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「先手必勝」の作戦で変化する成田空港アクセスの中で生き残れるか?
- 先手を打って10月1日から新型車両を投入した成田エクスプレスに試乗して -
TAKA 2009年11月11日
僅か19年で253系からE259系へ早めのバトンタッチの効果は?@新宿駅 |
☆ ま え が き 〜「ハブ空港議論」で注目を集める成田空港のアクセスの新たな動き〜
今年は「総選挙と政権交代」の年となってしまい、8月の総選挙・9月の鳩山内閣誕生と政治の世界では大きな動きが起きていて、その影響が色々な所にも出てきて居ます。
その「政権交代」で出来た鳩山内閣で今ホットな話題の一つが「ハブとマングース」の話です。「ハブとマングース」と言っても奄美や沖縄でショーとして行われて居る「
ハブとマングースの決闘
」では有りません。前原国土交通省が突然打ち出し世間を騒がせて居る「羽田空港のハブ化構想」における「羽田と成田の間の内際分離撤廃」問題で、前原国土交通大臣に最初噛み付いた森田千葉県知事が、その後羽田と成田の関係を「
俺たちも頑張るけど、きっと羽田も頑張るぜ!羽田が『ハブ』なら、俺たちは『マングース』になってやる!
」と挨拶で述べた事で、チョット知名度が上がった話です。
まあこの森田知事の「ハブ」と「マングース」の例え話で「マングース」は当然の事ですが成田空港になります。しかし成田空港は「本当にマングースほど強いのか?」と言えば、「チョット待った!!」と言いたいのが実状だと思います。実際の所成田空港は「B滑走路が暫定で横風滑走路も整備(ほぼ)不可能」「騒音問題で24時間運用が不可能」「東京都心から(実質)1時間以上掛かり遠い」等問題を抱えていて、必ずしも「マングースの様に強い空港」とは言えない空港です。
実際「チョット弱い?マングース」の成田空港も、今改善に向けて行われていたプロジェクトが完成を向かえつつ有ります。それが「
B滑走路の2500mへの延伸(暫定解消)
」と「
成田新高速鉄道整備事業
」です。これらが完成する事で、成田空港の発着回数は22万回/年に増加すると同時に成田空港〜日暮里間が36分に短縮されるなど、弱点の「発着回数」と「アクセス」の面で成田空港の利便性は大幅に向上する事になります。
その成田空港の弱点の一つで有る「空港アクセス」について、来年度早い時期に「成田新高速鉄道」が開業する事に寄り「鉄道アクセス」の片翼を担う京成電鉄は劇的に改善されて運賃だけで無く所要時間に置いても競争力を持つ事になります。
しかし「新線開業による所要時間の短縮」と言う大きな恩恵を受ける京成電鉄に対し、鉄道アクセスのもう片翼を担うJR東日本は今まで実質的にほぼ同等だった所用時間でも劣勢に立たされる事となり、JR東日本の空港アクセスの主力を担う成田エクスプレス(N'EX)は苦しい状況に追いこまれる事になります。
その状況に対してJR東日本は手を拱いて居る訳では無く、「先手」を打つ形で登場から19年と言う微妙な時期に有る主力の成田エクスプレスに新型車両のE259系を投入し全車両を更新する事でサービスの向上を目指す事となり、本年の10月1日より新型のE259系の運行が開始されました。
今回、偶々新型の成田エクスプレスE259系に試乗をする機会に恵まれましたので、JR東日本が来年の「成田新高速鉄道&京成電鉄の新型スカイライナー投入」に対して「先手を打つ」形で投入された新型成田エクスプレスE259系の出来栄えと、此れから大きく変わる成田空港アクセスの姿を考えて見る事としました。
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● 参考HP ・
JR東日本HP
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新型成田エクスプレス「E259系」10月1日いよいよ営業運転開始!!
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新型成田エクスプレス「E259系」車内サービスの向上
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JR東日本E259系電車
(wikipedia) ・
JR東日本253系電車
(wikipedia) ・JR東日本HP:
成田エクスプレス
TAKAの交通論の部屋(成田空港アクセス関連記事)
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便利で優れた空港&空港アクセスは何処に有るのか?
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2010年 民鉄特急の最高峰を目指して「新型スカイライナー」出発進行!
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日本初の「空港間連絡鉄道」は成功するのか?
