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(余談)TAKA的ローカル線再生の「秘策」とは?

−ローカル線再生に「グルメ」を結び付けてみたら?−



 さて、食い道楽が大好きな私にしてみれば、地方に行けば「地元での上手い物を食べる」事には並々ならぬ意欲が有ります。
 良く「名物に美味い物無し」とも言いますが、上手く探すと必ずしもそうでは有りません。地元で評価が高く他の地方にまで話が聞えてくる店などは、やはり美味しい食べ物を提供してくれますし、其処に多数の人が集まっていれば、その味に「お墨付き」が着いたと同じ様な感じになります。私は基本的には「グルメ好き」で、弊サイトに「 TAKAのグルメ探求の部屋 」(此の頃未更新ですが・・・)と言う記事を書いて居た位ですから、やはり「美味い物が有る」と聞けば、グルメの名に掛けて其処に行かざる得ません。

 そう言っても、私のグルメは「ベタ系」であり、好きなグルメは「ラーメン・寿司・中華系」という所で、これらで美味い物が有ると「何処でも行きます!」という感じで動いています。
 今回GWに『地方ローカル鉄道活性化の現場を見る』と言うテーマの下で 和歌山電鐵銚子電鉄 を訪問してきましたが、これらの場所でグルメと言えば和歌山=和歌山ラーメン・銚子=寿司と言うのが定番であり、今回は鉄道訪問だけでなくその定番と言えるグルメスポットも押さえてきました。

 
美味いラーメン屋は人を集める!? 左:和歌山NO1の知名度の井出商店 右:井出商店のラーメンと早ずし

 先ず「和歌山」と言えば「和歌山ラーメン」が近年有名です。和歌山ラーメンは 新横浜ラーメン博物館 が90年代後半に「ご当地ラーメン」の走りとして 井出商店 を紹介し大ブレイクしてから、ラーメン界で一定の地位を築き、今まではマイナーだった「和歌山ラーメン」を全国的に知名度の有るラーメンに昇格させました。
 今回、「本家本元を訪ねる」という事で、その井出商店を訪問しました。和歌山ラーメンはトンコツ+鶏がらを長時間煮込んだスープのトンコツ醤油系でかなり濃厚な味です。写真のは普通のラーメンですが、これを完食するとかなりのボリューム感があります。私は和歌山ラーメン特有の「チョット食べる為の早ずし」も合わせて食べましたが、此れでお腹一杯というボリュームが有ります。ラーメン的にはこってり系の味ですが、「こってりOK」という人には気に入られるラーメンと感じました。
 只和歌山では「ラーメンマップ」等が発行され「ラーメンの街」という事がアピールされて居ますが、マップに従い他の店も入ったり探したりしましても、「井出商店並みの店」に当る事が出来ませんでした。此れでは「グルメで人を集める」事は出来ません。もし和歌山をラーメンの街として売るのであれば、もう少し全体のレベルアップが必要かもしれません。

 
銚子では海産物と寿司が名物 左:銚子電鉄の脇に有る回転寿司 右:特徴の有る寿司ネタは人を呼ぶか?(左:金目鯛 中:かつお 右:クジラ)

 続いて「銚子」と言えば、関東でも最大規模の漁港が有る街で水産業が盛んな街です。水産業が盛んな街だと有るのは寿司屋等の海産物系のグルメの店があり、銚子も例外では有りません。
 銚子では「 銚子寿司屋ネット 」というサイトを立ちあげ、銚子の寿司屋のアピールをしています。只このサイトの寿司屋は基本的に銚子市街地の寿司屋が中心で私が降りた犬吠の店は紹介されて居なかったので、駅の近くの「 しまたけ水産 」に寄ってみました。
 この店は結構テレビ等でも取り上げられる店なので、「どれだけの店なんだろう?」と興味を持ち行きました。この店は回転寿司店で巨大ネタやミンク鯨・油ボウズなど珍しい魚の寿司が売りの店ですが・・・、正しく「名物に美味い物無し」の王道を行くような店で、味噌汁には「カップ味噌汁」が流れているなど、「珍しいネタは有るけどチョットレベル低く無い?」「二度目の来店は無い」といえる感じの店でした。私は悲しいかな?腹が減っていたので結構食べましたが・・・、ビールを2杯飲んで酔いながら味をぼかして食べる感じになってしまいました。
 少なくとも、犬吠は銚子最大級の観光の名所です。其処に有りテレビに出る店が、こんな感じでは観光客は魅力を感じないでしょう。これは銚子電鉄・銚子の観光に取り悲劇的な話です。味は個人差の有る物で一概には言えませんが、観光客を集める為にはグルメの点でもっと努力を必要とすると感じました。

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 さてこの様にグルメの話をしてきましたが、実をいうとここまでは「前座の話」に過ぎません。此処から本題の「TAKA的ローカル線再生の「秘策」」という話になります。
 ローカル線の再生には今まで述べてきた様に色々な要素が必要で有る事は言うまでも有りませんが、和歌山電鐵の「たまスーパー駅長」が示すように、ローカル線再生の為に乗客を増やすには多くの人々の関心を集めて、多数の沿線外の客に来て貰う事で定期外利用客・定期外収入を増やすというのも一つの方策で有ると言えます。
 では何故「たまスーパー駅長」が成功したかと言えば、「ネコ」という存在が世間の人達に好感を持って迎えられやすい「人気の有るペット」で有る事が大きな要素で有るといえます。物事の注目を集める場合、世間の好感度の高くファンの多い物を対象に話題を集めるようにすれば、その波及効果は大きいと言えます。
 例えば「鉄道マニア」が今世間で注目を集めて居ますが、社会全体の中での規模で見れば(統計が有るわけでは有りませんが)「鉄道マニア」の数は決して多いとは言えないと思います。少なくとも絶対数で見れば「鉄道マニア」<「ネコ好き」の人達の方が圧倒的に多い事は間違いありません。この辺りの「ネコ好きの層」の存在を上手くローカル線への注目を集める事に使ったのが、「たまスーパー駅長」成功の一つの要因で有る事は間違い無いでしょう。

