉄道100年史 ・鉄道ピクトリアル1997年12月増刊号 東武鉄道

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 ● 朝ラッシュ時の北千住駅での上り半蔵門線・浅草方面の乗降・利用状況

 私が堀切の病院に行くために山手線→常磐線と乗り継いで北千住の駅に着いたのは8時10分過ぎでした。病院の検査の予約が9時だったので時間に余裕を見て北千住を8時40分頃に出れば十分間に合います。と言って堀切駅前にはコンビニ1件も無いので此処で時間調整が必要になり成人病の検査に行くので食事やお茶も論外で有り、仕方なくホームで朝ラッシュ時と言うにはチョット遅い時間でしたが乗降の様子を見ながらブラブラしている事にしました。
  東武線の朝ラッシュ時のダイヤ は半蔵門線直通7本(久喜発急行3・南栗橋発急行1・南栗橋発準急3):浅草行き区間急行6本(太田発3・館林発3):北千住止まり区間急行5本(新栃木発5):浅草行き普通5本(竹ノ塚発5):日比谷線直通普通18本の合計41本が運転されています。比率的には半蔵門線直通列車の比率は全体の約6分の1・優等列車の約3分の1ですが、果たしてその存在感はどれ位なのか?注目したいと思います。

☆8:21発 半蔵門線直通 急行 中央林間行き
  
左:入線時風景 中:乗降風景 右:出発直前風景

 8時20分チョット前に上りホームに降りて丁度ホームの真ん中辺りに陣取り、東武伊勢崎線上り浅草・半蔵門線方面の乗降の状況を見て時間を消化する事にします。ホームに降りたときには電車が入ってくる前でしたが、1ドア当り10人前後の半蔵門線直通の列車を待つ人の列が出来ています。これを見ると日比谷線・千代田線と言うメトロ2路線が有る北千住から曳舟・浅草・半蔵門線を目指す人がかなりの数居る事が明らかです。
 急行は混雑率にして150%を少し越える程度の乗客数で北千住に到着します。北千住に到着すると当然ながら多数の人が降りてきます。只降りてくる数は1ドア当り20名程度で、思ったより多く有りません。結局の所1ドア当り「20名降車・10名乗車」と言う程度の乗降なので、急行の車内は見た目「チョット空いたかな?」と言う程度のレベルで北千住を発車していきます。

☆8:25発 区間急行 浅草行き
  
左:乗降風景 中:出発直前風景 右:後4両を切離し浅草に向う区間急行

 次に来たのは半蔵門線直通急行の続行で有る区間急行浅草行きです。この電車は伊勢崎線太田発の「過去の歴史の名残」とも言える長距離走行の区間急行列車です。しかし6:29太田発・6:59館林発で北千住着が8:23と言う列車で太田〜北千住間を約2時間掛けて走る列車です。しかし区間急行は北千住以北では急行と同じ停車駅の列車です。ですから基本的には「北千住で乗り換え」用の列車と言えます。
 その為か伊勢崎線群馬県北部からの長距離列車で有りながら混雑率は130%程度?と明らかに1本前の急行より空いた状況で入線してきました。そうすると殆どの人が降りてしまいます。それは浅草行き10両編成区間急行の為「浅草駅の制約」故に北千住で2分停車して後4両を切離します。その間向かいのホームから8時23分発の竹ノ塚発浅草行きの普通が発着します。完全接続では有りませんが接続する場合乗り換えできるので殆どの人たちが列車から降りてしまいます。
 殆ど乗り換えの為に降りてしまった為に疎らに立ち客が居る程度の乗客数で浅草に向います。区間急行は前の普通浅草行きに乗客が乗り換えてしまった為に、前の浅草行きが同じ6両でも混雑率100%程度の混雑率で出て行ったのに対し区間急行は6両でも余る程度の利用客で浅草に向います。北千住で対面接続で浅草行き普通と区間急行浅草行きが接続するのならどちらかの列車は北千住以南は不要かもしれません。