● 参考文献 ・鉄道ダイヤ情報2009年11月号「空港アクセス鉄道」 ・鉄道ジャーナル2009年12月号「成田エアポートエクスプレス第二幕へ・成田空港をめぐるJR東日本と京成」
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☆ 先手を打った成田エクスプレスの出来栄えは如何に?(10月15日成田エクスプレス44号 成田空港〜東京〜池袋)
さて、空港アクセス列車で有る成田エクスプレスですが、ドメスティックな仕事で「海外出張は100%有り得ない」上に、此の頃は仕事が忙しく「海外旅行が遠退いて居る」私に取っては無縁な列車ですが、地元から近いJRの駅が池袋で埼京線・湘南新宿ラインを良く使う私の場合、無縁な列車と言うより「埼京線と湘南新宿ラインの邪魔をする列車」と言う「濡れ衣」に近い感情すら抱かせる列車です。
その様な「関係の無い車両」だったので、試運転等で新型車両が走って居るのを見ても「あれが新型N'EXか〜」位で流す気持ちしか無かったのですが、意外な事から新型成田エクスプレスを試乗する機会に恵まれる事になりました。
と言うのは・・・。新型N'EX登場から丁度半月が経過した10月15日の午後に千葉の富里で食品工場の現場調査が有り、行きは東京から車に便乗して行ったのですが帰りは帰る方向が違い「近くの駅で降ろして下さい」という事になり降ろされた駅が丁度成田空港駅で、「如何やって帰ろうかな?」と思ったら丁度次の列車が成田エクスプレスでしかも新型だったので、「此れは良い機会」だと言う事でこの際新型N'EXの試乗をする事にしました。
それも折角の試乗なので、少々贅沢に成田空港〜東京間は普通車・東京〜池袋間でグリーン車という「普通では考えられない乗り方」で普通車・グリーン車の両方を試乗しました。
左:高層ビルとネットワークを前面に出しN'EXの特徴をアピールするポスター @成田空港駅 右:新型N'EXのE259系の先頭車 左:N'EXの売りの「ネットワーク性」を支える分割併合機能 右:出入口も広く使いやすくフルカラーLEDで案内も親切?
送ってもらった車で成田空港駅に着いたのが18時20分頃で、少々時間に余裕が有ったので切符を買い・(仕事後なので)ツマミとビールを買いこんで、その上で「新型N'EX」を宣伝する成田空港駅のポスターを見たりしていました。しかし成田空港駅の構内に新型N'EXのポスターが色々と貼って有り新型登場をアピールして居ましたが、空港からの利用客は多くの場合コンコースで「京成orJRどちらにするか?」色々な要素を考慮して検討して決めてキップを買う場合が多いといえます。そうすると幾らアピールのポスターを貼っても「ラッチ内」では効果が薄く、(色々な制約が有るのかも知れませんが)ラッチ外に宣伝のポスターが無いのはチョット的外れな気もします。
その後成田エクスプレスに乗る為に、ホームに降りたのは18時40分過ぎで18時48分発の成田エクスプレス44号は既にホームへ入線して居ました。今度のE259系は基本変成が6両編成で成田エクスプレス44号は(新宿・池袋経由)大宮行きと(横浜経由)大船行きが併結されて12両編成になって居ます。
出発前に編成を外から見て見ましたが、外観的には前の253系と比べて運転台が二階に上がったり今流行りの「フルカラーLEDの方向幕」が設けられた以外は、基本的に外観デザイン・カラーリング等の部分は大きく変化はして居らず、既に確立して居る「N'EX」のブランドは車両が変わっても基本的には継承すると言うコンセプトが今回の新型車両製造には有ったのだなと言うのが良く分かります。そういう意味では基本的には「キープコンセプト」の車両モデルチェンジと言えます。
左:E259系の普通車の車内 右:E259系普通車の座席 左:E259系のグリーン車の車内 右:E259系グリーン車のフル本革の座席
さて外を見回った後、発車時間も迫ったので早速N'EXの車内に入ります。今回は成田空港〜東京間は普通車・東京〜池袋間はグリーン車で座席を取ったので、先ずは普通席の指定された場所(1号車7番A席)に座り普通車の様子を見てみます。
普通車は横4列で黒を基調とした普通の生地を使った座席で有る意味「普通の座席」ですが、流石に大きさ・前後の幅なども丁度良くてナカナカ考えられて造られています。まあ253系は最初(4次車以前)は「ボックス式クロスシート」を採用しその後の更新後も「集団見合い式シート」を使い5次車以降から普通の回転リクライニングシートに変わるなど、椅子に関しては苦労しています。その様な経過を今回の新車も踏まえて居るのでしょうが、有る意味N'EXの利用時間は1時間〜1時間半程度と言う事から考えると、ビジネスと観光が入り混じる「空港アクセス」と言う短・中距離利用の中では有る程度「完成形」の座席になったのかな?とは感じました。
