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便 利 で 優 れ た 空 港 & 空 港 ア ク セ ス は 何 処 に 有 る の か ?




TAKA   2008年 01月 24日


  

東アジア各国際空港のアクセスの主役  左:上海 トランスラピット 中:香港 エアポートエクスプレス 右:東京 成田エクスプレス



「 ご 注 意 事 項 」
※本記事は「 TAKAの交通論の部屋 」「 交通総合フォーラム 」のシェアコンテンツとさせて頂きます。
※一部中国・香港地域の地名に関しては、漢字にて表示がで無いため、漢字とカタカナ及びアルファベットの併用にて表示しております。
※記事内で「実体験に基いた比較」を行って居ますが、個人が旅行の行程内で行った比較であり、「完全同一条件」で実行できず一種類のアクセス手段しか試せ無かった為、「イメージを掴む為の比較参考」に考えて頂きたく思います。


 ☆ (まえがき)意識して使うと「都心と空港のアクセス」は非常に重要な問題?

 飛行機とは非常に早い交通機関です。一度離陸して空に上がってしまえば、近くても遠くても目的地まで700km/h〜800km/hという高速で一気に飛ぶ為、海外など目的地が遠ければ遠いほど、その速さを実感する事が出来ます。
 しかしその速さ故に、飛行機が飛び立つ前と着陸してからの空港での所要時間と都市部までのアクセスタイムが気になります。空港は敷地の広さの必要性から都市から外れた所に造るのが一般的で、その為空港⇔都市部間のアクセスに時間が掛かる様になっています。加えて空港内でも国際線の場合出入国審査・税関等の手続きで余計に時間が掛かります。その為近距離の国際線だと「飛んでる時間と乗る前&降りてからの移動時間で同じ位になる」という事も発生します。

 昔は遠い国の集合体という東アジア諸国でしたが、今や東アジア諸国間での経済規模の拡大や相互依存関係の深化により、相互の国間・都市間での流動も増えてきており、その国間・都市間が近い故に「日帰り」「1泊2日」の出張等、国内並みの移動形態も発生しつつあります。
 その様な関係緊密化と流動増加を背景として、現在日・中・韓三ヶ国間では、東京(羽田)・ソウル(金浦)・上海(虹橋)間で、都心から近い国内線専用空港を用いたシャトル便の運行が始まるなど、航空を用いて国・都市間の結びつきを強める試みが行われています。
 この動きには、日本の場合「羽田の再国際化問題」という日本国内の問題が背景に有る事は予想出来ますが、その前提として「東アジア大都市間の流動が増えてきた」「東アジアの近距離国際線では都心から空港へのアクセスも重要な要素であり改善が必要」という事が有ります。この日・中・韓間の路線は「世界の成長センター中国」と「周辺の先進国日・韓」との路線であり流動が多いのと同時に、「一番遠くても飛行機に乗って3時間半(時差込み)」という近さで、「飛行機に乗る3時間半に対して前後アクセスが合計3時間〜4時間」という現状の改善の為に、「都心に近い国内線空港を利用してのシャトル便」が始まりました。

 この様に「特に近距離国際線では都心アクセスタイムの改善が重要」な事は間違い有りません。今回個人旅行で「上海・香港3泊4日の旅」を企画し、ツアーの中で「飛行機乗降6回」で「国境通過5回」というハードなスケジュールを組んだ為に、色々な国境通過と東京成田・上海浦東・香港国際の3空港を複数回利用する事が出来ました。
 今回の旅行は「12月30日の初便で上海に行き、31日の初便で香港に移動して、(1日は列車で広東往復して)2日の最終便で東京へ戻る」というビジネスマンの出張並みの過激なスケジュールで、ツアーで無く個人旅行だったので空港からホテル等までのアクセスも全部自分で行い、「空港アクセスの重要性」について自分自身で感じる事が出来、同時に各都市の空港アクセスの比較をする事が出来ました。
 今回は東アジアの大都会東京・上海・香港の3つの大空港と鉄道を中心とする空港アクセスを、「 TAKAの交通論の部屋 」の「TAKAの訪問記」で「空港比較シリーズ」として3つの空港&空港アクセスの訪問記を作成しました。ここではその「空港比較シリーズ」を基に、各空港の空港&アクセスを比較する事で(バス系は言葉が喋れない(読むのも怪しい)リスクから今回は除外)、空港施設と空港から都市へのアクセスの重要性を比較分析する事にしました。