☆8:31発 半蔵門線直通 準急 長津田行き
  
左:入線時風景 中:乗降風景 右:出発直前風景

 次の列車は8:31発の半蔵門線直通の長津田行きです。只この列車は8:21発の急行中央林間行きと異なり種別が準急の為、新越谷以北各駅停車・せんげん台で8:26着区間急行北千住行きに追い越されている為に、せんげん台以北から北千住に急ぐ人は区間急行に乗り換えている為、より半蔵門線直通指向の強い人が利用している為に、「半蔵門線直通のニーズが弱い場合空いているのでは?」と思える列車です。
 時間帯的には押上8:40着の為、朝ラッシュ時の通勤輸送にはチョット遅い列車なので、前の列車と比べると明らかに混雑率が落ちるかな?と思いました。しかし見た目「前の急行よりチョット空いているかな?」と言うレベルで、極端に利用率が落ちる事は見た限り有りませんでした。
 北千住でこの列車を待つ人は前の急行に比べると明らかに少なく1ドア当り数人と言うレベルでしたが、せんげん台で区間急行待避を行っていることも有り、北千住での降車客も少なく前の急行と同じ程度のレベル混雑率で150%を少し割るレベルで北千住を発車していきます。半蔵門線だと通勤の目的地は大手企業が多い大手町が多いという事で時差通勤が普及しているのでしょうか?明らかに朝9時始業には遅めの列車でも混雑している感じでした。これが北千住7:45〜8:15と言うラッシュのトップ時間ではどうなるのでしょうか?非常に興味の有るところです。

☆その他列車
  
左:8:26着北千住止まり区間急行乗降風景 中:8:32発普通浅草行き乗降風景 右:8:35発区間急行浅草行き乗降風景

 メインに上記の3本の列車を見ていたので、3番線に発着する北千住止まり区間急行・竹ノ塚発浅草行き普通はその詳細を見る事が出来ず写真をチョット取るのがやっとでした。
 しかし見た感じでは北千住止まりの8:26着の区間急行は混雑率的にはその前の浅草行きと代わらず、又浅草行き列車を待つ人・次の準急を待つ人:北千住で上のコンコースを目指す人(北千住下車orJRやメトロへの乗換客)の比率が1:4位であり、明らかに「区間急行は北千住で乗りかえる既存の東武伊勢崎線の流動対応の列車」として機能していると見えました。
 又浅草行き普通列車は北千住に到着時点では「座席がサラリと埋る程度」の混雑率です。実体的には伊勢崎線緩行線が「日比谷線の延長線」と言う使われ方が多い事から、伊勢崎線の緩行線から浅草を目指す流れと言うのが乗客の流動的に合わない証明の様に見えます。又北千住〜浅草間で普通・区間急行が両方走るのも「チョット過剰かな?」と言う感じはします。浅草のターミナルとしての地盤沈下は誰が見ても明白です。通勤のターミナルとして使う人は殆ど少ないでしょうし業平橋・東向島・鐘ヶ淵・堀切・牛田の5駅に朝ラッシュ時に約5分毎に列車が必要なのかな?と言う気はしました。この点は合理化を考えても良いかもしれません。


 ● 06年3月のダイヤ改正で東武の朝ラッシュ輸送は変化したのか?

 今回この様に東武北千住駅の朝ラッシュ時輸送の状況を見てきましたが、「06年3月のダイヤ改正で東武の朝ラッシュ輸送は変化したのか?」と言う命題に関して言えばYesでありNoで有ると言えます。
 基本的に 06年3月ダイヤ改正 で都市圏輸送に関してのメインの変更は「昼・夕の半蔵門線直通増発」「種別の変更」であり、半蔵門線関係の朝ラッシュ時の通勤輸送に関しては「種別の変更」と「朝ラッシュピークに1本増発」と言う事で殆ど変化が有りません。ですから実際には「朝ラッシュ時の半蔵門線輸送」と言う点で見れば「変ったか?」と言う命題にはNoと言う事になります。
 しかし実際に発生している状況を見れば、今回のダイヤ改正と言う「点」でなく4年前の平成15年の「半蔵門線直通施設の完成」以来継続的な「線」としてでは有りますが変化してきた物であり、今までの「北千住でメトロ日比谷線他に乗換or業平橋・浅草で地下鉄の乗換」がメインルートで有った物を「短距離普通主体の緩行線は日比谷線経由で都心直通&中距離の優等主体の急行線は半蔵門線経由で都心直通」と言う2本立てに建替えた物であり、これにより創業以来苦労してきた「都心直通アクセス」を構築したと同時に、利用的にも迂回ルートでは有ったが優等の直通乗入で迂回のデメリットを打ち消し「優等も都心直通」と言うのを根付かせ、中距離輸送を担う優等系を都市圏輸送形態に変えて東武を「都市圏輸送鉄道」に変化させたと言う点では「変化はYes」と言う事になります。