それに対して、東京駅から乗り換えたグリーン車は「壁に木目調を(比較的)多用」「座席のモケットに革を採用」「足置きを設置」などで高級感を出すような事を考えてデザインして居ますが、基本的には椅子のサイズが少々大きく前後間の間隔が少し開いて居ますが、普通車と極めて大きな差は感じられない気がするデザインです。
それでも、今回suicaで乗車したので特急券だけみどりの窓口で購入しましたが、成田空港〜東京間普通席特急券1,660円だったのに対して東京〜池袋間が特急券730円+グリーン券2,000円で計2,730円でした。と言う事は「普通席とグリーン席の差にグリーン券2,000円分を投資する」事になります。
そう考えると、普通車が良く出来て居る上グリーン車が4列シートで比較的普通車との差が乏しい事から考えて、果たしてグリーン車を敢えて使う必要性が有るのか?と言う気はしました。有る意味、N'EXの普通車やモノクロスのスカイライナーとの差別化や国際空港へのアクセスと言う事を考えて、253系の様な個室までは要らなくても、グリーン車をもう少しグレードの高い座席にして「都心⇔空港で定時性を求めるビジネスクラスレベルの客」を狙える車内設備にしても良かったのでは?とは感じました。
左・右:E259系N'EXの最大の売りの一つ 「17インチワイド液晶モニター・各種情報案内」 左:ビジネス客対応でPC用電源と大型机も完備(WiMAXも使用可能) 右:海外渡航客対応で鍵付きの荷物ラックも設置
さて、今回の新型N'EXの売りが「空港アクセスに対応した各種設備」で有ると言えます。その中でも特徴的なのは「液晶モニターを活用した各種案内」と言えます。今や液晶モニターを活用した車内案内システムは通勤電車を始め色々な車両で採用されて居ますが、N'EXの液晶を用いたシステムは大型の液晶を複数使い非常に見やすいシステムとした上で図柄等も用いて非常に分かり易いシステムとしています。外国人や一般の空港アクセス客は「一見さんの客」が多い中で、多国語・図柄使用は大きなポイントですし、特に新型スカイライナーなどと比べても大型を数多く設置した事は、「分かり易い案内のN'EX」という事をアピールできプラスだと思います。
又国際空港に多いビジネス客対応に、パソコン仕事等がし易い「大型テーブル・電源設備・高速インターネット接続」等も普通席まで完備しておりビジネス利用にも十分な配慮もして居ます。元々N'EXは新宿・東京(丸の内)等のビジネス街と成田空港を直結するのが売りですから、事務所と空港の間でシームレスでPCを使い仕事が出来るのはプラス要因です。そういう意味では「事務所の最寄駅から空港までの間でN'EX車内でPCを使い仕事が出来る」と言うのは、事務所の最寄駅〜日暮里・上野までの間で普通の交通機関で仕事が出来る環境が途切れるスカイライナーより売りになる可能性も有るかもしれません。
この様に見てみると、新型N'EXであるE259系は先代の253系に続く「二代目」という事も有り、この19年間で253系が築き上げたN'EXのブランドイメージを継承しながら、新しく登場した技術などを採用しながら実際の使い易さの面で改善を加えて「正常進化」をした車両で有ると見えます。
E259系は、253系が最初に持っていた「個性・(チョット感じる)バブリーさ」等は消されて居る物の案内システム・ビジネス対応設備等が加えられ、それ以外の各種設備のポテンシャルの高さと相まって「乗車時間が1時間〜1時間半程度の空港アクセス特急としては(現状における)完成形」と言えるレベルに有ると言えます。
表題では、来年夏登場となる新型スカイライナー&成田新高速鉄道に対して約9ヶ月先行登場した事を受けて「先手必勝」と書きましたが、有る意味N'EXは今回「正常進化」した事からN'EXは自分の立ち位置を認識して「我が道を行く」と言う考えで、新型スカイライナー&成田新高速鉄道を「意識して居ない」とは言え無くても、「先手必勝」の効果消滅後の強敵登場に対しても「我が道を行っても十分生き残れる」と考えて居るのかも知れません。今回N'EXに試乗して「それだけ自信を持つポテンシャルを持って居る」と改めて感じました。