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 ☆ 「 TAKAの交通論の部屋 」より

 【空港比較シリーズ】
 ■  「空港比較シリーズ:その1」 上 海 浦 東 空 港 を 見 る

 ■  「空港比較シリーズ:その2」 香 港 国 際 空 港 を 見 る
 
 ■  「空港比較シリーズ:その3」 新 東 京 国 際 空 港 ( 成 田 空 港 ) を 見 る
 

 【過去に取り上げた空港訪問記】
 ■  セントレアは日本の空港を変えるのか? (2005年開港した中部国際空港の訪問記が載っています。)

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 ☆ 都市の魅力を上げる為には「玄関」である空港と「廊下」である空港アクセスは非常に重要?

 この様に上海(上海浦東)・香港(香港国際)・東京(成田空港の)東アジアの大都市3空港を、旅行時に使用した経験に基いて比較・検討してみました。
 空港は都市に取り必要不可欠で重要なツールです。しかも此れだけ世界中でボーダレス化が進み人・物の国際的な動きが日常化してくると、その玄関口で有る空港は誰もが利用する存在になり、「都市の顔」ともいえる重要性を持つようになります。
 その「都市の顔」である重要なツールで有る空港は、その都市訪問客が最初に利用するだけあり、空港の利便性が都市の印象を左右する存在となります。同時に空港から都市への交通機関で有る空港アクセスは、空港に付帯する存在として、空港と同列として訪問客に都市のイメージを印象付ける重要な存在となります。
 此処では結論に変えて、上海・香港・東京の3都市の空港&空港アクセスの利用体験を基に、空港&空港アクセスの重要性を状況について考えて見たいと思います。


 ● 国際空港と空港アクセスは何故重要なのか?

 今回、「旅行の手段」として東アジアの大空港、新東京国際空港(成田空港)・上海浦東国際空港・香港国際空港の3空港を、個人旅行客として空港内施設・空港⇔都市アクセス等を見る事が出来ました。
 その6回の空港利用&空港アクセス利用で上記に述べたように、良い面・悪い面を含めて色々な側面を見る事が出来ました。
 まず「都市」として見ると、アジアの経済的リーダーであり先進国日本の首都の東京・英国統治下が長く国際的物流・港湾都市であり中国の海外への窓口として発展した華南経済圏の玄関口香港・中国最大級の都市で世界の成長センター中国経済の中心である上海という様に、どこも都市としての存在意義・特色を持った都市で、都市としての優劣を見ると三者三様・優劣を付けづらい特色を持っており、日本経済の中心・東アジアの物流拠点・中国経済の中心というバックボーンに変化が無い限り、都市としての力は変わらないでしょう。
 確かに都市の国際的活動と成長は、その様な存在意義・特色・バックボーンに基いて営まれるものです。しかし今や経済を中心に国際化が進み、人・物を中心に国境を越えて激しく移動するようになりました。物は海運・陸運・航空など色々な交通手段を使い最善の方法で移動しますが、人の場合「Time Is Money」ですから近距離の国境越え以外では殆どが航空機を利用しての国境越えになります(陸を通ってビジネス移動が日常化しているのは香港⇔中国広東省とシンガポール⇔マレーシアの一部位)。そうなると必然的に航空に関する色々な整備が、国際都市として人が動きやすい都市を造る為に重要で有るといえます。

