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外環道千葉県内先行整備の状況
〜外環道レポート その4

2017年度の開通を目指して建設中の外環道千葉県内区間。松戸から市川まで緑色のフェンスに囲われた事業用地も目立ってきましたが、一方で用地買収がなかなか進まないことも確かで、用地取得率は90%を超えたものの、そこからがなかなか進んでいません。
そうした事情から、矢切地区、国分地区、高谷地区の3箇所で「先行整備」と称した整備が進められることになりました。

そして2008年3月22日、R6との交点にある矢切インターから県道市川松戸線までの1kmの一般部が開通しました。わずか1kmの一般部だけ、しかも暫定2車線というささやかな開通ですが、千葉県内区間としては初の開通です。
まさに小さな一歩だが、外環の歴史にとっては大きな一歩になるこの開通を機に、昨年末に見てきた沿線の様子をご紹介します。

開通すればこの効果(平田地区)

※写真は2007年12月および2008年3月撮影


●矢切地区(その1)
現在外環道は三郷南ICで終わっています。そこからはR298の中央に橋脚が並んでいますが、それも江戸川右岸までで、江戸川橋梁も手がついていない様子です。
一方R298は4車線のまま江戸川を渡り、常磐線をアンダーパスするあたりで1車線に絞り込まれ、そのまま三郷側から来ると右に180度カーブを切ってR6に接続して終点となっていました。

このR298がUターンするあたり、すでにR6側から市川方面に向かうランプや、正面には矢切の丘陵を潜るトンネルが次第に姿を現し、そのうち東側の2車線を使った暫定開通となったわけです。

開通前の段階ですとこの区間を見ようとするとなかなか手ごわく、市川松戸線から路地に入ることで現場に至りますが、どの路地が抜けるのかを見極めるのにも一苦労でした。

矢切の斜面に向かう高架橋

路地を抜け、坂道を下ると外環の構造物が目の前に現れます。丘陵部をトンネルで抜けるとはいえ、そのまま地上に出て市川松戸線と交差する関係上、外環はトンネルに向かって坂道の高架橋になっています。
ちょうど江戸川に沿った田園地帯と斜面の下の集落の境界線を外環は走っており、それをまたぐ歩道橋からは矢切インターや江戸川方面が見通せて、位置関係もよくわかります。

矢切インター、外環葛飾大橋方面を望む


●矢切地区(その2)
次に市川松戸線との交差点付近へ移動します。
年末の段階ではアンダーパスとなる専用部の構造物が建設中で、ここに平面交差となるR298が接続できるのかどうかも怪しかったですが、後述するようにかなり無理がある構造で接続を果たしています。

終点は07年年末だとまだこんな感じだった

交差点の南西側には「外環インフォメーションセンター矢切」が設けられており、模型や各種資料で外環千葉県内区間に関する広報活動を行なっています。
市川市にある「外かん相談所」がどちらかというと地域対策的な施設なのに対し、こちらは広報色が強くなっており、かつ施設も大きめです。

外環インフォメーションセンター矢切

一般部の整備を目的とした先行整備区間はこの交差点まで。ここから国分地区までは主に環境保全空間(植樹帯、サービス道路、自転車歩行者道)を整備する区間に変わります。
このあたりは昔からの地割りを斜めに横切るような格好で外環が整備されるため、既存道路との位置関係の絡みでかつては通り抜け出来た道路が行き止まりになったり、デッドスペースができたりしていますが、これも外環側道の完成で改善されるでしょう。

環境保全空間

矢切地区の一角がそうした外環側道の先行整備を行い、環境保全空間というものを実体験してもらえるようになっています。まあ要は三郷や和光、大泉など既存開通区間の側道部分と同じようなものですが、これまでの下町然とした路地に対し、防音壁の存在は確かに鬱陶しいものの、幅員を確保したきれいな空間が確保されています。
ただ、現在は側道としても機能していないのが現実ですから、駐車スペースとなりがちなのが問題ですが。

●小塚山あたりへ
先行整備された区間は実は短く、そこからはフェンスに囲われた事業用地が続きます。
専用部は市川松戸線の手前から地下に入り、ここからは地上部にはR298とサービス道路などだけが存在することになる区間が続きます。

小塚山の工事現場を望む

市川市の北部が松戸市域に食い込むように市境が入り組んだ地域ですが、このあたりは丘陵と谷津田のおりなす高低差のある地形が特徴です。そうした中の一つの小塚山を貫く計画に市民の反対の声が強く、小塚山公園を維持する形でトンネルで通過することになっています。

ここの特徴は、トンネル構造物を建設し、ふたたび覆うまでの間、もともと公園にあった木々を一時避難させたということ。
南に少し離れた北千葉JCT用地に小塚山公園から移植されていますが、本来更地のはずの事業用地に木々が立っている様でそれと分かります。

移植されている樹木


●国分地区
事業用地と並行する形で国分街道が走っていますが、フェンスで囲われた中を走るのはちょっと変な感じです。もっとも、昔ながらの細く曲がった道がR298として生まれ変わるのですから文句は言えません。