☆ 新型N'EXを横目に見ながら着々と準備を進めるライバルの京成グループ&成田新高速鉄道
さて今回「先手を打って」登場した新型N'EXですが、近い将来新型N'EXの強敵として立ちはだかるのが、来年夏の開業を目指して誠意工事が進んで居る新アクセスルートで有る「成田新高速鉄道」と其処を走る京成電鉄の新型スカイライナーです。
現在のJR・京成本線という二つの「成田空港鉄道アクセス」に加えて、東京⇔成田空港間のアクセスの劇的な改善を狙って作られるのが成田新高速鉄道ですが、このプロジェクトは北総線印旛日本医大〜空港第二ビル間の新線建設に加えて、通過路線の北総鉄道線の130km/h高速化対応工事(信号改修・待避線新設等)と都心側ターミナルの
日暮里駅総合改善事業
等の工事が一体的に行われており、来年夏とも言われる開業後には日暮里〜空港第二ビル間を約36分で結ぶ予定で居ます。
現在、京成スカイライナーが日暮里〜空港第二ビル間を最速51分で結び、成田エクスプレスは東京〜空港第二ビル間を最速50分程度で結ぶスピードの現状の中で成田新高速鉄道経由の新型スカイライナーは最速36分となり、成田新高速鉄道経由の新型スカイライナーは所要時間でかなりの競争力を持つ事になります。
左・右:来年7月開業?を目指して土木工事がほぼ完了し軌道・設備工事が進む成田新高速線
その成田新高速鉄道の現場ですが、10月17日にN'EX試乗の時に行っていた現場に今度は工事の施工で訪れて、しかも仕事終了後2時頃には成田空港駅に居たので、今度はエアポート成田でJR平行の成田新高速鉄道の空港第二ビル〜土屋間を見た上、成田駅からバスで成田湯川駅の建設現場を訪問して見る事にしました。
成田新高速鉄道に関しては、既存の成田新幹線用に造られたインフラの半分をJRが使用して居る空港第二ビル〜土屋間に関しては、既に軌道敷設工事がかなり出来高が上がって居る状況でした。又新規建設区間に有る成田湯川駅に関しては土木工事はほぼ完了し駅舎建築工事もかなり進んで周辺付帯工事・軌道工事・設備工事が真っ盛りの状況で、こちらも今年度中にほぼ完了といえるレベルまで工事が進んでおり来年7月とも言われる開業はほぼ問題無いレベルまで工事は出来上がって居ると言えます。
※成田高速鉄道の工事の経過についてはリンク先サイト
Straphanger's Eye
の「
2009年9月版、「成田新高速」の現況
」をご覧下さい。
左:成田新高速線の成田湯川駅でも軌道・建設工事が進む 右:空港アクセスの玄関口の日暮里駅も改修が着々と進む
又既成線の改良区間の中で重要なポイントで有る日暮里駅の改良工事も着々と進んで居ます。日暮里駅は元々の地平1面2線の狭いターミナルから、下り線を高架化して3階に上げ1面2線化してスカイライナー専用ホームを造り、2階のコンコース・JR乗換改札口を拡幅して、1階のホームを拡幅して上り線専用ホームに改造する工事が行われていて、
10月2日には下り線が3階に上がり新ホームの供用を開始
するなど工事は着々と進んでいて、此方も来年度早い時期のは何とか完成するレベルまで来て居ます。
昭和初期の開業以来根本的な改良が行われず、元々民鉄のターミナル・山手線との乗換液としては非常に貧弱だった京成の日暮里駅ですが、日暮里駅総合改善事業とJR側でも行われた改良工事と相まって、拡張・バリアフリー化が行われ乗換易い駅となり東京の重要拠点の多くを通るJR山手線との乗換が楽になり、(JRにして見れば「敵に塩を送る」形になるが・・・)成田新高速ルートの京成新スカイライナーの競争力向上に寄与する事は間違い有りません。
この様に、成田新高速鉄道の建設工事は予定通り順調に進んでおり、10月2日に切り替えた日暮里駅や
11月14日に切替工事が有る空港第二ビル駅
など、インフラ面で成田新高速鉄道の完成形が徐々に見えてきて居るのと同時に、新型スカイライナーが京成本線内で試運転を始めるなど、着々と成田新高速鉄道の開業の準備が私達の目の前に見えてきています。
来年度上期には「160km/h高速運転と新型スカイライナーによる日暮里〜空港第二ビル36分運転」という強力な武器を持って成田新高速鉄道と京成新型スカイライナーが成田空港鉄道アクセスに殴りこみを掛けて来ます。今まで「不便」と言われて来た成田空港への鉄道アクセスが成田新高速鉄道完成で変化が起きる事は間違い有りません。果たしてその変化がどんな物になるのか?これは新型N'EXの今後を占う上でも重要と言えます。