 けれどもこの変化は東武にとって明らかにしかも大きな変化をもたらしたと言えます。今の東京の民鉄の輸送形態は「大都市圏輸送主体で地下鉄による都心乗り入れが行われている」と言うのが特徴であり、新宿・渋谷・池袋と言う副都心にターミナルを持つ鉄道は副都心ターミナルへの輸送と地下鉄乗り入れを並存的に行い、ターミナル立地が悪い鉄道は都心直通運転に活路を見出して都市圏輸送を実施しています。しかし東武は都心進出への取組はどの民鉄より早かった物の「東京の北〜東の民鉄の宿命として山手線接続の都心にターミナルを置けない」「地下鉄乗り入れが早かった故に路面電車の延長的な日比谷線に乗り入れてしまい、都市間輸送等での高規格運転を行っていた東武の現状とのミスマッチ」が発生してしまって、東武の努力は浅草ターミナル・日比谷線乗り入れと「都心アクセス」に関しては空回りを続けていたのが歴史です。
 その空回りを解消してくれたのが、半蔵門線乗入だったと思います。これは多分ですが、東武は当初は「業平橋折り返しの朝ラッシュ時専用の準急(1997年当時10本有った)を都心に直通させられれば、日比谷線と北千住の混雑を救済できるだろう」と言う「朝ラッシュ混雑の救済」がメインで半蔵門線直通を実施したのではないでしょうか?其れが特に朝ラッシュ時に思ったより上手く半蔵門線に転嫁してくれて意外に利用された為に「もしかしたら優等系の輸送を半蔵門線の延長線として根本的に変えられるかもしれない」「其れにより比較的奥の地域(特に杉戸高野台と南栗橋)の開発がもう一歩進むかも知れない」と言う「日比谷線の2匹目のドジョウ」を狙い、06年3月のダイヤ改正を仕組み「(久喜・南栗橋系統分割での)優等系の大都市圏輸送への転換」に踏み切ったのかもしれません。
 その様に考えるならば「半蔵門線直通で東武の朝ラッシュ時輸送が変った」事で、東武鉄道の輸送に大きな変化がもたらされたと言う事が出来ます。その変化の代償として行われた「久喜・南栗橋の系統分割、地方ローカル線切離し」の成否を含め、東武鉄道の「伊勢崎線優等系の大都市圏輸送への転換」が正しかったのかは分かりません。未だ結果を判断するには速すぎると言えます。しかしこの半蔵門線直通が「大きなターニングポイント」で有ったということは間違い無いでしょう。


