東武3月ダイヤ改正訪問記
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東武ダイヤ改正後の東武伊勢崎線夕ラッシュ訪問記



 2006年 4月 7日 TAKA (訪問日4月6日)





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 東武鉄道ダイヤ改正前及び改正後の状況について「 ダイヤ改正前の3月12日 」「 ダイヤ改正後の4月1日 」の2回に渡り現地を訪問して見学してきましたが、どちらも土・日の為ラッシュ時の状況を見ることが出来ませんでした。
 しかし今回偶々4月6日につくばエクスプレスの六町駅の傍で御通夜に行かなければならない事になり、その後丁度フリーになったので、TXで北千住に出て人と別れて(チョット遅い時間になりましたが)東武線の夕ラッシュ時の状況を「半蔵門線直通急行の状況」「北千住の乗車状況」の2点に絞り見てみることにしました。

「4月6日訪問経路」
(反対ホームから19:16急行久喜の発着状況撮影)北千住19:19-(急行)-19:31錦糸町(錦糸町へ移動)
錦糸町19:40-(急行)-20:11新越谷(半蔵門線・東武直通急行状況見学)
新越谷20:15-(普通〜急行)-20:38北千住(北千住へ移動)
北千住で「20:39区間急行新栃木・20:46急行南栗橋・20:49区間急行太田」の3本の列車の乗降状況見学


 (1)夕ラッシュ時下りの半蔵門線直通急行の状況(錦糸町19:40⇒新越谷20:11)

 先ずは今回のダイヤ改正で増発され、都心直通の第二ルートとして完全にその地位を固めた「半蔵門線直通急行」のラッシュ時の利用状況を見てみようと思い、一歩半蔵門線内に入り錦糸町まで行き状況を見る事にしました。
 東武からの直通車で錦糸町に着き改札を一度出入りして再びホームに戻ると急行が入線してきます。私は一番空いていて観察がしやすいであろう最後尾に異動して乗車を待ちます。入線してきた急行は錦糸町で乗車客(最後尾で10名/両程度)の倍近い降車客を降ろし、「ラッシュ時にしてはチョット空いているな」と言う写真の程度まで一旦空きます。
 しかしその後、曳舟で前方車両は浅草からの接続列車の客を受けて多少混んだみたいです。曳舟での接続は急行10両⇔接続列車6両なので、前方の方に集中する傾向が有ります。
 その後急行は「東武線最大の乗降ポイント」である北千住に到着します。北千住では最後尾も千代田線接続階段があり、一番空いていそうな最後尾でも20名/両程度と言う結構な乗車客が有り、「東京の夕方・夜のラッシュ」と言う感じの車内風景に変化します。

   
(左:錦糸町駅ホーム状況   右:直通急行車内状況(押上〜曳舟・最後部))


   
(左:直通急行車内状況(曳舟〜北千住・最後部)   右:北千住駅乗降状況)


 北千住で大量の帰宅客を飲み込み、「ラッシュ時の優等」と言う雰囲気が出てきた急行は、一路複々線を快調に北上していきます。この様なスムーズな速度で運転できるのはやはり「長大な複々線」の効果でしょう。東武が多大な努力を発揮して構築した複々線インフラが「優等の都心直通」を受けて、より効力を発揮していると言えます。
 複々線を疾走して最初の停車駅西新井に付きます。西新井では丁度緩行線に日比谷線からの直通の普通が入ってきて、対面での緩急接続します。北千住の乗換がフロア移動でめんどくさいので、両方向の乗換が多いかなと思っていましたが、急行⇒普通の乗換の方が多く、同時に意外に西新井降車客も多く感じました。乗換客には乗降の多い竹ノ塚利用客が多いのかもしれません。
 西新井を発車すると次の停車駅は草加です。草加では何と「特急待避」と言う事で数分停車し、西新井で緩急接続をした普通に追いつかれてしまいます。確かに草加と越谷で急行線は通過待避が出来るような配線になっていますが、夕ラッシュの通勤特急は越谷・せんげん台等降車だけの停車駅を増やして、その代わり急行と平行ダイヤで運行でも良いのでは無いかと思います。
只西新井に加えて草加での降車客・普通への乗換客も多く、最後尾の車両も写真で見て分かるようにこの2駅の降車客で明らかに空いてきます。東武伊勢崎線の通勤利用客の数では、足立区北部〜草加市周辺はかなり多い中心的利用ポイントである事が改めて分かります。

   
(左:直通急行車内状況(北千住〜西新井・最後部)   右:西新井駅乗降・緩急接続状況)


   
(左:直通急行車内状況(西新井〜草加・最後部)   右:草加駅乗降状況)