☆ あとがきに替えて 〜N'EXと新型スカイライナーは競争と共存で成田空港の機能向上に寄与出来るか?〜
さて、今年は政治の世界でも「政権交代」が実現して国土交通大臣に前原誠司氏が就任して、国土交通行政も大きく変わりつつ有ります。「平地に乱を起こす」事が好きな?前原国交相は就任後、八ツ場ダム問題・JAL再建問題など色々な問題について発言して居ますが、その「発言」の中に「羽田・成田の『内際分離』撤廃による羽田空港ハブ化構想」が有ります。
確かに羽田空港は普通運賃の鉄道で都心から30分程度と言う便利な場所に有るのに対して、成田空港は有料特急のスカイライナー・N'EXでも都心から50分程度という距離が有り、羽田空港と比べると決して便利な場所に有るとは言えません。その羽田と比較しての総対的不便さとイメージから、残念ながら成田空港は「不便な空港だ」というレッテルが貼られてきたのは事実です。アクセスの問題に加えて運用時間の問題・発着枠の限界の問題等の色々な問題が有り、今回「羽田ハブ化構想」という話が出てきて、成田空港は「不便で欠陥の空港」という見方をされる様になってしまったと言えます。
しかしながら成田空港の改善も進んでおり、今年10月には「B滑走路の2500m延長による暫定解消」が実現し2010年度には発着回数が1割増加して22万回になります。又今年〜来年に掛けて今回取り上げた様に成田空港の鉄道アクセスでも大きな改善が行われて、1991年のJR・京成の成田空港駅乗り入れ以来の変化がもたらされます。
左:京成は160km/h対応の新型スカイライナーで来年勝負!! 右:N'EXは都心・副都心直結の利便性で対抗出来るか?
その成田空港の「機能向上」の重要な要素が、世間に「問題・不便の象徴」と思われて居るアクセスの改善で有る事は間違い有りません。
今回、空港アクセス向上の「大本命」は(新幹線を除く)国内最高速の160km/h運転で15分時間短縮をする成田新高速&新型スカイライナーで有る事は間違い有りません。そういう意味では今回のN'EX新型車投入は「先手を打つ」と言えば良いですが「前座ともいえる程度」だと言われかねないレベルで有るのも一面に置いては事実で有ると思います。それはJR東日本のN'EXが「インフラの改善・所要時間の短縮を伴わない」以上、インフラの改善・劇的な所要時間短縮を図る成田新高速&新型スカイライナーとインパクトの差が出ても仕方ありません。
しかしながら、幾ら成田新高速&新型スカイライナーが劇的な改善を達成すると言っても、成田空港の鉄道アクセスを考えるとそれでは「片手落ち」である事は間違い有りません。成田新高速&新型スカイライナーが劇的な所要時間短縮を図っても「ターミナルが日暮里・京成上野」というハンデは消えません。いくら「日暮里から36分」と言っても東京の主要なビジネス街から見ると其処までのアクセスに時間が掛かり乗換も必要で、色々な意味で利便性が劣る状況である事は解消出来ません。
そうなると、成田空港鉄道アクセス全体で考えるとやはり「N'EXの改善」と言う事は無視出来ない事になります。N'EX自体は運行経路の距離の問題・在来線を走る制約などから成田新高速&新型スカイライナーが果たす様な所要時間の劇的な改善は困難な状況ですが、元々からの売りで有った「東京・横浜の複数の拠点に直結」という利便性の面での優位性は未だに十二分に確保されて居ると言えます。
このN'EXの利便性のメリットは決して成田新高速&新型スカイライナーに真似出来る物ではなく、成田新高速&新型スカイライナー開業後もN'EXの存在意義を保証する物で有ると言えます。そういう意味では成田新高速&京成スカイライナーは高速性を売りいしてN'EXは利便性を売りにする事で共存を図ると同時に、成田空港への鉄道アクセスでは全体の利便性向上に大きく寄与すると言えます。そういう意味では成田新高速&新型スカイライナーと新型N'EXは「車の両輪」と言えます。
その成田空港鉄道アクセスの「車の片輪」であるN'EXが、成田新高速&新型スカイライナー登場前で未だインパクトが有る今の時期に「先手必勝」で先に登場した事は、成田空港鉄道アクセス全体を見た上で「車の両輪のバランスを取り、総合的に発展して機能性向上を図る」という点で非常に意味が有ると言えます。そういう意味で今回の新型N'EX登場は非常にタイムリーで意味が有る事だと言える事が出来るのでは?と考えます。
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