 ● 1000億円の「社運を掛けた巨額投資」と06年3月ダイヤ改正でやっと実った「東武鉄道の都心直通への努力」

 東武鉄道の「都市圏輸送への変身」について過去に見ていた「 東武は北関東ネットワークを捨てるのか? 」「 東武3月ダイヤ改正は何をもたらしたのか? 」「 東武3月ダイヤ改正の効果は? 」を踏まえて、今回今の東武鉄道の輸送について朝ラッシュ時の状況を見る事が出来ました。
 少なくとも朝の限られた時間の北千住駅の複々線の急行線のホームしか見る事が出来なかった上に、北千住駅の改良工事の為日比谷線のホームが3階に上がってしまった為3階のホームまで見れず、加えて急行線から日比谷線への乗換客が北千住から西新井へ転移したと言われているので、日比谷線の混雑状況までは把握する事が出来なかったので、見る事が出来た範囲は「限定的」と言わざる得ませんが、其れを加味しても今の半蔵門線直通の状況は「よく利用されている」と言う事が出来ます。
 曳舟〜押上間の半蔵門線直通施設が完成してから約4年ですが、特に昼間の輸送こそ東武伊勢崎線は絶対輸送量が少なく10両編成毎時6本の輸送力だと半蔵門線直通は輸送力過剰かな?と思いますが、朝夕ラッシュ時輸送の関して言えば「半蔵門線直通は完全に定着した」と言う事が出来るでしょう。定着したと言うより日比谷線ルートと並ぶ「東武鉄道都心直通ルートの柱」と言っても過言ではないと思います。
 その様な状況から考えれば、東武鉄道は「積年の悲願の都心直通への努力が実りやっと決定的ルートを手に入れた」と言う事が出来ます。その「都心直通ルートの決定打」を手に入れたと東武鉄道が考え、実際に朝ラッシュの輸送で業平橋止まりの「行き所に無い準急」を半蔵門線に直通させ「半蔵門線直通輸送の有用性」を確認したからこそ、06年3月の輸送体系の大規模転換を意図したダイヤ改正を行ったので有ると言えます。その点から見れば「06年3月ダイヤ改正は半蔵門線直通ルート成熟の証」と言う事が出来ます。
 今後は06年3月改正で昼間・夕ラッシュ時の乗入本数増強を果たして、10分毎運転と言う十分な「都心直通の輸送力」を得た事をもう一段加速させて、朝ラッシュ時の更なる輸送力増強を果たす事が必要かもしれません。半蔵門線乗り入れが実現した事で越谷〜大手町43分・春日部〜大手町61分・久喜〜大手町69分と言う時間で乗換無しで結ばれる様になりました。この競争力は大きいと言えますし通勤輸送の競争力増大は沿線の不動産開発に大きな影響を与えます。ですから今比較的貧弱になってしまった毎時7〜8本の朝ラッシュ時輸送を浅草止まりor北千住止まりの区間急行の半蔵門線直通運転化と言う形で増発し、半蔵門線直通へのシフトをより一層進める事が東武鉄道に取り「都心直通第二ルートの深度化」に繋がり、今首都圏で激しくなっている地域間競争に勝ち抜く上で大きなメリットをもたらすのではないか?と考えます。
 
 又この東武鉄道の「半蔵門線直通」ルート形成の為の努力は決して無駄ではなかったと言う事が出来ます。半蔵門線の延長線は本来四つ木・松戸方面に抜ける計画でしたが、その様な「 運政審では提示 されているが何時成立するか分からない」路線でしかも建設しても採算性に大きな疑問が有り事業がはかどらなかった路線に対し、政府の総合経済対策を絡めて上手く事業化・乗入実施を果たして東武鉄道の都心直通ルートを新たに構築する事が出来たのは非常に上手い方策であったと思います。
 この事業は半蔵門線水天宮前〜押上間建設に総工費1830億円、東武鉄道も曳舟〜押上間連絡線建設に640億円・総事業費で1000億円を投じた事業ですが、特に東武鉄道に取ってはそれだけの投資をした価値の有る事業であり、正しく「伊勢崎線と半蔵門線の相互直通運転は更なる発展へ向けての有効な施策」(東武鉄道100年史)で有ったと言えます。
 まして当初は「遠回りの路線が使われるのか?」「日比谷線経由から転移して来ないのでは?」と危惧された路線でしたが、実際は他のバイパス乗入路線(例えば西武・東武⇔有楽町線乗入や目黒線⇔南北線・三田線乗入等)に比べて、一番利用されている(迂回ルートの)地下鉄乗入路線となっていますし、東武鉄道に取って抱えていた 東武鉄道・メトロとの運賃問題 に関しては東武は「 一定額をメトロから貰っている 」との事で有り、東武にしても1000億円の投資の回収についてそれなりの運賃の裏付を確保しています。
 この様な事から考えると、東武鉄道の半蔵門線乗入は「都心第二ルート確保」「中距離優等電車の都心直通」「沿線の価値向上」「押上・業平橋地区の価値向上(これが 新東京タワー に繋がる)」「自社線利用増による運賃収入期待」等々非常に大きなメリットが有ったと言う事が出来ます。その点から考えれば1000億円の投資は東武に取り「十分効果が期待できる投資」で有ったと言う事が出来ます。
 又1000億円掛けて構築した半蔵門線直通ルートが今後とも東武の「都心直通のメインルート」として活躍する事で、東武鉄道が今後成長して行くに当り「新東京タワー」に代表される沿線を軸に行う新たな発展の原動力になると言う事が出来るのでは?と思います。




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