 そうなると国際都市としての活性を維持する為には、国際間の人の動きを活性化しなければなりません。都市に取り「人が集まれば物が集まり金が集まる」という事は必然な事であり、人が集まるには交通機関で有る航空とそのターミナルで有る空港の整備が非常に重要です。都市を家に例えれば空港は玄関です。玄関を入らなければ家に入れません。そして空港アクセスは家の中心部の居間と玄関を結ぶ廊下のような物です。この玄関と廊下の重要性はやはり疎かにする事が出来ません。
 この「玄関」といえる空港は、ハブ空港という形で地域の航空路線の拠点となり乗り継ぎ需要が発生すると、国内他地域だけ出なく国外からも人が集まり、一層都市への求心力を増す効果も有ります。「ハブ空港が人を集める」という事は香港国際空港でもありますが、他にもアムステルダムのスキポール国際空港・シンガポールのチャンギ国際空港などにもいえる事です。特に都市国家で三次産業が主体のシンガポールにとり、地域の核として東南アジア全域から乗り継ぎ客を集めるシンガポールのチャンギ国際空港の存在は非常に重要で有る事は間違い有りません。
 しかも「ハブ空港」として空港を整備して人の流れの結節点として空港が求心力を持っても、都市の真ん中に空港が有る訳では有りません。空港はその騒音上の問題やスペースの問題で都心に置く事が困難です。又空港を都心に置くと航空機運用上の理由から建物の高さ制限が掛かり、都市に高層ビルを建て辛くなります。ですから世界最大級の都市内空港で有った香港啓徳空港の廃止後、特に都市の密集度の高い東アジアでは都市内には空港を造るのがほぼ不可能になり、郊外や海上に空港を造る例が多く成っています。実際香港でも都心から約34km・上海は約50km・成田は約60kmという様に離れた所に空港を造らざる得ません。こうなると幾ら空港に人が集まっても「玄関に人が集まる」状況になり、人を中に引き込む為に廊下の整備が重要になってきます。という事で空港から人を都心に連れてくる為に、廊下としての「空港アクセス」整備が、都市での空港の使いやすさという点で重要です。


 ● では東アジア3空港の空港&空港アクセスはどの様な状況なのか?

 やはり一番得点が高いのは香港です。空港施設・都心アクセス共に3空港の中ではダントツのトップです。それは 空港満足度の調査 でも現れていますし(香港⇒大規模空港クラスNO1・成田⇒中規模空港クラス平均以下)、 スカイトラックス社の空港満足度ランキング でも香港国際空港は第二位を獲得しています。香港国際空港の凄さは訪問記で述べたように規模が大きいのに非常に使いやすい空港で有る事で、その評価は全世界的に変わらないです。
 しかも空港アクセスも非常に便利で、利便性・頻度・所要時間共に3空港の中でトップで有ると同時に、空港内だけでなく都心側でのターミナルの設置も(九龍はチョット市街地から遠いですが)場所・施設共によく考えられています。色々な意味で3空港の中ではトップの空港アクセスで、世界的に見ても合格点を与えられる公共機関による空港アクセスだと思います。

 それに対して上海浦東は「成長途上の空港」なのかもしれません。本当に上海浦東を評価するのなら今年に開業する第二ターミナルビルと2010年開業の地下鉄2号線の乗り入れが完了して、上海浦東空港の拡張工事が完成して能力が空港需要に追い着いた段階で見る必要が有ります。
 実際上海浦東空港は如何見ても現在成長中の空港で、中華人民共和国の第九次五カ年計画(96年-01年)で第一期工事を行い、追いかけで第十次五カ年計画(01年-06年)で第二期工事に着手するなど、拡大する航空需要に空港が追いついていません。それが空港の利便性などに暗い影を落としており、しかも空港アクセスのインフラは確かに実力は凄いが「実用実験線」として造られたトランスラピットですから、中途半端で空港アクセスとしての使い勝手がイマイチです。空港・インフラどちらも中途半端な状況なので「今後に期待」といえます。