 急行の停車駅は草加の次は新越谷・越谷と連続停車になります。新越谷は武蔵野線との連絡駅ですし、越谷は越谷市の玄関口である事を考えると、此処は連続停車せざる得ないでしょう。
 今回は北千住に戻り急行の乗降状況も見てみたいという気持ちも有ったので、新越谷で降りて北千住に戻る事にしました。
 新越谷で乗降の状況を見てみると、降車も乗車も階段周辺を中心にそれなりに多い感じです。新越谷は武蔵野線との乗換駅なので乗車客が多いのは当然ですが、降車客も多いのには驚かされました。
 多分武蔵野線の吉川・三郷方面と都心の連絡に新越谷乗換が使われているのでしょう。武蔵野線の東川口・吉川・三郷は沿線人口の多い地域ですからその地域から都心へ向う客を取り込むのも必要なことです。其れには今まで「優等が都心直通でなかった」東武は近接の埼玉高速・つくばエクスプレスと言った路線に対し競争力が低かったと言えますが、毎時6本の急行が都心直通の優等に成った事でこれらの路線に対しても競争力を強化する事になります。その様な新興路線牽制の意味でも今回のダイヤ改正は意義が深いと言えます。

   
(左:直通急行車内状況(草加〜新越谷・最後部)   右:新越谷駅乗降状況)



 (2)夕ラッシュ時下りの北千住駅乗降の状況

 次に新越谷から北千住に戻り、夕ラッシュと言うには少し時間が遅くなりましたが、北千住優等ホームでの乗車・混雑状況を見る事にしました。
 元々「夕ラッシュ時の主力が都心直通で無い6両優等」でしかも行き先が「太田・館林・新栃木」と言う今までのダイヤは「関東私鉄の中でも貧弱なダイヤ」と言う事が出来ました。其れが今回主力を「半蔵門線直通10両急行久喜・南栗橋行き」に変更する事で、優等の輸送力を増強させると同時に通勤客への利便性を向上させました。
 この事は 交通総合フォーラム で和寒様が「 鮮明な輸送体系変革〜東武鉄道のダイヤ改正 」にて「改正前のダイヤの不満足点」と言う事で言われている事です。其れがどの様に解消・改善されたのかを含めて見る事にしました。
 今回1日の内で19時過ぎと20時半過ぎの2回に分けて、北千住駅1階下りホーム夕ラッシュ時の乗降状況を観察してみました。
 今までの夕方のラッシュ時の輸送状況は、確かに和寒様の言われる様に6両遠距離準急に通勤客が鮨詰めにされて運ばれていると言う、極めてイレギュラーな通勤輸送で有ったと言えます。果たしてそのイレギュラーな状況はどの様に改善されているのでしょうか?

   
(左:19時16分急行久喜行き乗降前状況   右:19時16分急行久喜行き乗降後状況)


   
(左:20時49分区間急行太田行き乗降状況   右:20時46分急行南栗橋行き乗降前状況)


   
(左:20時46分急行南栗橋行き乗降前状況   右:20時49分区間急行太田行き乗降状況)


 今回見た限りの北千住の状況では、少なくとも昔の準急⇒半蔵門線直通急行への立て替えにより混雑は緩和されていると言えると思います。今回は一番混むであろう20m10両編成の5〜7両目で状況を見学しましたが、ホーム一杯に行列を作っている人たちが急行に飲み込まれていく状況を見る限り、20m10両編成の輸送力は必要であり、昔の20m6両で輸送して居たと言う事実を見ると「今になっての夕ラッシュ時優等列車輸送力増強は遅かった」とすら言う事が出来ます。
 少なくとも今の段階ですら、利用客の多い編成中央部は見た目で混雑率が150%程度は存在するほどの混雑であると言えます。(後ろは空いているので全体で均せばもっと落ちるだろうが・・・)そう考えると今の夕ラッシュ時の輸送力は適性水準に有ると言えます。
 加えて補完列車で、区間急行が6両編成を主力に運転されていて、停車駅がそんなに変わらずに館林・太田・新栃木方面に走っていて、準急の急行化で短縮されたローカル区間へのフォローと急行の輸送力の補填を行っています。只難点は輸送力が6両と急行に比べて少ないために、急行との間隔が開く場合には輸送力不足になる事も見られました。(その為写真の様に急行と混雑率はそんなに変わらない)

 この様な状況を見る限り、今回の東武ダイヤ改正の夕ラッシュ時ダイヤに関しては「ベストのダイヤとまでは言えないが、今できる中でベターなダイヤ」を組めたのでは無いかと思います。未だ「浅草の根本制約」を引きずっている所も有りますが、(区間急行の6両運転等)少なくとも夕ラッシュ時の混雑緩和に効果を発揮した事は間違いありません。
 東武鉄道は伊勢崎線区に関しては「大規模改良工事」「都心直通工事」「複々線化工事」等の大規模投資工事が一巡しています。この状況になると減価償却をこなす為にも投資を回収する時期に入っていると言えます。インフラ装置産業である鉄道での投資の回収は「より多くの利用客に利用してもらう事」に尽きると言えます。
 その事から考えても、今回のダイヤ改正での「輸送力増強」「利便性向上」は実態として東武鉄道利用客の大半を占める「大都市圏輸送客」に対してのサービス向上であり、上手く行けば利用者獲得に繋がる「攻めのダイヤ改正」であると言えます。今のところその「攻め」は上手く行っているようです。今後とも東武鉄道の発展の為にも「大都市圏利用客」の利便性向上と獲得の為に努力する事が重要では無いかと改めて感じました。






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