裏道もフェンスの谷間に

ここは先を急ごうかと思っていたんですが、事業用地の真ん中になにやら大きな構造物が見えます。これは地上で専用部の構造物を製作し、そのまま徐々に地中に沈めると言うニューマチックケーソン工法の得失を調べるための試験工事。どうやらトンネル構造物自体はすでに沈んだあとのようですが、これが正式に採用されれば、このような光景があちこちで見られるようになるかもしれません。

新工法試験中


●平田地区
菅野駅周辺を見たかったのですが、クルマで入るとドツボにはまるエリアですからここはパス。
このあたり、R14や総武線から見ても、だいぶ事業用地となったエリアが増えてきましたし、向上や学校なども移転が決まっているケースもあり、進捗が最も遅れているエリアではありますが、それでも形になってきたようです。

総武線南側もこんな感じに


●大和田地区
このあたりからはほぼ事業用地も揃った感じです。
産業道路には「この渋滞、この不便。みなさんはいつまで待てますか?」という外環整備促進の横断幕が出ていました。

いつまで待てますか?

京葉JCTが絡むためこのあたりの事業用地は実に広大ですが、足元通れる道は昔のままなので、見通しは利くが思いに反して進めないなんてことも。

京葉JCTから最終の高谷JCTまではR298としての先行整備区間となります。

京葉道路の北側


●高谷地区
江戸川放水路左岸を進むこのエリアもなかなか現地にアクセスしづらいです。
高谷地区には「高谷体験道路」なる施設があり、サービス道路に関して異なるパターンの整備を行い、どれがいいかをヒアリングすると言う仕掛けになっています。
ただ、これの体験は毎週木曜日のみ、事前申込制となっており、気軽にとはいえないようです。

高谷体験道路

東西線との交差地点付近で専用部は長いトンネル道中から開放されますが、このあたりの事業用地には東西線に見せ付けるように「外かんいよいよ千葉へ!」という大看板が立っています。

東西線に向けた大看板

そして湾岸道路に合流する終点が高谷JCT。ここはR357東行きからと合流して一般道に出るeランプが先行開通していましたが、現在は湾岸道路本線をまたぐ構造物が続々出来上がっており、JCT らしくなってきました。
JCT中央に高谷川が位置することや、高速での分岐を考えているのか、ランプの半径は大きめで、そのためより一層構造が大きく雄大に見えます。

出来上がりつつある高谷JCTの構造物

ちなみにJCT脇にある市川クリーンセンターに温泉施設が出来たんですが、現地チェックの疲れを、といそいそとクルマを回したら、年末の休業に入っていました(涙)
※12/29〜1/5と第1、3火曜日が定休日

●新規開通区間を見る
さて矢切インターから市川松戸線までの新規開通区間ですが、まだ通ってはいないものの、その終点付近を見てきました。

R298終点部分

深く掘り下げられた状態でここが平面交差に?と懸念していた交差点ですが、なんと埋め戻すのではなく鉄骨を組み上げて地盤を作って平面レベルに持ち上げました。

専用部のアンダーパスと鉄骨組みの一般部

当座の終点は右折と左折の2車線。市川松戸線側からだと、南行きは右折車線、北行きは左折車線が新設されました。
R298側からの標識は松戸市街方面のほうがメインのような矢印ですが、なぜなんでしょう。

左折側がメインのように見えます

ここまで南下してしまうと市川方面に出るしかないと思いがちですが、実はここを左折し、上矢切から三矢小台、二十世紀が丘経由のルートを取ると、旧市川松戸有料やR464にもアクセスできます。松戸隧道や陣が前などの渋滞を考えると、意外と使えるかもしれません。

市川松戸線北行きからはこんな感じ

ただ、信号の割り当てが厳しく、R298から出られるのは20秒だけ。市川松戸線北行きからは南行きの右折信号が表示される時間帯を除いて左折信号もしくは青信号なので、こちらは便利です。
南行きからは右折信号もありますが、市川松戸線北行きをそのまま直進するクルマも多く、右折信号でしか曲がれないケースが多そうで、三矢小台方面からのアクセスはここがネックになるかも。

市川松戸線南行きからはこんな感じ

あと、終点を右折したところにある中矢切の小さな交差点の信号が残り、ここが外環終点と同調して市川松戸線側が赤になるため、外環終点を右折した車は必然的に中矢切で止められます。
この区間に物理的に入れるクルマは10台もないわけで、さらに20秒しかない青信号ということもあり、時折外環側が詰まるようです。

正面すぐに中矢切。この時点で3台待ち

位置的に外環が全通したら側道経由に振替が可能なので、その時点では撤去されそうな信号ですが、ここでの右折は全通したら激減するはずで、なんとも悩ましいですし、今後このルートの普及とともにネックになることが推測されます。

いざ外環へ




以上、新規開通後にその前の状態という、少々間の抜けたレポートでした。


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その3・外環道千葉県内区間の近況に戻る

その5・外環、いよいよ市川で開通に続く


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