 では「ネコ好き」よりかも潜在的に興味を示す層が多い分野で、上手くローカル線とコラボレートをする様な「企画」を考えてあげると、ローカル線活性化に上手く使えるかもしれません。果たしてその様な物が有るのでしょうか?
 私はその対象として適当なのが「グルメ」で有ると思います。人間の生活に身近な「食生活」は誰もが意識する物ですし、「美味い物を食べたい」という欲望は強弱の差が有れども誰もが持つ物で有ると思います。其処から考えれば日本人全員が「潜在的グルメマニア」である事は、否定出来ないと思います。此れを上手く使わない手は無いでしょう。
 その一つの方策として「食べ物」への関心を上手く使ったのが、銚子電鉄の「濡れ煎餅」でしょう。濡れ煎餅は食べて美味しい物で有ったからこそこれだけ売れて人気がでたのですが、お土産に好適品であり色々な所で売る事が出来るので、銚子電鉄の知名度と売上げには大きく貢献しましたが、逆に「他の所でも買える」点が有り、鉄道輸送とのコラボレートという点で効果が限定的で有ったと思います。

 では如何すれば、日本国民の大多数が興味を持つ「食べ物・グルメ」という分野と、今回の命題である「ローカル鉄道の活性化」を上手く重ねる事が出来るのでしょうか?
 答えは単純明快、鉄道に乗らなければ来れない所で「裾野の広い分野の美味しいグルメ」を作り出す事です。
 一言で「グルメ」と言っても非常に裾野が広いですが、日本で一番注目を集めて居るグルメは何でしょうか?それは「ラーメン」で有る事は間違いありません。ラーメンは誰にでも馴染みの有る食べ物でありしかも「一杯数百円〜千円台前半」という比較的低コストで楽しむ事が出来て種類も醤油・味噌・トンコツ等々多数あり、色々な物を作り出す事が出来ます。
 その「裾野の広さ」「多種多様さ」「安く楽しめる」というメリットを生かして、ラーメングルメを楽しませるという新横浜ラーメン博物館の様な「ラーメンテーマパーク」というビジネス形態も存在しています。この形態を上手くローカル線再生でも生かせないでしょうか?私は生かせる道が有ると感じます。

 例えば「濡れ煎餅」で有名になった銚子電鉄で、沿線を上手く使い「ラーメングルメ」を展開したら如何でしょうか?。
 銚子自身は今「ラーメン」に関して全く魅力の無い街です。しかし過去には「ラーメン発見伝」というラーメンを取り扱った人気漫画と日清食品がコラボレートして、 「ラーメン発見伝」の「銚子港フェア」の話に出てきたラーメンを日清食品がカップラーメンとして作った例 が有ります。このラーメンは2種類有ったのですが、例えば此れを銚子電鉄犬吠駅の喫茶店と観音駅のたい焼き屋で再現発売して、ラーメンマニアの興味を引くと言う方策は如何でしょうか?
 銚子と言う街自身はラーメンの必需品で有る「醤油」の名産地ですし、今ラーメンのスープに魚介系として良く使われる魚介類に関しては名産地です。そう言う意味では喜多方の様な「ラーメンの街」では有りませんが、「ラーメン発見伝」で取り上げられた様な「ラーメン」を名物として作り出す余地は存在すると感じます。
 しかも銚子電鉄は濡れ煎餅を筆頭に「グルメ系」では知名度の有る鉄道です。此れを上手く使い、観音・犬吠の両駅(もう少し多く種類を作り、他の駅で売っても良い)でラーメン発見伝の両ラーメンを販売し、ラーメン食券と銚子電鉄の1日乗車件を付けて売り出し、「鉄道沿線が広いラーメンテーマパーク」で「銚子電鉄はラーメンテーマパークの中の移動手段」という形で位置付けて売り出すのも一つの方策では無いかと思います。加えて此れに地場系の寿司等のグルメを加えても範囲が広がって面白いのでは?と感じます。

 正直言って「ローカル線再生の方策」は千差万別で有ると感じます。実際の所は「十のローカル線が有れば十の再生手段が有る」と思います。ですから一つの方策が「何処でも使える王道の施策」という事は基礎的な側面を除き殆ど無いと思います。
 その様な中でオーダーメイド的な施策を考える中で、今回取り上げた各ローカル鉄道の中で、銚子電鉄は「一番公共的側面の役割が(現実的)に低い」「逆に言えば観光鉄道的要素が一番高い」という事が出来ます。沿線には犬吠崎を筆頭に観光地は有りますし、銚子電鉄自体が既に観光鉄道となっています。
 この様な鉄道で有るからこそ、「観光的側面を強めてラーメングルメで売り出す」という施策も有りなのかな?と今回考えて「余談」としてこの様な話を取り上げました。
 少なくとも「ローカル線活性化」には色々な側面で物事を考える事は必要で有ると考えます。今回その「色々な側面」の一つとして、(私は真面目に)「ローカル線とラーメングルメのコラボレートによる活性化」という事を考えてみました。この施策が当るか如何かは綿密なリサーチをした訳では無いので自信を持っては分かりません。しかしこの様な施策も存在するのでは?と言う事を提示する為に、敢えてこの「余談」を書いてみました。この様な施策を含めて色々な側面で物事を考える事も「ローカル線の活性化」を考える上で重要では?と私は今回改めて感じました。




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