 その様に見ると、3空港の中で一番使いづらく問題有りなのが成田でしょう。都市規模からいって今の片肺状態の成田の空港規模は中途半端ですし、幾ら改修してもターミナルは使いづらい状況に大きく変化は有りません。この成田空港の状況に誰もが満足していない事は明らかです。成田空港会社は 顧客満足度に関する調査を行って居て 「顧客満足度は向上した」といって居ますが、国際比較が成されていないので「自己満足」の世界から出て居ません。過去から比べれば改善が進んでは居ますが、実体は(チョット古いですが) JDパワーの顧客満足度調査 で示された「成田は平均以下の顧客満足度」というレベルだと思います。
 しかし今の成田は、捨てる訳にも行きませんし、ゼロからやり直すわけにも行きませんし、大幅な拡張余地もありません。ですから羽田が「 沖合展開事業事業 」で別の空港に生まれかわった様な「大変身」をする事は出来ません。こうなると更なる継ぎ接ぎだらけになる事を覚悟の上で「利用者のニーズを真摯に聞き出来る範囲から改善を着々と行う」しか無いのかもしれません。その様な状況から成田は「東アジアの空港から見ると大幅に遅れつつ有る」事が分かっていながら、現状の微改善に甘んじなければならない状況です。
 又アクセスも現状を何とかする必要が有るといえます。今回の「実体験による比較」では最終到着便という恵まれた条件だったので、都心までの実所要時間で上海・香港と大差が出ませんでしたが、実際はもっと所要時間が掛かり上海・香港と比べると大幅に劣るのでは?と感じます。成田の場合昔の京成だけ乗り入れでターミナルビルまではバス接続と言う酷い状況から、JR・京成のターミナルビル直下乗り入れ日暮里・上野・東京・新宿・横浜へ乗り換え無しで優等列車が運行されるという状況になり、過去と比べると大幅に改善されましたが、トランスラピットが毎時4本の上海やエアポートエクスプレスが毎時5本の香港と比べると、スカイライナー毎時1〜2本・特急が毎時3本・NEXが毎時1〜2本・快速が毎時1本で、運行頻度が揃って居ない成田空港アクセスの状況はやはり劣ります。何かしらの改善の方策が必要で有る事は特に香港を見た後では感じます。

 前に空港と空港アクセスを「玄関と廊下」に例えましたが、玄関が粗末な家は「何か有るの?」と見られてしまいます。それは都市でも変わらないと思います。国際都市も空港が粗末だと良い印象を与える事は出来ません。その事からも国際都市に取り、空港と空港へのアクセスは「都市の顔」という意味で重要で有ると思います。
 その視点から見ると、香港は非常に上手く空港を造ったな!と感じます。もし92年の時に中国の新空港建設反対が通ってしまい、新空港が出来なかったら香港は如何なっていたでしょうか?空港は不便で乗り継ぎ客は逸走し華南一帯の航空需要は広州白雲国際空港に流れていたかもしれません。しかも啓徳空港が有った事で九龍地区の再開発も高さ制限で進まなかった可能性もあり、活発な不動産開発も無かったかもしれません。その意味では今の香港国際空港は香港に色々な波及効果を与えて、都市も改善させたといえるでしょう。国際都市香港は香港国際空港があるから成立しているといっても過言では無いでしょう。
 ですから日本は首都東京の国際的な魅力維持のために、玄関口の成田を「如何にして利用者に満足して貰える空港」に改善して行くかが非常に重要です。例えば「 ビジット・ジャパン・キャンペーン 」の様な海外向けの観光イベントを行っても、玄関口で海外の人が不満に思うのでは仕方有りません。観光・ビジネスを問わず「海外から人が来る」という事は日本経済に取り非常に重要な事です。日本が世界の中で生き残るためにも、玄関口の新東京国際空港(成田空港)の更なる改善で「利用者が不満を抱かない空港」を造る事が、重要で有ると改めて感じました。


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 ■ (補足:成田空港の改善を考える) 新東京国際空港(成田空港)改善に必要なのは「発着枠増便」と「成田新高速建設」か?

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